心霊夜話
最新 最初 全 
#196 [怪男]
もちろん、娘が風俗店で働いていると知った時も同じだろう。
弟・勇紀のほとぼりが冷めるまではなんとしても知られる訳にはいかない。
「勇紀から事情は聞いたの?」
美緒は冷静に口を開いた。
「ううん…まだ。明日学校に行って、これを勧めた知り合いの子に会って勇紀と三人で話をしてくる」
「私も行こうか?大学は休めるし、コンビニのバイトも夕方からだから」
「いや、お母さん一人で大丈夫だよ」
「……そう」
勇紀に薬を勧めた人物がどんな人なのか気になり会ってみたいと思ったが、同行をあっさり断られて少しショックを受ける美緒。
:12/01/21 16:24
:W62P
:☆☆☆
#197 [怪男]
母はテーブルの上の袋を手に取り服のポケットにしまうと、真顔で美緒を見て単刀直入に聞いた。
「それより美緒…アンタ今日どこ行ってたの?」
「……え」
美緒は、勇紀の話題からいきなり自分の話題に切り替わった事に一瞬焦る。
「今日シフトなかったんでしょ?」
そう聞く母の顔にゆっくり視線を向けると、母は何かを疑うような目つきでじっと美緒を見つめていた。
:12/01/21 16:25
:W62P
:☆☆☆
#198 [怪男]
そんな母の表情を見て、さっきまで考えて頭の片隅に用意していた言い訳は一瞬にしてどこかへ消え去っていった。
「……えっと」
しどろもどろになる美緒。
母は表情を崩す事なく美緒の顔を一直線に見つめる。
今まで風俗店で働いているという、これ以上ない隠し事と動揺を母に見せた事がない為、今の自分の焦る表情から母には間違いなく、自分が何かを隠しているかもしれないという事を悟らせてしまった。
:12/01/21 16:26
:W62P
:☆☆☆
#199 [怪男]
「……なさい」
少し間が空いてから母が小さくつぶやいた。
「…え?」
あまりに小さい声だったので聞き取れず、聞き返す。
すると母はソファーからバッと立ち上がって、美緒を見下す形をとった。
美緒も、突然立ち上がった母に驚いて反射的にソファーから立ち上がる。
「何かお母さんに隠してる事あるでしょ!言いなさい!」
リビング…いや、家の中全体に母の怒鳴り声が響いた。
:12/01/21 16:28
:W62P
:☆☆☆
#200 [怪男]
その怒鳴り声は、19年間一緒に暮らしてきた中で母が初めて見せた剣幕と大声だった。
危うく腰を抜かしそうになるも、ソファーの端に手をついてなんとか体勢を整える。
やがて階段からバタバタと駆け下りてくる足音が聞こえ、寝間着姿の父・幸宏と長男・勇紀が何事かと言わんばかりの表情をしながら二人のいるリビングへとやってきた。
「渓子…な、何やってるんだよ」
さっきの母の大声とは対照的に小さく細い声で父が言う。
:12/01/21 16:30
:W62P
:☆☆☆
#201 [怪男]
渓子は鼻息を荒くしなから幸宏の方を見ると、すぐに美緒の方に視線を戻し
「美緒!言いなさい!」
と、今にも飛びかかっていきそうな勢いで言った。
夫・幸宏はそれを察知したのか、すぐに二人の間に割って入った。
「一体何があったの、渓子!」
幸宏が困惑した表情で目の前に立つ渓子に尋ねる。
勇紀は何もできずに幸宏と美緒の背後で、黙って立ち尽くしている。
:12/01/24 20:42
:W62P
:☆☆☆
#202 [怪男]
「美緒、勇紀、部屋行ってなさい」
父・幸宏が渓子の方を向いたまま背後の美緒と勇紀に言う。
「ね、姉ちゃん…行こう」
「…………」
美緒は初めて見る母の剣幕にすっかりひるみ、黙り込んだまま立ち尽くしていた。
「姉ちゃん?」
美緒の傍にいき、声をかける勇紀。
「……!!」
勇紀の二度目の声で我に帰った美緒は、小さく頷いて階段へ向かってよろよろと歩き出し、勇紀もそれに続いた。
:12/01/28 00:22
:W62P
:☆☆☆
#203 [怪男]
階段を上がりきった所で、下から母・渓子の怒鳴り声が再び響く。
「アンタもちゃんと子供の事見てないからそうなるんだ!」
美緒と勇紀は無言で顔を見合わせる。
そこで勇紀はハッと思い出した。
「あ、姉ちゃん…そういえば…」
「…なに?」
勇紀は一度自分の部屋に入り、何かを手にして戻ってきた。
:12/01/31 15:07
:W62P
:☆☆☆
#204 [怪男]
「これ…」
そう小さい声で言って勇紀が差し出したのは、白い携帯電話。
それを見た美緒の表情が変わる。
「どこにあったの…?」
「下の机の上にあったよ。忘れたんだと思って渡すのに追いかけたんだけど…と、途中で見失っちゃって…」
「……そっか。ありがと…」
美緒は携帯電話を受け取ると、二つ折りの本体をパカッと開いてディスプレイを確認した。
:12/01/31 22:24
:W62P
:☆☆☆
#205 [怪男]
画面は、電源が入っていないのか真っ暗だった。
それを見た美緒は安心し、ホッと胸をなで下ろす。
これで今日一日、この携帯電話の電源はずっと切られたままだったという事がわかったからである。
「あ、勇紀…ちょっといい?」
「なに?」
「ちょっと話ある。部屋来て」
美緒は弟の勇紀が覚醒剤に手を染めた真意を直接聞く為、自分の部屋へ勇紀を呼んだ。
:12/01/31 22:25
:W62P
:☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194