horrorU〜二重連鎖〜
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#1 [輪廻]
 
『horror』の続編になります(^^)


全3話構成の長編ホラーノベルをまったりと書いていきます。


主人公は前作に引き続き大学生・村井響歌と、求人広告を見て電話をし、デスネットに登録したフリーター・大槻狂也の2人の視点で物語が進行します。


前作
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⏰:11/12/23 13:02 📱:W62P 🆔:PPfKOIXU


#2 [輪廻]
プロローグ


―プルルルルルルル

電話の着信音でハッと目を覚ました。

枕元で鳴っているスライド式携帯電話を慌てて取り上げ、電話に出る前に時刻を確認する。

AM5:24―


『は…? こんな時間に誰だよ…』

朝っぱらからの電話に、都内のアパートに一人暮らしをする大槻狂也は文句を垂れながら発信者の番号に目をやった。


“03-XXXX-XXXX”

一瞬『誰の番号だよ』と思ったが、しばらくその番号をじっと見つめながら考えた結果…

彼はやっと思い出した。

⏰:11/12/23 13:12 📱:Android 🆔:DziUiHqc


#3 [輪廻]
 
 
『確か…デスネット…だったっけ?』

あれは去年の11月の事だった。

夜コンビニに行く途中、携帯電話をいじりながら歩いていると、地面にあった何かを蹴り飛ばしたような感触がした。

反射的に地面を見ると、狂也の少し先に今蹴ったと思われる、くしゃくしゃに丸められた白い紙のようなものが落ちていた。


何気なくそれを拾い上げてみると、やはりそれは紙であり


『(なんだ、ただのゴミかよ)』

そう心の中で呟いてから、勢いをつけて投げ捨てようと思ったが、ふと狂也の中に“何が書いてあるのか”という好奇心が芽生えた。

⏰:11/12/23 13:18 📱:Android 🆔:DziUiHqc


#4 [輪廻]
 
 
どうせ捨てるのなら見ておいてもいいな…と、狂也はその丸められた紙を徐々に開いていく。

そして内容が目に入った所で、思わず鼻でフッと笑った。

なぜならそれはただの求人広告だったからだ。

小学生や中学生が書いたラブレターとかであれば面白かったのに、それがただの求人広告で、狂也の好奇心は一瞬にして冷めて終わった。


一応どんな仕事なのか見ておこうと、広告の文章を声に出して読む。


『高収入! 誰にでもできるアルバイト急募! 詳しくはコチラへ……か』

“アルバイトで高収入”という部分を見て、狂也は再び鼻で笑った。

⏰:11/12/23 13:22 📱:Android 🆔:DziUiHqc


#5 [輪廻]
 
 
『(どうせ“裏”のアルバイトだろ)』

そんな事は安易に想像はできた。

このご時世に、ただのアルバイトで高収入を得られるなどと。


割にあった仕事と言えば、本当にあるのか都市伝説なのかは知らないが“死体洗いのアルバイト”などだろうかと。

狂也は金を貰ってまで人様の死体を洗いたくはないし、もちろん見たくもないと思った。

だが、なぜか狂也は無意識のうちにその紙を三つ折りにしてポケットにねじ込んでいた。

⏰:11/12/23 13:26 📱:Android 🆔:tTjQE9tY


#6 [輪廻]
 
 
多少忘れっぽい所がある狂也はコンビニで本を長時間立ち読みして、帰る頃にはポケットに入れた紙の事などはすっかり忘れ、再びその求人広告の事を思い出したのは翌年新年を明けてからだった。

あれから家で脱ぎ捨てて放置していたジーンズを洗濯する時に、そのポケットに手を入れると、三つ折りにされたシワシワの紙を見つけ…


『(なんだ? これ)』

と首を傾げながらその紙を開いていく。


『高収入アルバイト……あ!』

彼はすぐに思い出した。

といっても、紙を見つけるまでは永遠に思い出す事はなかったと思うほど忘れっぽい性格であった。

⏰:11/12/23 22:17 📱:Android 🆔:8/T0Ug0Y


#7 [輪廻]
 
