短編サスペンス
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#1 [正人]
 
 
 
 
主人公:丹葉 正人(25)

職業:フリージャーナリスト

考察:彼の行く所、死体がゴロゴロ
 
 
 

⏰:11/11/01 11:48 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#2 [正人]
 
 
 
 
 
エピソード1

『間抜けな死体』
 
 
 
 
 

⏰:11/11/01 11:51 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#3 [正人]
 
 
 
 
AM6:28


今日も朝日が綺麗だ。

目の前にこんな死体さえなければ
尚更、綺麗に見えただろうけど。


俺、丹葉正人(タンバタダヒト)

ただのフリージャーナリスト。


政界とか芸能界の裏に
なんとなく興味があった。

でもなぜか俺の行く所では
人の死体ばかりがゴロゴロと見つかる。



そう、今のような―
 
 
 
 
 

⏰:11/11/01 12:02 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#4 [正人]
 
 
 
 
この死体が発見されたのは
本日のAM5:30頃。

死体の第一発見者は
不覚にも…俺だった。


場所は港に面した大型倉庫。


ここでは政界の一部が
関わっていると噂される
巨大な組織による麻薬取引が
頻繁に行われていると聞いて
スクープする為に数日前から張り込んでいた。
 
 
 
 
 

⏰:11/11/01 12:20 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#5 [正人]
 
 
 
 
 
でも結局そいつらは現れる事はなく
何か痕跡はないだろうかと
帰る前に倉庫の中を調べようと
中に入った時、この死体を発見した。


性別は男性
年齢は30代前半くらいで
黒いスーツに身を包み
顔には洒落たサングラス。

いかにもドラマや映画に出てきそうな
どこかの組の一員のような容姿。


例の麻薬組織の一員なのだろうか。
 
 
 
 
 

⏰:11/11/01 12:28 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#6 [正人]
 
 
 
 
警察に通報する前に
自慢のカメラで死体を撮影。

そして悪いとは思いつつ
彼の死因を調べようと
どこかに傷がないかを見た。


死体は仰向けの状態。

さすがに死体に触るのは
アレだったので軽く見てみた。


しかし黒スーツのせいか
どこにも血痕などは見つからない。

そうなると背中の部分が気になるが
これ以上はヤバいと察して警察に通報をした。
 
 
 
 
 

⏰:11/11/01 12:37 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#7 [正人]
 
 
 
 
 
警察が来てからは
俺も色々と事情聴取をされ
後にもう帰っていいと言われたが

俺が死体を発見した以上は
最後までこの事件を追うと決心した。


そして今のAM6:28に至る訳だ。


死体はまだ検視官によって
倉庫の中で調べられている。

俺は倉庫の外でカメラ片手に
突っ立っていた。
 
 
 
 
 

⏰:11/11/01 12:44 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#8 [正人]
 
 
 
 
「おや、丹葉君じゃありませんか」

そう俺の名前を呼んだのは
とある事件で一緒に関わった

俺と同じフリージャーナリストの
北峰達也(キタミネタツヤ)


悪い人ではないのだが
なんかキザっぽい感じの奴だ。

俺より6歳も年上の31歳の癖に
妙にチャラくて、どこか大人気ない。
 
 
 
 
 

⏰:11/11/01 13:02 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#9 [正人]
 
 
 
 
「随分と早いですね、北峰さん」

「君ほどではないですよ」

そんな会話をしていると
倉庫の中から死体が運ばれてきた。


俺が今気になるのは死因だ。


「ちょっと失礼します」

北峰との会話を打ち切って
死体の検視をした検視官の元へ。
 
 
 
 
 

⏰:11/11/01 13:10 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#10 [正人]
 
 
 
 
「あの…ちょっといいですか?」

年齢は40代くらい、眉間にシワを寄せた難しい表情をする検視官に声をかける。


向こうは俺に反応すると、さらに眉間のシワを深く刻ませ、にらみつけるように凝視してきた。


「誰アンタ?」

そして少しの沈黙の後、彼が発した一言がこれである。


だが堅苦しい表情とは裏腹に声は意外に高い。


もっと低くて厳つい感じの声を想像していたのだが。
 
 
 
