ぼくらのみかた
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#309 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それと…
北海道に行く事を打ち明けた後、雪乃ちゃんが俺に突然謝ってきた。
理由を聞くと、あの時久保の携帯電話の受信メールを削除したのは自分だと言ってきた。
更にその理由を聞いたが、なぜか今度は泣き出して、それを目撃した野村に『また泣かせたな』と言われてビンタされる始末。
…今となってはどうでもいいが。
:11/08/24 02:10
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#310 [輪廻◆j6ceQ96kak]
失声症の久保は、まだ声は途切れ途切れで出るものの、身体はよくなったので3月の中旬頃、無事に退院した。
久しぶりの学校に久保は大いに喜んでいた。
そこで久保は一人テストを受けて、2学年への進級も決まる。
俺は久保達と一緒に2学年を過ごす事はできないが、最後にクラスの皆で撮った写真…
これを持っていれば、いつでも皆と一緒にいれる気がする。
:11/08/24 02:23
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#311 [輪廻◆j6ceQ96kak]
―4月10日 土曜日
俺ら家族は北海道に行く為に空港に来ていた。
ソファーに座って時間を待っていると、目の前に一人の人物が現れた。
『よっ、高見〜』
この声は…やっぱり…
『よ、吉田さん!』
『見送りに来てやったよ。一応世話になったしな』
…世話をした覚えはないけど、しいて言えば荷物持ちジャンケンで荷物を持ってあげた事くらいか。
:11/08/24 02:32
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#312 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『そういえば吉田さん…進級はできたんですか?』
『は? バカにすんなよ? 俺だってやる時はやるし』
…という事は、進級できたらしい。
『でもさあ、進級できたのはいいけど、雪乃とはまたクラス別なんだよ』
『それはなんていうか…残念ですね』
俺はそう言う反面、少し安心した。
『あ、あのよ…えと…』
…なんだ?
吉田さんが口ごもる姿なんて初めて見たぞ。
:11/08/24 02:43
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#313 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『どうしたんですか?』
そう言いながらふと彼の手元を見ると、何やら白い紙を手にしていた。
まさか…
いや、そんな訳ないよな。
何考えてるんだ俺は。
『あの、それ…』
その持っている紙を指さすと、彼はサっとそれを俺に差し出した。
その紙には、携帯電話の番号とメールアドレスが記入されているではないか。
でも番号もアドレスも吉田さんのものとは違うようだ。
:11/08/24 02:49
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#314 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『あの…これは誰のですか?』
俺が首を傾げていると、吉田さんが背後を気にする素振りを見せた。
俺もつられて彼の後ろの方に視線をやる。
『あ…』
今、柱の影に誰かがいた。
『ちょっと待ってろ』
吉田さんはそう言って柱の方へ向かって、そこにいた人物の腕を引っ張って再び俺の元に戻ってきた。
:11/08/24 02:57
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#315 [輪廻◆j6ceQ96kak]
彼が連れてきた人物は、まぎれもなく雪乃ちゃんだった。
『雪乃、やっぱり言いたい事はちゃんと面と向かって伝えた方がいいぞ』
『そ、そうだね』
…という事は、この番号とアドレスはもしかして…。
『高見くん…それ私の携帯の。いつでも連絡してきてね』
『あ、うん。あ、ありがとう…』
こういう雰囲気はやっぱり苦手だ。
:11/08/24 03:04
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#316 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『それとこれ…久保くんに言われて、高見くんに渡して欲しいって』
雪乃ちゃんがバッグから取り出したのは、見覚えのある一冊のノート。
…久保にあげたやつだ。
『ありがとう。久保によろしく言っておいて』
『…うん、わかったよ』
それからしばらく俺と彼女の間に何ともいえない沈黙が続いた。
:11/08/24 03:09
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#317 [輪廻◆j6ceQ96kak]
「午前10時10分発〜北海道行きの便〜間もなく出発致します。搭乗手続きがお済みの方は〜」
『順一、行くぞ!』
アナウンスが流れ、親父が俺を呼んだ。
『じゃ、じゃあ…二人共、元気で』
涙が出そうになるが、唇を思いっきり噛んで耐えた。
『いつでも連絡してこいよ!』
『体に気をつけてね』
…ダメだ。
このとどめを刺すような二人の言葉にやられ、涙を流してしまった。
:11/08/24 03:19
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#318 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『高見くん…私は何も見なかった事にするから』
『俺はバッチリ見たけどな』
二人が笑いながら言う最後の姿を見届け、俺は後ろを振り返る事なく飛行機に搭乗した。
北海道か…
そこで転入する高校でまた新たな出会いが待っているんだ。
俺には皆がついてるから大丈夫だ。
飛行機の中で久保からのノートを何気に開く。
その1ページ目には、クラスの皆からの寄せ書きが書かれていた。
:11/08/24 03:30
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