ぼくらのみかた
最新 最初 🆕
#76 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『高見っち何してんの、こっちこっち!』

街のど真ん中で大声でその呼び方はやめていただきたい。


次々と店を入っては出て服やら雑貨やらを買いあさっていく女達。


それはある意味、恐ろしい光景であった。


買った袋を次々と俺の腕に引っ掛けていく。


俺は物ではないのだが…。


だが彼女らの楽しそうな顔を見ていると、仕方ないなという気持ちがこみ上げてきた。

⏰:11/08/09 14:31 📱:T004 🆔:2k340WRo


#77 [輪廻◆j6ceQ96kak]
レディーファーストという言葉があるらしい。


俺は嫌な気持ちを忘れて積極的に彼女らをエスコートした。


荷物を言われる前に持ってあげたり、店を出る際にドアを開けてあげたり。


彼女らは楽しめたようだ。


時間はあっという間に過ぎていった。


『高見くん、今日はありがと。助かったよ』

俺は柄にもなく照れ笑いをした。

⏰:11/08/09 14:41 📱:T004 🆔:2k340WRo


#78 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『これお礼だよ』

そう言って女子が俺に差し出したのは、2000円くらいはするであろう金色の招き猫のストラップ。


『さ、サンキュー』

…やばい。


また心臓がばくばく鳴り始めた。


その音は今にも彼女らに漏れそうだった。

⏰:11/08/09 14:45 📱:T004 🆔:2k340WRo


#79 [輪廻◆j6ceQ96kak]
その音をなんとか聞かれないようごまかそうと、大きな咳払いを何度もした。


『大丈夫? 風邪?』

心配そうに女子が言って、手を平を俺の額に当ててきた。


『……!!』

別の意味で気絶しそうになった。


女子のこういう優しい気遣いに男心がくすぐられてしまうのだろうか?


それなら恋人も悪くないと一瞬思ってしまったのは言うまでもない。

⏰:11/08/09 14:51 📱:T004 🆔:2k340WRo


#80 [輪廻◆j6ceQ96kak]
俺は彼女から貰った招き猫ストラップを右手に握ったまま夜の街を後にしていった。


悪くないクリスマスだった。


そしてもう一つ。

俺はこの日を境に初めて彼女に対して恋というものが芽生えた。


やはり恋人なんてものはネットとか、そんな上辺だけのようなやりとりから始めて作るものではないと勉強になった日でもあった―



〜episode4 END〜

⏰:11/08/09 14:56 📱:T004 🆔:2k340WRo


#81 [輪廻◆j6ceQ96kak]
■episode5■
『脱・草食系男子』



やっと冬休みが終わった。


普通の奴なら『やっと』ではなく『もう』と思うだろう。


だが俺は、これといった予定がなかったし退屈だったからこれはこれでよかった。


なにより、彼女に会えるのが楽しみで仕方がなかった。


まさかこの俺が人を好きになるなんて、俺と俺の家族だって想像はしていなかっただろう。

⏰:11/08/09 15:04 📱:T004 🆔:2k340WRo


#82 [輪廻◆j6ceQ96kak]
彼女から貰った招き猫ストラップは携帯電話につけて重宝している。


久しぶりの学校、そして教室へと足を運んだ。


誰もまだ登校していない。


一番乗りのようだ。


そういえば昨日まで彼女の事ばかり考えてたせいか、久保の事をすっかり忘れていた。


何か計画を練っているに違いないだろうが、俺は立ち向かってみせる。

⏰:11/08/09 15:10 📱:T004 🆔:2k340WRo


#83 [輪廻◆j6ceQ96kak]
席に座ってストラップを眺めていると、突然携帯電話の着信音が響いた。


ディスプレイを見ると、あのチャラい吉田からだ。


あまり出たくはなかったが、後々怖いのでしぶしぶ電話に出る事にした。


『はい?』


『吉田だけど』

…え?

なんだろう、この果てしなく低い声は。


朝のせいか、テンションが低い気がする。


もしくは…機嫌が悪い?

⏰:11/08/09 15:14 📱:T004 🆔:2k340WRo


#84 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『ど、どうしたの?』

嫌な予感がする。

この緊迫したムードはなんだろう。


そして予感は的中したのだ。



『お前さ、今どこにいる?』


『どこって…教室だけど…』

その瞬間、通話がブチっと切られ廊下からバタバタと走ってくる音が聞こえた。

⏰:11/08/09 15:17 📱:T004 🆔:2k340WRo


#85 [輪廻◆j6ceQ96kak]
俺は同時に血の気が引いた。


そしてドアが乱暴に開かれると、眉をしかめた吉田が近づいてきた。


『お前、雪乃と付き合ってんの?』


『…え?』

雪乃といえば…俺の隣の席の子で、ストラップをくれた俺の初恋の女子の名前ではないか。


『お前のクラスの久保って奴から聞いたけど、クリスマスの日に一緒にいたんだって?』

この彼の威圧感に、今にも飲み込まれそうな勢いだった。

⏰:11/08/09 15:26 📱:T004 🆔:2k340WRo


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194