 

⏰:12/01/24 20:39 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#11 [正人]
 
 
 
 
「あ、俺はフリージャーナリストの丹葉と言います」

「ジャーナリスト…?」

検視官はなぜか不思議そうな表情をする。

それも、まるで「初めて見た」と言わんばかりの。


ジャーナリストなんてそれほど珍しい部類じゃないと思うのだけど。


「警察関係者ではないのなら、なぜここに?」

「あの、一応俺、今運ばれていった死体の第一発見者なので、何かご協力できないかなぁ…なんて」

俺が照れ笑いしながら言うと、検視官の顔の眉間のシワがパッと消え去り、穏やかな表情になった。
 
 
 
 
 

⏰:12/01/24 20:51 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#12 [正人]
 
 
 
 
俺は、その表情が変わる瞬間を見逃さなかった。


もしかしたら俺が今言った言葉に感動してくれたのだろうか?と期待はしたものの、その期待は見事に打ち砕かれる事になる。


検視官は穏やかな表情をしたまま俺を凝視してポツリと言った。


「邪魔だ……出てけ」

さっきまでの高い声はどこへ消えたのか、今度はドスのきいた低い声で。
 
 
 
 

⏰:12/01/24 20:59 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#13 [正人]
 
 
 
 
表情は穏やかなのに、なんともいえない威圧感に俺の足が徐々にガクガクと震え出す。


その時


「相変わらずですねぇ…新塚さん」

俺のすぐ後ろで声がして、北峰が冷静な表情で俺の横に立ち、検視官の方を見る。


“新塚”とはこの検視官の名前だろうか。


今の北峰の言葉から察するに、どうやら二人は知り合いのようだ。
 
 
 
 

⏰:12/01/24 21:12 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#14 [正人]
 
 
 
 
「北峰くんか…」

検視官…新塚さんは北峰を見るなり「またか」と言わんばかりの表情を浮かべる。


「北峰さん、彼を知ってるんですか?」

俺は横目で北峰を見ながら聞いた。


「いや、以前ちょっと…ね。ただ、顔は恐いけど意外にいい人だから安心していいですよ」

微笑みながら彼がそう言うと、新塚さんは再び眉間にシワを寄せて

「“意外に”は余計だ」

と、口元を少しニヤつかせて言った。
 
 
 
 

⏰:12/01/28 00:07 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#15 [正人]
 
 
 
 
意外に仲は良いのかもしれない。

二人を見ながらそう思った。


「それで…被害者の死因は?」

北峰は、俺が言おうとしていた事を察知していたかのようにその質問を新塚さんに尋ねた。


先を越されてしまったのは少し悔しいが、顔見知りの北峰には彼も情報を与えない訳にはいかないはずだ。


彼は少し考えた後、渋い顔をして北峰を見る。


そして一言こうつぶやいた。


「死因は、心臓麻痺…」

俺と北峰はそう聞いた瞬間、反射的に顔を見合わせる。
 
 
 
 

⏰:12/01/28 00:08 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#16 [正人]
 
 
 
 
「心臓…麻痺ですか?」

北峰が拍子抜けしたような表情で新塚さんに言う。


おそらく俺も同じ表情をしていると思う。


「ああ、間違いない。遺体に刺し傷や銃創などは見られなかった。おそらく被害者は何かに驚いたショックで心臓麻痺に陥り、立ったまま仰向けになるようにして倒れた」

「…では、これは殺人ではないと?」

「まだ一概にはなんとも言えない。ただ、この倉庫は…」

新塚さんがここまで言うと、その先を察知したかのように北峰が口を割った。


「大物政治家による麻薬売買現場…ですよね?」
 
 
 
 

⏰:12/01/28 00:10 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#17 [正人]
 
 
 
 
「さすが北峰くんだな…」

「ボクを誰だと思っているんですか?」

「……そうだったな」

二人のやりとりはどこか楽しげでもあった。

おかげで俺は肩身が狭くなり、二人の会話を黙って聞く事しかできないが。


「目撃者とかがいればいいんですけどね」

会話の途中で北峰がつぶやいた言葉に俺はピクリと反応した。
 
 
 
 

