悪魔と天使の暇潰し
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#304 [匿名]
「私が死んだら、あなたが何か得をするんですか?」
「得っつぅか、なんつーか…」
「守を使って、私を騙さないで下さい!」
守はもう何も言えない。それをいい事に、守を使うなんて酷い。
「ったく面倒くせぇ女だな!何でも信じやすいんじゃなかったのかよ!」
悪魔さんは目を細め、空を睨む様に見ながら言った。
「人を信じるのは素晴らしい事だけど、相手の素性を見極めろ!」
悪魔さんは私を指差し、怒った。それが守にそっくりで、私は何も言えなくなる。
:11/08/26 19:01 :F06B :yzyXQKjY
#305 [匿名]
「お前過去、悪徳業者に騙されて五十万取られそうだったんだろ?守って奴が言ってたぞ?幸子にそう伝えて下さい!って。まぁ頼まれたのは俺じゃねぇんだけど、言っちゃった」
守しか知らない事。悪魔さんは、それを守から聞いてきたように喋る。
もしかしたら、嘘なんか一つも付いていないのかもしれない。
「守って奴の忠告無しでも、ちゃんと疑う心を持ち始めたんだな!…正しいよ。俺は聖者じゃないから」
そう言った悪魔さんの顔が、一瞬切なく見えた。悪魔にならなくてはならない!と必死に演じる天使のようで、私は悪魔さんの言葉を信じてみたくなる。
:11/08/26 19:05 :F06B :yzyXQKjY
#306 [匿名]
「俺がお前に協力してあげれんのは、あと三日間しかねーんだ。だからよーく考えろ」
悪魔さんは鋭い目付きで私を見た。
「もし、もし本当なら守は私にどうして欲しいと思っているんですかね?」
「そんなの、死んで同じ世界でまた一緒に居たいって、思ってるだろ?」
そう言い、悪魔さんは風の様に去って行った。
守も、私とまた一緒に居たいと思ってくれているのかな?
守は私に会いに来れないから、私が行くしかない。
:11/08/26 19:06 :F06B :yzyXQKjY
#307 [匿名]
三日目
私は守の会社から一番近くにある大学病院の前に居た。
ここまでどうやって来たのか何も覚えていない。
病院を前にして一気に脚が重くなり、一歩も前に出なくなった。
「さっちゃん!」
後ろから勢いよく声をかけられた。
振り向くと私の母が険しさと戸惑いの入り交じった表情で立っていた。
「お母さん…」
母の顔を見たとたん、どんどん視界がぼやけていった。
:11/08/29 16:36 :F06B :Tm.8msg6
#308 [匿名]
私の目に涙が溜まっていくのを見て、母は何も気にせず私を抱き締めた。
懐かしい母の温もりを感じ、私の緊張の糸は簡単に切れてしまった。
「大丈夫?」
その母の問いにも答えられないくらい、私は泣いた。
声を上げて泣いた。
母はそんな私の背中を何度も何度も撫でてくれて、私が泣き止むまでずっとその場で、抱き締めてくれた。
守が車に跳ねられ、運ばれた病院の前。
:11/08/29 16:37 :F06B :Tm.8msg6
#309 [匿名]
ハッとし、目が覚めた。
目覚まし時計が鳴っている。
昨日の夢の続きを見た。
守が運ばれた病院の前で、私は中に入れずにいた。母が居なかったら、私はずっと守に会いに行けなかったと思う。
警察からの電話があってから、私はすぐに母に電話をしたらしい。全く覚えていないけど、無意識に母を頼ってしまったみたいだ。
時計の針が八時を指していて一瞬寝坊かと焦ったが、すぐに今日は休みだと気付いた。
あんなに待ち遠しかった休みの日なのに、守の死があってから、大嫌いになった。
:11/08/29 16:38 :F06B :Tm.8msg6
#310 [匿名]
守の事しか考えられなくなるから。
実家に行こうか、掃除をしながら悩み、終わる頃に行く事を決意した。
明日も会社は休みで予定は何も無いから泊まっちゃおう。私は二日間の予定をたてた。
実家は私の家から電車で一時間の距離。
戻ってくれば?という母の優しさに上手く甘えられず、週末になると実家に帰るという日々を送っている。
こんな私でも、これ以上心配はかけられないと思っていた。
:11/08/29 16:40 :F06B :Tm.8msg6
#311 [匿名]
そんな事を思い出しながら、少ない荷物を持って家を出た。
「気を付けろよ!何かあったらすぐ連絡しろよ!」
また守の声が聞こえた気がした。
私が一人で出掛ける時は、守は必要以上に心配する。
身支度をしている時に一回言い、家を出る時にもう一回言う。心配しすぎな守を見て、面倒臭いなー、と何度思った事か。
それでもやっぱり、心配性な守を見ると嬉しかった。愛されているなって、実感出来たからだ。
:11/08/29 16:42 :F06B :Tm.8msg6
#312 [匿名]
電車に乗り、一時間かけて地元についた。
先週も来たから懐かしさは感じない。でもやっぱり安心感がある。駅を出てすぐ正面にある商店街は、小さな頃から何も変わらない。
その商店街を抜けて信号を右に曲がると実家が見えてくる。どこにでもある一軒家。
「あれ?」
ただ真っ直ぐ実家を目指していた私の隣には、昨日会った天使さんが並んで歩いていた。
「やっぱりあなたでしたか」
そう言われて天使さんの存在に気付く。
:11/08/30 23:17 :F06B :2sQh1hF.
#313 [匿名]
「あ!昨日の方。どうしてここに?」
偶然の再会に、私は素直に驚いた。
「今日は仕事の関係で、初めてここに来まして」
「あ、そうなんですか」
「あなたはどうしてここに?」
「ここ私の地元で、今日は実家に帰って来たんです」
「そうなんですか!偶然ですね」
天使さんは爽やかに笑う。
:11/08/30 23:18 :F06B :2sQh1hF.
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