horrorU〜二重連鎖〜
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#204 [輪廻]
『ナナ…』
それを見て「はあ」と溜め息をついてから静かに七瀬の元へいく。
『ナナ…やめなよ。蓮に任せたほうがいいって…』
戸のわずかな隙間から廊下に首だけを突き出した状態の七瀬にそう声をかけると、七瀬はすぐに首を引っ込め響歌の方へ向きかえると、不安そうな声で言った。
『二人共いない…どこまで話しに行ったのかな?』
『さぁ…。とにかく、私たちはおとなしく待ってた方が……』
響歌がここまで口にすると、七瀬がそれを遮り大声を出した。
『あたし、やっぱり心配だから様子見に行ってくる!』
そう言って立ち上がると、響歌が止める間もなく七瀬は障子の戸を開け放ち廊下へと飛び出していった。
:12/05/10 02:52 :PC :G4zzLrhw
#205 [輪廻]
『ちょ、ちょっとナナ!?』
廊下を小走りで駆けていく七瀬の後ろ姿に向かって呼び止めようと叫んだが、それは届く事なく、七瀬は廊下の突き当たりを曲がり、その姿を消した。
『どしたの?』
響歌も、仕方なくその後を追おうと廊下へ出ようした時、後ろから女同級生の声が響歌を呼びかける。
後ろを振り返ると、同級生のほとんどが不思議そうな表情で響歌の顔を凝視していた。
そんな皆の表情をしかと見た響歌はしばらく黙った後、背を向けて障子をスッと閉め、皆の方へ向き直し、なんでもないと言わんばかりに首を横に振った。
:12/08/21 16:31 :iPhone :qrYe7oV.
#206 [輪廻]
部屋の中に、重い空気と沈黙が流れたまま、時間だけが刻々と過ぎていくー
皆、同級生の田中の安否が心配なのか、表情も暗い。
一方の響歌は、部屋の隅に一人しゃがみ込み、携帯電話を見ていた。
ネットを開き、検索ページから
「デスネット」
と検索をかける。
:12/08/21 16:32 :iPhone :qrYe7oV.
#207 [輪廻]
検索結果をスクロールしていくと、とある結果の表記部分で、手と目を止めた。
『(一週間前に友達が行方不明になりました。その友達はデスネットという…)』
検索結果のタイトルの下に書かれた説明文を黙読した響歌は、迷う事なくそのページを開く。
ページを開くと『○○奮闘記』と表記されたブログが姿を現す。
更新は、去年の11月で途絶えている。
その中でも、説明文に書かれていたものであろう『友達が…』という記事タイトルのページを押す。
:12/08/21 17:12 :iPhone :qrYe7oV.
#208 [輪廻]
そこには、デスネットが原因で行方不明になったと思われる友達についての内容が、長文でびっしりと書かれていた。
最初から最後まで、響歌はじっくりとその記事に目を通す。
最後の方で
『いつもこのブログを見てくれてる友達や知り合いの方へ
次の記事のパスワードは私の生年月日です。
私の周りの人達はこんな事するような方々ではないのはわかっていますが、一応言っておきます。
他のサイトや、不特定多数の人が見るような掲示板に、次に書く記事を転載するような事はやめてください。
次の記事に書かれている事は、私が短期間で集めたデスネットの裏側です。
もしこんなのを書いたのを、デスネットの関係者に見られたら私は終わりです…。
ですので、絶対に秘密厳守でお願いします』
と書かれ、下部の『次の記事へ』
と表記されたボタンを押すと
『閲覧パスワードを入力してください』
と表記された閲覧制限つきのページが姿を現す。
:12/08/21 17:13 :iPhone :qrYe7oV.
#209 [輪廻]
仕方なく前の記事のページへ戻り、その記事にコメントを残そうとコメントボタンを探すが、見当たらない。
『(え…コメントできないの?)』
内心ガッカリすると同時に、なんとか本人に連絡は取れないかと、手段を考える。
......……。
しばらくの間携帯電話の画面をじっと凝視し続けていると、その響歌の隣に安井が腰を下ろして座った。
『響歌…ちょっといいかな?』
まだショックから立ち直れないのか、体育座りをしてうつむき加減の安井から声をかけられ、響歌はそちらを見る。
:12/08/25 13:26 :iPhone :nkISRZ5I
#210 [輪廻]
『うん、いいよ。どうしたの?』
携帯電話を閉じて、身体も安井の方へ向ける。
安井は、下を向いたまま話はじめた。
『肝試しで、桐谷くんと歩いてた時に聞かれたんだけど…。
響歌達、デスネットが原因で色々と怖い目に合ったんだって…?』
『…………』
響歌は、そう聞かれると一瞬視線を反らした。
安井は更に話を続ける。
『あたし…デスネットがそういう危ない会社だって知らなかった…。
だから…だから……』
安井は、そこで口ごもった。
:12/08/25 13:27 :iPhone :nkISRZ5I
#211 [輪廻]
>>210 訂正
私 ○
あたし ×
ーーーーーーーーーー
『…“だから”……なに? 』
…嫌な予感がした。
…いや、嫌な予感しかしなかった。
『私…私……』
口ごもり動揺する安井の表情が段々と青ざめていくのを響歌は間近で見ていた。
『どうしよう…私…。
全部…私の…せい……』
やがて安井は、焦点の合っていない目で響歌の方を向き、ぶつぶつと独り言のようにつぶやきはじめた。
そんなただならぬ事態に、響歌は必死に彼女に『落ち着いて』と何度も声をかける。
:12/08/25 13:30 :iPhone :nkISRZ5I
#212 [輪廻]
そんな二人のやりとりを見て、強張った表情をしながら女同級生の一人が近寄る。
『なに? こんな時にケンカ?』
そんな同級生の言葉に、響歌は首を思い切り横に振る。
『違うよ…眞美が…』
響歌が否定すると、女同級生は安井の方に視線をやる。
そして、取り乱した安井の顔をジッと見ていると、背後から数人の同級生が『何事だ』と言わんばかりに近寄ってくる。
:12/11/12 10:13 :iPhone :0WTTYZhI
#213 [輪廻]
安田は相変わらず身体をぶるぶると震わせている。
『なに? 眞美なしたのさ?』
女同級生がそう言いながら安田の隣に座り声をかけるも、安田は焦点の合ってない目で床の畳を見つめている。
そんな安井の状態に尋常じゃないと感じたその女同級生は、それ以上何も言えずに立ち上がり、その場から何歩か離れた。
『は? なに? なんなの?』
気の強い女同級生は、何が起こっているのか全くわからないという反応を示しながら、安井と、立ち上がった女同級生を交互に見る。
:12/11/12 10:30 :iPhone :0WTTYZhI
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