⏰:12/01/28 00:11 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#18 [正人]
 
 
 
 
「目撃者か……ん?」

腕を組んで考え込む新塚さんは、何かに気づいたと共に俺の方を見た。


「君…丹葉といったかな?」

「ええ、そうですけど」

「確かさっき言ってなかっただろうか?“死体を最初に発見した”と」

彼がそう言うと、北峰は意外そうな顔をした。


「そうなんですか?丹葉君」

二人の視線が俺に集中する。
 
 
 
 

⏰:12/01/28 00:12 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#19 [正人]
 
 
 
 
「ええまあ…」

「怪しい人物などは見ましたか?」

北峰が真顔かつ、目を輝かせながら聞く。


「いや見てませんけど」

「…そうですか。それは残念」

俺の期待外れの答えに北峰は露骨にガッカリし肩を落とすと、新塚さんの方に向き直した。


「新塚さん、これから遺体の解剖ですよね?何か詳しい事がわかったら連絡頂けますか?」

「え…」

新塚さんは、あからさまに困った表情をする。
 
 
 
 

⏰:12/02/01 21:42 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#20 [正人]
 
 
 
 
彼が困った顔をする理由はわかる。


警察関係者でも探偵でもない彼…北峰に、なぜ遺体の解剖結果を教えなくてはならないのか?という事だろう。


新塚さんは当然の答えをした。


「しかしね、一般の方にそういった情報を与えるわけには…」

当たり前のようにそう言うと北峰は新塚さんの耳に顔を近づけ、何か小声でひそひそと言っている。


「……いやしかし……」

所々で焦りの表情をする彼を北峰は面白がっているように見える。
 
 
 
 

⏰:12/02/01 21:43 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#21 [正人]
 
 
 
 
何を言われたのか俺にはさっぱりわからないが、新塚さんの表情を見ると、北峰が何か弱みにつけ込んで説得しているように見えた。


案の定…というべきか、やがて新塚さんは観念したようにため息をついて言った。

「わかった…何かわかったら報告しよう」

北峰のどんな言葉が新塚さんの心を揺さぶったのだろうか。


…聞いても教えてくれそうな雰囲気ではない。
 
 
 
 

⏰:12/02/01 21:44 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#22 [正人]
 
 
 
 
「ありがとうございます。感謝しますよ、新塚さん」

「…………」

新塚さんはどこか納得できないような表情を浮かべながら俺達に頭を軽く下げると、その場を後にしていった。


「さてと…ボクは彼の報告を待つ間、現場を調べさせて頂くとしますか」

「…え?いいんですか?警察関係者でもないのにそんな事…」

「“父”には後でしっかり説明するので大丈夫ですよ」


その言葉を聞いて、俺はハッと思い出したのだった。


北峰の父親は、現職の都内警視庁長官だという事を―
 
 
 
 

⏰:12/02/01 21:46 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#23 [正人]
 
 
 
 
前に彼と関わったとある事件の時に聞いていたのに、いつのまにか忘れていた。


俺は心の中で「そういう事か」と納得しながら北峰の顔を見る。


「どうかしました?」

「…いえ別に。じゃあ俺は帰ります。警察関係者でもなく、身内にそういう人もいませんので」

そう言って背を向けて歩き出そうとした時、北峰の手がポンと俺の肩に置かれた。
 
 
 
 

⏰:12/02/01 21:47 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#24 [正人]
 
 
 
 
瞬間的に振り返ると、北峰は爽やかな笑みを浮かべながら首を左右にゆっくりと振っていた。


「な、なんですか?」

「君もボクと同じジャーナリストでしょう。よければ現場の調査をご一緒にいかがですか?」

「え…でも…」

「大丈夫ですよ。後で…」

「“父には説明しておく”…ですか?」

北峰の言おうとしていた言葉を察知して俺は先に口走った。
 
 
 
 

⏰:12/02/01 21:48 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#25 [正人]
 
 
 
 
「よくわかりましたねぇ」

「なんとなく、予想できてました」

「そうですか。では…行きましょう」


現場を調査できるのは嬉しいのだが、なぜか素直に喜べない。


でもここは一応、北峰と北峰の父親に感謝しておこうと思う。



―麻薬売買が行われている倉庫で心臓麻痺で亡くなっていた男性…


一体その男性は何を見たのだろうか?




