心霊夜話
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#1 [怪男]
このお話は全てフィクションです…
:11/11/16 23:13
:W62P
:☆☆☆
#2 [怪男]
No1.深夜の徘徊者
投稿者.岩谷香織(仮名)
:11/11/16 23:16
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:☆☆☆
#3 [怪男]
皆さんは深夜に部屋で…例えば寝ようとしている時や机に向かって何かをしている時にふと何かの気配を感じた事はあるだろうか?
そういう時…ふいに辺りを見回したり後ろをサッと振り返ったりする時ってありますよね?
でもそこには何もいない。
これは投稿者である岩谷香織さんが当時まだ中学生だった頃に体験した身の毛もよだつ怖いお話…
:11/11/16 23:24
:W62P
:☆☆☆
#4 [怪男]
その日の夜、香織さんは家に一人でお留守番をする事になったんですね。
香織さんは両親と小学生の妹さんの4人暮らし。
母親のご実家のお父さん…つまり香織さんの祖父ですね。
その祖父が突然倒れたという事で両親と妹さんの3人は母親の実家に彼の看病をしに行く事になったのです。
香織さんは来年受験という事もあって看病には行かず一人部屋で勉強をしていた。
:11/11/16 23:37
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:☆☆☆
#5 [怪男]
一息ついてから机の上の時計を見ると、時間はすでに深夜の1時を回っていた。
なんか小腹が減ってきたなと思った香織さんは勉強を一時中断し部屋を出て階段を下りキッチンに向かいました。
冷蔵庫を開けて何かないかと物色する。
その時だった…
香織さんの真上…天井から「ゴトっ!」と上から何かが落ちるような音がした。
このキッチンの真上はちょうど香織さんの部屋にあたるそうです。
さっきまでいた部屋に響いた何かが落ちる音…
少し気にかかった香織さんではあるが、その時は小腹を満たす事の方が大事だったので冷蔵庫から妹さんの大好物で取っておいてあったらしいプリンを2個見つけ、その場であっという間に2個たいらげた。
:11/11/16 23:53
:W62P
:☆☆☆
#6 [怪男]
小腹が満たされて満足した香織さんは少し休憩をしようかと一階の居間でDVDを見る事にしました。
大好きなドラマのDVDを見始めて数分経過した頃…
今度は香織さんのいる居間の真上にあたる妹さんの部屋から誰かが歩くような「ミシ…」という音が響いてきたのです。
はじめはネズミか何かかなと思いましたが…その音は明らかに人が歩いているような音でした。
そもそもこの家は最近リフォームしたばかり…それほど古い家でもないのでネズミがいる訳がないのです。
:11/11/17 00:06
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:☆☆☆
#7 [怪男]
当然ですがこの家には今は香織さん1人しかいません。
少し気味が悪くなった香織さんは、気のせいだと思う事にし再びDVDに見入った。
だが音は、集中してDVDを見る香織さんを邪魔するかのように、何分か置きに上から響いてくる。
「ミシミシ…」
「ガタッ」
人の歩く音、何かが落ちる音、しまいには大きな机や棚を動かすような音まで響いてきます。
:11/11/17 00:23
:W62P
:☆☆☆
#8 [怪男]
もしかして…泥棒?
いや、それは有り得ない。
玄関の鍵はもちろん全ての部屋の窓などもしっかり鍵を閉めたのは両親らが出掛ける際にしっかりと確認した。
香織さんは念のためと玄関の鍵を確認しに行きましたが…鍵は内側からしっかりと閉錠されている。
ドアを開けて外側から鍵穴も確認。
何か道具を使ってこじ開けられたような跡もなかった。
やっぱり気のせいか…と居間に戻り、今度はしっかりと集中できるようにイヤホンをテレビに繋げて大音量でDVDを見る事にしたのです。
:11/11/17 00:34
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:☆☆☆
#9 [怪男]
これで両耳も塞がり、余計な音は一切耳に入らない。
だがその数分後、香織さんに追い討ちをかけるような事が起こったのです。
なんと部屋の電気がパッと消えたんですね。
一瞬何が起きたのかわからなくなった香織さん。
停電…ではないのはすぐにわかった。
なぜなら香織さんの目の前にあるテレビはしっかりと電源がついていて、DVDの映像が目に…そしてそこから流れる大音量がイヤホンを伝ってしっかりと香織さんの耳に届いているのだから…
:11/11/17 00:49
:W62P
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#10 [怪男]
つまりね、誰かが意図的に部屋の電気を消したという事になるんです。
香織さんがその結論に達した瞬間、血の気が一気に引いたそうです。
電気のスイッチは香織さんの背後から少し離れた所に設置されています。
となると…
そのスイッチを押した何者かは、香織さんがイヤホンを耳につけて大音量でテレビを見ている時に…?
部屋の中に何かがいる…
パニックになった香織さんはとっさにイヤホンを外してテレビの電源を消した。
:11/11/17 01:15
:W62P
:☆☆☆
#11 [怪男]
テレビから放たれていた小さな明かりも消え、部屋中が闇に包まれた瞬間…
「…プルルルルル!」
家の電話が暗闇の中で響き渡りました。
深夜に鳴る電話の音ってなぜか気味が悪いですよね。
ましてやこんな暗闇の中で鳴るなら尚更の事…
:11/11/17 01:24
:W62P
:☆☆☆
#12 [怪男]
電話はきっとお母さんかお父さんだ…と香織さんは暗闇の中、鳴り響く音だけを頼りに手探りで電話を探した。
そしてやっと見つけて受話器を取って耳に近づけます。
案の定、電話は香織さんの母親からだった。
戸締まりはちゃんとしてるかなど母親は香織さんの事が心配で電話をしたそうです。
香織さんの今の状況…怖かったが余計な心配をかけたくないので、大丈夫とだけ伝えて電話を切った。
:11/11/17 01:35
:W62P
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#13 [怪男]
受話器を置いた香織さんは今度は電気のスイッチを探します。
霊感などは全くないのですが、暗闇の中誰かがいる気配は薄々感じていたらしく…電気をつけたら真っ先に階段を上がって自分の部屋に駆け込み、自分の携帯電話から警察に110番しようと考えていたのです。
見えない足元に気をつけながら壁に手を当てて歩いていると…やっとスイッチを見つけました。
「カチッ」という音と共に居間に明かりが戻り、そのまま急ぎ足で階段を上がり自分の部屋に入って鍵を閉めた。
:11/11/17 01:53
:W62P
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#14 [怪男]
部屋に入るなりベッドに潜り込んで震えていると…2つ妙な事に気がついたそうです。
さっきこの部屋を出る際には部屋の電気はつけたままにしていたはずなのだが…なぜか消えている。
それと部屋のドアもそうだ。
下に向かう際にドアを開けっぱなしにしていたはずなのだが…今さっき階段を上がって入ろうとした時はドアが閉まっていた…
:11/11/17 02:03
:W62P
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#15 [怪男]
思い違いという事は有り得ない。
さきほどは小腹が空いて、冷蔵庫から何かを探してまたすぐに部屋に戻るつもりだった。
だから部屋の電気もつけたままでドアも開けっぱなしで一階に下りていったはずだと。
自分以外の何者かがこの家を徘徊している―
途端に背筋が凍り、全身に鳥肌が立った香織さん。
毛布をかぶってぶるぶると震えていると…
「ミシ…ミシ…」
階段の下の方から誰かが二階に向かって歩いてくる音がした…
:11/11/19 01:13
:W62P
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#16 [怪男]
香織さんはベッドの中で目をぎゅっとつむって両耳を塞ぎ、これは夢だ…と心の中の自分に何度も言い聞かせました。
しばらくして…音は聞こえないものの部屋の前に誰かが立ち止まったという気配を感じたのです。
ゆっくりと手を耳から離すと、ドアノブを回す音がガチャガチャと室内に鳴り響きました。
やっぱり泥棒…?
だって幽霊であればいくらドアに鍵が閉まっていようと室内に侵入するのは簡単な事だと。
香織さんはベッドからばっと起き上がると、大声で叫びました。
「やめてください!」
それはもうドアノブを回す音をかき消すくらいの大声で…
:11/11/19 01:15
:W62P
:☆☆☆
#17 [怪男]
すると途端にピタリと音が止みました。
同時に部屋の前の気配がスーッと消えていくのがわかったそうです。
でもその際に去っていく足音が聞こえなかった事から、それは人間ではない…と自覚したのです。
フッと疲れが一気に香織さんの中に溜まり、そのまま気絶するように眠りにつき…気がついたら朝になっていた。
目を開けて部屋の天井を見つめていると…一階の居間の電話が朝からけたたましく鳴っている。
部屋を出て一階に向かい電話に出ると、それは香織さんの父親からでした。
祖父の具合がなかなか良くならないという事で今日も帰れないと…
香織さんはこの際だからと昨日の深夜に起こった出来事を話しました。
:11/11/19 01:17
:W62P
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#18 [怪男]
すると父親は一息ついてから、一言だけ言いました。
「またか…」
ああいった体験をしたのは香織さんだけではなかったようです。
父親が言うには、深夜に寝室の部屋の前に誰かが立っているような気配を感じたり…ドアの下の数ミリの隙間に明らかに人の影のようなものが見えたりしたのだそう…。
明日には帰るから今日だけ我慢してくれと言い残して父親は電話を切りましたが…香織さんはもう嫌だと、その日は学校の友達の家に泊まらせてもらう事にしました。
:11/11/19 01:19
:W62P
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#19 [怪男]
そして友達にもあの出来事を話しました。
すると友達はこう聞いてきました。
「そういえば香織の家って最近リフォームしたんだよね?」
香織さんはその通りだと首を縦に振って頷いた。
そして更に友達は聞き返す。
「そのリフォームをした会社って…〇〇工務店?」
確かそうだった…と香織さん。
:11/11/19 01:21
:W62P
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#20 [怪男]
すると友達の顔が一気に青ざめたと思ったら…最後に言いました。
「その会社…一週間前に倒産して、社長と社員が皆で集団自殺したらしいよ」
香織さんはそれを聞いて背筋がゾクッとした。
そういえば、家のリフォームをする前はあんな体験をした事は一度もなかった事を思い出したそう…
その〇〇工務店が最後にリフォームした家は…まさに香織さんの家だったそうです。
深夜の香織さんの家を徘徊をしていた者はその会社の社長…または社員達だったのかは定かではない―
:11/11/19 01:23
:W62P
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#21 [怪男]
今思えば、その家は妹さんの部屋だけは…まだリフォームが済んでいなかったそうです。
あの夜、妹さんの部屋から響いた音…それは社員達がリフォームを始めた音だったのかもしれませんね―
香織さんは、知らない方が幸せな事もあると思って妹さんには話していないそう…
ただ一つわからないのは、香織さんがキッチンにいる時に真上にある自分の部屋から何かが落ちた音だけ…。
それは自分にもわからないので、このお話を読んでくれた方へもご想像にお任せします…との事でした―
No1.深夜の徘徊者・END
:11/11/19 01:24
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#22 [怪男]
No2.一人鬼ごっこ
投稿者.掘武史(仮名)
:11/11/19 01:30
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#23 [怪男]
皆さんは一人かくれんぼはご存知ですよね?
簡単に言えば降霊術。
やり方はいたってシンプルですね。
誰の家にもあるような簡単な物でできます。
この投稿者…掘さんはですね、それは心霊マニアで心霊ヲタクと。
まあマニアもヲタクも似たようなものだと思いますけどね。
で、その彼が一人かくれんぼだけじゃ物足りないと、一人鬼ごっこという降霊術を発明したとの事で投稿を頂きました。
:11/11/19 01:33
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#24 [怪男]
この一人鬼ごっこ…名前だけ聞いてみれば「一人で鬼ごっこ?」とか「どっちが鬼でどっちが逃走者?ややこしや〜」とか色々疑問をぶつけたくなりますよね。
私も彼のこの投稿を見た時は少し笑ってしまいましたが。
でもこの一人鬼ごっこ…やる場所もやり方も使用する物も似たような一人かくれんぼとはだいぶ異なるそうです。
一人かくれんぼは家の中で行う事に対して一人鬼ごっこは家の外で行うと。
ま、家の中で鬼ごっこなんかやったら広い家ではない限りすぐ捕まっちゃいますからね(笑)
という事で、この堀さんの投稿文に記載されてある一人鬼ごっこのやり方や使用する物を全て書いていこうと思います。
:11/11/19 01:38
:W62P
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#25 [怪男]
■用意する物
・ビンに入れた塩(適量)
・自分の髪の毛一本
・ライター
・赤いペン
・ティッシュ数枚
・腕時計(時間が確認できるように)
・赤い輪ゴム一本(屋台で焼きそばなどを買うとついてくる)
■やる場所
近くに公衆便所のある場所ならどこでもいい。
:11/11/19 01:42
:W62P
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#26 [怪男]
■準備(手順)
深夜の2時前(午前1時40分くらいがいい)に上記に記載した用意する物を持って公衆便所に行く。
※ここからは2時を過ぎる前に必ず以下の手順1〜5を済ませる事。
手順1.便所の奥の個室に入り鍵を閉める。
手順2.ティッシュに赤いペンで自分の名前をフルネームで書いて、裏返しにする(洋式ではない場合は壁に当てて書く)
※この時ティッシュが少しでも破れてしまったらやり直し(事前に何枚か持参しておこう)
手順3.自分の髪の毛一本を裏返しになった状態のティッシュの上に添え、包んで赤い輪ゴムで縛る。
※ティッシュは必ず裏返した状態から包む(表のまま包むと効果ないかも)
手順4.その包んだティッシュを床に置いて、鍵を閉めたまま個室から出る(洋式だったら便器に乗っかってなんとか出れると思う)
手順5.出たら2時になるまで便所を離れてどこかで時間を潰す。
:11/11/19 01:44
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#27 [怪男]
■遊び方
上記の手順を済ませ、2時になったら再び便所に戻り個室の戸に手をかけて鍵が閉まってるのを確認してから戸を3回ノックしてください。
この時、ごく稀にノックが返ってくる事もあるが怖がらずに冷静でいましょう。
ノックがあってもなくても戸に向かって「今度は〇〇(自分のフルネーム)の鬼」と3回言ってください。
※この時、ティッシュに書いた自分以外の名前を言わないように。
ここで一人鬼ごっこスタートです。
とにかくどこかへ逃げてください。
その場で固まっていると…捕まっちゃいますよ?