 
バイトもしばらくは正月休みで暇だった事もあり、狂也はその紙に書かれた電話番号に電話してみる事にした。


『03の…』

声に出しながら的確に番号を押し、最後に
発信ボタンを押す。

数秒間呼び出し音が流れた後…


『お電話ありがとうございます。ご用件をどうぞ』

と女性の声で言うのだが、その声は人の肉声ではなかった。

そう、まるで機械が喋っているような。

⏰:11/12/23 22:20 📱:Android 🆔:OFicznwA


#8 [輪廻]
 
 
戸惑いながらも、狂也は切り出す。


『あの、すみません…高収入アルバイトの 紙見て電話したんですけど』

すると向こうは、間を3秒もあける事なく即答してきた。


『お電話ありがとうございます。
電話をして頂いた時点でデスネットへの入会、 及び登録が完了致しました。
登録手数料などは一切かかりません。
お仕事の内容が決まり次第、こちらからお電話させて頂きます。
5分後、折り返しくる電話に、お名前とご住所と通帳口座番号をお伝えください。
入会・登録ありがとうございました』

機械の声は長々とそう言うと、狂也が返事をする間もなく電話はプツッと切れた。


『なんだよ…』

すでに切れた電話口に向かって狂也はキレ気味に呟く。

⏰:11/12/23 22:22 📱:Android 🆔:iCmIXz56


#9 [輪廻]
 
 
仕方なく5分後の電話を待とうと携帯電話を耳から離した時、ふと感じた疑問が口に出た。


『あれ? 面接とかないの?』

そう言えば電話で面接についての話がなかった気がする。

こちらが電話をした時点で入会、登録が完了したと言っていたが、本当にこれでいいのだろうか?

折り返しの電話に名前や住所…通帳の番号までも伝えろと言っていたが、果たして本当に教えていいのだろうか?

色々な疑問が頭の中を駆け巡った。


が、やがて笑みがこぼれ…


『デスネット…聞いた事ないな。
どんな仕事するかも知らないけど… まっ、面接無しで決まっただけでもよしとするか!』

とガッツポーズをとりながら言った。

⏰:11/12/23 22:27 📱:Android 🆔:PTe1hKCA


#10 [輪廻]
 
 
そして折り返しの電話がくるのを嬉しそうに待っていると…


―プルルルルルルル

電話の機械の声が言っていた通り、本当に5分後に携帯電話の着信音が鳴った。


『は、はい!』

ハッと我に帰り、慌てて電話に出る。


するとまた機械の声で

『お客様の情報を登録致します。
まずお名前とご住所を言ってから最後に#ボタンを押してください』

『…はい! 名前は大槻と言います。住所は…………』

これが狂也にとって戦慄のアルバイトになる事など、今の彼には予想すらできていなかったー

⏰:11/12/23 22:31 📱:Android 🆔:dzwQNiVQ


#11 [輪廻]
プロローグ2


新年を向かえ、中学の新年会も含めた同窓会を行う為、会場へ向かう村井響歌達。

その道中、同級生の運転する車内で響歌と友達の桐谷蓮、井本七瀬は、同乗している同級生から高収入アルバイトをしている事を聞かされた。

蓮がどんな会社かを尋ねると、同級生から衝撃的な答えが返ってくる―


それは“デスネット”という会社だと。

響歌、蓮、七瀬の3人はその場で一瞬にして凍りついた。

同級生は『どうかしたの?』と何度も聞いてきたが、3人は何も返す言葉がなかった。

⏰:11/12/23 22:37 📱:Android 🆔:FnnF8gLw


#12 [輪廻]
 
  
それからは無言のまま、出発から約1時後、同窓会の会場へと到着する。

駐車場に停めた数台の車から同級生がガヤガヤと降りはじめ、響歌ら3人も重い足取りで降りた。


『わお! こんな豪華な旅館で同窓会? テンションあがるわぁ!』

外観を見渡しながら同級生の一人が騒ぐ。

皆の目の前には、最近新しくできたと思われる大きな旅館があった。

少しして、今回この同窓会を企画した大柄な幹事が皆の前頭に立つ。


『はいはい、ではでは! 早速中に入りましょう!』

やけにテンションが高い幹事の一声に、一同も盛大に盛り上がった。

⏰:11/12/24 09:15 📱:Android 🆔:xjHyypq6


#13 [輪廻]
 