エピソード1
『間抜けな死体』〜完〜

⏰:12/02/01 21:49 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#26 [正人]
 
 
 
 
エピソード1
>>2-25


感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4978/
 
 
 
 

⏰:12/02/01 21:51 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#27 [正人]
 
 
 
 
エピソード2

『現場の違和感』
 
 
 
 

⏰:12/02/02 12:51 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#28 [正人]
 
 
 
 
現場の倉庫内へ足を踏み入れた俺達。


中では数名の警官や刑事、鑑識などがちらほらと捜査中。


さっきは死体に気を取られていてよく見てなかったけど、中を改めて見渡すとかなり広い。


所々にダンボールや機材が積み上げられていて進路を塞いでいるが、かなり奥行きがあるように思える。
 
 
 
 

⏰:12/02/02 12:53 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#29 [正人]
 
 
 
 
「さぁ、ショータイムの始まりですよ、丹葉君」

大きく手を広げて相変わらずの爽やかな表情で言う北峰。

この人の辞書に“緊張感”の文字はないのだろうか。


こう言ってはなんだが、一緒にいると恥ずかしい人材だ。


「なんですか?さっきからボクの顔を見つめて。顔に何かついてます?」

「いえ…別に」

「まあいいでしょう。見つめられるのは慣れていますので」


なんともキザな奴だ。

アニメではこういうキャラの男をよく見かけるが、実際にはそうはいないだろう。
 
 
 
 

⏰:12/02/02 12:53 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#30 [正人]
 
 
 
 
普通な俺にとってはあまり関わりたくはない存在である。

でも彼がいるとなにかと便利なのは確かだ。


今の状況がそのいい例である。


「じゃあ、どこから調べます?」

“見つめられるのは慣れている”という彼の台詞をスルーして俺は切り出した。
 
 
 
 

⏰:12/02/02 12:56 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#31 [正人]
 
 
 
 
「そうですねぇ…遺体があった周りは多数の鑑識が捜査中なので後に回して、今はこの倉庫内を隅から隅まで見てみる事にしましょうか」

「やけにバカでかい倉庫ですね…」

「バカでかい倉庫だからこそ念入りに調査しなくてはね。この広さですから、証拠の一つくらい落ちていてもおかしくはないはずです」


俺は“バカでかい倉庫だからこそ逆に証拠が見つかりにくい”と言いたいが、あえて言わない事にした。
 
 
 
 

⏰:12/02/02 12:59 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#32 [正人]
 
 
 
 
「あ、ところで丹葉君。捜査用の手袋は持っていますか?」

「あ…持ってないですね」

「よければ、海外で購入したものですが…貸してあげますよ?」

そう言ってポケットから白い手袋を取り出すと、俺の方に差し出した。


海外で購入したわりには、日本で売っているものとそう変わりはない普通の手袋である。
 
 
 
 

⏰:12/02/02 13:00 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#33 [正人]
 
 
 
 
「意外に普通の手袋なんですね」

思わず口に出すと、北峰はフフっと微笑んだ。


「君にはわからないでしょうね。この手袋は海外でも有数のメーカーが扱う高級な生地で作られたもの。値段は日本のものとは比べものになりませんよ」

「はあ…そうですか」

自慢げに語ってくれた所悪いのだが“そうですか”としか言いようがない。
 
 
 
 

⏰:12/02/02 13:01 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#34 [正人]
 
 
 
 
「そうですね、例えて言うならば……」

「あ〜はいはい!もうわかりましたから!高いんですよね?それはすごい!」

やけくそになりながら北峰の台詞を打ち切った。


「やれやれ…本当にわかったのか、疑問ですけどねぇ」

「と、とりあえず…それ借りてもいいですか?」

「いいでしょう。ただし、一つだけ約束して頂きたい事があります」

「“手袋を汚すな”…でしょう?」

「それもありますが…もう一つ。その手袋をつけた手で必ず証拠を見つけだしてください」


そんな無茶を言われても困るが、まあこんなでかい倉庫なのだから何か一つくらいはあるだろうと思い、俺は頷いた。
 
 
 
