ぼくらのみかた
最新 最初 🆕
#51 [輪廻◆j6ceQ96kak]
続けて男軍団も俺に言葉の弾丸を放っていった。


『お前収集マニアだったのかよ、きめえ』


『お前なんかに教えなきゃよかったよ。あ〜あ…番号とアドレス変えなきゃな』


『さいなら』

一気に離れていく人だかり。



終わった…直感でそう思った。

⏰:11/08/09 11:50 📱:T004 🆔:2k340WRo


#52 [輪廻◆j6ceQ96kak]
もう久保の顔を見る気も起きなかった。


しかし一瞬だけ見てみた。


奴は…笑ってないしドヤ顔もしていない?


普通に携帯電話をいじっている?


なぜだ?


お前は俺の情けない姿を見たいのではないのか?


奴はまるで何事もなかったかのように携帯電話とにらめっこしていた。

⏰:11/08/09 11:55 📱:T004 🆔:2k340WRo


#53 [輪廻◆j6ceQ96kak]
まさかこれも奴の手の内なのか?


久保が何を考えているのか一瞬にしてわからなくなった。


黒板の文字を消して、とぼとぼと席戻る。


いつものようにチャイムが鳴って担任がやってくる。


勝負に燃えていた俺はもういなかった。


言うまでもなく、それからの日々は地獄だった。


誰が漏らしたのか全クラスに俺の噂が行き届き、廊下を歩いているだけで男子、女子から嫌な視線を向けられる。

⏰:11/08/09 12:02 📱:T004 🆔:2k340WRo


#54 [輪廻◆j6ceQ96kak]
こそこそ話をしているグループもいるが、こそこそ話しするならもっと小さい声で言えよと言いたくなるほど大きな声で俺の事を言ってる奴らもいた。


積極的に味方を作ろうと思っていたのが全てアダになった訳だ。


全ての元凶は当然、久保の奴だろう。


しかし奴の態度に違和感があるのも確かだ。


一つ目の黒板事件の時はフォローしてくれた人もいたし、久保も笑っていやがった。

⏰:11/08/09 12:07 📱:T004 🆔:2k340WRo


#55 [輪廻◆j6ceQ96kak]
でも二つ目の黒板事件の時はそれとは逆だった。


フォローしてくれる人もいなかったし、久保も俺は関係ないと言わんばかりの態度。


誰か教えてくれ。


一体、俺はどうしたらいいんだ?


もう俺に味方は一人もいないのか?


そう思っていた矢先、俺は信頼できると思われる別のクラスの肉食系男子と出会ったんだ―



〜episode2 END〜

⏰:11/08/09 12:15 📱:T004 🆔:2k340WRo


#56 [輪廻◆j6ceQ96kak]
■episode3■
『草食&肉食の化学反応』



『なあ、お前ここで何してんの?』

俺が学校の屋上で仰向けになりながら空を眺めていると、目の前に見た事もない男が現れたではないか。


『…誰ですか?』

見た目はチャラく年上っぽいので先輩だと思って思わず敬語を使った。

⏰:11/08/09 12:19 📱:T004 🆔:2k340WRo


#57 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『はあ〜、なんで敬語なのよ?』

男は残念そうな顔をした。


それは敬語を使ったからではなくて年上だと思われた事が嫌だったのか?


『お前A組の高見っしょ?』

やけに馴れ馴れしい口調だが、それを言うとどんな目に合わされるかもわからないだろう。


『え…それで君は?』

同い年で同じ学年とは思えないほど背が高く、ワックスでガチガチに固められたその髪型からチャラさが醸しでている。

よく見るとミントのガムを噛んでていかにも不良だ。

⏰:11/08/09 12:26 📱:T004 🆔:2k340WRo


#58 [輪廻◆j6ceQ96kak]
平和主義者の俺にとってはあまり関わりたくない人材だ。


『C組の吉田だけど、お前の噂聞いてるよ?』

なんだこの人も興味本位で俺に近づいてきたのか。


ため息をついて仰向けから起き上がって屋上を後にしようとしたが…


『ちょい待ち』

吉田と名乗る男が俺の足を止めた。

⏰:11/08/09 12:33 📱:T004 🆔:2k340WRo


#59 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『…なんですか?』

…しまった。


またつい敬語を使ってしまった。


同い年とはいえこの人にタメ口を使うのはものすごい違和感を覚える。


『俺の事は吉田でいいわ。まあ座れよ』

面倒とは思いつつも言われるがまま彼の隣に腰をおろした。

⏰:11/08/09 12:38 📱:T004 🆔:2k340WRo


#60 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『いきなり聞くけど、彼女できたってホントなの?』

