ぼくらのみかた
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#81 [輪廻◆j6ceQ96kak]
■episode5■
『脱・草食系男子』
やっと冬休みが終わった。
普通の奴なら『やっと』ではなく『もう』と思うだろう。
だが俺は、これといった予定がなかったし退屈だったからこれはこれでよかった。
なにより、彼女に会えるのが楽しみで仕方がなかった。
まさかこの俺が人を好きになるなんて、俺と俺の家族だって想像はしていなかっただろう。
:11/08/09 15:04
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:2k340WRo
#82 [輪廻◆j6ceQ96kak]
彼女から貰った招き猫ストラップは携帯電話につけて重宝している。
久しぶりの学校、そして教室へと足を運んだ。
誰もまだ登校していない。
一番乗りのようだ。
そういえば昨日まで彼女の事ばかり考えてたせいか、久保の事をすっかり忘れていた。
何か計画を練っているに違いないだろうが、俺は立ち向かってみせる。
:11/08/09 15:10
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#83 [輪廻◆j6ceQ96kak]
席に座ってストラップを眺めていると、突然携帯電話の着信音が響いた。
ディスプレイを見ると、あのチャラい吉田からだ。
あまり出たくはなかったが、後々怖いのでしぶしぶ電話に出る事にした。
『はい?』
『吉田だけど』
…え?
なんだろう、この果てしなく低い声は。
朝のせいか、テンションが低い気がする。
もしくは…機嫌が悪い?
:11/08/09 15:14
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#84 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『ど、どうしたの?』
嫌な予感がする。
この緊迫したムードはなんだろう。
そして予感は的中したのだ。
『お前さ、今どこにいる?』
『どこって…教室だけど…』
その瞬間、通話がブチっと切られ廊下からバタバタと走ってくる音が聞こえた。
:11/08/09 15:17
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#85 [輪廻◆j6ceQ96kak]
俺は同時に血の気が引いた。
そしてドアが乱暴に開かれると、眉をしかめた吉田が近づいてきた。
『お前、雪乃と付き合ってんの?』
『…え?』
雪乃といえば…俺の隣の席の子で、ストラップをくれた俺の初恋の女子の名前ではないか。
『お前のクラスの久保って奴から聞いたけど、クリスマスの日に一緒にいたんだって?』
この彼の威圧感に、今にも飲み込まれそうな勢いだった。
:11/08/09 15:26
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:2k340WRo
#86 [輪廻◆j6ceQ96kak]
久保…。
どこまで俺を苦しめたら気が済むんだ。
これはどう言い訳をしたらいいのか…。
『ん? そのストラップ…』
吉田が招き猫に気がついてしまった。
しかし実際付き合っているわけではない。
…そうだ。
彼女らが登校してきたら彼に納得する説明をしてもらえばいいんだ。
:11/08/09 15:29
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#87 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それまで何とか俺自身の言葉で少しでも彼をなだめなければならない。
『ちょっと落ち着いて…』
『あ? タメ口かよ』
…え?
なんですかそれ。
同い年に同じ学年のはずだろう?
:11/08/09 15:33
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:2k340WRo
#88 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『え? なに? もしかして同い年とか思ってる?』
同じ学年だからそうではないか。
しかし、その言葉を根底からくつがえす言葉を彼は放った。
『同じ学年だけど、俺がいつお前と同い年だって言った?』
…なんだって?
じゃあ…残された可能性は―
『留年?』
:11/08/09 15:36
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:2k340WRo
#89 [輪廻◆j6ceQ96kak]
つい口に出して言うと、彼の顔が真っ赤になった。
…俺、殺される?
そんな言葉が脳裏をよぎった。
『お前…ふざけんなよ?』
…怖いんですけど。
この怒り様、幽霊や心霊現象が可愛く見えてくるように思えた。
:11/08/09 15:42
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:2k340WRo
#90 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それにしても、久保の奴は吉田にどうやって連絡したのだろうか。
奴と彼には何の接点もないはずだ。
全くタイプの違う二人がどこかで繋がっていたとでもいうのだろうか。
考えても仕方がなかった。
『よ、吉田さん落ち着いてください…』
非常に情けないが、声が震える。
こんな所を女子達に見つかってしまったら俺のイメージががた落ちだ。
:11/08/09 15:46
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