 

⏰:12/02/02 13:03 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#35 [正人]
 
 
 
 
「よろしい。ではくれぐれも丁重に扱ってくださいね」

俺は海外の手袋を受け取ると、早速両手にはめ込んだ。


確かといえば確かだが、生地が高級品というだけあって、とてもやわらかくて俺の手を優しく包み込んでくれているような感じはする。


今や手袋なんて100円均一でも売っているが、これとは雲泥の差であろう。
 
 
 
 

⏰:12/02/02 13:03 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#36 [正人]
 
 
 
 
「では、この倉庫内を徹底的に調べましょうか」

「そうですね」


俺達は警官や鑑識らが捜査している所から少し離れた所にやってきた。


遺体があった場所からもかなり離れているので証拠は見つからないような気がしたが北峰はだからこそ、そこは犯人達にとって証拠を隠すには有利な場所になると踏んだのだろう。


被害者は心臓麻痺という事で、まだ殺人事件と断定された訳ではないのだが。
 
 
 
 

⏰:12/02/02 13:04 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#37 [正人]
 
 
 
 
まあ、殺人事件の方が調査のしがいがあるという点はわからなくもない。


被害者が何に対して驚いたのか…

その秘密が、この倉庫の調査でわかるのだろうか。


「丹葉君…ちょっと」

「あ、はい」

とにかく、俺が死体の第一発見者なのだから、できる所までやってやる。


そうでないと被害者が浮かばれない。
 
 
 
 

⏰:12/02/04 11:11 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#38 [正人]
 
 
 
 
「なんですか?」

「そこの段ボール…匂いますね」

俺達の目の前に積み上げられた大量の段ボールを指差す北峰。


「これ…ですか?別に普通の段ボールだと思いますけど」

「とにかく、これらを降ろすの手伝ってもらえますか?」

言われた通りに、一番上の俺の背より少し高く積まれた一つ目の段ボールに手をかける。


「うわっ!」

だがそれは明らかに重さが20キロほどはあり、どうせ軽いだろうと思って特に姿勢をとらずに持ち上げた為、箱を持った瞬間思わずよろけそうになった。
 
 
 
 

⏰:12/02/04 11:14 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#39 [正人]
 
 
 
 
「大丈夫ですか?丹葉君」

焦る俺とは裏腹に軽く爽やかに言う北峰。


「な、なんとか」

はあはあ言いながら20キロほどある段ボールを地面に置く。


「おそらく中身は土木関係の仕事に使われる機材といったところでしょうか」

「よくわかりますね…」

できれば箱を持ち上げる前に言って欲しいものだ。
 
 
 
 

⏰:12/02/04 11:16 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#40 [正人]
 
 
 
 
「では次のをお願いします」

「え…」

まさかとは思うが、自分はやらない気なのか?

俺はあからさまにそう言わんばかりの表情を見せる。


が、北峰はそれ以上に“お願いします”と言わんばかりの笑みを浮かべた。


見つめ合うくらいなら、さっさとやった方がマシだ。


「……わかりました!」

「ありがとうございます。感謝しますよ、丹葉君」

本当に心から感謝しているのか疑問であるが、今はそれについて議論している場合ではない。
 
 
 
 

⏰:12/02/04 11:17 📱:W62P 🆔:☆☆☆


#41 [正人]
 
 
 
 
残りの段ボールも全て20〜30キロはあり、全て地面に降ろし終わった時には息切れ寸是だった。


「はあ…はあ…終わりました…」

「お疲れ様です」

地面にへたりこむ俺を、北峰は笑顔で見下ろしながら言う。


だが次に北峰が口にした言葉で、その笑顔が悪魔に変わる。


「さて、では元に戻してもらえますか?」

「…………………………は?」

「あれ聞こえませんでしたか?この段ボールを元の位置に戻してもらえますか、と言いました」

…嘘だろ。

じゃあ何の為にこんな量の…それも一つ何十キロもある段ボールを降ろさせたのだ!?
 
 
 
 

⏰:12/02/04 11:21 📱:W62P 🆔:☆☆☆


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