もう一人の自分に―
:11/11/19 01:47
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#28 [怪男]
一人鬼ごっこは深夜2時から2時30分までの30分間だけという時間制限があります。
その間とにかくできるだけ走ってください。
走っていると背後から誰かが追いかけてくる…いや、誰かというよりも自分に追いかけられているという妙な錯覚に陥ります。
気配が消えるまでは決して立ち止まったりしてはいけません。
:11/11/19 01:50
:W62P
:☆☆☆
#29 [怪男]
付近が住宅街だった場合は、曲がり角などを利用して気配を断つのも一つの手です。
そしてまた少しでも気配を感じたら走る…その繰り返しですね。
必ず気配とは逆方向に逃げてください。
怖くなったり身の危険を感じた場合は一人かくれんぼと同様の手順で終わらせる事ができます。
:11/11/19 01:52
:W62P
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#30 [怪男]
■負け(降参)の場合
2時30分までに終わらせたくなった場合、当然あなたは負けとなります。
用意していたライターと塩を持って公衆便所に戻ってください。
この時、またまたごく稀に閉錠されていたはずの戸が開いていたりします。
もちろん怖がらずに個室に入ってください。
始める前に床に置いていた包まれたティッシュを丁寧に開いて、そこに塩を添えてまた包み直してください。
ここで「降参します」と3回言ってから便器の中に灰が落ちるように持ったティッシュをライターで燃やします。
輪ゴムの燃える鼻のつく臭いがしますが我慢です。
そして最後に水を三回流して終わりとなります。
:11/11/19 01:55
:W62P
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#31 [怪男]
■勝ちの場合
2時30分を過ぎて、特に身に何かが起きた訳ではない時はあなたの勝ちです。
これも負けの時と同じくライターと塩を持って公衆便所へ。
あとは負けの時と手順は同じですが、発する言葉は異なります。
あなたは勝った訳なので「私の勝ち」と3回言ってティッシュを燃やしてください。
これで終わりです。
:11/11/19 01:56
:W62P
:☆☆☆
#32 [怪男]
最後に一人鬼ごっこを行う際にいくつか注意点があります。
■注意点
・一人鬼ごっこを始める前の手順を間違えたりしない事。
・終わりの2時30分を過ぎていない状態=負けの状態で「私の勝ち」と言って終わらせない事。
・終わりの2時30分を過ぎた状態=勝ちの状態で「降参します」と言って終わらせない事。
・2時30分を過ぎても過ぎてなくても一人鬼ごっこや後始末を放り出して家に帰ったりしない事。
・後始末の際は必ず水を三回流す事。
もし上記の注意を守らなかったその時は…あなたはもう一人の自分=裏の自分に一生追いかけ続けられる事でしょう―
No2.一人鬼ごっこ・END
:11/11/19 02:02
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#33 [怪男]
No3.自分をなくした女
投稿者.匿名希望
:11/11/19 02:04
:W62P
:☆☆☆
#34 [怪男]
前のお話で掘さんより一人鬼ごっこという降霊術のやり方を紹介させていただきました。
お次の投稿は、匿名希望さんという女性の方から。
※本人ご希望の為、登場する方々の名前、年齢、職業は非公開とさせて頂きます。
ある日、この匿名希望さんのお友達である女性がこの一人鬼ごっこのお話を見て、やってみようと言い出したのです。
でも一人鬼ごっこは名前の通り一人でやるものですし、怖いのが苦手な匿名希望さんは丁重にお断りしたそうですが…そのお友達は一人でもやってみると言ってきかなかったそうです。
それから1週間後…久しぶりにお友達に連絡を取り、彼女の家に行ったのですが…
インターホンを押し、しばらくして出てきたお友達の顔を見た匿名希望さんは言葉を失い、思わずその場から後ずさりしました。
:11/11/19 02:07
:W62P
:☆☆☆
#35 [怪男]
お友達の目の下には薄黒く大きなクマ…更に鋭い爪で何度もひっかかれたような赤くただれた顔の皮膚…
そしてその顔は全く生気が感じられないくらいに青白いのです…
そう、なんていうか…特殊メイクみたいになっていたんですね。
冗談はやめて、と苦笑いしながら再びお友達の元へ近づく匿名希望さん。
お友達は半開きのドアを更に広く開けて、中に入っていいよという合図をしました。
この時はまだ…いわゆる特殊メイクのたぐいをしていると思っていたんですね。
匿名希望さん曰わく、そのお友達は普段からおちゃらけた性格で人を驚かせるのが好きな人だったので彼女ならこれくらいはやるだろうと。
お邪魔しますと言って中に入れてもらい、そのまま二階のお友達の部屋に通された。
:11/11/19 02:10
:W62P
:☆☆☆
#36 [怪男]
よく遊びに来る匿名希望さん。
部屋の違和感にはすぐ気がつきました。
壁の所々には無数のひっかき傷があったんですね。
そう、猫が爪で何度もガリガリとやってできるような傷。
でもそのお友達は猫はおろか動物自体飼ってはいないんですよね。
これどうしたの?とその壁を指さして聞いてみた。
:11/11/20 16:06
:W62P
:☆☆☆
#37 [怪男]
するとお友達はゆっくりと振り返って…言いました。
「朝起きたら…できてるの…」
と、まるで知らないような言い方をするのです。
念のため、最近動物を飼い始めたかを聞くと首を横に振りました。
「そんな事より…ジュース…持ってくるね…」
暗い声でお友達が言うと、部屋をそそくさと出ていった。
:11/11/20 16:15
:W62P
:☆☆☆
#38 [怪男]
彼女が戻ってくる間、立ったまま部屋を見回していると…ひっかき傷は壁にだけある訳ではない事に気がついた。
お友達の大好きなミュージシャンのポスターや棚など、あちこちにひっかき傷があったらしい。
こんな傷は動物…あるいは何か道具を使ってしか作れない。
お友達は何も知らないとの事だが、もしかしたら無意識の内にやっているのではないかという考えが頭に浮かんだ。
朝起きたらできている…つまり、寝ている時に無意識にベッドから起き上がり、無意識な行動をする。
そう、いわゆる夢遊病などの一種。
:11/11/20 16:26
:W62P
:☆☆☆
#39 [怪男]
だがそのお友達…今までそういった体験をしたという話は聞いた事がないので、まだ自分の想像にしか過ぎないという事で彼女が戻ってきたら改めて聞いてみる事にしました。
静かな部屋で5分…10分…と時間が過ぎていきます。
ジュースを用意するにしては時間がかかっているなと思った匿名希望さんは、一階にあるキッチンに行ってみる事にしました。
:11/11/20 16:38
:W62P
:☆☆☆
#40 [怪男]
すると階段を下りている時…思わず鼻を塞ぎたくなるような異臭がしたのです。
それはなんというか…生き物の焼けるような臭いで、それに血生臭さも一緒に混じって、吐きそうになるほどだったそう。
鼻を手で押さえながら一階の廊下へ出た匿名希望さん。
臭いがどこからしているのか、その元をたどった結果…それはキッチンの方からでした。
:11/11/20 16:52
:W62P
:☆☆☆
#41 [みほ]
楽しみにしてます(^O^)
:11/11/21 01:53
:841SH
:☆☆☆
#42 [
]
きになるー

:11/11/25 22:56
:P10A
:☆☆☆
#43 [怪男]
:11/11/26 00:36
:W62P
:☆☆☆
#44 [怪男]
「ねえ〜!」
そう呼びながらキッチンのあるドアに近づいていく匿名希望さん。
片方の手は鼻を押さえているので、もう片方の手でドアノブに手をかけ…一気にドアを開けた。
そこには目を疑う光景が広がっていたそうです。
テーブルには血まみれのまな板が置いてあり、その上には何かの小動物の死骸と思われる物体が数匹…そしてその横にはミキサーが置いてある。
更にコンロには沸騰している鍋…異臭はあの鍋の中からしていました。
その場で固まっていると、突然後ろから現れたお友達が匿名希望さんの耳元でこう囁いた…
「マダデキテナイノニ…!」
その声はお友達のものではなかったそうです。
なんていうのでしょう…簡単に言えば男性の低い声のようなものでしょうか。
:11/11/26 00:41
:W62P
:☆☆☆
#45 [怪男]
匿名希望さんはその場で気を失い、気がついたら病院の病室にいました。
お友達の母親が帰ってきた際にキッチンで倒れて気を失っている匿名希望さんを見つけて119番に連絡を入れてくれたのだそう…
ただ…そこにお友達の姿はなく、ご家族の方が家中やその周辺探しましたが結局見つからなかったと。
携帯電話にかけても、ずっと留守電状態。
それから一週後…匿名希望さんの家に一本の電話があった。
電話はお友達の母親からだった。
:11/11/26 00:46
:W62P
:☆☆☆
#46 [怪男]
用件は簡単だった。
行方不明になっていたお友達が昨夜見つかったと。
だが匿名希望さんは素直に喜べなかったそうだ。
あの部屋にあった無数のひっかき傷…そしてキッチンでの出来事…。
人を驚かすのが好きとはいえ、さすがにここまで来ると自分の知っている彼女が取る行動ではないと思ったんでしょうね。
念のためにお友達は一体どこで見つかったのかを彼女の母親に聞いてみると…母親はこう言った。
「○○公園の公衆トイレです」
…と。
匿名希望さん…それを聞いてすぐにわかったそうですよ。
:11/11/26 01:04
:W62P
:☆☆☆
#47 [怪男]
全ての元凶が…彼女が行ったという一人鬼ごっこにあるという事が。
やり方は説明文をざっと見ただけでうろ覚えだそうですが、行う場所はハッキリ覚えていた…。
そう…公衆便所と。
一人鬼ごっこは言わば、別の自分に追いかけられるというものだった。
彼女は一人鬼ごっこで…その別の自分に捕まってしまったのかもしれませんね。
あの部屋のひっかき傷と、キッチンにあるまな板の上に乗っていた小動物の死骸…
私はこの2つの事実から、とある動物が思い浮かびましたが皆さんはどうでしょうか…?
ほら思い浮かびますよね?
室内で飼えるひっかき傷をつけれる動物…そして、その動物が好んでよく捕まえてくる小動物は…
彼女はおそらくその動物霊の魂が宿った別の自分に―
No3.自分をなくした女・END
:11/11/26 01:18
:W62P
:☆☆☆
#48 [怪男]
No4.ポンタの恩返し
投稿者.岡田佳枝(仮名)
:11/11/26 01:25
:W62P
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#49 [怪男]
皆さんは“霊”と聞いてどんなものを想像しますか?
私はですね…ありきたりですがズバリ…
“髪の長い女性”ですね。
怖い話とかに出てくる霊って大抵はそうじゃないですか?