彼だけには否定しても信じてもらえる気がした。


『い、いないけど』

まだ使うのがなかなか慣れないタメ口。


すると男は途端にアハハと笑い出した。


俺、今何か面白い事を言っただろうか?


『な、なに!』

笑い声を無理やり遮るように大声を出して言った。

⏰:11/08/09 12:46 📱:T004 🆔:2k340WRo


#61 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『だよな? だよな? 俺でさえまだいないってのにお前にいるわけないわな!』

…失礼な物言いだ。


だが、信じてくれた事だけには感謝しよう。


『お前面白いわ!』

いや、そう言われても別に面白いキャラをしているつもりはない。


それについては否定する気も起きなかった。

⏰:11/08/09 12:49 📱:T004 🆔:2k340WRo


#62 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『んじゃあもう一つ。お前ってアドレス収集マニアなの?』

そう直接言われると心にグサリとくるだろ。


この件については否定しても信じてもらえない気がしたので…


『ご想像にお任せするよ』

…と適当に言った。


するとまた笑い始めた。


実に感情豊かな人だと思っていたら、なぜか俺もその笑いにつられて気がついたら俺自信も笑っていた。

⏰:11/08/09 12:55 📱:T004 🆔:2k340WRo


#63 [輪廻◆j6ceQ96kak]
こんな青春漫画であるようなシチュエーションが現実にあるとは思ってもみなかったから驚いた。


『とりあえずアドレス交換しようぜ』

この人は俺の事を信じているのか?


それとも久保みたいに何か嫌な事を考えてたりして…。


『サブアドでいい?』


『なんだよ、もしかして悪用されるとか考えてんの?』

ちょっと思っていたなんて言えない。

⏰:11/08/09 13:00 📱:T004 🆔:2k340WRo


#64 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『安心しな、俺そういうのに興味ねえし。俺が興味あんのは可愛い女の子だけ』

