horrorU〜二重連鎖〜
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#16 [輪廻]
『肝試しっていったら普通は墓地とかじゃない? この辺にあるかわからないけど』
そんな中、気が強そうな女の同級生が真顔で返す。
彼女のその言葉に一同は『そうだそうだ』と幹事に訴えかけるように連呼する。
『わかったわかった! ちょっと調べてみるから待ってて!』
数十人の大ブーイングに圧倒された幹事は、なだめるように言って鞄から携帯電話を取りだし、何やらカチカチといじりはじめた。
『ほんとに肝試しなんてやるのかな…』
静まり返った部屋で響歌が小声で蓮と七瀬に言う。
:11/12/25 11:10 :Android :35VMJZ/I
#17 [輪廻]
すると、蓮が応える前に七瀬が
『この同窓会が終わったら、またこうして皆で集まる機会はなくなるかもしれないし、今のうちの思い出作りにはいいんじゃない?』
と笑顔で応えた。
そんな七瀬を見て、響歌も自然と笑みがこぼれる。
『そうだよね。肝試しなんて中学の修学旅行以来だしね』
『でしょ? 楽しもうね!』
2人は顔を見合せて小さく笑い合った。
:11/12/25 11:12 :Android :35VMJZ/I
#18 [輪廻]
『俺はほったらかしかよ…』
笑い合う2人の横で蓮はボソッと呟く。
『あっ! そうだ!』
と…突然、響歌が何かを思い出したように笑いを止めて言った。
『どしたの? 村井』
『なに? 響歌…いきなり』
蓮と七瀬は響歌を見つめ、響歌の方も蓮と七瀬の顔を交互に見る。
3人の間でしばしの沈黙が続いた後…
『あ…や、やっぱりなんでもないや! 忘れて!』
『え…何? 気になるんだけど』
『つか村井、顔赤くね? 酒あんま飲んでなかったよな?』
同窓会の待ち合わせ場所である中学校に蓮と七瀬が来た時、2人が手を繋いでいた事と、普段は誰にでも苗字で呼ぶ蓮が七瀬の事を下の名前で呼んでいた時から、胸騒ぎがしていた響歌。
その胸騒ぎを収める為に今の2人の関係を単刀直入に聞こうとしたが、真っ直ぐに響歌を見つめる2人に圧倒され、途端に聞く勇気が出なくなっていた。
:11/12/25 11:14 :Android :35VMJZ/I
#19 [輪廻]
そんな時、蓮の方も何かを思い出したように小声で言ってきた。
『…そうだ。2人共、ちょっと廊下出れる?』
『…え? いいけど…なんで?』
首を傾げながら聞き返す響歌。
『忘れたのかよ。車の中で安井ちゃんが言ってただろ。デスネットでバイトしてるって…』
それを聞いて響歌と七瀬は揃って『あっ!』と口にした。
:11/12/25 11:16 :Android :35VMJZ/I
#20 [輪廻]
『シっ! とにかく…俺が最初に出ていくから、2人は5分くらいしたらトイレ行ってくるとか言って部屋から出ろ』
『わ、わかった…』
響歌と七瀬が小さく頷くと、蓮はスッと立ち上がり
『ちょっとトイレ行ってくるわ』
と、携帯電話の画面を見ている幹事に向かってそう言い、部屋の障子を開けてそそくさと廊下へ出て行った。
やましい事をしている訳ではないのに、なぜか緊張感が2人を襲う。
早くも5分を過ぎ、響歌と七瀬がゆっくり立ち上がって
『えっと、私達もト……』
と響歌が言いかけた時…
『あったぁ!!』
突然の幹事の大声によって、響歌の声は見事にかき消された。
:11/12/25 11:19 :Android :Gj0icVzI
#21 [輪廻]
『ちょっと! いきなり大声出さないでよ!』
先ほどの気の強そうな女同級生が思わず立ち上がって言う。
幹事は、女同級生を見上げて後頭部を爪でぽりぽりと掻きながら
『いやぁ…ごめんごめん。それより、この旅館の裏にある林を少し歩いた先に墓地があるって!』
と嬉しそうに言う中…
『ナナ…今のうちに出よ』
響歌が七瀬に耳打ちし、幹事らが騒いでいる時に2人はどさくさにまぎれて、その部屋を出た。
:11/12/26 11:49 :Android :m1XbORJ.
#22 [輪廻]
広めの廊下へ出て辺りを見回すと少し離れた所に、ポケットに手を突っ込んで壁に背をついている蓮がいた。
『蓮!』
七瀬が手を振りながら小さい声で呼ぶと、蓮は2人に気がつき、傍に駆け寄ってくる。
『遅かったな』
『ごめん、ちょっとあって。ね? 響歌』
『うん。ちょっとびっくりしちゃった…』
『ふうん…まあいいや。それより、安井ちゃんが言ってた事だけど…』
蓮は早速本題を切り出す。
:11/12/26 11:51 :Android :m1XbORJ.
#23 [輪廻]
『確かに、デスネットでアルバイトしてるって言ってたよね…』
『うん、言ってた言ってた』
『変だよな…。だって、デスネットって元々俺らの中学の時の副担が復讐の為に始めたサイトの事なんじゃねえの?』
『たまたま同じ名前の会社だったって事は…?』
『そんな名前の会社聞いた事ねえよ。七瀬…お前は聞いた事ある?』
『ううん、あたしもないな』
3人はそう話した後、難しい顔をしてじっと考え込む。
:11/12/26 11:52 :Android :m1XbORJ.
#24 [輪廻]
『…あっ!』
数分後、突然あげた響歌の声に蓮と七瀬は驚いて、一瞬体をビクッとさせる。
『響歌、どうしたの?』
『あの男…』
『…え? あの男って?』
七瀬が聞き返すと、蓮はすぐに誰の事かわかったように眉をしかめながら言った…
『あの警官なりすまし野郎の事か?』
『…うん。あの人言ってたの…“ゲームはまだ終わらない”って』
『あのオッサンがそんな事を? そういえばここ最近は俺達の前に姿を現してないよな』
『あの人、何を考えてるのかわからない。
私を殺そうと思えばいつでも殺せるはずなのに…襲ってこようともしないんだよ』
難しい顔をしながら、うつむき加減で言う。
:11/12/26 11:54 :Android :m1XbORJ.
#25 [輪廻]
『どっちにしろ奴が犯罪者な事には変わりないんだし、そんな奴の気持ちをわかってやる必要なんてねえよ…』
『そうなんだけどさ…何を考えてるのかわからないからこそ、次に何をしてくるかわからないじゃん』
『まあ、次何かしようとしてきたら俺が止めるけどね』
自信満々に言う蓮に、響歌は気付かれないようにクスッと小さく笑う。
『とりあえず、後で安井ちゃんにデスネットの事詳しく聞いてみるわ』
蓮がそう言って3人顔を見合せていると、後ろの部屋の障子がスッと開き、そこから幹事がひょっこり顔を覗かせた。
:11/12/26 11:57 :Android :m1XbORJ.
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