でも霊は霊でも、害がなく怖くもない霊もちゃんといるんですよ。
これは岡田佳枝さんという一人暮らしの女性から頂いた、飼っていた愛犬に関する不思議なお話…
:11/11/26 01:33
:W62P
:☆☆☆
#50 [怪男]
岡田さんは平凡な田舎の家に一人で住んでいる60歳の方。
岡田さんには最愛の夫がいましたが数年前に心臓の病気が原因で他界してしまいました。
それからは一人寂しく過ごしてきたそうです。
しかしある日の夜…激しい雨の降る中、溜まっていたゴミを捨てに行った岡田さんは、ゴミ置き場から少し離れた所で「拾ってください」と書かれた紙が貼られた大きめのダンボールを見つけました。
まさか生まれたての赤ん坊でも入れられているのかと思い、迷わずすぐにダンボールの口に貼られたガムテープを剥がして箱を開けた。
:11/11/26 01:48
:W62P
:☆☆☆
#51 [怪男]
中に入っていたのは赤ん坊ではなく、中くらいの大きさの薄茶色の毛をした柴犬でした。
犬は岡田さんの顔をつぶらな瞳で見上げながら体を小さく震わせています。
そんな目をしながら寒くて震えている犬を放っておけないと思った岡田さんは 箱の中に手をそっと入れて優しく犬を抱きかかえると、家に連れて帰った。
「かわいそうにねえ…」
とりあえず寒がっているのをどうにかしようと、薪ストーブの前に洗い立てのタオルを敷いて、その上に犬をそっと乗せました。
:11/11/26 02:01
:W62P
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#52 [怪男]
しばらくして場所を離れていた岡田さんが戻ってくると、犬は落ち着いたのか目をつむって気持ち良さそうに眠っていた…その時はそう思っていた。
「お前の名前決めなきゃね…」
話しかけるように言い、犬のそばに正座をして名前を考えました。
「ポンタ…うん、ポンタがいい」
名前の由来は特になかったそう。
何気に思いついたのだそうだ。
「よしよし…今日からポンタ…お前は家で…」
そう言ってポンタを抱き上げた時の感覚は一生忘れないと後に岡田さんは言っている。
さっきからストーブの前にいたはずなのにポンタの毛がやけに冷たい。
…嫌な予感がした。
:11/11/26 02:23
:W62P
:☆☆☆
#53 [怪男]
予感は的中しました。
ポンタはすでに息を引き取っていました。
その顔はただ眠っているようにしか見えなかったという…
でも信じたくなかった岡田さんは、ポンタに向かって何度も名前を呼び続けた。
何度も何度も…
岡田さんはその場で正座したまま眠りについて、気がついたら朝になっていた。
岡田さんの膝の上に乗っているポンタはすでに生気はなく、体重は軽く体は冷え切っていた。
:11/11/26 02:33
:W62P
:☆☆☆
#54 [怪男]
その日、庭にポンタの遺体を埋めてからだという。
岡田さんの周りで不思議な事が起こるようになったのは―
夜に、ポンタが捨てられていたゴミ置き場のゴミの山の中から犬の鳴き声が聞こえたり、昼間に庭で趣味の園芸をしていると庭を何かが走り回っているような気配を感じたり…夜部屋で寝ようとしている時もふと何かの視線を感じたり…
しかし岡田さんは不思議と怖さは全く感じてはいなかった。
なぜなら…
「ポンタは私の心の中で生き続けていて、独り身の私をいつまでもそばで見守ってくれているから」
だという。
:11/11/26 02:51
:W62P
:☆☆☆
#55 [怪男]
岡田さんはこうも言っている。
「あの夜、もしポンタを見つけていなかったら私はすぐにでも夫の後を追っていたかもしれない」
…と。
ならポンタは岡田さんにこう言っているのでしょうね…
「ボクの命を少しの間だけでも守ってくれた人が自分の命を簡単に捨てるなんて駄目だよ。どうせならボクの分まで長生きしてくれなくちゃ」
…と。
ポンタは岡田さんにその気持ちを持ち続けられるよう願いながら
「ボクはここにいるよ」
と岡田さんにメッセージを送っているのかもしれません。
No4.ポンタの恩返し・END
:11/11/26 03:10
:W62P
:☆☆☆
#56 [怪男]
No5.ラブホにて
投稿者.M・T
:11/11/26 03:15
:W62P
:☆☆☆
#57 [怪男]
ラブホ…ラブホテル。
残念ながら私には一切ご縁のない場所でございます、ええ。
ラブホテルって結構心霊体験する人が多いと聞きますね。
今回の投稿者、M・Tさん。
彼は…いわゆるチャラ男らしいです。
「今まで色んな女とやってきた」
…と自慢気に話してました。
だから何だよって話なんですよね、そういうのにご縁がない私にとってはもう。
このチャラ…じゃなくてM・Tさんと、彼と一緒にホテルに来た女性のおニ人がラブホテルで体験したという心霊体験をご紹介します。
:11/11/26 03:23
:W62P
:☆☆☆
#58 [我輩は匿名である]
オチが微妙なのばっかり
:11/11/26 15:31
:Android
:☆☆☆
#59 [怪男]
M・Tさん(以後Tさんとさせて頂きます)は今日の夜もその持ち前のルックスで道行く女性に声をかけ、言葉巧みに口説き、大通りの路地裏に聳え立つラブホテルへと女性を誘った。
会計を先に済ませ部屋のドアを開ける…すると女性がドア越しに室内を見渡して、こう言った…
「なんか…空気重くない?」
Tさんは適当に気のせい気のせいと言い、女性の肩に手を回し室内へと足を踏み入れた。
:11/11/26 23:42
:W62P
:☆☆☆
#60 [怪男]
まずTさんがシャワーを浴び、次に女性…そしてすぐに行為へと持っていく。
蛍光灯ランプの小さな明かりだけがついた薄暗い部屋のベッドで女性が下で仰向けになり、Tさんがその上に覆い被さる。
お互い目をつむり、くねくねと動きながらキスをして…女性が一瞬だけ目を開けた時だった…。
覆い被さるTさんの真上…そう、天井に何か妙なものを見たという。
しかし上のTさんのくねくねという動きのせいでよく見えなかったので、気にせず再び目をつむった…。
:11/11/26 23:55
:W62P
:☆☆☆
#61 [怪男]
再び女性がそれを見たのは、本番行為をしている最中。
仰向けになって小さな声で喘いでいると再び天井に何か小さな白いものが…
さっきはTさんの体でよく見えなかったが、今度は真っ直ぐ天井を見据える事ができる。
声を出しながら目をこらしてそれをじっと見つめていると、天井の白い何かが人の手である事に気がついたそう…
しかもそれは手首から先だけで…腕など他の体の部位はなかった。
「あれ…」
それを凝視しながら天井を指差すと、Tさんは腰の動きを止めて天井に目をやった…。
:11/11/27 00:11
:W62P
:☆☆☆
#62 [怪男]
「へ…?なんだありゃ…手?」
それはTさんにもしっかり見えていたという。
薄暗い部屋の天井に小さく光るように浮いている白い手。
特に何をする訳でもなく、ただフワフワと…。
「なんかシラけんな」
Tさんのアレはすっかり小さくしぼんでいた。
服を着て煙草を吸うTさん。
手はまだ天井にある。
ふと持っていた煙草の箱をその白い手目掛けて上に投げつけた…。
:11/11/27 00:22
:W62P
:☆☆☆
#63 [怪男]
すると…その手はスッと消えていきました。
一体何だったんだと思っていると…今度はベッドの下から突然足元を掴まれた感覚になり…足元を見ると、あの白い手がTさんの足首をがっしりと掴んでいた…。
「うわあ!」
反射的に足をよける。
「どうしたの!?」
と女性も驚いた様子で尋ねた。
:11/11/27 00:30
:W62P
:☆☆☆
#64 [怪男]
でもTさんは男としてプライドがあったからなのかはわかりませんが、あの手に足を掴まれたとは言いたくなかったんですね。
だから、煙草の火が手に当たってしまって熱くて思わず声をあげたと言いました。
一刻も早くこの部屋を出たくなったTさんは煙草を吸い終え、ジャンパーを着て帰り支度をしていると…ベッドに座っている女性が震えた声で…
「た…す…けて…」
と体は前に、顔だけをTさんの方に向けてそう訴えています。
:11/11/27 00:48
:W62P
:☆☆☆
#65 [怪男]
やがて女性は自分の足元に視線を向けた。
まさか…
怖かったが、恐る恐る女性の方に向かい、彼女の足元を見た…。
すると…あの白い手が今度は彼女の足首を掴んでいた。
「ね…え…たす…け…て…?」
女性はますます声を震わせる。
だがTさんは彼女を見捨ててその部屋から一目散に逃げたという。
:11/11/27 00:56
:W62P
:☆☆☆
#66 [マヨ]
気になります!頑張ってください!
:11/11/27 00:57
:W61T
:☆☆☆
#67 [怪男]
その後、その女性がどうなったのかはわからないらしい。
おそらく彼女を見捨てて逃げた自分を彼女は恨んでいるだろうと、後にTさんは苦笑いしながら話している。
あの白い手も、Tさんが煙草の箱を投げつけさえしなければこうなる事もなかったと思いますけどね…。
男のプライドを自ら傷つけたTさんは今日も道行く女性に声をかけているのでしょうか?
No5.ラブホにて・END
:11/11/27 01:07
:W62P
:☆☆☆
#68 [怪男]
>>66ありがとうございます。
オチが微妙で申し訳ないですが。
:11/11/27 01:09
:W62P
:☆☆☆
#69 [怪男]
No6.ぬいぐるみ
投稿者.苺みるく
:11/11/27 01:11
:W62P
:☆☆☆
#70 [怪男]
あなたには大切に使っているものはありますか?
よく言いますよね。
その大切に使っていた物の持ち主が亡くなると、その物には使っていた者の魂の一部が残ると。
今回の投稿者、苺みるくさん。
彼女は大学のお友達数人で、数ヶ月前に一家が惨殺されたという家に深夜肝試しに行く事になったそうです。
その家で見つけたぬいぐるみに関するお話です。
投稿者の苺みるくさんは後にこう言っています。
「そういった場所に行く際…むやみにその場所にある物に触ったり壊したり持ち帰ったりしない方がいい」
…と。
ではその苺みるくさん達が体験した怖いお話をどうぞ。
:11/11/27 01:22
:W62P
:☆☆☆
#71 [怪男]
※以下、投稿者苺みるくさんの投稿文をそのまま載せます。
これは私が大学に入って間もない頃に体験したお話です。
大学の食堂で友達数人でお昼ご飯を食べていると、男友達の一人が明日の深夜に肝試しに行かないかと提案してきました。
みんなは乗り気でOKしましたが、私は怖いのが苦手だった事もあり一度は断りましたが、女友達に何度も行こうよとお願いされ結局嫌々行く事になりました。
場所は、数ヶ月前にとある一家が惨殺されたという一軒家だそうです。
今思えば、やっぱり無理にでも断ればよかったなと後悔しています…。
:11/11/27 01:40
:W62P
:☆☆☆
#72 [怪男]
当日、深夜1時頃に待ち合わせ場所にみんな集まってから、その一家惨殺があった家へと向かいました。
男性は3人、女性は私を入れて3人の計6人です。
怖いねーとか言いながら歩いていると、古そうな民家が立ち並ぶ場所にその家はありました。
ここだ、ここだと男友達が騒ぐように入り口に駆け寄っていったので私達も後に続きます。
表札には“青木”という名字が書かれていて、その下にはベニヤ板のようなものに所々かすれた黒いマジックでこの家に住んでた人達のものと思われる名前も書かれてました。
名前は4つで
“ひろゆき”
“みなこ”
“たくや”
“みゆ”
とありました。
:11/11/27 02:02
:W62P
:☆☆☆
#73 [我輩は匿名である]
気になります(>_<)
:11/11/28 03:37
:P06C
:☆☆☆
#74 [
]
気になって寝れません

笑
:11/11/28 23:21
:P10A
:☆☆☆
#75 [怪男]
:11/11/29 23:54
:W62P
:☆☆☆
#76 [怪男]
その名前を見て一瞬だけ幸せそうな家庭の様子が頭に浮かんできて…それだけに一家惨殺はとても悲しい出来事だと思いながらも、私達は男友達の後ろについて中へと入りました。
割れたガラスや色々な物が散乱している廊下を懐中電灯を照らしながら歩いていると、男友達の一人が「こんな大人数で行動してもなんだから男女二人ずつペア作って、何か見つけてくるってのはどう?」と提案してきました。
私は「やめたほうがいい」と何度も言ったのですが、男友達も女友達もみんなやる気満々って感じで騒ぎだし、私の言う事など聞く耳を持ってくれません。
それで仕方なく参加する事になりました。
廊下の真ん中に輪っかになるようにしてしゃがんで誰と誰がペアになるかなどを決め…私はこの肝試しを計画した男友達とペアに。
そして他のペアも決まった所で、ここからは一緒に行動する相手以外とは別行動という事になり、私達はペアの男友達と二階のある階段へ向かいました。
階段は歩く度にギシギシと軋んで、それがまた不気味でした。
:11/11/29 23:57
:W62P
:☆☆☆
#77 [怪男]
階段を上がって二階の廊下へ出ると部屋のドアが3つほどあって、順番に調べようという事になり最初に手前側にあるドアが半開きになっている部屋に入りました。
そこはおそらく表札の下にあった板に書かかれていた“みゆ”という人が使っていたと思われる可愛いらしい女性の子供部屋で、室内はそれほど荒れてなく綺麗なものでした。
「そこで何か探してみて」とペアの男友達に言われたのでとりあえず目に入った棚を調べてみると、埃もかぶってなく、まるで最近購入したばかりようなそれほど汚れもないぬいぐるみがポツンと置かれていたんです。
それは男女問わず子供…いや大人でも好きな人はいる某人気アニメに登場する鼠をモチーフにした黄色いキャラクターの中くらいの大きさのぬいぐるみでした。
私がそれを手に取って眺めていると「あ、それCMで見た事ある。確か録音機能ついてんだよな」といきなり横に現れた男友達がぬいぐるみを見て言いました。
録音ができるぬいぐるみなんて初めて見た私は少し興味が出てきて、どこをどういじったら録音できるのか、ぬいぐるみを隅々まで見て録音スイッチを探しました。
:11/11/30 00:00
:W62P
:☆☆☆
#78 [怪男]
もしかして裏側かなと思ってひっくり返してみると、その部分だけ機械が露出していて、そこにホクロのように小さいボタンがいくつかついていて、その中に赤い色のものがあったのでこれが録音ボタンなのがわかりました。
「ちょい貸して!」
適当にボタンを押そうとした時、目を輝かせた男友達がそれを私から奪い取りボタンをまじまじと見ています。
やがて何かのボタンを押し、しばらくすると“ザザザザ…”と何かノイズのようなものがぬいぐるみ全体から聞こえてきました。
:11/11/30 00:05
:W62P
:☆☆☆
#79 [怪男]
そのノイズを数十秒間じっと聞いていると、それは段々と人の声のようなものへと変わってきました。
“ア゛ア゛ア゛ア゛”…みたいな女性のうめき声のような感じになってきて、全身鳥肌が立ち怖くなったのですが男友達は「なにこれすげえ!」と全く怖がるそぶりを見せず、それどころか逆に興奮しはじめたのです。
結局私達が持っていくものは、このぬいぐるみになりました。
彼が「これにする!」ときかなかったので仕方なく…。
でもおかげで残り2つの部屋を見る事はなく戻る事になったので内心安心しました。
先ほどみんなと別れた廊下へ戻ってきた時にはうめき声のようなノイズはすでに消えていました。
しばらく廊下で待っていると他の2組のペアが戻ってきて、男友達はいずれも片手に何かを手にしています。
:11/11/30 00:09
:W62P
:☆☆☆
#80 [怪男]
さきほどと同じく輪になるようにしゃがんで、互いに見つけたものを紹介する事になり…
1組めは母親が書いていたと思われる家計簿。2組めは刃の先に乾いた薄黒い血のようなものが付着しているハサミ。
そして最後に私達ペアが見つけたぬいぐるみを紹介しました。
「いいか、聞いてろよ」と男友達が裏についているボタンを適当に押したのですが、しばらく待っていてもついさっきまで聞こえていたノイズが再生されません。
ずっと無音のままなんです。
:11/11/30 00:11
:W62P
:☆☆☆
#81 [怪男]
「おっかしいな〜」
困った顔をしながらいう男友達は、無音のままのぬいぐるみに段々とイライラしてきたようで、信じられない行動をとりました。
片手に持ったぬいぐるみ上に振り上げたと思うと、露出してある機械の部分を思い切り床に叩きつけたのです。
彼は狂ったように何度も叩き続けてました。
ガン!ガン!ガン!
さすがにヤバいと感じたのか男友達の一人が止めようと、腕を掴んで彼の手を止めました。
:11/11/30 00:24
:W62P
:☆☆☆
#82 [怪男]
ふと床を見たらぬいぐるみのそばに機械の部品の破片が散らばっていて、機械が壊れて使えなくなったという事がわかりました。
「もう帰ろうよ…」
シーンと静まりかえった中で女友達が震えた声で言いました。
さっきまでは軽く騒いでいた彼女が一変して今度は半泣き状態でその場にうずくまっていました。
男友達はみんな顔を見合わせて視線で合図を送ったあと「帰るか」と言って立ち上がって、帰る事になりました。
:11/11/30 00:37
:W62P
:☆☆☆
#83 [怪男]
そして一列で玄関へ向かって歩き出そうとした瞬間、最後尾にいた女友達が「キャッ!」と小さな悲鳴をあげたんです。
みんな何事かと思って事情を聞くと、背筋が凍るような言葉が彼女の口から出ました。
「い…いま…服の後ろ…誰かに引っ張られた…」
そう言うので彼女の後ろを懐中電灯を照らして確認してみましたが、もちろんそこには誰もいません。
:11/11/30 00:47
:W62P
:☆☆☆
#84 [怪男]
男友達は「気のせいだろ」と軽く流して再び前を向いて玄関へ向かいました。
私は怖がっているそんな友達をほっとけず、彼女の手を握って横に並んで歩きました。
なんとか外に出る事ができ、一安心したのも束の間でした。
「そこでなにしてるの!」
後ろから突然大きな声がしてみんな一斉に振り返ると、そこには見回り中の警察官が懐中電灯を片手に立っていたんです。
なんとか事情を話して納得してくれましたが、約十分くらいこっぴどく怒られてしまいました。
:11/11/30 01:03
:W62P
:☆☆☆
#85 [怪男]
やっと解放されるという時、事情を聞かれた際に話したぬいぐるみの事で警察官の人がいいました。
「そうそう、そこの兄ちゃん。そういうところにある物を壊しておいてほったらかしにしといたらあかんよ。ちゃんと新しいものを買ってお墓にお花と一緒にお供えして謝る事。いいね?」
ぬいぐるみの機械を壊した張本人の男友達は参ったなという表情をしていました。
その数日後、ぬいぐるみを壊してしまった男友達がなぜかあの家で遺体で発見されたというニュースを見て衝撃が走りました。
:11/11/30 01:19
:W62P
:☆☆☆
#86 [怪男]
彼はあの家の廊下で無残な姿で亡くなっていたそうです。
更にもっと驚いた事がありました。
廊下にあったはずのあの壊れたぬいぐるみがその場から消えていたらしく、廊下どころか家の中から完全に消え失せていたそうなのです。
壊した際に散らばった機械の破片も跡形もなく…。
あの後に誰かが訪れて、持ち去っていったのか…真実は未だにわかりません。
最後に…
一つだけひっかかっている事があるんです。
:11/11/30 01:29
:W62P
:☆☆☆
#87 [怪男]
あの日、警察官の人が言った言葉がどうにも―
No6.ぬいぐるみ・END
:11/11/30 01:32
:W62P
:☆☆☆
#88 [怪男]
No7.自販機の下に潜むもの
投稿者.下田
:11/11/30 01:38
:W62P
:☆☆☆
#89 [怪男]
前のお話の最後で投稿者の苺みるくさんがひっかかっている事があると仰っていましたが、どうやら解決したようですよ。
それを聞いて私も納得しましたよ。
皆さんはどうでしょう?
