悪魔と天使の暇潰し
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#48 [匿名]
「証拠?」
ターゲットの顔は徐々に強張っていく。
「そうそう。じゃーん!これ携帯なんだけどさ、」
ポケットから携帯電話を取り出す。人間が使っている物と一緒。
「昨日その男と話したんだ。その時にそいつには内緒で音声を録音したってわけ!」
携帯を操作し、すぐに再生出来るようにした。
:11/05/08 18:21 :F06B :ZMQXqiQY
#49 [匿名]
「……え?」
「聞く?」
ターゲットは黙る。
「じゃあさ勝手に流すから聞きたかったら聞いてよ。嫌なら耳塞いでて。」
スタート!そう言って再生を押した。
ターゲットは目をギュッと瞑り、両手で頬を抑えている。頬を抑えていたって目を瞑っていたって音は聞こえるのに。
:11/05/08 18:23 :F06B :ZMQXqiQY
#50 [匿名]
『俺が一番大切なのは妻と娘だ!二人を手放すつもりはない!』
携帯電話から昨日の浮気男の声が聞こえる。
『ああ、もう十分遊んだ。そろそろ飽きてきた所だったからな。』
俺の声はあらかじめ消しておいた。あなたが脅して言わせたんでしょ!なんて言われたら台無しだからな。
それにしても何も頼んでいないのに、よくもここまできつい言葉を言えたなと、浮気男に感心する。
:11/05/08 18:26 :F06B :ZMQXqiQY
#51 [匿名]
「もう一回聞く?」
ターゲットは俺の質問に答えない。
「自分の愛する人だったら、声ですぐ分かるよな?」
それでもシカト。
「多分今日か明日には本人から話はあると思うけど」
シカト。
「信じるも信じないも自由だ!」
はい、シカト。
:11/05/08 18:29 :F06B :ZMQXqiQY
#52 [匿名]
「最後に言っとくけど、俺は嘘なんてつかねーし、あんたを騙すつもりでもねーから。」
ターゲットは下を向いたままだが、小さな声を出して泣き始めた。
「本当なの?」
「ああ。今日にでも聞いてみろよ、本人に。」
上手く行った。かなりスムーズにターゲットがショックを受けている。それで浮気男本人の口から別れ話があったら、生きていられないだろうな。
:11/05/08 18:31 :F06B :ZMQXqiQY
#53 [匿名]
それから、何も言わずにターゲットを公園に残し、俺は上へ帰った。
これからターゲットと浮気男の動きを上から確認する。出来れば今日これから別れ話をしてくれたら最高なんだけどな。
「見てたよ。」
いつの間にか隣にはあいつがいた。
「上手く行ったぞ!」
「そうみたいだね。」
:11/05/08 18:34 :F06B :ZMQXqiQY
#54 [匿名]
「まさか音声を録音しているとは思わなかったよ。君はいつも行き当たりばったりだから、今回もそうだと思った。」
馬鹿にされてるのか誉められているのか。
「成長したね。」
「うるせぇ!」
上から目線で、馬鹿にされているのは分かる。なのに嬉しくなってしまうから、こいつは凄いなと思う。
天使のくせに悪魔の気持ちがよく分かっているんだ。
:11/05/08 18:36 :F06B :ZMQXqiQY
#55 [匿名]
「とにかく、お前も見とけよ!これからもっと大変な事が起きるかもしれねーからなぁ!」
照れ隠しですぐに話をそらした。
「大変になるのは僕だけだよね?」
「ああ、そうだな。」
「負けちゃうかもな。」
そんな事思ってもないくせに。
:11/05/14 23:35 :F06B :2I2Cz.76
#56 [匿名]
そんな話をしていると、ターゲットに動きが見えた。涙を拭いて駅へと歩き出す。
「浮気男に会いに行くのかな?」
「会うんじゃねーか?」
あのターゲットは相当惚れ込んでそうだったし、俺の言った事を完全に信じたとは思えない。それなら会いに行くだろう。
さっき変な男にこんな事言われたのー!全くやんなっちゃうよねー。なんて笑いながら浮気男に報告するかもしれない。
:11/05/14 23:36 :F06B :2I2Cz.76
#57 [匿名]
もしくは何もなかったかのように、いつもの甘えた態度で接するかもしれない。
人間は良く分からない。特に女の考えている事なんて未知の世界だ。
「君は本当に運だけはいいよね。」
ため息をつきながらあいつが言った。
もしかしてと目を凝らすと、ターゲットの目の前には浮気男がいた。
:11/05/14 23:38 :F06B :2I2Cz.76
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