なんという自信に満ち溢れた態度だろう。


彼こそは正真正銘、肉食系男子と呼ばれる人材ではないか。


草食系の俺と肉食系の吉田。


一見、気が合わなそうだがこれはこれで面白い化学反応が起こるかもしれない。


どうやら本当の味方を見つけたようだ。


見た目はチャラいが、心は意外としっかりしているように思える。

⏰:11/08/09 13:06 📱:T004 🆔:2k340WRo


#65 [輪廻◆j6ceQ96kak]
彼の存在は久保にとって大きな弱点になるはずだ。


俺でさえ彼を年上だと思ったんだ。


目上の人にはペコペコするタイプの奴だったら彼には服従するしか選択肢はないだろう。


久保 太一


どこからでも来やがれ。


こっちには、一人でも信じてくれる味方がいるんだ。


なにも大勢の人に信じてもらわなくたっていい。


一人でもそういう人がいる事がどれだけ素晴らしい事だとわかった。

⏰:11/08/09 13:12 📱:T004 🆔:2k340WRo


#66 [輪廻◆j6ceQ96kak]
しかし久保はそれから何かを仕掛けてくる事はなかった。


俺は奴の試合放棄だと勝手に判断しておいた。


いや、もしかしたら何か大きな計画を着々と準備している可能性がある。


一応用心しておくに越した事はないだろう。


やっと久しぶりに平和な学校生活が送れそうだ。


人の噂も75日とは言うが、その日数はさすがに長すぎるだろうと思った俺であった―



〜episode3 END〜

⏰:11/08/09 13:19 📱:T004 🆔:2k340WRo


#67 [輪廻◆j6ceQ96kak]
■episode4■
『決戦はクリスマス』



早くも12月。


高校に入ってから8ヶ月が過ぎた。


残念ながら俺の地方では雪が降らないので冬という実感がわかない。


ただ風が尋常じゃない冷たさになったら、それが冬がきたという合図なのだ。


そして12月上旬といえば…

そう、俺の嫌いな期末試験の日がやってくる。


その後は冬休みだが、何も予定がない為に憂鬱だった。

⏰:11/08/09 13:33 📱:T004 🆔:2k340WRo


#68 [輪廻◆j6ceQ96kak]
そんな時だ、まさかの俺にお誘いが入ったのは。


しかもそれはあろうことか俺の隣の席の女子からではないか。


『ねえ高見くんってクリスマス何か予定とかある?』

こんな誘いを受けるのは初めてだったから、何と返せばいいのか戸惑った。


『ないけど?』

そうサラッと言うと、その女子は何やらもじもじと下を向いている。

⏰:11/08/09 13:38 📱:T004 🆔:2k340WRo


#69 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それを見た俺はなぜか顔が赤くなってきた。


なんだろう、この感じ。


今まで感じた事もない感覚が俺を襲う。


胸に手を当てる。


心臓がばくばく鳴って動いている。


なぜそんなに鳴る必要がある?


まさか、これが恋という感覚なのか?

⏰:11/08/09 13:42 📱:T004 🆔:2k340WRo


#70 [輪廻◆j6ceQ96kak]
そんな初めての感覚に興奮してきた俺はなるべく心の内を悟られないように真顔を保った。


しばらくしてその女子がこう言った。


『じゃあ、付き合ってくれない?』


『…は?』

今、何と言った?


よく聞こえなかったぞ。


いや、聞こえてたけど聞き間違いっていう可能性もある。

⏰:11/08/09 13:46 📱:T004 🆔:2k340WRo


#71 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『今なんて言ったの?』

改めて聞き返してみる。


『だから、付き合ってくれない?』

やっぱり聞き間違いではなかったようだ。


さて、どうしたもんか。


ここは一度、彼に相談してみるのはどうか?


いや、そんな報告をしたら彼は裏切られたと思うだろう。


厄介な事になるのは目に見えている。


せっかくできた味方だ。


信頼は時間をかけてじっくり築き上げるものだが、無くすのは一瞬だと聞いた事がある。

⏰:11/08/09 13:51 📱:T004 🆔:2k340WRo


#72 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『あのさ、なんで俺なの?』

恐る恐る聞いてみた。


『え? 力ありそうだからいいかな、と思って』

なんだそりゃ。


力あれば誰でもいいんかい、とツッコミたい気分だ。


『力ある奴なら他にもいると思うけど?』


『他の人とはあんま話した事ないから。駄目ならいいよ』

だからなんじゃそりゃ。

答えになってないような気がする。

⏰:11/08/09 13:59 📱:T004 🆔:2k340WRo


#73 [輪廻◆j6ceQ96kak]
前から変わった奴だとは思ってたが、間違いではなかったようだ。


悪いけど前の撤回を更に撤回させてもらおう。


しばらくしてその女子の友達数人がやってきて、俺は信じられない会話を彼女達から聞く事になる。


『荷物係は見つかった?』


『見つかったよ。高見くんが付き合ってくれるって』

…はい?