わからない方にヒントをおひとつ。
警察官の方に事情をお話ししたのは、ぬいぐるみを壊した男友達の方ではないそうですよ。
あとぬいぐるみを壊してしまった事も警察官にお話しました。
ええ…“ぬいぐるみを壊した”という事だけは。
あと、消えた録音機能付きのぬいぐるみの事も気になりますが…そろそろ時間切れなので次のお話いってみましょう。
:11/11/30 01:50
:W62P
:☆☆☆
#90 [怪男]
自販機…自動販売機。
とても便利ですよね。
私、怪男の家の前にもありますよ。
5〜6歩進むだけですぐたどり着きます。
ところで皆さんは自動販売機の下を見た事はありますか?
よくテレビとかで誤ってお金を自動販売機の下に落としてしまう人を見ますが、私はそんなヘマをした事はありません。
まあお金を落とした事はありますが、自販機の下に転がっていかせた事はありません。
:11/11/30 01:58
:W62P
:☆☆☆
#91 [怪男]
今回の投稿者、下田さん。
彼はとてもおっちょこちょいで、普段から非常に忘れ物や落とし物が多いそうです。
そんな下田さんの家の近くには古びた煙草の自動販売機があるそうなのですが、ある日の夜、会社帰りにその自動販売機で煙草を購入したんですね。
それで…おっちょこちょいな所がありますから、小銭を取り出す際に小銭を派手に地面にばらまいてしまったと。
夜の静かな住宅街に「チャリーン!」と地面に小銭が跳ねる音が響いてしまい…彼も「あぁっ!」と反射的に大きな声を出してしまい…落ちた小銭をしゃがんで一つ一つ拾っていきます。
:11/11/30 02:10
:W62P
:☆☆☆
#92 [怪男]
自販機の下にも転がっていったかもしれないと思って下を覗いたんですね。
いやないなと顔をあげようとした瞬間、ほんの一瞬だけ奥の方で何かの視線を感じたらしく自販機の下を二度見した下田さん。
すると…いたらしいですよ。
暗闇の奥から大きく見開かれた何者かの目が下田さんの方をじっと見つめていたのです。
自販機と地面の間はほんの数センチしかあいていないので、そんな所に人なんかが入れるわけはありません。
怖くなった下田さんはそのままダッシュで逃げたそうですが…
おっちょこちょいな性格は相変わらずで…逃げる際に財布とカツラを落としていかれたと。
No7.自販機の下に潜むもの・END
:11/11/30 02:36
:W62P
:☆☆☆
#93 [怪男]
No8.深夜3時のノック
投稿者.名無しさん
:11/11/30 02:43
:W62P
:☆☆☆
#94 [怪男]
俺が高校生だった頃の話。
深夜いつものように自分の部屋でパソコンでYouTubeとかニコ動とか見てた。
よく覚えてないけど深夜3時くらいだったかな?
俺の部屋のドアが突然ノックされた訳よ。しかもかなり大きな音で。
こんな時間に俺の家族が起きてる訳ないのね。だからなんかビビッてちびりそうになったのを覚えてる。
とりあえず様子見ようって事でまたパソコンに向き直して動画を見てた。
それからノックは一度もなかったんだが、次の日も同じように深夜3時頃に俺の部屋がノックされたんだよ。
2日連続ともなると深夜とはいえ家族の誰かのイタズラなのかと思えてきて、ついにキレた俺はドアを思いきり蹴ったんだ。
:11/11/30 02:58
:W62P
:☆☆☆
#95 [怪男]
そしたらドアの向こうで母親が深夜だというのに騒ぐように言ったんだ。
「やっぱりいるんだね!」
俺は何の事かさっぱりで首を傾げてたら、向こうから父親や弟の声も聞こえてきた。
「兄ちゃん…」
弟の声はなんか寂しそうだった。
母親の泣き声も聞こえてくるしで、このドアの向こうで一体何が起こってるのかと。
俺はドアを開けてみた。
そっからの記憶はない。
No8.深夜3時のノック・END
:11/11/30 03:10
:W62P
:☆☆☆
#96 [怪男]
No9.一番怖いのは人間(前編)
投稿者. ―
:11/11/30 03:19
:W62P
:☆☆☆
#97 [怪男]
お話も残り2話となりました。
今回は投稿者はいません。
最後のお話は私、怪男のオリジナルストーリーで締めたいと思います。
前編・後編があります。
かなりの長編になるかと思いますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
お話のテーマは“人間の狂気”となっております。
※文章にグロテスクな表現が多く含まれます。
苦手な方は読まないでください。
では前編の始まりです。
:11/11/30 03:30
:W62P
:☆☆☆
#98 [マヨ]
気になる( ̄∀ ̄)イ
:11/11/30 23:48
:W61T
:☆☆☆
#99 [怪男]
:11/12/01 12:31
:W62P
:☆☆☆
#100 [怪男]
安坂家―
一見幸せそうに見える5人の家族…
しかし5人はそれぞれ誰にも言えない秘密を抱えている…
【安坂 渓子】
45歳、妻、専業主婦。気さくで明るい性格。
現在、夫以外の男性と秘密で不倫中。
ある日、息子と知らない男性による薬の売買現場を目撃。
【安坂 幸宏】
46歳、夫、サラリーマン。いつもおとなしく何を考えているのかわからない。
実は隠れた同性愛者。
次女が妻を脅している現場を目撃し、解決策を練ようとする。
【安坂 美緒】
19歳、長女、大学生。母親同様気さくで明るい性格。
家族にも友達にも秘密でこっそり風俗店で働いている。
ある日、父親が男性と親密そうに歩いているのを目撃。
【安坂 勇紀】
17歳、長男、高校生。父親同様おとなしい性格。
大学受験の密かなストレス発散として知り合いから勧まれた薬をやっている。
ある日、長女の風俗店での出入りを目撃する。
【安坂 夏美】
16歳、次女、高校生。気が強く喧嘩っぱやい。年頃のせいでグレている。
母親の不倫現場を目撃してからは、何かと母親を脅す。
幸せそうな5人の家族の歯車が今、狂いだす―
:11/12/01 12:37
:W62P
:☆☆☆
#101 [怪男]
朝の日差しが照らされた先に安坂家はある―
「ほら起きて!勇紀!」
来年大学受験を控えている長男・勇紀が母・渓子の大声によって起こされた。
勇紀はいつも起こされない限り永遠に眠っているので、そんな勇紀に渓子はいつも手をやいている。
「おはよ、もうみんな起きてるよ。早くご飯食べちゃって!」
無理矢理起こされた勇紀は寝ぼけ眼で寝癖の髪を掻きながら階段を下り洗面所へ向かう。
:11/12/01 12:49
:W62P
:☆☆☆
#102 [怪男]
長男・勇紀編
:11/12/01 12:51
:W62P
:☆☆☆
#103 [怪男]
眠たい目を水で荒い流しスッキリした勇紀はすぐご飯へ。
食卓にはいつもと同じような平凡なおかずが並ぶ。
白いご飯、わかめと豆腐の味噌汁、目玉焼き。
「お、勇紀、今日もおそようだな」
勇紀が椅子に座るなり馬鹿にしたように味噌汁の碗を片手に言う、向かい側に座る父・幸宏。
:11/12/01 13:04
:W62P
:☆☆☆
#104 [怪男]
「相変わらずだよね〜」
その父の隣でオレンジジュースが入ったグラスを片手にクスクスと笑うのは、勇紀の姉である長女・美緒。
「ほっといてよ」
と、こんな平和な日常生活を送っている安坂家。
そんな平和な日常という塊に、少しずつヒビが入っていく事になるなど誰が予想しているだろう―
:11/12/01 13:13
:W62P
:☆☆☆
#105 [怪男]
午前7時45分…
「じゃあ行ってきます」
まず一番に家を出ていくのはサラリーマンをしている父・幸宏。
午前8時10分…
「行ってきます」
次に勇紀。
勇紀の通っている高校は歩いて数分の所にあるので、遅めに出る。
:11/12/01 13:22
:W62P
:☆☆☆
#106 [怪男]
午前8時20分…
「夏美…今日もなの?」
ため息混じりでそう言う妻・渓子の視線の先にはソファーでテレビを見ている高校1年生の次女・夏美の姿。
「っせえな…人の勝手だろ」
まるで男のような言葉遣いで反発する次女にも妻・渓子は手をやく。
「もう学校5日も休んでるんだよ? このままだと留年するよ!」
「あーうぜ、余計なお世話。それよりそのダミ声なんとかなんないの?朝っぱらから耳障りなんだけど」
「…………」
ああ言えばこう言う口減らずな所は一体誰に似たんだか、といつも思う妻・渓子である。
:11/12/01 13:34
:W62P
:☆☆☆
#107 [怪男]
「じゃあ今日の夜はすき焼きにしようと思うんだけど、暇なら材料買いについてきてくれる?」
「…は、めんどくせえし。てかなんもない日になんですき焼きなの?」
「夏美すき焼き大好物でしょ?」
「答えになってねーし。もういいや、学校遅刻していく」
次女・夏美はソファーから立ち上がって自分の部屋へと向かった。
「まったく…」
そんな次女の後ろ姿を見ながら再び大きなため息をつく母・渓子。
:11/12/01 15:43
:W62P
:☆☆☆
#108 [みゆ]
あげます(^O^)
:11/12/09 12:56
:841SH
:☆☆☆
#109 [我輩は匿名である]
:11/12/11 13:49
:U1
:☆☆☆
#110 [匿名]
:11/12/11 15:18
:SH003
:☆☆☆
#111 [マヨ]
同じ名前だからなんか楽しいです♪
気になる( ̄∀ ̄)イ
頑張って下さい(^^)
:11/12/17 00:51
:W61T
:☆☆☆
#112 [怪男]
皆さんありがとうございます。更新します。
:11/12/17 12:27
:W62P
:☆☆☆
#113 [怪男]
長男・勇紀の学校―
朝のホームルームが終わり
一限目の授業が始まるまでの数分間
教室内は雑談タイムである。
勇紀は前の席の男友達と受験についての話をしていた。
「お前大学行くんだろ?」
羨ましそうな顔で勇紀に尋ねる男友達。
「まあね。たっちゃんは家の仕事手伝うんでしょ?」
「そうなんだよ。親父に、高い金払ってまで大学通う必要なんかないとか言われちゃってさぁ」
「それは…むちゃくちゃだね」
苦笑いで言う勇紀。
:11/12/17 12:40
:W62P
:☆☆☆
#114 [怪男]
「親父の奴、自分も大学行ってなかったからあんな事言えるんだよな」
「頑固親父って感じだね」
「そう、それよ!」
あはは、と笑い合う二人。
『キーンコーンカーンコーン…』
そんな一時の雑談タイムは一限目が始まるチャイムによって終了する。
「一時間目からいきなり数学とか鬱だわな」
男友達はめんどくさそうな顔で言って前に向き直した。
:11/12/17 12:49
:W62P
:☆☆☆
#115 [怪男]
『数学』
男友達は数学が鬱だと軽く言ったが
勇紀にとっては重くのしかかるほどに苦手で嫌いな教科である。
数字の集まりを見るだけでも頭が混乱し滅茶苦茶になる。
吐き気にも襲われる事があり、数学の時間が終わると一人こっそりトイレに行き嘔吐する事も多くあった。
数字アレルギーとでも言うべきなのだろうか。
おかげで数学が終わった後はしばらくの間極度のストレスにさらされる。
:11/12/17 13:12
:W62P
:☆☆☆
#116 [怪男]
そんな勇紀のストレス発散法は
人や物に当たる事でも、カラオケで熱唱する事でもない…
知り合いから勧められた薬…いわゆる麻薬だった。
あれは一カ月前の事。
数学の授業が終わるといつものように素早くトイレに駆け込み、個室で嘔吐した。
はあはあ、と息をしているとトイレに誰かが入ってくる足音。
口を押さえて黙っていると再び吐き気が襲い
『ガハッ!』
と、なんとも言えない声と共に便器の中に汚物を出してしまった。
:11/12/17 13:25
:W62P
:☆☆☆
#117 [怪男]
「(マズい…聞かれた!)」
そう思っていると突如、勇紀が入っている個室がノックされ…
「あのぉ〜大丈夫っすか?」
と、チャラ男っぽい声の男がドア越しに聞いてきた。
勇紀が黙っていると、やがて男はとんでもない行動に出る。
ジャンプをしドアの上に両手をかけると、その間から個室の中を覗いてきたのだ。
:11/12/17 13:38
:W62P
:☆☆☆
#118 [怪男]
勇紀がその行動に気がついて反射的に上を見上げると
そこに髪を金色に近い感じの色に染めた、まさにチャラ男というべき人物が勇紀を凝視していた。
バッチリ目が合ってしまい、数秒間見つめ合った後…チャラ男が最初に口を開いた。
「具合悪いの?」
一見、心配そうな言葉に聞こえるが彼の目は笑っていた。
心配してるように見せて、どこか面白がっているような…。
:11/12/17 13:50
:W62P
:☆☆☆
#119 [怪男]
しばらく気まずい雰囲気が続いた後
勇紀は苦笑いして言った。
「あ…うん、大丈夫」
