悪魔と天使の暇潰し
最新 最初 🆕
#215 [匿名]
俺はあいつの冷めた目が苦手だ。

優しい顔をしていて、人間の前ではいつも笑顔のくせに、上へ戻ると冷たい顔になる。

「あんなに人間を殺していいと思っているのか?」

と冷静にあいつが言うのが想像でき、憂鬱な気持ちになる。

ターゲットのため!と言い訳を何度も唱えてみた。

⏰:11/07/29 23:17 📱:F06B 🆔:VoEUyrqo


#216 [匿名]
ターゲットを見てみると、その周りには、あと三人敵が立っていた。

見事に三人ともナイフを持っていて、ターゲットを囲み、構えている。

ターゲットは三人を順番に睨みながら、肩で息をしていた。


「情けねーな!まだ終わらねーのかよ!」

首の骨を鳴らし、わざとらしく欠伸をしながらターゲットに声をかけた。


「うるせぇな!すぐ終わる」

ターゲットが怒鳴る。

⏰:11/08/02 12:56 📱:F06B 🆔:G6A90LOs


#217 [匿名]
よく見ると、ターゲットの顔や腕、脚などに傷がいくつもついていた。

いくら腕のいい殺し屋でも、一度に大勢と殺り合うのは簡単な事ではないみたいだ。

「手伝ってやろうか?」

「いらねぇよ!」

「3対2だったら楽勝だろ」

「いらねぇって!」

「強がりやがって」

「てめぇ黙ってろ!殺すぞ」

「おー怖い怖い」

⏰:11/08/02 12:57 📱:F06B 🆔:G6A90LOs


#218 [匿名]
殺し屋に殺すと言われると、リアルで鳥肌がたちそうだ。
まぁ俺は殺されても死なないんだけど。

ターゲットは舌打ちをし、俺から視線を外した。そしてもう一度スーツ男達を睨んだ。

「一気に行くぞ!」

スーツ男達がターゲットに駆け寄った。一気に攻撃すれば、避けられないと思ったのだろう。

俺も少し近寄った。

⏰:11/08/02 13:23 📱:F06B 🆔:G6A90LOs


#219 [匿名]
スーツ男達が、頭、胸、首をそれぞれ狙っている。
どこも急所なので、うっかり刺されましたーなんて許されない。


だがターゲットはそんな俺の心配はお構い無しで、綺麗にナイフを避けた。
そして順番にスーツ男達の首を切りつける。

まるで立ち回りが決められたドラマを見ている様だ。

「ほら、すぐ終わっただろう」

ナイフを放り投げ、ターゲットが俺を睨んだ。

「ふらふらじゃねーか」

「うるせぇ」

⏰:11/08/02 13:49 📱:F06B 🆔:G6A90LOs


#220 [匿名]
「そんな事より早くここから出た方がいいんじゃねーのか?」

誰かがここに来る気配はないが、死体の山の中にずっといるのは、居心地が悪い。

「でもやべーな。俺ら血だらけだぞ?」

「ああ。それならさっき見つけた」

そうさっき、辺りを見回していると紙袋が二つ置いてあるのを見つけた。

中身は作業着と、帽子、靴、タオル。以前働いていた人の忘れ物かもしれない。

「これに着替えようぜ」

⏰:11/08/02 14:05 📱:F06B 🆔:G6A90LOs


#221 [匿名]
「運がいいなー俺ら。何もねー古いビルにこんな新しい忘れ物があるなんて」

ターゲットは血を拭き、着替えだした。俺も急いで服を着替えた。


そして何もなかったように、俺達はビルを出た。
想像通り人は一人も居なく、辺りは静かな風の吹く音だけ聞こえてくる。


そういえば、時間を全く気にしていなかった。腕時計を見るとターゲットに会ってから一時間半が経っている。

車での移動距離などを抜くと、このビルでの殺し合いは約三十分ほどだった。

短いのか長いのか、判断がつかない。

⏰:11/08/02 14:07 📱:F06B 🆔:G6A90LOs


#222 [匿名]
残り三十分。

「つーかあんな虐殺現場をそのまんまにして帰っていいのか?いつかばれるだろうし、ばれたらお前の指紋や血液を調べられて捕まっちまうんじゃねーか?」

あれが一生ばれないなんて奇跡が起こるわけがない。

「大丈夫だ。警察じゃ、俺に辿り着けねーよ。それに…」

「ん?」

ターゲットが空を見上げた。

「その頃には、俺はもう星になってるかもしれねーしな」

「…全然かっこよくねーぞ?」

「かっこつけてねーから!」

⏰:11/08/02 14:44 📱:F06B 🆔:G6A90LOs


#223 [匿名]
ターゲットは誰かに殺されると思っているのか?それとも、俺の依頼を受ける気か?

「じゃあ、俺帰るからよ。お前は殺されねぇように帰れよ」

手をひらひらと振り、ターゲットの行く方向とは逆に歩き始めた。角を曲がってターゲットから俺が見えなくなったら上へ帰る。


俺は気が付かなかった。
ターゲットが俺の後ろ姿を見る、覚悟を決めた目に。

⏰:11/08/02 14:46 📱:F06B 🆔:G6A90LOs


#224 [匿名]
上へ上がるとすぐにあいつに会った。

「お、おう!ターゲットについて調べたか?」

何も言われていないのに、あいつの顔を見て居心地が悪くなり、目を反らした。

「何を焦っているんだ?」

あいつの冷たい口調が聞こえた。

「は?な、なにがだよ!」

「何故僕の顔を見ない?やましい事でもあったのか?」

「ね、ねーよ!んなもん!」

「そうか」

「おう」

危ない。ばれるところだった。

「てっきり人間を沢山殺しちゃった事が、後ろめたいと思っているのかと思ったよ」

「…てめぇ」

くそ、ばれてたのか。

⏰:11/08/03 08:49 📱:F06B 🆔:tsVl/s/o


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194