ぼくらのみかた
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#312 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『そういえば吉田さん…進級はできたんですか?』


『は? バカにすんなよ? 俺だってやる時はやるし』

…という事は、進級できたらしい。


『でもさあ、進級できたのはいいけど、雪乃とはまたクラス別なんだよ』


『それはなんていうか…残念ですね』

俺はそう言う反面、少し安心した。


『あ、あのよ…えと…』

…なんだ?

吉田さんが口ごもる姿なんて初めて見たぞ。

⏰:11/08/24 02:43 📱:T005 🆔:EjU97vFg


#313 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『どうしたんですか?』

そう言いながらふと彼の手元を見ると、何やら白い紙を手にしていた。


まさか…

いや、そんな訳ないよな。


何考えてるんだ俺は。



『あの、それ…』

その持っている紙を指さすと、彼はサっとそれを俺に差し出した。


その紙には、携帯電話の番号とメールアドレスが記入されているではないか。


でも番号もアドレスも吉田さんのものとは違うようだ。

⏰:11/08/24 02:49 📱:T005 🆔:EjU97vFg


#314 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『あの…これは誰のですか?』

俺が首を傾げていると、吉田さんが背後を気にする素振りを見せた。


俺もつられて彼の後ろの方に視線をやる。


『あ…』

今、柱の影に誰かがいた。


『ちょっと待ってろ』

吉田さんはそう言って柱の方へ向かって、そこにいた人物の腕を引っ張って再び俺の元に戻ってきた。

⏰:11/08/24 02:57 📱:T005 🆔:EjU97vFg


#315 [輪廻◆j6ceQ96kak]
彼が連れてきた人物は、まぎれもなく雪乃ちゃんだった。


『雪乃、やっぱり言いたい事はちゃんと面と向かって伝えた方がいいぞ』


『そ、そうだね』

…という事は、この番号とアドレスはもしかして…。


『高見くん…それ私の携帯の。いつでも連絡してきてね』


『あ、うん。あ、ありがとう…』

こういう雰囲気はやっぱり苦手だ。

⏰:11/08/24 03:04 📱:T005 🆔:EjU97vFg


#316 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『それとこれ…久保くんに言われて、高見くんに渡して欲しいって』

雪乃ちゃんがバッグから取り出したのは、見覚えのある一冊のノート。


…久保にあげたやつだ。


『ありがとう。久保によろしく言っておいて』


『…うん、わかったよ』

それからしばらく俺と彼女の間に何ともいえない沈黙が続いた。

⏰:11/08/24 03:09 📱:T005 🆔:EjU97vFg


#317 [輪廻◆j6ceQ96kak]
「午前10時10分発〜北海道行きの便〜間もなく出発致します。搭乗手続きがお済みの方は〜」


『順一、行くぞ!』

アナウンスが流れ、親父が俺を呼んだ。


『じゃ、じゃあ…二人共、元気で』

涙が出そうになるが、唇を思いっきり噛んで耐えた。


『いつでも連絡してこいよ!』


『体に気をつけてね』


…ダメだ。


このとどめを刺すような二人の言葉にやられ、涙を流してしまった。

⏰:11/08/24 03:19 📱:T005 🆔:EjU97vFg


#318 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『高見くん…私は何も見なかった事にするから』


『俺はバッチリ見たけどな』

二人が笑いながら言う最後の姿を見届け、俺は後ろを振り返る事なく飛行機に搭乗した。


北海道か…

そこで転入する高校でまた新たな出会いが待っているんだ。


俺には皆がついてるから大丈夫だ。



飛行機の中で久保からのノートを何気に開く。


その1ページ目には、クラスの皆からの寄せ書きが書かれていた。

⏰:11/08/24 03:30 📱:T005 🆔:EjU97vFg


#319 [輪廻◆j6ceQ96kak]
「高見、向こうの学校でも頑張れ 倉野」

「俺らの事忘れたら承知しない! 上野」

「向こうでも女の子泣かせたりしないよーに 野村」


「黒板に、高見は個人情報収集してるとか書いたのは俺です。本当にごめん! 島田」


他にも、あまり話した事のない奴らからも書かれていた。


涙を堪えながら最後のページを開いてみると、久保から一言…


「ぼくらのみかた 久保」

…と大きく書いてあった。

⏰:11/08/24 03:43 📱:T005 🆔:EjU97vFg


#320 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『…どういう意味だよ』

俺が笑い泣きに変わった瞬間だった。



数時間後―


北海道の空港に到着したようだ。


飛行機なんて初めて乗ったけど、皆の事を考えたり眠ったりしていて、外の景色など全く楽しむ余裕などはなかった。


空港から出ると、4月だというのに異様に肌寒いではないか。


北海道の冬は寒いと聞いた事があるけど、4月でもまだ寒いんだ…冬だったらこれの倍以上は寒いんじゃないかと思うと嫌になってきた。

⏰:11/08/24 03:51 📱:T005 🆔:EjU97vFg


#321 [輪廻◆j6ceQ96kak]
ああ、地元が恋しい。


『よし、じゃあまずはお前の実家に寄ってくか』


…え?

親父が母さんに言った『お前の実家』という言葉がひっかかった。


『ねえ親父…母さんの実家って?』


『実家は実家だろ。…ああ、お前は知らないのか。葉子は北海道出身。出張でここに来た俺と出会って結婚して、お前が生まれたばかりの頃まではここにいたんだ』


という事は…

俺の地元は北海道だったって事…?



『んなバカなあぁぁぁぁッ!!』



〜Last episode END〜

⏰:11/08/24 04:14 📱:T005 🆔:EjU97vFg


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