するとチャラ男は少しニヤニヤさせた顔を引っ込めて床に下りる。
水を流してドアを開け、男が見ている中…蛇口で手を洗い、さっさとトイレから出ようとしたその時…
「ちょっと待って!」
後ろでチャラ男が勇紀の腕を掴んで言った。
:11/12/18 15:27
:W62P
:☆☆☆
#120 [怪男]
勇紀は驚いたように男の方を振り返る。
すると彼は歯を出してニカっと笑うと、いきなり勇紀の肩に手をやってきた。
「な、なに…?」
どのクラスの男だろうか、やけに馴れ馴れしい。
チャラ男の行動にただオドオドしていると、今度は勇紀の耳元でこう囁いてきた。
「よく吐くの?」
小さく笑いながらそう言ってくる男に頭にきた勇紀は、肩に置かれた手を払いのける。
:11/12/18 15:40
:W62P
:☆☆☆
#121 [怪男]
「なんだよ!ただ聞いただけじゃねーかよ!オイ!」
なぜかチャラ男は逆ギレしてきた。
気があまり強くない勇紀は、チャラ男の突然の大声に、思わず腰が抜けたように床にへたり込む。
すると彼は怒り顔からすぐ普通の表情に戻り、へたり込む勇紀の前にしゃがんで、さっきと同じく歯を出してニカっと笑いながら言った。
「悪い、驚いちゃった?」
勇紀は、怒った所ではなく表情や態度がすぐに変わる彼に少し恐怖を覚えた。
:11/12/18 15:56
:W62P
:☆☆☆
#122 [怪男]
「立てる?」
「だ、大丈夫」
勇紀がゆっくり立ち上がると、チャラ男は制服のポケットに手を入れ、その中から取り出した何かをグーで握りしめたまま勇紀の方に突き出して言った。
「お詫びにこれやるよ。手ぇ出して」
言われた通り手を差し出す勇紀。
チャラ男のグーの手から勇紀の手の平へ何かが落とされる。
恐る恐る手の平に目をやると、そこには小さなカプセルが三つあり、その中には白い粉が詰まっていた。
:11/12/19 11:35
:W62P
:☆☆☆
#123 [怪男]
「これなに? 風邪薬?」
「そ…そうだよ。さっき吐いてたじゃん?だからやっぱ具合悪いのかなぁと思ってさ」
一瞬だけ口ごもったのが引っかかった 勇紀だが、その時はまだこのカプセルに入った白い粉の正体が覚醒剤だとは知らず…
「ありがとう」
と、そのカプセルをありがたく貰ってしまった。
:11/12/19 11:53
:W62P
:☆☆☆
#124 [怪男]
その日はこのカプセルを飲む事はなく、ずっと制服のポケットに入れたまま、翌々日を迎える。
一時限目、二時限目と授業が続き昼食の時、手を洗ってからハンカチを取り出すのにポケットに手を突っ込むと、一昨日チャラ男から貰ったカプセルが入っているのに気がついた。
「(五時限目は数学だし…飲んでおくか)」
そう思い、ズボンのポケットから財布を出して一階にある自動販売機へと向かった。
:11/12/19 12:24
:W62P
:☆☆☆
#125 [怪男]
自動販売機でペットボトルの水を買うと、その場でカプセル三つを口に入れ、最後に水を含む。
一瞬だけ苦い味がしたのが気になったものの、薬の味はだいたいこんなもんだろうと思い教室に戻った。
身体に異変が起きたのは、次の授業から20分ほど経過した時だった。
さっきまで何度も欠伸をするくらい眠かったはずが突然目が冴えてきて、身体が熱くなってきたのだ。
それも制服の上着を脱ぎ捨てたくなるくらいに。
「(なんだろ…熱い…)」
身体が熱くなるにつれて頭がボーっとし、顔も真っ赤になり、鼻息も荒くなる。
勇紀は、まるで赤いものを見て興奮している牛のような表情になっていた。
:11/12/23 00:47
:W62P
:☆☆☆
#126 [怪男]
そんな勇紀の異変に最初に気づいたのは、授業の担当教師である。
「おい安坂。どした?」
教師が大きめの声で言うと、生徒らの視線が一斉に勇紀に向けられた。
「え〜」
勇紀はボーっとした顔で力ない返事をすると、教師は首をかしげながら勇紀の元に近づく。
「安坂?具合でも悪いのか?」
「え〜っと…」
勇紀は再び力ない返事をし、教師の方を見上げる。
すると教師は勇紀から視線を外し、一人の生徒の方に向けて
「岩井!すまないが安坂を保健室へ頼む」
と、焦りの表情を見せながら言った。
:11/12/23 01:04
:W62P
:☆☆☆
#127 [怪男]
教師から指名を受けた岩井という男子生徒は、すぐに立ち上がって勇紀の元へ。
そして勇紀の真っ赤になった顔を見るなり、彼も焦りと驚きの表情を見せる。
「安坂…顔赤いよ。大丈夫?」
そう言いながら岩井は座る勇紀の肩に手をやってゆっくりと立たせた。
「歩ける?」
勇紀は歩く度にふらふらしていたが、そこは岩井がしっかり勇紀の身体を両手で支える。
保健室に着いて背を向けていた女の先生が振り返り勇紀を見ると、彼女もその真っ赤な顔に相当驚いていた。
:11/12/23 01:24
:W62P
:☆☆☆
#128 [怪男]
「熱は…あるわね」
勇紀の真っ赤なおでこを触り当然のごとく言うと、勇紀は…
「え〜。熱はないですよ〜」
と、楽しげな表情で答えた。
「こんな時にふざけないの!
とにかく…しばらくベッドで休んでなさい。岩井くんも授業に戻っていいわよ、ありがとう」
そう言われた岩井は軽く礼をすると、保健室を後にした。
:11/12/23 01:39
:W62P
:☆☆☆
#129 [零]
凄く気になります!
更新まってます!
:11/12/31 12:33
:P06C
:☆☆☆
#130 [怪男]
:12/01/02 12:01
:W62P
:☆☆☆
#131 [怪男]
「じゃあ安坂君、ベッドに横になってしばらく寝てなさい」
「はぁい」
身体をふらふらとさせながらベッドに向かい、靴を脱いでゴロンとベッドの上に仰向けになる。
目をつむるが興奮して目が冴えて、全く眠れず欠伸すらも出ない。
「先生〜眠れません〜」
まるでお酒でも飲んで酔っているかのような口調で、椅子に座る先生の方に顔だけを向けて言う。
先生は勇紀に顔を向けず机の上で紙にペンを走らせながら
「寝てなさいとは言ったけど、無理して寝る事はないわ。まずは熱を下げないとね」
と、勇紀とは逆に冷静な口調で返す。
:12/01/02 12:04
:W62P
:☆☆☆
#132 [怪男]
「だから、別に熱はないって言ってるのになぁ」
独り言のようにブツブツ言いながら顔を天井に向ける。
10分ほどが経過した時、保健室のドアが開いて男子生徒の声がした。
「先生、頭痛い」
「またなの?」
会話する先生と生徒の方に勇紀が何気なく顔を向けた時、その男子生徒と勇紀の目がバッチリと合った。
:12/01/02 12:06
:W62P
:☆☆☆
#133 [怪男]
その男子生徒は勇紀見るなり「おっ!」と声をあげて指をさした。
「あら、安坂くんのお友達?」
先生が二人の顔を交互に見ながら尋ねる。
「安坂っつーのか。まぁ友達っつーか…知り合い?みたいな」
「……?」
勇紀はしばらく顔に“?”マークを浮かべながら男子生徒の顔をじっと見つめる。
「つか、お前顔赤くね?風邪でもひいたの?」
彼のやけに馴れ馴れしい態度…勇紀は段々と彼が誰なのかを思い出していった。
「あ〜!!」
思い出したその時、ベッドに横になったまま大声をあげて彼に指をさし返す。
:12/01/02 12:08
:W62P
:☆☆☆
#134 [怪男]
「いきなりどうしたの安坂くん!」
勇紀の大声に思わず耳を塞ぐ先生。
彼の金色に近い髪…まさにあの時トイレで会ったチャラ男だった。
チャラ男は勇紀のそばまで来ると、耳元で小声で言った。
「お前もしかして…アレ飲んだ?」
「へ…?アレって?」
何の事だからわからず難しい顔をして黙っていると、チャラ男は更に小声で続ける。
「前にトイレであげたやつだよ。カプセルカプセル」
「……………………あ!」
思い出した。
:12/01/02 12:18
:W62P
:☆☆☆
#135 [怪男]
「二人共何コソコソやってるの?
赤木くん…安坂くんは熱があるんだからそっとしておきなさい」
赤木というそのチャラ男の後ろに先生が立って言う。
「あ、うぃっす」
「安坂くん、カーテン閉めるわよ。何かあったら呼んでちょうだいね」
最後に勇紀の目を見て言い、カーテンをシャッと閉める。
:12/01/02 12:45
:W62P
:☆☆☆
#136 [怪男]
すると赤木はカーテンを少し捲って勇紀の方に顔だけを覗かせて言った。
「安坂、今日学校終わったら校門の前に来て」
そう早口で言うと顔を引っ込めて先生の方に戻っていった。
それからしばらくして授業の終わるチャイムが鳴り、廊下が慌ただしくなる。
「具合はどう?安坂くん」
そう言いながら先生がカーテンをシャッと開ける。
すぐに勇紀の顔を見て
「まだちょっと顔赤いわね。一応熱計ってみようか」
と言うと白衣の胸ポケットから体温計を取り出して勇紀に渡す。
:12/01/02 12:57
:W62P
:☆☆☆
#137 [怪男]
「じゃあ私ちょっと職員室に行ってくるから…熱計り終えたら体温をここに記入してね。まだ身体が重いようならまだここで休んでてもいいし」
そう言って先生は紙とボールペンも勇紀に手渡す。
「ありがとうございます…」
身体はまだ熱く頭はボーっとするものの、興奮は収まりかけていた。
先生が保健室を出て室内がシーンと静まり返る中、勇紀は体温計を脇に挟んで電子音が鳴るのを天井を見つめながら黙って待つ。
:12/01/02 13:23
:W62P
:☆☆☆
#138 [怪男]
ピピピピピ―
三分ほどして電子音が鳴り体温計を脇から外して見る。
「37.6度…」
ポツリと呟きベッドから起き上がると、紙に体温を記入した。
―その時である。
ガチャッと扉が開く音がした。
先生かな?と思いカーテンを開けて見ると、そこにいたのは先生ではなく、あのチャラ男こと赤木だった。
:12/01/04 12:13
:W62P
:☆☆☆
#139 [怪男]
「よっ!安坂!」
相変わらず馴れ馴れしい態度でニコニコしながら勇紀に近づいてくる。
勇紀はすぐに尋ねた。
「あの薬何だったの?」
赤木は勇紀にそう聞かれるとしばらく黙ったが、やがて口を開いたと思うと…
「ところで…アレ飲んでどうだった?」
と、逆に質問してきたのだ。
:12/01/04 12:15
:W62P
:☆☆☆
#140 [怪男]
「ど、どうって……」
「なんつーかさ、雲の上にいるような感じで気持ちよくなかった?」
「え…なんかよく覚えてないけど、確かに…」
勇紀がそう言うと赤木は小声で答えた。
「あれ、覚醒剤だよ」
「……!!」
勇紀はその衝撃的な事実を聞いて、一瞬耳を疑い言葉も失う。
:12/01/04 12:16
:W62P
:☆☆☆
#141 [怪男]
「ま、まさかぁ」
こんなチャラチャラした男のいう事だ、どうせ冗談だろうと苦笑いしながら軽くあしらう勇紀。
すると赤木はニコニコ顔から真顔に変え一言…
「マジだよ」
そんな彼の表情を見た勇紀の苦笑いがピタリ止んだ。
「…本当…に?」
「マジ。知り合いに売買屋を紹介してもらってさ」
「…………」
勇紀の顔が次第に青ざめていく。
:12/01/04 12:18
:W62P
:☆☆☆
#142 [怪男]
「よかったらお前も買ってみなよ。売買屋紹介してやるから」
「い、いや俺はそんなの…」
「気持ちよかったんだろ?飲んだら嫌な事も忘れられるんだぜ?」
「嫌な事…?」
「そっ。勉強とかでストレス溜まる時あんじゃん?そういう時に便利なんだよ」
「…………」
勇紀は少し考え込んでから、赤木の顔を見て言った。
「く、詳しく教えて!」
―これがきっかけだった。
覚醒剤が勉強のストレスに効くと赤木に言われ心が揺らぎ結局、麻薬の道へと入り込む事になった勇紀。
:12/01/04 12:20
:W62P
:☆☆☆
#143 [怪男]
―その数日後の朝
勇紀は学校へ向かう前に、赤木に紹介された麻薬の売買屋と会うことになった。
もちろん家族には秘密にしたまま…。
その日、勇紀は『コンビニで文房具を買っていく』という口実を作りいつもより早く家を出た。
家から少し離れた人通りの少ない路地裏で売買屋が現れるのを緊張しながら待つ。
しばらくして、背後から突然声をかけられた。
「おい」
低い声がして後ろを振り向くと、そこには年齢が40歳くらいの顔は髭面、小太り体型で帽子を目深に被ったスーツ姿の男性が立っていた。
:12/01/04 12:23
:W62P
:☆☆☆
#144 [怪男]
「あ…」
そんな男性を前にして表情が強ばる。
「赤木の?」
少しの沈黙の後、男性がポツリと尋ねると勇紀は小さく首を縦に振って頷いた。
「買うの初めて?」
「え……あ、はい」
「だったらタダでやるよ」
男性は無表情でそう言い終えると、サラリーマン誰もが持つ黒い鞄を開けてゴソゴソと中に手をやる。
「じゃあこれ」
中から取り出して手渡されたのは、白い粉が入った小さな透明の袋だった。