  
一方、響歌と蓮は旅館の外観を見ながら黙りとする。


『2人共、どうかした?』

隣にいる七瀬が、そんな2人の顔を交互に見ながら聞く。


『あ、いや…なんでもねえよ』

『うん…気にしないで』

『……そう?』

首を傾げつつ、再び幹事の方に向きなおす七瀬。


『では中へ!』

そして皆はぞろぞろと旅館の中へ入っていくー

⏰:11/12/24 09:17 📱:Android 🆔:xjHyypq6


#14 [輪廻]
 
  
デスネットの事を聞いて内心不安や胸騒ぎはあったが、旅館で同級生と昔の話をしたり、豪勢な食事をしたりで、その事は次第に忘れていく3人だった。

時間も深夜0時を過ぎ、皆は話疲れたのか誰も口を開かなくなっていた。


そんな周りを見た幹事は、いきなり立ち上がって


『なあ皆! これから肝試しでもしないかい?』

と提案した。

同級生らは、一斉に幹事の方を見る。

⏰:11/12/24 09:19 📱:Android 🆔:xjHyypq6


#15 [輪廻]
 
 
しばしの沈黙の後…


『肝試しか…そういえば中学の修学旅行でやったよな』

同級生の一人が懐かしそうに上の方を見上げて呟いた。


『じゃあやりましょう! この近くに最近起きた通り魔殺人事件の現場があるらしいから、そこで!』

その幹事の言葉に、今度は歓声があがる事はなく、部屋の中は再びシーンと静まり返る。


『あれ? 殺人現場はさすがにマズかった?』

同級生らの何か言いたげな雰囲気を悟ったかのように幹事は苦笑いしながら言った。

⏰:11/12/24 09:21 📱:Android 🆔:xjHyypq6


#16 [輪廻]
 
 
『肝試しっていったら普通は墓地とかじゃない? この辺にあるかわからないけど』

そんな中、気が強そうな女の同級生が真顔で返す。

彼女のその言葉に一同は『そうだそうだ』と幹事に訴えかけるように連呼する。


『わかったわかった! ちょっと調べてみるから待ってて!』

数十人の大ブーイングに圧倒された幹事は、なだめるように言って鞄から携帯電話を取りだし、何やらカチカチといじりはじめた。


『ほんとに肝試しなんてやるのかな…』

静まり返った部屋で響歌が小声で蓮と七瀬に言う。

⏰:11/12/25 11:10 📱:Android 🆔:35VMJZ/I


#17 [輪廻]
 
  
すると、蓮が応える前に七瀬が

『この同窓会が終わったら、またこうして皆で集まる機会はなくなるかもしれないし、今のうちの思い出作りにはいいんじゃない?』

と笑顔で応えた。

そんな七瀬を見て、響歌も自然と笑みがこぼれる。


『そうだよね。肝試しなんて中学の修学旅行以来だしね』

『でしょ? 楽しもうね!』

2人は顔を見合せて小さく笑い合った。

⏰:11/12/25 11:12 📱:Android 🆔:35VMJZ/I


#18 [輪廻]
 
  
『俺はほったらかしかよ…』

笑い合う2人の横で蓮はボソッと呟く。


『あっ! そうだ!』

と…突然、響歌が何かを思い出したように笑いを止めて言った。


『どしたの? 村井』

『なに? 響歌…いきなり』

蓮と七瀬は響歌を見つめ、響歌の方も蓮と七瀬の顔を交互に見る。


3人の間でしばしの沈黙が続いた後…


『あ…や、やっぱりなんでもないや! 忘れて!』

『え…何? 気になるんだけど』

『つか村井、顔赤くね? 酒あんま飲んでなかったよな?』

同窓会の待ち合わせ場所である中学校に蓮と七瀬が来た時、2人が手を繋いでいた事と、普段は誰にでも苗字で呼ぶ蓮が七瀬の事を下の名前で呼んでいた時から、胸騒ぎがしていた響歌。

その胸騒ぎを収める為に今の2人の関係を単刀直入に聞こうとしたが、真っ直ぐに響歌を見つめる2人に圧倒され、途端に聞く勇気が出なくなっていた。

⏰:11/12/25 11:14 📱:Android 🆔:35VMJZ/I


#19 [輪廻]
 
