ぼくらのみかた
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#352 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『桐谷くんはお父さんが忙しい人で転勤する事が多く、よく転校やお引っ越しを繰り返していたのよね?』


『そうなんすよ! だからせっかく友達できてもすぐ別れてばっかりで!』

…それは辛いだろうな。


少し嫌味にも聞こえたが、実際俺も奴と同じ立場だったら悲しいだろう。


『だから多分、また転校するかもしれないからそれまでみんな仲良くしてくれよな!』

そう言って満面の笑みを浮かべてピースサインをした。

⏰:11/09/11 23:49 📱:S004 🆔:ihm0PsH6


#353 [輪廻◆j6ceQ96kak]
そして桐谷とやらが写真を撮って席に戻る際、偶然にも俺と目が合ってしまった。


彼はなぜか顔をニヤつかせてきたが俺はすぐに目を反らす。


彼の存在が俺のイメージを変えていくなんてその時は想像もせずに。



自己紹介…ついに俺の番が回ってきた。


カードを持っておぼつかない足で黒板の前に立って皆の顔を見回す。


この視線が集中する感覚はやっぱり苦手だ。


例えば小学生の時だったら夏休みなどの自由研究で前に出て発表するという事があり、俺はそういうのがとにかく大嫌いだった。

⏰:11/09/13 00:25 📱:S004 🆔:x0bAJc16


#354 [輪廻◆j6ceQ96kak]
中学では自由研究はないものの、他の発表などあると思うと気が遠くなってくる。


『えと…高見順一です。趣味はゲームとかバドミントンで、特技は特にありません。よろしくお願いします』

これこそが俺流のシンプルな自己紹介だ。


『ではこちらに来てください』

担任の方を向いて写真を撮って貰い、カードを渡して早々と席に戻った。

⏰:11/09/13 22:08 📱:S004 🆔:x0bAJc16


#355 [輪廻◆j6ceQ96kak]
>>354 訂正
気が遠くなる ×
気が重くなる ○
―――――――――


どんな顔をしているのかは写真ができるまではわからない。


でも多分、顔はひきつっていると思う。


そんな顔が後に皆に見られると思うと、更に気が重い。


そして次々に自己紹介が行われ、男子の最後の紹介が終わった所でタイミングよくチャイムが鳴った。

⏰:11/09/13 22:16 📱:S004 🆔:x0bAJc16


#356 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『あらら時間が来ちゃった。じゃあ女子の自己紹介は2時目にやりましょうか』

担任がそう言い残して教室から出ていき10分休みになった。


俺はあまり目立たないように机に突っぷして寝たフリをする仕草をする。


だがそれは数秒で無駄に終わった。


『なあなあ、ちょっといい?』

…といきなり声がして肩を数回叩かれた。

⏰:11/09/13 22:35 📱:S004 🆔:x0bAJc16


#357 [輪廻◆j6ceQ96kak]
心の中で溜め息をついて、ゆっくりと起き上がり声のした方を振り返る。


そこに満面の笑みを浮かべた彼がいた。


『なにか…? ええと…』

先ほど自己紹介したとはいえ、すぐに名前を覚えられるわけもなく、彼の顔を凝視しながら必死で思い出そうとした。


『…桐谷ね』

思い出そうとする努力は報われないまま、向こうから名乗ってきた。

⏰:11/09/13 22:47 📱:S004 🆔:x0bAJc16


#358 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『ああそうだ…桐谷くん。桐谷…』

今度は下の名前が思い出せなくなる。


彼は一瞬困惑していたが、すぐに笑顔を見せて言った。


『蓮だよ、桐谷蓮』


『…そう! 桐谷蓮くん』


『絶対覚えてなかったしょ?』

今度は苦笑いで言う。

⏰:11/09/13 22:55 📱:S004 🆔:x0bAJc16


#359 [輪廻◆j6ceQ96kak]
実に感情豊かな人だと思いつつ、そんな彼を見てニヤついてしまった。


『いきなりだけど高見くんさぁ…ゲームが趣味だって言ってたよね?』

…ほんとにいきなりだ。


そういえば彼も自己紹介でゲームが好きだって言ってた気がするな。


もしかして気が合うかもしれないと若干の期待をした。

⏰:11/09/13 23:03 📱:S004 🆔:x0bAJc16


#360 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『どんなゲームやってる?』


『えと…格闘ゲーとかアクションゲーとかかな』


『そか。じゃあ今度家行っていい?』

…なぜそうなる。


いや別に嫌というわけではないが、ちょっと馴れ馴れしいなとは思う。


それを本人に直接言えたら苦労はしないのだが。

⏰:11/09/13 23:12 📱:S004 🆔:x0bAJc16


#361 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『じゃ、そゆ事で! これからもよろしくな』

彼はそう言い残して去っていった。


めんどくさそうな人と知り合ってしまったようだ。


自己紹介の時に趣味をゲームと言わなければ彼も俺なんかに話しかけたりはしなかっただろう。


…俺は後悔した。


よりによってクラスで一番明るくてうるさそうな人と関わりをもってしまったのだから。


とにかく、こうして俺の中学校生活は彼との出会いで幕をあけた―



〜Side episode1 END〜

⏰:11/09/16 10:13 📱:S004 🆔:v7UPVMbU


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