俺はすかさずその女子の顔を見た。

⏰:11/08/09 14:05 📱:T004 🆔:2k340WRo


#74 [輪廻◆j6ceQ96kak]
女は…満面の笑みを浮かべてやがった。


『高見っちありがとう』


『さっすがー!』

なんだこの展開。


変なあだ名もつけられているし。


そもそもなんだ。

あの黒板事件の時は俺を冷ややかな目で見ていたのに、この変わりようは…。

⏰:11/08/09 14:14 📱:T004 🆔:2k340WRo


#75 [輪廻◆j6ceQ96kak]
今更断る訳にもいかず、なぜか俺は彼女らの買い物の荷物係に選ばれてしまった。


『付き合う』の意味を問い正さなかった自分を恨んだ。


苦の期末試験が終わって、冬休みが始まり12月25日のクリスマス当日を迎えた。


女複数に男一人というなんとも悲しいクリスマス。


しかもよりによって荷物係とは…。

⏰:11/08/09 14:21 📱:T004 🆔:2k340WRo


#76 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『高見っち何してんの、こっちこっち!』

街のど真ん中で大声でその呼び方はやめていただきたい。


次々と店を入っては出て服やら雑貨やらを買いあさっていく女達。


それはある意味、恐ろしい光景であった。


買った袋を次々と俺の腕に引っ掛けていく。


俺は物ではないのだが…。


だが彼女らの楽しそうな顔を見ていると、仕方ないなという気持ちがこみ上げてきた。

⏰:11/08/09 14:31 📱:T004 🆔:2k340WRo


#77 [輪廻◆j6ceQ96kak]
レディーファーストという言葉があるらしい。


俺は嫌な気持ちを忘れて積極的に彼女らをエスコートした。


荷物を言われる前に持ってあげたり、店を出る際にドアを開けてあげたり。


彼女らは楽しめたようだ。


時間はあっという間に過ぎていった。


『高見くん、今日はありがと。助かったよ』

俺は柄にもなく照れ笑いをした。

⏰:11/08/09 14:41 📱:T004 🆔:2k340WRo


#78 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『これお礼だよ』

そう言って女子が俺に差し出したのは、2000円くらいはするであろう金色の招き猫のストラップ。


『さ、サンキュー』

…やばい。


また心臓がばくばく鳴り始めた。


その音は今にも彼女らに漏れそうだった。

⏰:11/08/09 14:45 📱:T004 🆔:2k340WRo


#79 [輪廻◆j6ceQ96kak]
その音をなんとか聞かれないようごまかそうと、大きな咳払いを何度もした。


『大丈夫? 風邪?』

心配そうに女子が言って、手を平を俺の額に当ててきた。


『……!!』

別の意味で気絶しそうになった。


女子のこういう優しい気遣いに男心がくすぐられてしまうのだろうか?


それなら恋人も悪くないと一瞬思ってしまったのは言うまでもない。

⏰:11/08/09 14:51 📱:T004 🆔:2k340WRo


#80 [輪廻◆j6ceQ96kak]
俺は彼女から貰った招き猫ストラップを右手に握ったまま夜の街を後にしていった。


悪くないクリスマスだった。


そしてもう一つ。

俺はこの日を境に初めて彼女に対して恋というものが芽生えた。


やはり恋人なんてものはネットとか、そんな上辺だけのようなやりとりから始めて作るものではないと勉強になった日でもあった―



〜episode4 END〜

⏰:11/08/09 14:56 📱:T004 🆔:2k340WRo


#81 [輪廻◆j6ceQ96kak]
■episode5■
『脱・草食系男子』



やっと冬休みが終わった。


普通の奴なら『やっと』ではなく『もう』と思うだろう。


だが俺は、これといった予定がなかったし退屈だったからこれはこれでよかった。


なにより、彼女に会えるのが楽しみで仕方がなかった。


まさかこの俺が人を好きになるなんて、俺と俺の家族だって想像はしていなかっただろう。

⏰:11/08/09 15:04 📱:T004 🆔:2k340WRo


#82 [輪廻◆j6ceQ96kak]
彼女から貰った招き猫ストラップは携帯電話につけて重宝している。


久しぶりの学校、そして教室へと足を運んだ。


誰もまだ登校していない。


一番乗りのようだ。


そういえば昨日まで彼女の事ばかり考えてたせいか、久保の事をすっかり忘れていた。


何か計画を練っているに違いないだろうが、俺は立ち向かってみせる。

⏰:11/08/09 15:10 📱:T004 🆔:2k340WRo


#83 [輪廻◆j6ceQ96kak]
席に座ってストラップを眺めていると、突然携帯電話の着信音が響いた。


ディスプレイを見ると、あのチャラい吉田からだ。


あまり出たくはなかったが、後々怖いのでしぶしぶ電話に出る事にした。


『はい?』


『吉田だけど』

…え?