:12/01/04 12:26
:W62P
:☆☆☆
#145 [怪男]
手の中の袋を珍しそうに見つめていると
「さっさと鞄にしまえ」
と威圧的な声で男性に言われ、慌ててすぐ鞄にしまう。
「俺から買ったって事は秘密だからな。覚えとけよ」
「は…はい」
こうして売買は五分足らずで終わり、男性の去っていく姿を最後まで見送った後、勇紀も歩き出した。
:12/01/04 12:29
:W62P
:☆☆☆
#146 [怪男]
あの時赤木から貰ったカプセルの中身が覚醒剤だとわかった今、薬は学校内では飲まなくなり、ほとんどは数学の授業がある日の放課後、公園の公衆トイレなどでペットボトルの水に混ぜて飲むようになった。
飲んだ後の、何もかも忘れられるこの時間が勇紀には病みつきになり、やがて中毒になっていく…。
そして約一カ月後の今に至る―
:12/01/04 12:44
:W62P
:☆☆☆
#147 [怪男]
数学の授業が終わり、その日の放課後―
勇紀はそそくさと学校を出てある場所へと向かった。
一カ月前、麻薬の売買屋と初めて会ったあの路地裏である。
薬が無くなったので、再び買う為だ。
「あ、こっちです!」
向こうからやって来る背の高い30代前半くらいの男性に向かって手を振る勇紀。
あの小太りの男性は仕事中との事だったので、彼の知り合いだという別の人が来た。
あれから、この知り合いの人とは何度か会っているので勇紀はもう慣れていた。
:12/01/04 12:59
:W62P
:☆☆☆
#148 [怪男]
「四つで5000円でどう?」
「えぇ?もうちょっとまけてくださいよ」
「仕方ねぇな…じゃあ半額の2500円でいいよ」
「ありがとうございます!」
そんな手慣れたやりとりを続け、お互い貰うものを貰い、彼が去るのを見送くってから勇紀も帰ろうと後ろを振り向いた時…
そこには、買い物袋を両手に持った母・渓子が唖然とした表情で立っていた。
「母さん…」
母の顔を見た勇紀の手から、白い粉が入った四つの透明の袋がするりと抜けて…地面に落ちた―
:12/01/04 13:13
:W62P
:☆☆☆
#149 [怪男]
母・渓子は勇紀の足元に落ちた袋を見てから、再び顔に視線を戻す。
そして呆然と立ち尽くしている勇紀に近づき眉をしかめて
「勇紀…どういう事なの?」
と、買い物袋を持った両手を小さく震わせながら尋ねた。
「……ご、ごめん…なさい…」
勇紀には、ただ謝る事しかできなかった。
当然言い訳はできず、その場にへたり込んで何度も何度も…。
何十回目くらい『ごめんなさい』と言った所で母・渓子は片手の買い物袋を下ろして勇紀の頭にそっと手をやった。
:12/01/05 12:52
:W62P
:☆☆☆
#150 [怪男]
そして一言…
「帰ろう。今日はすき焼きだよ」
そんな母の言葉に、勇紀は俯いていた顔を上げ、その涙目で母を見て
「帰ったら…全部…話すから…」
と鼻水をズズっとすすりながら言い、立ち上がる。
「それ…お母さんが預かっとく」
そう言って母・渓子は地面に落ちている四つの袋をかき集めてポケットにそっとしまうと、勇紀の方を見て笑顔で言った。
「お父さん達には言わないからね。
…それよりこの袋一つ持ってくれる?もう重くて重くて!」
「う、うん…」
二人はそれぞれ買い物袋を一つずつ持ち、その場を後にした。
:12/01/05 12:56
:W62P
:☆☆☆
#151 [怪男]
帰り道、母・渓子は勇紀の一歩前を歩く。
会話もなく気まずい雰囲気の中、五分もしない内に自宅へと到着。
家のドアを開け玄関で母・渓子が大きな声で『ただいま』と言うと、廊下の奥からお洒落な服装の長女・美緒がやってくる。
「お母さん、勇紀、おかえり」
「あら、これからアルバイト?」
「うん。だから夜ご飯作る手伝いできないの。ごめんね」
「それはいいのよ、夏美がいるし。それより久しぶりのすき焼きを一緒に食べれないのが残念だわ」
「ほんとごめん。じゃあ私行くね」
長女・美緒は明るくそう言うと、靴を履いて勇紀達とすれ違うように外へと出ていった。
:12/01/05 12:58
:W62P
:☆☆☆
#152 [怪男]
リビングへ行くと、制服姿の次女・夏美がソファに座り携帯電話をいじっていた。
母・渓子はそんな夏美を見るなり
「夏美、すき焼きの準備するから野菜切るの手伝って」
と、少し疲れた声で言う。
「…………」
だが夏美は聞こえていないフリをしているのか、携帯電話の画面をじっとにらみつけている。
すると母・渓子は勇紀の方を見て「あとはよろしく」と言わんばかりの表情をした。
:12/01/05 13:01
:W62P
:☆☆☆
#153 [怪男]
勇紀は一瞬困惑しながらも、小さく頷いてから夏美の元へと向かい声をかける。
「えっと、夏美…母さんの手伝いしてやりなよ」
「…………」
だが夏美はまだ聞こえないフリを続ける。
「夏美…!母さんの手伝い……」
勇紀が少し強めにここまで言うと、夏美はソファからいきなり立ち上がり、舌打ちをして携帯電話を閉じて
「るっせーな。やりゃいんだろ」
と勇紀をにらみつけながら言うと、大きく足音をたてながら母・渓子のいるキッチンへと歩いていった。
:12/01/05 13:03
:W62P
:☆☆☆
#154 [怪男]
勇紀は一息ついてから夏美の座っていたソファに座り、テレビの電源をつける為に机の上にあるリモコンに手を伸ばした時、ふとリモコンのそばに置かれた携帯電話が目に入った。
キラキラしたストラップがついた白い携帯電話。
「あれ、これって…」
その携帯電話を持って立ち上がり、キッチンにいる母・渓子の所へいく。
「母さん…これって姉ちゃんの携帯…だよね?」
そう言いながら携帯電話を見せると母・渓子は、それをまじまじと見つめて
「ああ、美緒のだね。忘れていったのかねぇ」
と、微笑みながら言った。
:12/01/05 13:05
:W62P
:☆☆☆
#155 [怪男]
「じゃあ俺ちょっと届けてくるね。まだ近くにいると思うし」
「うん。気をつけなさいよ」
長女・美緒の携帯電話を制服のポケットにそっとしまい、勇紀は家を出た。
美緒のアルバイト先は勇紀も知っているので、通勤中に見つからなかった場合には職場に直接届けようと思い、勇紀は走る。
しばらくして、駅前の交差点に出た。
「(いない…バイト先に届けよう…)」
結構走った為、勇紀は息切れ寸前。
―そんな時だった
信号待ちをしている人達の中に長女・美緒と思われる人物の後ろ姿が目に入った。
:12/01/05 13:08
:W62P
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#156 [怪男]
「姉ちゃん…」
その美緒と思われる人物の方にゆっくり歩いていく勇紀。
やがて信号が青になり人が一斉に渡り始めたので、一瞬姿を見失いそうになったものの、なんとか再び姿を捉える事ができ、その後を追った。
そして美緒がアルバイトをしているコンビニが目の前にきたとき美緒は、なんとそのコンビニの前を素通りしていったのだ。
「(あれ…?姉ちゃんどこ行くの?)」
美緒の後ろを歩く勇紀が、その後ろ姿とコンビニを交互に見ながら首をかしげる。
あの姿は姉に間違いないはないはずだと確信しながらも勇紀は、その姉の美緒がどこへ向かうのか気になり後をつけた。
:12/01/06 02:15
:W62P
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#157 [怪男]
10分ほど歩いた所で、美緒はなにやら怪しげな路地へと入っていったので勇紀もこっそり後を追う。
路地に入って周りを見てみると「HOTEL」と書かれた建物がいくつかあり、勇紀はそんな何とも言えない雰囲気に思わず息をのむ。
そして美緒はある建物の前で足を止めると、持っていたバッグを開けて何かを探し始める。
勇紀は気づかれないように建物の影から美緒の様子を伺う。
すると、探しているものがなかったのか美緒は
「え…なんで?」
と独り言のように何度も繰り返し言いながらバッグの中を漁り続ける。
だがやはりなかったらしく、美緒はひどく慌てふためいていた。
そんな姉の動揺した表情を、勇紀は初めて見る事になる。
:12/01/06 02:18
:W62P
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#158 [怪男]
それと同時に美緒が何を探しているのかがわかった。
それは「携帯電話」だろうと思い、勇紀はポケットに入れていた美緒の携帯電話を取り出したのはいいものの、なぜか今は近づいて声をかけてはいけない気がして、しばらく遠くから様子を見る。
建物の前でしばらくの間立ち尽くしていた美緒は、やがて諦めたようにその建物の中へと入っていった。
勇紀は遠くから目を細めて、美緒を入ったのを確認すると、その建物の前に駆け寄る。
そして建物の入口のすぐそばに設置されている看板の文字を見て、勇紀の身体が固まった。
そのピンク色の看板には「桃尻倶楽部 50分10000円」と書かれていて、勇紀にはそれが風俗店であるとわかったからだ。
「うそ……え…?」
入口を見つめながら唖然としていると、力が抜けた手から美緒の携帯電話が落ちた。
:12/01/06 02:20
:W62P
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#159 [怪男]
地面に落ちた音で我に戻り、慌てて拾い上げようと手を伸ばした時…
―ピロリロリン♪ピロリロリン♪
突然、美緒の携帯電話の着信音が鳴り響いた。
手に取ってディスプレイを見てみると「店長」なる人物からの電話だった。
勇紀はパニックになり、すぐに電源ボタンを押して電話を切る。
すると少ししてまた…
―ピロリロリン♪ピロリロリン♪
ディスプレイには再び「店長」の文字。
もうどうしていいかわからなくなった勇紀は、また電源ボタンを押して電話を切り、今度は携帯電話自体の電源を切った。
:12/01/06 02:22
:W62P
:☆☆☆
#160 [怪男]
明るく家族思いの姉がまさかこんな所に出入りしているとは夢にも思っていなかった勇紀はショックで、しばらくその場で呆然と立ち尽くしていると…
―プルルルルル!
今度は勇紀の携帯電話の着信音が鳴った。
その着信音に再び我に戻りポケットから携帯電話を取り出しディスプレイを見ると、それは母からの着信だった。
「…もしもし?」
「ああ、勇紀?今どこにいるの?」
「え…えっと……」
さすがに「姉を追って風俗店の前にいる」とは言えない勇紀は
「今は…コンビニ」
と、答えた。
:12/01/06 02:24
:W62P
:☆☆☆
#161 [怪男]
「美緒は?今ね、あの子の働いてるコンビニの店長さんから電話あったの。
もう美緒のシフト始まってる時間なのに出勤してないって」
それを聞いて、ドキッとする勇紀。
母・渓子は更に続ける。
「携帯にかけても、すぐ切られるっていうし…。勇紀何か知らない?」
「えっと……」
当然、言葉が詰まる。
「勇紀?どうしたの?」
と訪ねる母・渓子。
:12/01/06 11:59
:W62P
:☆☆☆
#162 [怪男]
勇紀は母が、姉が風俗店で働いているかもしれないという事を知っているのか確かめる為に質問した。
「えっと母さん…姉ちゃんって仕事何か掛け持ちしてる」
すると母は
「…え?掛け持ち?いや、何も聞いてないよ」
と答える。
これで、母は姉の風俗店出入りの事を知らないと確信した。
息子の自分が麻薬に関わっていたという事が母にわかった上、姉まで風俗店で働いているかもしれないなんて言うと母は腰を抜かして倒れてしまうかもしれない、と思った勇紀は姉の風俗店の事は言わず
「実は、姉ちゃんに携帯渡そうとして追いかけてたら途中で見失なっちゃって…」
と笑いながら言った。
:12/01/06 12:31
:W62P
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#163 [怪男]
だが母・渓子は「笑っている場合じゃない」と言わんばかりに電話の向こうで大きなため息をついた。
「とりあえず帰ってきなさい。
あと、美緒の携帯にまた店長から電話あったら出て事情を話すんだよ」
「うん、わかった」
そう言って電話を切り、勇紀は逃げるようにその場を後にした。
考えてみると、姉の美緒は友達らと遊ぶという時はお洒落な格好をしていたが、アルバイトの時はどちらかというと地味系な服を着ていく事が多かった。
母もその事は知っているはずなのに、あの時玄関で何も聞かずスルーしていた。
:12/01/07 11:45
:W62P
:☆☆☆
#164 [怪男]
―母は姉の風俗店の事を本当に知らないのだろうか?
―もしかすると、知っていてあえて触れずに目をつむっている?
