horrorU〜二重連鎖〜
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#152 [輪廻]
大雨の中、狂也は部屋の鍵を閉め自宅アパートを後にし、なるべく人通りの少ない道を通り、これらを処分できるような場所を目指し歩き出した。
強く降り続ける雨の中、15分ほど歩いた所で、昼間でも全く人通りのない路地裏へ到着する。
辺りをザッと見回すと、2メートル先ほどの所に、大きめなゴミ箱が設置されているのが見えた。
狂也は念の為に辺りを警戒しながらそのゴミ箱に近づく。
人がいない事を確認すると、持っていたダンボールとコンビニ袋を一旦地面に置き、ゴミ箱の蓋をそっと開けた。
:12/04/15 11:11 :iPhone :0TMA46hU
#153 [輪廻]
ゴミ箱の中を覗くと、透明なゴミ袋の中に食べ物の残りのようなものが入っていた。
痛んですっかり色あせた野菜のくずや、牛か豚のであろう、こちらもすっかり色落ちした肉の片。
それらがギッシリとゴミ袋に詰め込まれていた。
『(そういやこの裏ってファミレスだっけ)』
そんな風に思い納得し終えると、狂也は地面に置いたコンビニ袋を取り上げ、なるべく音をたてないようにそれをゴミ箱の中の奥の方へと押し込んだ。
最後に蓋をしっかり閉じ、折りたたまれたダンボールはそのゴミ箱の脇にポツンと置き、早々にその場を後にしようと元来た方向へ振り返った、その時だったー
:12/04/15 11:12 :iPhone :0TMA46hU
#154 [輪廻]
『なにしてるんすか…?』
狂也の前に、両手に、中身が入った大きなゴミ袋を持ち、ポカーンとした顔で狂也を見つめる若い男性が立っていて、声をかけてきた。
よく見るとその男性は、緑色のエプロン姿で、頭にもこれまた緑色のツバつき帽子をかぶっている。
その姿を見て狂也はすぐ、彼がファミレス店員だという事を悟った。
『え…いや…』
狂也があたふたとしていると、ファミレス店員の男性は、狂也のそばに置いてあるゴミ箱に視線をやった後、再び狂也の方に視線を戻す。
:12/04/15 11:13 :iPhone :0TMA46hU
#155 [輪廻]
『なにやってたんすか?』
男性は、まるで変なものでも見るような目で狂也の顔を凝視し尋ねる。
しまった…と思った。
必死に言い訳を考えるが、男性から送られる強い視線のせいか、思いつかない。
考えた末…
『別になんでもないっすよ…』
今の狂也にはそれしか言う事ができなかった。
:12/04/15 11:14 :iPhone :0TMA46hU
#156 [輪廻]
そう言うと、反応を見る前にその男性の横を素通りし、少し距離を置いた所で、狂也は走り出した。
アパートの近所まで走ってきた所で足を緩め、ゆっくりと歩きながら考える。
先ほどの男性に、辺りが暗かったとはいえ顔をハッキリ見られ、覚えられてしまったかもしれないという不安と、雨と傘の助けもあり、もしかしたらハッキリと見えていなかったかもしれない…という安心の両方が同時に狂也の心を煽る。
そうこう考えている内に自宅アパートへ着いた。
傘を閉じ、胸の中をモヤモヤさせたまま重い足取りで階段を上がり、部屋の前で鍵を取り出そうと上着のポケットに手を入れる。
:12/04/16 11:50 :iPhone :/nN/OqRI
#157 [輪廻]
だがしかしー
『(あれ? 鍵…)』
部屋を出る時、鍵を閉めた後ポケットの中に入れたはずの鍵が見当たらない。
部屋の前でジーパンのポケットなどにも手をやったが、鍵は忽然とその姿を消していた。
…嫌な汗が額から流れる。
どこかで落としてきたのか…それとも元々鍵をかけずに部屋を出たのか…
後者に少なからずの期待をしドアノブに手をかけ、回す。
:12/04/16 11:51 :iPhone :/nN/OqRI
#158 [輪廻]
ドアは…しっかり鍵がかけられていて開かなかった。
鍵をかけてこなかった可能性が消えた今、可能性は必然的に“どこかで落とした”の一択になった。
鍵をなくしてしまった事を大家が知ったら、このアパートを追い出されるかもしれない…そんな大袈裟な不安が込み上げる。
とにかく鍵を探すしかないと率直に思った狂也は、階段を降り、帰りに通った道を思い出しながら歩いた。
:12/04/16 11:52 :iPhone :/nN/OqRI
#159 [輪廻]
懐中電灯も、部屋に置いてきた為、ライト付きの携帯電話もない。
暗い雨の中、全神経を自分のこの目だけに集中させて地面を見ながら進む。
それから30分ほど見て回ったが、鍵は一向に見つからなかったー
こうなれば大家さんに正直に謝り、マスターキーで部屋を開けてもらおうと思い、その場から回れ右をして自宅アパート方面へと歩いた。
:12/04/16 11:53 :iPhone :/nN/OqRI
#160 [輪廻]
『はぁ…』
アパート前に着き足を止め、自分の部屋の方を見上げてため息をつく。
傘を閉じ、階段を登ろうと一歩踏み出そうとした時ー
『おぅ』
背後…狂也のすぐ真後ろで男の声が呼びかけた。
後ろを振り返るとそこには…あの男がニタニタと怪しい笑みを浮かべながら立っていたー
:12/04/16 11:54 :iPhone :/nN/OqRI
#161 [輪廻]
『……!?』
その男と数秒間目を合わせた後、すぐ階段を駆け上がろうとしたが、男の手が素早く狂也の腕を掴む。
『……にすんだよ!!』
男の手を振りほどこうとするも、向こうの力は強く、離せない。
『はなせよ…くそがッ!!』
大声で言うと少しして、一階にある奥の部屋のドアが開き、住人の男性が顔を出した。
狂也はドアの開く音のした方に顔だけを向けると、何事かと二人を見る男性に向かって叫ぶ。
『け、警察呼んでくださいッ!!』
:12/04/17 17:52 :iPhone :zJABlpLw
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