なんだろう、この果てしなく低い声は。


朝のせいか、テンションが低い気がする。


もしくは…機嫌が悪い?

⏰:11/08/09 15:14 📱:T004 🆔:2k340WRo


#84 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『ど、どうしたの?』

嫌な予感がする。

この緊迫したムードはなんだろう。


そして予感は的中したのだ。



『お前さ、今どこにいる?』


『どこって…教室だけど…』

その瞬間、通話がブチっと切られ廊下からバタバタと走ってくる音が聞こえた。

⏰:11/08/09 15:17 📱:T004 🆔:2k340WRo


#85 [輪廻◆j6ceQ96kak]
俺は同時に血の気が引いた。


そしてドアが乱暴に開かれると、眉をしかめた吉田が近づいてきた。


『お前、雪乃と付き合ってんの?』


『…え?』

雪乃といえば…俺の隣の席の子で、ストラップをくれた俺の初恋の女子の名前ではないか。


『お前のクラスの久保って奴から聞いたけど、クリスマスの日に一緒にいたんだって?』

この彼の威圧感に、今にも飲み込まれそうな勢いだった。

⏰:11/08/09 15:26 📱:T004 🆔:2k340WRo


#86 [輪廻◆j6ceQ96kak]
久保…。

どこまで俺を苦しめたら気が済むんだ。


これはどう言い訳をしたらいいのか…。


『ん? そのストラップ…』

吉田が招き猫に気がついてしまった。


しかし実際付き合っているわけではない。


…そうだ。

彼女らが登校してきたら彼に納得する説明をしてもらえばいいんだ。

⏰:11/08/09 15:29 📱:T004 🆔:2k340WRo


#87 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それまで何とか俺自身の言葉で少しでも彼をなだめなければならない。


『ちょっと落ち着いて…』


『あ? タメ口かよ』


…え?

なんですかそれ。

同い年に同じ学年のはずだろう?

⏰:11/08/09 15:33 📱:T004 🆔:2k340WRo


#88 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『え? なに? もしかして同い年とか思ってる?』

同じ学年だからそうではないか。


しかし、その言葉を根底からくつがえす言葉を彼は放った。


『同じ学年だけど、俺がいつお前と同い年だって言った?』

…なんだって?


じゃあ…残された可能性は―


『留年?』

⏰:11/08/09 15:36 📱:T004 🆔:2k340WRo


#89 [輪廻◆j6ceQ96kak]
つい口に出して言うと、彼の顔が真っ赤になった。


…俺、殺される?


そんな言葉が脳裏をよぎった。


『お前…ふざけんなよ?』

…怖いんですけど。


この怒り様、幽霊や心霊現象が可愛く見えてくるように思えた。

⏰:11/08/09 15:42 📱:T004 🆔:2k340WRo


#90 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それにしても、久保の奴は吉田にどうやって連絡したのだろうか。


奴と彼には何の接点もないはずだ。


全くタイプの違う二人がどこかで繋がっていたとでもいうのだろうか。


考えても仕方がなかった。


『よ、吉田さん落ち着いてください…』

非常に情けないが、声が震える。


こんな所を女子達に見つかってしまったら俺のイメージががた落ちだ。

⏰:11/08/09 15:46 📱:T004 🆔:2k340WRo


#91 [輪廻◆j6ceQ96kak]
いや、今はそんな事を気にしている場合ではないだろう。


『もう一回聞くわ。雪乃と付き合ってんのかって?』


『付き合ってません付き合ってません!』

そう言って首を横にぶんぶんと振りまくった。


『じゃあそれ、誰から貰った?』

彼の指先には、雪乃ちゃん自身から貰った招き猫ストラップ。

⏰:11/08/09 15:54 📱:T004 🆔:2k340WRo


#92 [輪廻◆j6ceQ96kak]
ここで本当の事を言ってしまったら、修羅場になる事はまず間違いはない。


『え、ええと…11月の誕生日の日に友達から貰いました…』

嘘をついてしまった。

後でどうなるかなんて想像したくもない。



『へえーそれはすごい。フライングゲットできたんだな』


…え?