帰り道でそんな事を考えながら歩いていると、また勇紀の携帯電話が鳴った。
…母からである。
「もしもし?」
「勇紀?何度もごめんね。
今ね、店長から電話あって…今日美緒のシフト入ってなかったんだって。
明日の間違いだったんだって」
「え…そうなの?」
「うん、だから無断欠勤って訳じゃなかったの。でも…それなら美緒はどこに行ったんだろうねぇ」
困惑しながら母・渓子がつぶやく。
:12/01/07 12:03
:W62P
:☆☆☆
#165 [怪男]
勇紀はさりげなく服の事を持ち出す。
「姉ちゃん派手な格好してたし友達と遊びに行ったんじゃない?」
「でもアルバイト行くの?って聞いたら、うんって言ってたじゃない。あの子は家族に嘘付くような子じゃないしねぇ」
服の事を言っても、やはり母は風俗店の事を何も知らないようだった。
「帰ってきたら聞いてみたら?」
「そうだね。でもその前に勇紀…アンタからだね」
「…………今から帰るね」
電話を切ると、家へと小走りで急いだ。
:12/01/07 12:32
:W62P
:☆☆☆
#166 [怪男]
家に着いてリビング行くと、母・渓子がソファーに座り煙草を吸い一服していた。
次女・夏美は自分の部屋にいるのかリビングは静まり返り、時計の針の音だけが休む事なくコチコチ鳴っている。
「ただいま」
背後の勇紀の声に母は煙草を加えたまま振り返る。
「おかえり。まず着替えてきなさい」
母は煙草を口から外して灰皿にこすりつけながら言う。
勇紀は言われた通り、着替える為に無言で階段を上がり自分の部屋へ向かった。
:12/01/09 23:49
:W62P
:☆☆☆
#167 [怪男]
いつもの私服に着替え部屋から出てドアを閉めると、同時に後ろからドアの開く音がした。
振り返ると、そこに次女・夏美が立っていて勇紀を凝視している。
「…なに?」
すき焼きの準備の手伝いの件でまだ怒っているのかと思わず身構えたが、夏美は視線を勇紀から外して下の方を見ながら
「なんかあったの?」
と尋ねてきた。
「え…」
予想外の言葉に拍子抜けする勇紀。
:12/01/09 23:51
:W62P
:☆☆☆
#168 [怪男]
「え…なにかって?」
「ババアが電話で言ってたじゃん。
“まずはアンタから”って」
鋭い夏美の一言に一瞬ドキっとする。
夏美は自分の麻薬の事を知らない。
当然言えるはずもなく、勇紀は瞬時に言い訳を考えた。
「ああ…テストの点が悪かったから、俺が一番に説教されるって事だよ…」
この苦し紛れの言い訳が果たして勘が鋭い夏美に通用するだろうかとドキドキしていると、夏美は勇紀に視線を戻し眉をしかめて
「は?美緒の話してたのに、なんでいきなりテストの話とかになんの?嘘付いてんのバレバレなんだけど」
…案の定、通用しなかった。
:12/01/10 00:04
:W62P
:☆☆☆
#169 [怪男]
夏美は更に続ける。
「それにババアのやつ、電話終わったらウチに“部屋に行ってなさい”ってキレたし」
「え…そうなの?」
「うん。だからとんでもない事でもやったんじゃないのかって思った。勇紀、なにしたの?」
「…………」
勇紀は下を向いたまま黙りする。
兄が麻薬に手をつけたなんて知ったら夏美にも夏美の学校にも迷惑がかかるかもしれないと思い、言えなかった。
「チッ!男の癖にウジウジうぜーやつだな。もういいわ」
ついにキレた夏美は俯く勇紀にそう言い放つと、自分の部屋に戻りドアを大きくバタンと閉めた。
「(ごめん…夏美…)」
勇紀はゆっくりと顔を上げ夏美の部屋のドアを見つめながら心の中で謝る。
:12/01/10 00:10
:W62P
:☆☆☆
#170 [怪男]
そして重い足取りで階段を下り、母が待つリビングへ向かった。
「…そこ座って」
そう言う母の顔はいつもと違い、険しい。
勇紀は緊張な面持ちで向かい側のソファーに座る。
座るなり母はポケットから、勇紀があの時落とした覚醒剤の袋を取り出してテーブルの上に置いた。
勇紀は母の顔を見れず、テーブルの上の覚醒剤をじっと見つめる。
「これ…いつからなの?」
「……い、一ヶ月前くらい…から」
「…………」
覚醒剤を見つめたまま答える勇紀には、母が今軽蔑しきった目で自分を見ているのだろうと思えた。
:12/01/10 20:37
:W62P
:☆☆☆
#171 [怪男]
少しの沈黙の後、母は小さなため息をついてから言った。
「手をつけちゃったものはしょうがない。勇紀にも悪い所があるよ。
でもね、アンタにそんなものを売りつけた人はもっと悪い」
「…………」
「さっき一緒にいた男の人は誰なの?初めて会ったようには思えなかったけど」
男性には「言うな」と言われていたが、勇紀はもう全部話して楽になりたかった。
だが、もし言ってしまったら…と先を考えると、恐ろしい事になるかもしれないという不安な気持ちも少しある。
「…………」
勇紀は黙りを続けた。
:12/01/10 20:39
:W62P
:☆☆☆
#172 [怪男]
すると母は…
「勇紀!誰なの!答えなさい!!」
と、突然怒鳴り声をあげて立ち上がった。
さすがの勇紀もその声に驚いて、立ち上がった母の方に視線を向ける。
母はものすごい剣幕で勇紀の顔を凝視しながら
「このまま言わなかったらお母さん…警察に全部言うよ!それでもいいのか!!」
と怒鳴り声で続ける。
「ご……ごめんなさい…」
「ごめんで済むなら警察はいらない!それくらい聞いた事あるだろ!!」
勇紀には謝る事しかできなかったが、今の母には通用しなかった。
:12/01/10 20:42
:W62P
:☆☆☆
#173 [怪男]
互いに顔を見つめ合ったまま黙っていると、この騒ぎを聞きつけたのか二階にいた次女・夏美が階段をかけ降りてきた。
「な…なんなの?」
気の強い夏美もこの時だけは動揺しているのか、焦りの表情をしている。
母・渓子は背後の夏美に顔を向ける事なく前の勇紀を見つめたまま
「アンタは部屋行ってなさい!!」
と大声を張り上げた。
夏美は一瞬身体をビクつかせたが、すぐに小さく舌打ちをして階段を上がっていった。
:12/01/10 20:48
:W62P
:☆☆☆
#174 [怪男]
「さあ!勇紀!誰なの!」
勇紀の目の前まで迫る母・渓子
今にもその場から逃げ出したい気分だったが、腰が抜けたようにソファーから立ち上がる事ができない。
こんな母を見たのは17年間生きてきた中で初めてであった。
そんな迫力に負けた勇紀は、ついにポツリと白状する。
「が…学校の知り合いの人の…知り合い…」
「学校の?それは誰なの!言いなさい!」
「……ク、クラスはわからないけど…赤木って人…」
震えた声で勇紀が次々に答える。
目からは涙がポロポロとこぼれ落ちていた。
:12/01/11 15:04
:W62P
:☆☆☆
#175 [怪男]
そんな勇紀を見て母は、怒りの表情から普段の表情に戻り、再びソファーに腰掛ける。
そして怒鳴る前と同じく優しい声で聞く。
「その子の連絡先は知ってるの?」
母の質問に勇紀は涙をこらえるのに必死で喋れず、無言で首を横に振った。
「じゃあお母さん…明日学校に行って、その赤木くんって子に会って聞いてみるけど…それでいい?」
「…………うん」
涙声混じりで勇紀が答えると、母は笑顔で最後に言った。
「じゃあ…夏美呼んできてくれる?もうすぐでお父さん帰ってくると思うから…すき焼きしようって」
「……うん」
―その後、家の電話に父・幸宏から電話があった。
「残業する事になったから今日は遅くなる」
…と。
:12/01/11 15:06
:W62P
:☆☆☆
#176 [怪男]
その夜は母、勇紀、夏美の三人だけで気まずい中、すき焼きをしたのだった。
同日・午後9時30分…
「美緒ちゃん、今日もお疲れ!明日は来れないんだよね?」
「ごめんなさぁい。明日はコンビニのバイトがあるんですよぉ」
「そっか。じゃあまたね」
「お疲れ様でしたぁ!」
秘密で働いている風俗店の男社員に最後まで愛想を振りまいた後、店を出る長女・美緒。
店を出た瞬間、さっきまで愛想笑いをしていた美緒の表情が一変して険しくなった。
家に忘れてきたと思われる携帯電話を家族に見られていないか、気が気でなはなかったのだ。
早々と路地を抜けようと歩き出した時、ふと数メートル先にあるホテルの入り口からスーツ姿の男性が二人出てくるのが見えた。
「(え…男同士…?)」
今までそういった人を見た事なかった美緒は、突如なんともいえない好奇心に襲われる。
:12/01/11 15:08
:W62P
:☆☆☆
#177 [怪男]
好奇心はやがてスリルに変わってますます目を離せなくなり、美緒はその二人の男性の後をこっそりつける事にした。
10分くらい歩いた所の駅前で男性二人は足を止めた。
そしてお互い向かい合って何か話をしている時、少し離れた所で見ていた美緒は自分の目を疑う。
「(え……お父さん?)」
駅構内から差し込む光で両方の男性の顔がハッキリ見えている。
一人は背が低く太目体型で顔は髭で覆われている。
そしてもう一人は、間違いなく美緒の父親である幸宏だった。
「嘘……」
美緒はそう小さくつぶやき、手に持っていたバッグをポトリと地面に落とした―
:12/01/11 15:11
:W62P
:☆☆☆
#178 [怪男]
長女・美緒編
:12/01/11 15:13
:W62P
:☆☆☆
#179 [怪男]
家族や友達に秘密で働いている風俗店を後にしようとした時、男性二人がラブホテルから出てくる所を目撃した長女・美緒。
好奇心から、美緒はその二人を尾行する。
しばらく歩いて、駅前で足を止め話し出す男性二人。
その二人の内の一人の男性の顔が見えた時、美緒は衝撃を受けた。
それは、自分の父親だったのだ。
父親がラブホテルから…しかも“男性”と二人で出てきたという事実。
それは娘の美緒にとっては衝撃的以外の何物でもなく、受けたショックは絶大なるものであった。
:12/01/16 16:35
:W62P
:☆☆☆
#180 [怪男]
駅前で男性と恋人同士のように話す父・幸宏を見て、美緒は持っていたバッグを地面に落とす。
呆然と見つめた後、二人はお互い手を振って別れた。
男性は駅の中へ入って行き、父はその場を後にして暗い夜道へと消えていく。
美緒はハッと我に帰ると、地面に落としたバッグを拾い上げて父とは逆方向の道を通り小走りで家に向かった。
その頃、安坂家のキッチンでは母・渓子と次女・夏美が、すき焼きの余った材料で父と美緒の夜食を作り、長男・勇紀が晩御飯の後片付けをしている。
:12/01/16 16:38
:W62P
:☆☆☆
#181 [怪男]
「二人共…遅いねぇ」
キッチン越しからリビングの壁にかかっている時計を見ながら母・渓子がつぶやく。
「父さんの残業ってなんか久しぶりだね」
隣で食器洗いをする長男・勇紀も、母を横目で見ながら言う。
次女・夏美は黙って面倒くさそうな表情をしながら火の点いたフライパンの前に立っている。
「そうだねぇ。ま、残業手当てが出るからいいよね」
包丁片手に笑顔でそう言う母。
:12/01/16 16:40
:W62P
:☆☆☆
#182 [怪男]
だが、夏美がボソッとつぶやいた一言で和やかな場が一瞬にして凍りつく―
「浮気してたりして」
母・渓子の笑顔がピタリと止む。
「ちょっと夏美…父さんはそんな事しないよ…」
母の目が笑っていない表情を見た勇紀は慌ててフォロー発言するが、夏美はフライパンの上の肉を箸でつつきながら更に続ける。
「そう?前テレビで見たけどね。男が浮気する際に使う口実の第一位が“残業で遅くなる”だって」
口元をニヤリとさせながら夏美がそう言うと、母は包丁を持ったまま止めていた手を再び動かし、野菜切りを再開する。
特に何事もなかったかのように会話は終わったが、それからはキッチンでは誰も口を一切開かなくなった。
:12/01/16 16:42
:W62P
:☆☆☆
#183 [怪男]
「ただいま」
数十分後…父・幸宏が帰宅した。
ソファーで二人の帰りを待っていた妻・渓子は玄関からする夫の声を聞くと、重い腰をあげて玄関へと向かう。
「おかえり。残業お疲れ様ー」
「うん」
「一応夜食作っといてあるけど、食べる?」
「いや、いいわ。今日は疲れたし寝るよ」
「…そう」
玄関でそんな会話を交わした後、夫・幸宏はまっすぐ階段へ上がっていった。
妻・渓子も数秒間、夫の背中を見つめてからリビングへと戻る。
:12/01/19 05:11
:W62P
:☆☆☆
#184 [怪男]
一方、長女・美緒は重い足取りで夜道を歩いていた。
父親の同性愛者疑惑の事もあるが、それ以上に自分の忘れた携帯電話の事が気になっている。
携帯電話には風俗店や風俗店の社員の電話番号や、何度か来店する内に気が合い、交換した客の電話番号も入っている。
客からは頻繁に「今日店行くよ」などといった電話がかかって来るので、もし電話が来ていて、家族の誰かがその電話に出ていたら…などと考えると足取りも一層重くなる。
「はあ…」
しばらく歩いて家の前に到着し、ドアの前で足を止めた。
:12/01/19 05:13
:W62P
:☆☆☆
#185 [怪男]
ドアノブに手をかけるも、開けるのを躊躇う。
―娘が風俗店で働いているなんて知ったら両親は何て思うだろう?
―“なぜそんな所で働いているのか”と質問されたらどう答えればいいのだろう?
