horrorU〜二重連鎖〜
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#112 [輪廻]
 
 
そして、男が取り出したものを見て再び身体が固まった。


『これ…何かわかる?』

答えるまでもなく、それは中型サイズのスタンガンだった。


やばいー

直感的にそう思い、何か抵抗できるようなものを探す為、男に背を向けて室内に戻ろうとした時…


バチバチバチィー!!

その背を向けたわずか一瞬で、男はスタンガンを狂也の背中に当てた。

ものすごい音と共に、身体に何十万ボルトもの電流が流れ、狂也の身体は力が抜けたように床に倒れ込む。

その瞬間は、まるでスローモーションのように、とてもゆっくりに感じられたー

⏰:12/03/14 09:27 📱:iPhone 🆔:Y8b7jttI


#113 [輪廻]
 
 
…………。

…………。

…………。


ドン、と床に頭をぶつけたような感覚と共にハッと目を覚ます。


視線だけを動かして辺りを見る。

そこはまぎれもなく自分の自室であった。


窓の外からは心地良く思えるような朝の日差しが室内に差し込んでいる。


『(……あれ?)』

頭がボンヤリとしていて、夢なのか現実なのかハッキリしない。

⏰:12/03/14 09:29 📱:iPhone 🆔:Y8b7jttI


#114 [輪廻]
 
 
とりあえず布団から身体を起こし、自分の手足や服装を確認する。

次に手を後ろに回し、背中を確認。

…何もない。

そこで、あの男が自分の部屋に訪ねてきた事とスタンガンで背中を狙われた事は完全な夢だったんだと理解できた。


それにしてもいやにハッキリした夢だったなと思い、頭をポリポリと掻く。

しばらくボーっと部屋の中を見つめた後、夢で見つからなかった携帯電話の事を思い出し、それを探す。

⏰:12/03/14 09:30 📱:iPhone 🆔:Y8b7jttI


#115 [輪廻]
 
 
が、夢では見つからなかった電話は意外にもすぐに見つかった。

昨日から履きっぱなしのジーパンのポケットを触ると多少の膨らみがあり、それを取り出し画面を見る。

画面は真っ暗で、変わりに自分の眠そうな顔が反射してハッキリと映り込んでいる。


ボタンを押しても反応がなかったので、電源ボタンを長押しして電源を入れた。


画面が点いたのを確認してから、携帯電話をそばに置いて布団から立ち上がる。

⏰:12/03/14 09:31 📱:iPhone 🆔:Y8b7jttI


#116 [輪廻]
 
 
その場で両手を大きく上に伸ばし欠伸を一回すると、眠たい目をこすりながらトイレへと向かう。


トイレは玄関の脇にあり、そこへ行くと再び欠伸をしてからトイレのドアノブに手をかけた…

その時であったー


ーピンポーン

部屋のインターホンが一回、鳴らされた。

狂也は一瞬ドキッとし、ドアノブに手をかけた状態で玄関のドアの方に顔だけを向ける。


すると再び…


ーピンポーン

二度目のインターホンが鳴った。

⏰:12/03/14 09:32 📱:iPhone 🆔:Y8b7jttI


#117 [輪廻]
 
 
狂也のコメカミから、一筋の嫌な汗が流れた。


しばらくドアを見つめたまま様子を見ていると、向こうに立っている人物の声ですぐ安心する事になる。


『大槻さんいる〜? 大家だけど!』

大きな声でそう言う聞き覚えのある男性の声を聞いた瞬間、途端に力が抜けたようにトイレのドアノブにかけていた手をパッと離す。


『あ、はい! 今開けます』

夢と同じようにドアについた覗き穴も確認する事なく、大きくドアを開いた。


そこに立っていたのはあの男ではなく、このアパートを管理する50代の大家の男性だった。

⏰:12/03/14 09:33 📱:iPhone 🆔:Y8b7jttI


#118 [輪廻]
 
 
大家は、狂也の顔を見ると何やら難しい顔をして言った。

『大槻さんこれ…アンタに来てる荷物じゃないのかい?』

そう言ってドアの脇に視線をやったので、狂也もそちらを見る。


そこに、口がガムテープでしっかり止められた大きなダンボール箱がポツンと置かれていた。


『あれ…? いつの間に…』

外に出て、しゃがみ込んでそのダンボールを隅々まで見る。


差出人の名前も何も書かれていない無地のダンボール。

狂也には覚えがあるわけもなく…


『こんなの…俺知りませんけど』

キッパリそう言うと、大家はますます難しい顔をした。

⏰:12/03/14 09:34 📱:iPhone 🆔:Y8b7jttI


#119 [輪廻]
 
 
『うーん…でもねえ、一応アンタの部屋の前に置いてあったから、アンタへの荷物だと思うんだけどねぇ〜』

『いやそう言われても…』

『とりあえずね、ここに置かれていると他の住人さんが通る時に邪魔になるからね、一旦アンタの部屋に置いといてくれんかね?』

無茶を言う大家に、朝からキレそうになったものの、断ったら部屋を追い出されてしまうと思い、あえて何も言わずしぶしぶ了承した。

『わかりました。でももし俺宛ての荷物じゃなかったらどうすればいいですか?』

狂也の問いに、大家はダンボールをじっと見ながら腕を組んでなにやら少し考えた後、視線を狂也に向け直し…

『ん〜、まっ! その時は適当に処分すればいいんじゃないかね?』

と、これでもかというくらい無責任な発言をした。

⏰:12/03/14 09:36 📱:iPhone 🆔:Y8b7jttI


#120 [輪廻]
 
 
『はあ……』

面倒くさそうなため息を漏らすと、大家は優しい笑みを浮かべて狂也の耳元で、突然囁いた。

『まあ頼むね。今月の家賃、大槻さんだけ半額でいいから』

『…………マジですか?』

大家の予想外すぎる甘い言葉に、狂也の表情にも自然と笑みがこぼれていく。


『ほんとほんと。男に二言はないよ。ではまたね』

最後に狂也の肩をポンと叩くと、大家はご機嫌そうに自室へと戻っていったー

⏰:12/03/14 09:37 📱:iPhone 🆔:Y8b7jttI


#121 [輪廻]
 
 
しばらくはニヤニヤしながら今の大家の発言の余韻に浸っていたが、再びダンボールに視線を送った所ですぐ我に帰った。


『はあ…』

再度しゃがみ込み、ダンボールの両側下部分に両手をかけ、持ち上げる。

大きなサイズの割に重力は3〜4キロほどと対した事はなく、楽々と持ち、それを部屋の中へと運んだ。


『よっこらしょと…』

布団のそばに置き、口に止めてあるガムテープに手をかけ、それを強い力で剥がしていく。

⏰:12/03/14 09:38 📱:iPhone 🆔:Y8b7jttI


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