フライングゲット?


それは、あのハンバーガーショップにある…


いやそれはフライポテトとチキンナゲットだろう。

⏰:11/08/09 16:06 📱:T004 🆔:2k340WRo


#93 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『それさ、俺も雪乃から貰ったんだよね。12月限定発売なんだってよ』


『そ、それは奇遇ですね』

…いや、待て。


今何て言った?


12月限定発売?


…しまった。

大事な所で墓穴を掘ってしまうなんて。

⏰:11/08/09 16:09 📱:T004 🆔:2k340WRo


#94 [輪廻◆j6ceQ96kak]
言うまでもないが、その後本当の事を白状すると彼から大きな一発パンチをくらった訳で…。


俺の頬は真っ赤に腫れ上がったのだ。


脱・草食系男子を目指そうと思っていたが、やはりこのままでいいと思った。


彼のような野蛮人にはなりたくない。


俺はやはり草食系でいる事と草食系の人と関わる方がよっぽど平和だと改めて実感した日であった―



〜episode5 END〜

⏰:11/08/09 16:18 📱:T004 🆔:2k340WRo


#95 [我輩は匿名である]
†horror†も読んでます!こちらも今日読んでハマりました♪
更新頑張ってください☆

⏰:11/08/10 08:41 📱:P03A 🆔:3icoSHyk


#96 [輪廻◆j6ceQ96kak]
>>95さん

そんな嬉しいお言葉…
私にはもったいないです。

ありがとうございます。

2つの作品はジャンルが全く異なるので切り替えが難しいですが、まったり頑張ります☆

⏰:11/08/10 12:30 📱:T004 🆔:MB0qIJlY


#97 [輪廻◆j6ceQ96kak]
■episode6■
『一難去ってまた一難』



無念だー


あれから雪乃ちゃんから貰った招き猫ストラップは吉田の奴に取り上げられてしまった。


それもこれも全部…

久保、お前のせいだ。


吉田…アンタもアンタだ。

初めて俺と会った時は彼女なんていないと言っていたのに。


全部罠だったのだ。


久保の奴が先回りして吉田に色々と…。


あくまで俺の想像なのだが。

⏰:11/08/10 13:00 📱:T004 🆔:MB0qIJlY


#98 [輪廻◆j6ceQ96kak]
おかげで俺の初めての恋は塵のごとく消え去った訳で。


まあいいだろう。


仮に雪乃ちゃんに彼氏がいなくて告白したとしてもOKの返事を貰える訳はないと思っていたし。


それよりも疑問に思うのは、彼女みたいなおとなしく変わった子と吉田のような年上肉食系男子がどういう経緯で恋人同士になったのかだ。


全くタイプの違う二人ではないか。


あんなチャラい男…雪乃ちゃんにいつか捨てられてしまえばいいんだ。

⏰:11/08/10 13:09 📱:T004 🆔:MB0qIJlY


#99 [輪廻◆j6ceQ96kak]
うん、捨てられるだろう。


…と、なんとか自分に言い聞かせる毎日。



『おい高見』

今日もか…。


あれから休み時間になると度々吉田が俺を呼びにくる。


その吉田の隣には、まるで腰巾着のように張り付く久保の姿もあった。


この二人が以前から手を組んでいたとは、さすがの俺も予想外だった。

⏰:11/08/10 13:15 📱:T004 🆔:MB0qIJlY


#100 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『下の自販機でコーラ買ってきてや、二人分な』

…はいはい。


金はまた俺が出すんだろうな。


これじゃあまるでパシリだ。


俺がパシリにされる?


俺の高校生活は、ただ普通に平和に目立たず過ごす…そう決めていたのに。


俺が吉田なんかと出会わなければ、こうなる事なんてなかった。


…辞めたい。


不良の餌食になるくらいなら学校なんて辞めたい。

⏰:11/08/10 13:21 📱:T004 🆔:MB0qIJlY


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194