“稼げるから”なんていう理由は両親…特に母には通用しそうにはない。
家族皆からは、まるで別のものでも見るような目で見られるかもしれない。
大げさに言ってしまえば“家族崩壊の危機”である。
:12/01/19 05:14
:W62P
:☆☆☆
#186 [怪男]
次第にドアノブを握る手が汗ばむ。
“バレてしまったらその時はその時”
そう思うと同時に携帯電話の電源が入っていない事に期待して、ドアノブをゆっくり回してドアを開けた。
照明で照らされた明るい廊下が目に入る。
恐る恐る玄関に足を一歩踏み出してドアを閉める。
「た、ただいま」
力のない声で言い、靴を脱いでいると母・渓子がリビングから出てきた。
“もうバレているかもしれない”
そう考えると母の顔を見る事ができなかったが、母は美緒の姿を見るなり心配そうな声で
「おかえり、どこ行ってたのぉー」
と聞いてきた。
:12/01/19 05:16
:W62P
:☆☆☆
#187 [怪男]
その言葉から察するに、少なくとも母は何も知らないんだとわかった。
心なしか安心した美緒は胸をホッと撫で下ろして
「ごめんね。バイトの子が風邪で早退しちゃって…シフト延長になっちゃった」
と母の顔を見て苦笑いしながら言うと、途端に母の顔が強ばった。
「…お母さん?」
美緒がそんな母の表情に首を傾げていると、母は一言…
「アンタ…今日シフトなかったんじゃないの?店長から電話あったよ」
美緒の心臓がドクンと高鳴った―
:12/01/19 05:17
:W62P
:☆☆☆
#188 [怪男]
廊下がシーンと静まり返り、なんとも言えない緊張感が漂う。
美緒は目の前に立つ母の足元に視線をやっている。
今、母がどんな顔をしているのか知りたくないからだ。
きっと疑いの眼で自分を見ているんだと思っていた。
だが、しばらくして母は優しい声で
「とにかく中に入りなさい。お腹空いてるでしょ?」
と言いながら美緒の肩にそっと手をやった。
:12/01/19 16:38
:W62P
:☆☆☆
#189 [怪男]
置かれた手の方に視線をやってから、母の方に目を向ける。
母は優しく微笑んでいた。
だが美緒にとっては、怒る事なく笑みを浮かべているそんな母が少し不気味に思えた。
「すき焼きの余った材料で夜食作っといてあるから、食べなさい」
「う、うん…ありがと」
途中まで脱いでいた靴から足を抜いて、背を向けて歩き出した母の後を追うようにリビングへと向かった。
:12/01/19 16:39
:W62P
:☆☆☆
#190 [怪男]
「今、ご飯チンするからね。座ってなさい」
母の言葉に「うん」と小さく頷いてから美緒はリビングを見回した。
さりげなく携帯電話を探すも、リビングには見当たらない。
美緒は少しホッとした。
もしかしたら自分の部屋にあるかもしれないと思ったからである。
部屋には鍵がついている。
家を出る前に自分の部屋の鍵を閉めた事は確認しているので、もし携帯電話が部屋にあるのなら、今日一日は誰も自分の携帯電話に触れる事はもちろん、合い鍵もないので誰も部屋に入る事ができない。
:12/01/19 16:40
:W62P
:☆☆☆
#191 [怪男]
そう思えたと同時に段々と肩の力が抜けていき、どっと疲れが出てきたのでテーブルの上にバッグをポンと置いてソファーに座った。
やがて温かい白いご飯と、牛肉と野菜の合わせものが母によって運ばれてくる。
「はい」
「わっ、美味しそう!」
今まで胸の中に溜まっていたモヤモヤが晴れたせいか、その夜食はとても美味しそうで「幸せ」だと感じた。
:12/01/19 16:42
:W62P
:☆☆☆
#192 [怪男]
母は皿をテーブルに置くと、美緒の向かい側に座った。
夜食を食べている間、母はずっと美緒の顔を見つめる。
「…なに?」
さすがに美緒もそれが気になり、箸と茶碗を持ったまま尋ねるが
「いや…食べてからでいいよ」
と苦笑いで答える母・渓子。
母が何を言おうとしているのかは大体予想はできた。
:12/01/19 16:43
:W62P
:☆☆☆
#193 [怪男]
おそらく“どこに行っていたのか”という事だろうと。
美緒は夜食をゆっくりと食べつつ、なんと答えるかを考えた。
母がじっと自分を見つめている事と、言い訳を考えている為にご飯の味がさっぱりわからなくなっていたが、なんとか十分ほどして食べ終える。
「美味しかった?」
「う、うん」
実は途中から味がわからなくなったとは言えなかった。
:12/01/19 16:44
:W62P
:☆☆☆
#194 [怪男]
言い訳も思いついて、母の質問を今か今かと待っていると、母は服のポケットから白い粉が入った透明の四つの袋を取り出してテーブルの上に置いた。
美緒はポカーンとしながら、その袋に目をやる。
「え…なにこれ…?」
袋と母を交互に見ながら聞く。
母は小さなため息をついてから重い口を開いた。
「これ…勇紀が買ったんだって。わかるでしょ?覚醒剤」
「かく…せい…ざい?」
美緒は唖然とした。
:12/01/19 16:45
:W62P
:☆☆☆
#195 [怪男]
「学校の知り合いから勧められたんだって」
母はテーブルの上の袋を一直線に見つめて言う。
「勇紀が……本当に?」
「…お母さんも信じたくはなかったよ。息子がこんなものを…って」
そう言う母の表情が徐々に哀しみに変わっていく瞬間を美緒は見た。
自分の息子が覚醒剤に手を出した―
そんな事実を知って、堂々としていられる親はそうはいない。
:12/01/21 16:23
:W62P
:☆☆☆
#196 [怪男]
もちろん、娘が風俗店で働いていると知った時も同じだろう。
弟・勇紀のほとぼりが冷めるまではなんとしても知られる訳にはいかない。
「勇紀から事情は聞いたの?」
美緒は冷静に口を開いた。
「ううん…まだ。明日学校に行って、これを勧めた知り合いの子に会って勇紀と三人で話をしてくる」
「私も行こうか?大学は休めるし、コンビニのバイトも夕方からだから」
「いや、お母さん一人で大丈夫だよ」
「……そう」
勇紀に薬を勧めた人物がどんな人なのか気になり会ってみたいと思ったが、同行をあっさり断られて少しショックを受ける美緒。
:12/01/21 16:24
:W62P
:☆☆☆
#197 [怪男]
母はテーブルの上の袋を手に取り服のポケットにしまうと、真顔で美緒を見て単刀直入に聞いた。
「それより美緒…アンタ今日どこ行ってたの?」
「……え」
美緒は、勇紀の話題からいきなり自分の話題に切り替わった事に一瞬焦る。
「今日シフトなかったんでしょ?」
そう聞く母の顔にゆっくり視線を向けると、母は何かを疑うような目つきでじっと美緒を見つめていた。
:12/01/21 16:25
:W62P
:☆☆☆
#198 [怪男]
そんな母の表情を見て、さっきまで考えて頭の片隅に用意していた言い訳は一瞬にしてどこかへ消え去っていった。
「……えっと」
しどろもどろになる美緒。
母は表情を崩す事なく美緒の顔を一直線に見つめる。
今まで風俗店で働いているという、これ以上ない隠し事と動揺を母に見せた事がない為、今の自分の焦る表情から母には間違いなく、自分が何かを隠しているかもしれないという事を悟らせてしまった。
:12/01/21 16:26
:W62P
:☆☆☆
#199 [怪男]
「……なさい」
少し間が空いてから母が小さくつぶやいた。
「…え?」
あまりに小さい声だったので聞き取れず、聞き返す。
すると母はソファーからバッと立ち上がって、美緒を見下す形をとった。
美緒も、突然立ち上がった母に驚いて反射的にソファーから立ち上がる。
「何かお母さんに隠してる事あるでしょ!言いなさい!」
リビング…いや、家の中全体に母の怒鳴り声が響いた。
:12/01/21 16:28
:W62P
:☆☆☆
#200 [怪男]
その怒鳴り声は、19年間一緒に暮らしてきた中で母が初めて見せた剣幕と大声だった。
危うく腰を抜かしそうになるも、ソファーの端に手をついてなんとか体勢を整える。
やがて階段からバタバタと駆け下りてくる足音が聞こえ、寝間着姿の父・幸宏と長男・勇紀が何事かと言わんばかりの表情をしながら二人のいるリビングへとやってきた。
「渓子…な、何やってるんだよ」
さっきの母の大声とは対照的に小さく細い声で父が言う。
:12/01/21 16:30
:W62P
:☆☆☆
#201 [怪男]
渓子は鼻息を荒くしなから幸宏の方を見ると、すぐに美緒の方に視線を戻し
「美緒!言いなさい!」
と、今にも飛びかかっていきそうな勢いで言った。
夫・幸宏はそれを察知したのか、すぐに二人の間に割って入った。
「一体何があったの、渓子!」
幸宏が困惑した表情で目の前に立つ渓子に尋ねる。
勇紀は何もできずに幸宏と美緒の背後で、黙って立ち尽くしている。
:12/01/24 20:42
:W62P
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#202 [怪男]
「美緒、勇紀、部屋行ってなさい」
父・幸宏が渓子の方を向いたまま背後の美緒と勇紀に言う。
「ね、姉ちゃん…行こう」
「…………」
美緒は初めて見る母の剣幕にすっかりひるみ、黙り込んだまま立ち尽くしていた。
「姉ちゃん?」
美緒の傍にいき、声をかける勇紀。
「……!!」
勇紀の二度目の声で我に帰った美緒は、小さく頷いて階段へ向かってよろよろと歩き出し、勇紀もそれに続いた。
:12/01/28 00:22
:W62P
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#203 [怪男]
階段を上がりきった所で、下から母・渓子の怒鳴り声が再び響く。
「アンタもちゃんと子供の事見てないからそうなるんだ!」
美緒と勇紀は無言で顔を見合わせる。
そこで勇紀はハッと思い出した。
「あ、姉ちゃん…そういえば…」
「…なに?」
勇紀は一度自分の部屋に入り、何かを手にして戻ってきた。
:12/01/31 15:07
:W62P
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#204 [怪男]
「これ…」
そう小さい声で言って勇紀が差し出したのは、白い携帯電話。
それを見た美緒の表情が変わる。
「どこにあったの…?」
「下の机の上にあったよ。忘れたんだと思って渡すのに追いかけたんだけど…と、途中で見失っちゃって…」
「……そっか。ありがと…」
美緒は携帯電話を受け取ると、二つ折りの本体をパカッと開いてディスプレイを確認した。
:12/01/31 22:24
:W62P
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#205 [怪男]
画面は、電源が入っていないのか真っ暗だった。
それを見た美緒は安心し、ホッと胸をなで下ろす。
これで今日一日、この携帯電話の電源はずっと切られたままだったという事がわかったからである。
「あ、勇紀…ちょっといい?」
「なに?」
「ちょっと話ある。部屋来て」
美緒は弟の勇紀が覚醒剤に手を染めた真意を直接聞く為、自分の部屋へ勇紀を呼んだ。
:12/01/31 22:25
:W62P
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#206 [怪男]
「そこ…座って」
勇紀をカーペットの床に座らせ、自分はベッドの上に座ると、早速話を切り出した。
「お母さんから聞いたんだけどさ…」
ここまで言うと勇紀は途端に焦りの表情になり、唇をきゅっと噛み締めた。
それも、これから自分の言おうとしている事を悟ったようにあからさまに。
「勇紀…なんで覚醒剤なんか…?」
「…………」
美緒の独り言のようにポツリと言った質問に、勇紀は下を向いたまま黙り込む。
:12/01/31 22:26
:W62P
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#207 [怪男]
「ねえ…ちゃんと私の目見て答えてよ」
「…………」
姉の優しくかける声に、ゆっくりと顔をあげる勇紀。
目が合った瞬間を見計らって、美緒は少し表情を険しくさせて言った。
「勇紀…わかってるとは思うけど、覚醒剤所持は立派な犯罪だよ?」
「わ…わかってるよ。それくらいは…!」
逆ギレしようかという勇紀の少し反発した態度に、美緒はベッドから立ち上がると、床に座る勇紀の頬に向かって思い切り平手打ちをした。
:12/01/31 22:27
:W62P
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#208 [怪男]
部屋の中に一瞬だけ「パチン」という音が響く。
勇紀は叩かれた頬に手を当てようとしたが、その手を美緒は、がしっと掴んで上に引っ張るようにあげた。
「犯罪者だよ、あんた!弟が犯罪者だなんて友達に知られたらどうしてくれるの!?」
今にも泣きそうな声で叫ぶように吐き捨てる美緒。
すると勇紀の目つきが変わり、美緒に掴まれていた手をバッとふりほどくと、立ちあがって美緒の身体を強く後ろに押した。
:12/01/31 22:30
:W62P
:☆☆☆
#209 [怪男]
突き飛ばされた美緒は体勢を崩し、ベッドの上に倒れる。
「ちょっと勇紀、なに…」
「姉ちゃんも人の事言えんのかよ!あんな店で働いて…!」
「え…?」
勇紀の言葉を聞いて、美緒の表情が段々と青ざめていく。
「は…は?意味わからないんだけど…。コンビニで働くのが犯罪なの?」
強気でそう返すも、動揺は隠せなかった。
:12/02/03 17:33
:W62P
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#210 [怪男]
勇紀は拳をぶるぶる震わせながらベッドに座り込む美緒を少し見つめた後、背を向けてドアの方に向かい、ドアを開けると再び美緒の方を振り返って一言つぶやいた。
「……母さんにも父さんにも全部言ってやる……」
そう言う勇紀の表情は、美緒も今まで見た事のない、まるで悪魔のような形相だった。
部屋から出ると、ドアを大きくバタンと閉めて自分の部屋へと入っていく勇紀。
同時に美緒の肩の力がスッと抜け、そのまま仰向けになり目をつむった。
:12/02/03 17:35
:W62P
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#211 [怪男]
綺麗な朝日が部屋の中に差し込む―
ゆっくりと目を開けて、体を起こす。
自分の身体を見ると、昨日と同じ服装。
あれからそのまま眠りについたんだとわかった。
まだ少し眠たい目をこすりながらベッドの傍の目覚まし時計を確認する。
午前7時11分…
時計を見た後、昨日から着ていた服を脱ぎ、別の服に着替えた。
部屋を出て階段へ向かう際、勇紀の部屋の前で足を止め、ドアを少し見つめて昨日の夜の事を思い出す。
:12/02/03 17:36
:W62P
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#212 [怪男]
あの勇紀の悪魔のような表情は、衝撃的だった。
普段からおとなしく普通の高校に通う普通の高校生。
しかし、そんな弟が覚醒剤に興味を持ち、手を出す…
ただそれだけで今まで平凡だった人生…最悪の場合、人格までもが一瞬にしてひっくり変わってしまう。
美緒は、勇紀の気持ちも知らずに昨夜あんな風に言ってしまった事をものすごく後悔した。
:12/02/03 17:38
:W62P
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#213 [怪男]
「(ごめんね…勇紀)」
そう心の中で一言謝ってから階段を下りリビングへと向かった。
キッチンからは味噌汁の匂いと共に、包丁で材料を切る“トントン”という音が響く。
昨夜の母の豹変ぶりには衝撃を受けたが、おそらく日頃の疲れとストレスが溜まっていて大声を出す事により、それらを発散したかっただけなのだろうと思う事にして、キッチンにいる母・渓子の元へ。
「お母さん…おはよ」
野菜を切っている母に声をかけると、すぐに美緒の方を見て
「おはよう。今日は早いんだね」
笑顔でそう返した。
:12/02/05 13:03
:W62P
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#214 [怪男]
それはいつもの母であり、美緒は少し拍子抜けすると同時にホッと一安心した。
「うん、なんか目覚めちゃって」
「そう。ご飯もうすぐでできるから顔洗ってきたら?」
「そうする」
昨日のアレは夢だったんじゃないかと思うくらい母の表情はいつもと同じで明るかった。
:12/02/05 13:04
:W62P
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#215 [怪男]
冷たい水で顔を洗い、昨日からしたままだった化粧もサッパリ落とした所で、鏡に映った自分の顔を見つめながら昨日の勇紀の言葉を思い出す。
“あんな店で”…
この言葉にひっかかっていた。
昨日、携帯電話の電源はずっと切られたままであった事はわかっている。
だが、なぜだか胸騒ぎがした。
それは、自分はあまり携帯電話の電源を切らないでいる為、バッテリーが無くならない限り故意に自分から電源を切る事はないとわかっていたからである。
昨夜の勇紀の“全部言ってやる”という言葉の真意は…
もしかしたら…と焦っていると、洗面所に寝間着姿の父・幸宏が入ってきた。
:12/02/05 13:06
:W62P
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#216 [怪男]
「きゃっ!」
いきなり鏡に映った背後の人影に驚き、小さな悲鳴をあげて振り返る。
「うわっ、びっくりした!」
「なんだ…お父さんか…」
少し気まずい空気と沈黙が流れた後、美緒は父の横を通り過ぎ、そそくさとリビングへ向かった。
:12/02/05 13:08
:W62P
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#217 [怪男]
キッチンの食卓には、いつもの朝食が並んでいた。
炊きたての白いご飯、わかめと豆腐の味噌汁、目玉焼き…そして珍しくサラダ。
「今日はアルバイト何時から?」
ご飯を茶碗に盛りながら母が聞く。
「夕方の5時からだよ」
「そう。じゃあお願いしたい事あるんだけどいい?」
「いいけど…なに?」
思わずゴクリと息をのむ。
:12/02/05 13:09
:W62P
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#218 [怪男]
「今日ね、勇紀を学校休ませてお母さん一人でその例の子に会いに学校に行こうと思ってるの。だから、お母さんが帰ってくるまででいいから家で勇紀の事見張っててくれる?」
「え……」
「ほら、放っておくとあの子、例のもの買いに行くかもしれないでしょ?まだお母さんに黙って隠し持ってる可能性もあるし。ね?お願い」
手を合わせてお願いする母。
姉としては当然引き受けるべきなのだろうが、弟の勇紀は自分の秘密を知っているかもしれないと思うと、少し了承しずらい点もあった。
だが断ると、昨夜のように豹変しかねないと思い
「わかったよ。私に任せて」
と愛想よく返事し、約束をしてしまった。
:12/02/05 13:11
:W62P
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