ぼくらのみかた
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#292 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『あの茜…さん。く、久保って人の事知らない?』

どんな反応が返ってくるのかが怖い。


が、彼女は動揺する事もなく表情を変えなかった。


『久保太一くんですよね? 知ってますけど』


『その…前略プロフィールで知り合ったんだっけ?』


『あ、はい。それが何か…?』

…この子はまだ知らないのだろうか?

その知り合った人が自分の父親が働いている学校の生徒だという事を…。

⏰:11/08/23 22:45 📱:T005 🆔:qOK7xnyA


#293 [輪廻◆j6ceQ96kak]
知らないのであれば、今言わなければ永久に言うチャンスがこなくなるかもしれない。


まず彼女自身の久保に対する気持ちを知る必要がある。


言うのはそれからでも遅くはないだろう。


『ええと…君は久保にメールで告白したんだよね?』


『…………』

茜さんは俺の単刀直入な質問に対して一瞬目をそらした。


問題は、その告白が本心であるか否かだ。

⏰:11/08/23 22:57 📱:T005 🆔:qOK7xnyA


#294 [輪廻◆j6ceQ96kak]
告白がただの…いわゆる釣り行為だったら、彼女にも多少は責任がある。


携帯サイトで知り合って、まだお互い会った事もないのにメールでいきなり付き合おうなんて言ってしまうのには、俺にはある種のイタズラにしか思えない。


彼女はまだ中学生だ。


この子の父親が言うとおり、知らない男と付き合うなんて聞かされたら断固反対するのは親としては当然だ。

⏰:11/08/23 23:08 📱:T005 🆔:qOK7xnyA


#295 [輪廻◆j6ceQ96kak]
彼女の父親の木下先生は、久保の方から茜さんに言い寄ったと吉田から聞いたと言っていた。


あの吉田さんの事だから、それは嘘に決まっている。


それに茜さんから久保に届いたメールはしっかり確認した。


最初に付き合おうと言ってきたのは、茜さんの方からだ。


それで軽くOKする久保も久保だが、このまま久保から交際を迫ったと思われるのは嫌だ。

⏰:11/08/23 23:22 📱:T005 🆔:qOK7xnyA


#296 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『茜さん、悪いけど携帯見せてくれない?』

気づいたらそう言っていた。


久保が俺に勇気をくれた…そんな気する。


『な、なんでですか…?』

俺の視線がキツいのか、彼女は怯えたような目をしていた。


隣に座る佳代ちゃんは止める事はなくじっと黙っている。


『この際だからハッキリ言うよ。君のせいで俺の友達の久保が学校を謹慎になって…その上、自殺しようとしたんだ』


『あたしの…せい…?』

まだ状況をよく理解していないようだが、やがて彼女の目に涙が浮かんできた。

⏰:11/08/23 23:37 📱:T005 🆔:qOK7xnyA


#297 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『茜…』

茜さんの突然の涙に佳代ちゃんは戸惑いながらも肩に手をやってなんとかなだめようとする。


不思議な事に、友達の女の子を泣かせたというのに佳代ちゃんは俺を責めようとはしなかった。


ただ、ずっと茜さんの俯く顔を見ながら『茜…』と声をかけ続けている。


その様子から俺は察した。


佳代ちゃんは久保と茜さんのメールのやりとりの事を知っていたのではないかと。

⏰:11/08/23 23:49 📱:T005 🆔:qOK7xnyA


#298 [輪廻◆j6ceQ96kak]
さっき茜さんに携帯を見せてと言った時、彼女は止めなかった。


佳代ちゃんも、何かしら二人のメールのやりとりに関与している可能性がある。


そういえば、茜さんから久保に来たメールに一つだけ違和感があった。


その違和感とは、自分の事を言う名前…つまり一人称。


一人称が『あたし』が多い中で、一つだけ『私』となっているメールがあった。

⏰:11/08/23 23:56 📱:T005 🆔:qOK7xnyA


#299 [輪廻◆j6ceQ96kak]
もし一人称が『私』と書かかれたメールを送ったのが佳代ちゃんだったとしたら…


『佳代ちゃん。君は二人のメールについて何か知らない?』


『わたし…? それは…』

明らかに動揺している。


でも仮に佳代ちゃんもメールのやりとりに関わっていたとしても、理由がわからない。


『茜…携帯借りるよ』

突然、佳代ちゃんが泣いている茜さんに言い、側に置いてある携帯電話を取って俺に差し出した。

⏰:11/08/24 00:06 📱:T005 🆔:EjU97vFg


#300 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『わたし…携帯持ってないからよく茜の借りてたの。それで、前に借りた時にメールを見ちゃって…』

…その内容が久保とのやりとりだったという事だろう。


それからの展開は大体想像できる。


『それで…茜さんを装ってメールを送っちゃった訳だね?』


『…うん。茜、勝手なことしてごめん!』

謝られた茜さんは、涙を拭いながらゆっくりと佳代ちゃんの方を向いた。

⏰:11/08/24 00:20 📱:T005 🆔:EjU97vFg


#301 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『別にいいよ…』

…と、そう一言だけ言った。


それから俺は二人に詳しい話をした。


茜さんが携帯サイトで知り合い告白した相手が、彼女の父親が働いている学校の生徒だと言うこと。


父親が、言い寄ってきたのは久保の方からだと勘違いをしている事も伝えると、彼女はわかってくれたようで…


『お父さんには、あたしからちゃんと事実を伝える』

…と俺に約束してくれた。

⏰:11/08/24 00:30 📱:T005 🆔:EjU97vFg


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