ぼくらのみかた
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#249 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『…ああ、お前の友達なんだから当たり前だろ。それよりあまり無理して喋ろうとするな』


『高見くん…久保くんが何て言ってるのかわかるの?』


『うん、もちろん』

例え喋れなかったとしても、友達だったら心で通じ合えるものだと誰かが言っていた。


『……うう』

久保が少しでも喋れる事に安心したのか、雪乃ちゃんがまた泣き出した。

⏰:11/08/19 09:45 📱:T005 🆔:CS3FwOpI


#250 [輪廻◆j6ceQ96kak]
こういう場合になんと声をかけてあげればいいのかわからない俺は、申し訳ないと思いつつも何も見ていない事にした。


『久保、何か言いたい事があったらここに書いて』

俺は鞄からノートと鉛筆を取り出して久保に渡した。


無理して喋らない方法は、メールのように文章を書いて伝える事だろう。


久保は早速ノートに字を書き始めた。

⏰:11/08/19 09:56 📱:T005 🆔:CS3FwOpI


#251 [輪廻◆j6ceQ96kak]
「松下さん なんで泣いてるの?」

そう書かれた文章を見てから、雪乃ちゃんに無言でノートを手渡した。


雪乃ちゃんは涙で真っ赤になった顔でその文章を見ると、とっさに涙を腕で拭い、久保の方を見てニコリと微笑んだ。


『ふふ…泣いてないよ』


『雪乃ちゃん素直じゃないね〜』


病室に三人の笑い声が飛び交った―

⏰:11/08/19 10:09 📱:T005 🆔:CS3FwOpI


#252 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『あ、そうだ久保。よかったらお前の携帯電話貸してくれない?』

俺がそう言うと、久保は頷いてベッドの傍にある引き出しを指す。


俺はその引き出しを開けて携帯電話を借りた。


この携帯電話に入っているメールが強力な証拠になる。


明日、木下先生に言いたい事はたくさんあるぞ。


『じゃあ明日も来るからな』

俺と雪乃ちゃんは久保に手を大きく振ると、久保も最後に笑顔を見せながら手を小さく振ってくれた―

⏰:11/08/19 10:29 📱:T005 🆔:CS3FwOpI


#253 [輪廻◆j6ceQ96kak]
■Last episode■
『桜、舞う頃』(後編)



その日の夜、俺は父親から衝撃的な言葉を聞いた。


『順一、4月から転勤する事になった』

…突然の事だった。


『て、転勤って…どこにだよ?』


『…北海道だ』

あまりの事に、頭の中が真っ白になった…。


転勤となるともちろん住む家も学校も変わる訳だ。


それよりも、久保とか雪乃ちゃんなど今の学校の奴らと離れる事になるのが信じられなかった。

⏰:11/08/19 10:40 📱:T005 🆔:CS3FwOpI


#254 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『あと2ヶ月しかないからな。お前も早めに準備はしとけ』


…あと2ヶ月?


…嫌だ。


嫌だと言わなければ…

でも体が震えて声が出なかった。


その日は結局何も言えなかった。


それ以上に、転勤するなんて事、クラスの皆に言える訳がない。

⏰:11/08/19 10:48 📱:T005 🆔:CS3FwOpI


#255 [輪廻◆j6ceQ96kak]
頭の中が混乱する。


まだ久保と木下先生の事も解決していないというのに、その上突然の転勤だなんて。


その日は眠れる訳もなかった。



何も考えずに布団にうつ伏せになっていたらいつの間にか寝ていたみたいで、気がつくと朝になっていた。

⏰:11/08/19 10:58 📱:T005 🆔:CS3FwOpI


#256 [輪廻◆j6ceQ96kak]
朝ご飯を食べずにおぼつかない足で学校へ向かい、教室に入る。


『高見くん、おはよう』

席に座るなり隣の雪乃ちゃんが元気に声をかけてきた。


『ああ…おはよう…』


『…何かあったの?』


『なんでもないよ』

言うべきか言わないべきか迷ったが、せめて期末テストが終わるまではと思い、親の転勤の事実をその場で打ち明けなかった。

⏰:11/08/20 01:07 📱:T005 🆔:ApZWZw5c


#257 [輪廻◆j6ceQ96kak]
ほとんどの授業はボーっとして内容が頭に入らなかった。


もうすぐ期末テストなのに、これでいい訳はない。


でも俺はテストの結果で進級になるか留年になるかよりも、もっと大事な選択を迫られたのだ。


皆と別れる?

そんなの信じられないし、信じたくない。


休み時間、頭を抱えている俺の所に後ろの席の倉野がやってきた。


『おい高見。お前何かあった?』

その声にハッとして倉野の顔を見る。

⏰:11/08/20 09:37 📱:T005 🆔:ApZWZw5c


#258 [輪廻◆j6ceQ96kak]
倉野とはそれほど仲良くもないし、そもそもあまり話した事がない奴だ。


彼になら別に言っても大丈夫だろう。


『ちょっと来て』

俺は倉野を廊下に連れ出して、転勤の事を打ち明けた。


『マジで…? 北海道とか遠いじゃん』


『…まだ皆には言わないで欲しいんだよね』


『わかった。テスト前だし余計な心配かけたくないもんな』

俺達はちょっと早い握手を交わした。

⏰:11/08/20 12:15 📱:T005 🆔:ApZWZw5c


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