悪魔と天使の暇潰し
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#45 [匿名]
「それは全部嘘だ。」
ここからだ。
「嘘?」
ターゲットは笑顔を浮かべる。この男は何をいきなり不思議な事を言っているのかしらー、と俺を哀れむ目だ。
「あんたと一緒になる気は、あの男にはねーよ。多分あんたみたいな若い女とヤりたかっただけだね。」
:11/05/08 18:10 :F06B :ZMQXqiQY
#46 [匿名]
「何が言いたいんですか?」
ターゲットはどうしてあんな男の事を信じれるのだろう。
恋は盲目だと誰かが言っていたのを思い出した。こいつの事だったのか!と今になって納得出来た。
「だから、あんたに言ってる事全部嘘なんだって!」
「本人に聞いたんですか?」
:11/05/08 18:15 :F06B :ZMQXqiQY
#47 [匿名]
「ああ。あの男は、自分の妻と子供が一番大切だって言ってたよ。あんたは所詮浮気相手。」
「そんなの、見ず知らずの人からいきなり聞かされたって信じれるわけないじゃない!」
そりゃそうだ。俺だったら絶対に信じないね。
「信じたくなきゃ信じないで別にいいんだけどよー。こっちにも証拠とかあんだよな〜。」
:11/05/08 18:19 :F06B :ZMQXqiQY
#48 [匿名]
「証拠?」
ターゲットの顔は徐々に強張っていく。
「そうそう。じゃーん!これ携帯なんだけどさ、」
ポケットから携帯電話を取り出す。人間が使っている物と一緒。
「昨日その男と話したんだ。その時にそいつには内緒で音声を録音したってわけ!」
携帯を操作し、すぐに再生出来るようにした。
:11/05/08 18:21 :F06B :ZMQXqiQY
#49 [匿名]
「……え?」
「聞く?」
ターゲットは黙る。
「じゃあさ勝手に流すから聞きたかったら聞いてよ。嫌なら耳塞いでて。」
スタート!そう言って再生を押した。
ターゲットは目をギュッと瞑り、両手で頬を抑えている。頬を抑えていたって目を瞑っていたって音は聞こえるのに。
:11/05/08 18:23 :F06B :ZMQXqiQY
#50 [匿名]
『俺が一番大切なのは妻と娘だ!二人を手放すつもりはない!』
携帯電話から昨日の浮気男の声が聞こえる。
『ああ、もう十分遊んだ。そろそろ飽きてきた所だったからな。』
俺の声はあらかじめ消しておいた。あなたが脅して言わせたんでしょ!なんて言われたら台無しだからな。
それにしても何も頼んでいないのに、よくもここまできつい言葉を言えたなと、浮気男に感心する。
:11/05/08 18:26 :F06B :ZMQXqiQY
#51 [匿名]
「もう一回聞く?」
ターゲットは俺の質問に答えない。
「自分の愛する人だったら、声ですぐ分かるよな?」
それでもシカト。
「多分今日か明日には本人から話はあると思うけど」
シカト。
「信じるも信じないも自由だ!」
はい、シカト。
:11/05/08 18:29 :F06B :ZMQXqiQY
#52 [匿名]
「最後に言っとくけど、俺は嘘なんてつかねーし、あんたを騙すつもりでもねーから。」
ターゲットは下を向いたままだが、小さな声を出して泣き始めた。
「本当なの?」
「ああ。今日にでも聞いてみろよ、本人に。」
上手く行った。かなりスムーズにターゲットがショックを受けている。それで浮気男本人の口から別れ話があったら、生きていられないだろうな。
:11/05/08 18:31 :F06B :ZMQXqiQY
#53 [匿名]
それから、何も言わずにターゲットを公園に残し、俺は上へ帰った。
これからターゲットと浮気男の動きを上から確認する。出来れば今日これから別れ話をしてくれたら最高なんだけどな。
「見てたよ。」
いつの間にか隣にはあいつがいた。
「上手く行ったぞ!」
「そうみたいだね。」
:11/05/08 18:34 :F06B :ZMQXqiQY
#54 [匿名]
「まさか音声を録音しているとは思わなかったよ。君はいつも行き当たりばったりだから、今回もそうだと思った。」
馬鹿にされてるのか誉められているのか。
「成長したね。」
「うるせぇ!」
上から目線で、馬鹿にされているのは分かる。なのに嬉しくなってしまうから、こいつは凄いなと思う。
天使のくせに悪魔の気持ちがよく分かっているんだ。
:11/05/08 18:36 :F06B :ZMQXqiQY
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