  
そんな時、蓮の方も何かを思い出したように小声で言ってきた。


『…そうだ。2人共、ちょっと廊下出れる?』

『…え? いいけど…なんで?』

首を傾げながら聞き返す響歌。


『忘れたのかよ。車の中で安井ちゃんが言ってただろ。デスネットでバイトしてるって…』

それを聞いて響歌と七瀬は揃って『あっ!』と口にした。

⏰:11/12/25 11:16 📱:Android 🆔:35VMJZ/I


#20 [輪廻]
 
  
『シっ! とにかく…俺が最初に出ていくから、2人は5分くらいしたらトイレ行ってくるとか言って部屋から出ろ』

『わ、わかった…』

響歌と七瀬が小さく頷くと、蓮はスッと立ち上がり

『ちょっとトイレ行ってくるわ』

と、携帯電話の画面を見ている幹事に向かってそう言い、部屋の障子を開けてそそくさと廊下へ出て行った。

やましい事をしている訳ではないのに、なぜか緊張感が2人を襲う。


早くも5分を過ぎ、響歌と七瀬がゆっくり立ち上がって

『えっと、私達もト……』

と響歌が言いかけた時…


『あったぁ!!』

突然の幹事の大声によって、響歌の声は見事にかき消された。

⏰:11/12/25 11:19 📱:Android 🆔:Gj0icVzI


#21 [輪廻]
 
  
『ちょっと! いきなり大声出さないでよ!』

先ほどの気の強そうな女同級生が思わず立ち上がって言う。


幹事は、女同級生を見上げて後頭部を爪でぽりぽりと掻きながら

『いやぁ…ごめんごめん。それより、この旅館の裏にある林を少し歩いた先に墓地があるって!』

と嬉しそうに言う中…


『ナナ…今のうちに出よ』

響歌が七瀬に耳打ちし、幹事らが騒いでいる時に2人はどさくさにまぎれて、その部屋を出た。

⏰:11/12/26 11:49 📱:Android 🆔:m1XbORJ.


#22 [輪廻]
 
  
広めの廊下へ出て辺りを見回すと少し離れた所に、ポケットに手を突っ込んで壁に背をついている蓮がいた。


『蓮!』

七瀬が手を振りながら小さい声で呼ぶと、蓮は2人に気がつき、傍に駆け寄ってくる。


『遅かったな』

『ごめん、ちょっとあって。ね? 響歌』

『うん。ちょっとびっくりしちゃった…』

『ふうん…まあいいや。それより、安井ちゃんが言ってた事だけど…』

蓮は早速本題を切り出す。

⏰:11/12/26 11:51 📱:Android 🆔:m1XbORJ.


#23 [輪廻]
 
 
『確かに、デスネットでアルバイトしてるって言ってたよね…』

『うん、言ってた言ってた』

『変だよな…。だって、デスネットって元々俺らの中学の時の副担が復讐の為に始めたサイトの事なんじゃねえの?』

『たまたま同じ名前の会社だったって事は…?』

『そんな名前の会社聞いた事ねえよ。七瀬…お前は聞いた事ある?』

『ううん、あたしもないな』

3人はそう話した後、難しい顔をしてじっと考え込む。

⏰:11/12/26 11:52 📱:Android 🆔:m1XbORJ.


#24 [輪廻]
 
 
『…あっ!』

数分後、突然あげた響歌の声に蓮と七瀬は驚いて、一瞬体をビクッとさせる。


『響歌、どうしたの?』

『あの男…』

『…え? あの男って?』

七瀬が聞き返すと、蓮はすぐに誰の事かわかったように眉をしかめながら言った…


『あの警官なりすまし野郎の事か?』

『…うん。あの人言ってたの…“ゲームはまだ終わらない”って』

『あのオッサンがそんな事を? そういえばここ最近は俺達の前に姿を現してないよな』

『あの人、何を考えてるのかわからない。
私を殺そうと思えばいつでも殺せるはずなのに…襲ってこようともしないんだよ』

難しい顔をしながら、うつむき加減で言う。

⏰:11/12/26 11:54 📱:Android 🆔:m1XbORJ.


