悪魔と天使の暇潰し
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#275 [隆平]
かいてください!!
:11/08/23 12:38 :F09C :RqlSIqKc
#276 [匿名]
葵さん、隆平さん
ありがとうございます!
次の暇潰しを、試しに視点を変えて書いてみたいと思います。
:11/08/23 19:50 :F06B :6ehtGtFM
#277 [匿名]
3
一日目
今日も目覚ましの音で目が覚める。少し開いたカーテンの隙間から光が漏れている。眩しい。
隣に寝ている守を起こさなくちゃ。私が朝起きてから、まずする事。
「朝だよ。おは…―」
隣を見て、気が付く。
そうだ、守はいないんだ。
一体いつになったら慣れるのだろうか。
:11/08/23 20:52 :F06B :6ehtGtFM
#278 [匿名]
悲しい気持ちが消えないまま、顔を洗いに行く。
ついこの間まで、隣には守がいた。顔を洗うのと歯を磨くタイミングは毎日一緒で、いつも蛇口の取り合いになる。
待たされる事がほとんどだったのに、二人で並んで歯を磨くあの時間が私は好きだった。
鏡越しに目が合うと、何だか嬉しくて、目が合うまでずっと守を見ていた事もあった。
楽しかったな。そう感じると同時に、言い様のない孤独感に包み込まれた。
:11/08/23 20:54 :F06B :6ehtGtFM
#279 [匿名]
もう戻らない過去を振り返っても、何にもならない。そう言い聞かせながら、簡単な朝食を作り、一人で食べた。
「旨いじゃん!」
手の込んでいない料理でも守は旨いって言ってくれた。
守の声が聞こえた気がして、ふと正面を見上げてしまう。
何日同じ事を繰り返せば、私は学習するのだろう。
:11/08/23 20:56 :F06B :6ehtGtFM
#280 [匿名]
洗い物をし、化粧と着替えを急いでする。
「忘れ物ないかー?」
家を出る五分前に、いつも守は私にそう言ってくれる。
だから今まで忘れ物なんてした事なかった。もう守は言ってくれないけど、今でも忘れ物はしない。守がいつも言ってくれた言葉や行動は、忘れた事などないから。
:11/08/23 20:58 :F06B :6ehtGtFM
#281 [匿名]
家を出て、駅に向かう。
いつも二人で歩いた道程。
駅で別々の方向に向かう電車に乗る。いつも私が乗る方の電車が早くつくから、電車に乗りながらホームに立つ守に手をふる。そうすると守は、いつも照れ臭そうに手を少しだけ上げて私に合図をしてくれる。
その姿を遠目で見ると、なんだか旦那だとは思えなくて、恋人同士だった時に戻った気持ちになった。
なんでだろう?
今でも電車に乗り、ドアが閉まると守の姿を探してしまう。もうここに守はいないのに。
守がいない事を確認すると泣きそうになる。
今日もまだ心が晴れない。
守、どこに行ってしまったの?
:11/08/23 21:01 :F06B :6ehtGtFM
#282 [匿名]
三十分程電車に乗ると、会社の最寄り駅につく。
ここからは、守の事をほんの少しだけ忘れられる。
二十八歳になった私はこの会社で働いて、もう五年になる。やりがいのある仕事だから、働いている時は他に何も考えられない。だからほんの少し、守を忘れられる。
別に、忘れたい訳じゃないけど、考えてしまうと辛くなるから、今は出来るだけ忘れたい。
溜め息が出る。
:11/08/23 21:06 :F06B :6ehtGtFM
#283 [匿名]
「溜め息なんかついちゃって、何か嫌な事でもあったのか?」
下を向いていて、そう声をかけられるまで前に誰かがいる事に気が付かなかった。
顔を上げると若い男が立っていた。私を見て、微笑んでいる。
微笑んでいると言っても、その笑みに優しい雰囲気は一切感じない。黒い陰のような居心地の悪い雰囲気をまとっている。
それなのに私はその男に見とれてしまった。
:11/08/24 17:10 :F06B :CHd7z7Rw
#284 [匿名]
二十代前半に見える男は、スラッとした長身で黒いスーツを着ていた。
どこにでもいる若い男性だと思ったが、全然違う。
作られた物みたいに綺麗な顔立ちで、どこにも隙がない。
そう、人間じゃない、生きてはいないものみたい。
「なんだよ!俺の顔そんなに変か?」
見とれている私にその男は近付いてきた。不覚にも、胸が高鳴る。
「い、いえ!」
近ければ近い程、その男は綺麗だった。灰色の瞳が、真っ黒な髪の毛の間から覗いている。
:11/08/24 17:16 :F06B :CHd7z7Rw
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