#25 [輪廻]
 
 
『どっちにしろ奴が犯罪者な事には変わりないんだし、そんな奴の気持ちをわかってやる必要なんてねえよ…』

『そうなんだけどさ…何を考えてるのかわからないからこそ、次に何をしてくるかわからないじゃん』

『まあ、次何かしようとしてきたら俺が止めるけどね』

自信満々に言う蓮に、響歌は気付かれないようにクスッと小さく笑う。


『とりあえず、後で安井ちゃんにデスネットの事詳しく聞いてみるわ』

蓮がそう言って3人顔を見合せていると、後ろの部屋の障子がスッと開き、そこから幹事がひょっこり顔を覗かせた。

⏰:11/12/26 11:57 📱:Android 🆔:m1XbORJ.


#26 [輪廻]
 
 
『話し声が聞こえると思ったら…3人で何やってるの〜?』

ニコニコ顔でそう尋ねながら3人の方に歩いていく。


『いや、なんでもねえよ。それより墓地は見つかった?』

『ああ、バッチリ! それで、今から行くか行かないか多数決をとってるんだけど、皆はどっちがいい?』

『俺はいいけど、村井と七瀬はどうする?』

そう言いながら2人の方に目をやる蓮。


『あたしもいいよ。響歌は?』

『え…あ、うん…いいよ』

一瞬ためらう響歌だったが、どの道行く事になりそうだったので、首を縦に振って頷いた。

⏰:11/12/27 15:10 📱:Android 🆔:Vqta6GbI


#27 [輪廻]
 
 
『よし! これで行きたい人が11人で、行きたくない人が8人! よって、肝試し決行!』

『行きたくない人そんなにいるんだ』

七瀬が驚いたように言う。


『そりゃ、墓地に行って霊を連れて帰っちゃうって事もあるからな』

『帰ったら塩撒けばいいだけなのにね』

蓮と七瀬の和やかそうな会話を、興奮気味の幹事が遮る。


『さあさあ! じゃあ3人共、中に入って! 肝試しの計画を立てるから!』

幹事の無駄に大きな声が廊下中に響き渡った後、3人は彼の後に続いて再び部屋の中に入った。

⏰:11/12/27 15:12 📱:Android 🆔:G/gAzf86


#28 [輪廻]
 
 
『…じゃあ皆さん! これから墓地に行きます! さっき話した通り、2〜3人組で墓地の中をぐるっと一周して戻ってくるという事で!』

こうして、一同は荷物を持って墓地へと向かった。


旅館の裏にある林道から入り、10分ほど歩いた所に、墓地はあった。

『はい、じゃあここで2〜3人組を作ってください!』

到着するなり幹事に言われ、皆はしぶしぶ行動する。


『俺は安井ちゃんと組むわ』

蓮は響歌と七瀬にそう言ってから、大人数の中、安井を探しにいく。

⏰:11/12/27 15:14 📱:Android 🆔:FgjiK2UE


#29 [輪廻]
 
 
『じゃあ響歌、あたしと一緒に行こうよ。男なんかいなくても、あたし達だけで大丈夫だよね?』

『…そうだね』


少しして、それぞれ組む人同士が固まり、決まったのを確認してから幹事がニヤニヤしながら言った

『はい! では…誰からいきます?』

誰も名乗り出ず、しばらくシーンと静まり返った後、一人が手を挙げる。


『じゃあ俺達からで』

皆がその声の方に目をやった先には、蓮と安井がいた。


『おお、桐谷! 君達から行っちゃう? 度胸あるね!』

『いや…さっさと終わらせて帰りたいだけ』

涼しい顔でさらっと言う蓮に、一同は『おお!』と小さな歓声をあげる。

⏰:11/12/27 15:16 📱:Android 🆔:fxxBpVP2


#30 [輪廻]
 
 
『安井ちゃん、行こ』

『桐谷くんって男らしいんだね。変わってないなあ!』

『いや、男だし』

蓮と安井はそんな会話をしながら、墓地の中へと入っていった。

残された皆はそれぞれ、その場にしゃがみ込んだり、携帯電話をいじったり、雑談をし始める。


『あたし達も座ろっか』

響歌と七瀬は、近くに置かれている大きな石の上に腰を下ろした。

⏰:11/12/27 15:17 📱:Android 🆔:uM9k8Kw.


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