horrorU〜二重連鎖〜
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#142 [輪廻]
 
 
『…………』

『…………』

お互い黙り込み、二人の間にしばしの沈黙が支配する。


少しして突然、大家が何かを思い出したように慌てて口を開く。


『あっ! じゃあワタシ掃除の途中だから…失礼しますわ!』

そう言って大家は、履いているサンダルをタンタンと鳴らしながら階段をかけ降りていった。


狂也はその姿を強張った顔で見届けてから、再度、写真が入った茶封筒に目をやる。

⏰:12/04/12 09:46 📱:iPhone 🆔:.cw6gBWY


#143 [輪廻]
 
 
手にしたまま部屋に戻り、布団の上に座ると、封筒の中から写真をそっと取り出す。


先ほどは大家もいた事もあり、写真に写ったものを見せれる訳はなく、出してすぐ引っ込めてしまった写真を改めて見る。


一枚目の写真は、どこかの工場のような場所で撮られていて、地面にはバラバラにされているであろう、あちこちに散りばめられた人体の部位が写っていた。

他の写真も、思わず目を背けたくなるようなものばかりだった。

⏰:12/04/12 09:47 📱:iPhone 🆔:.cw6gBWY


#144 [輪廻]
 
 
一通り見終えた後、再び一枚目の写真を手に取って見る。

バラバラにされた人間の腕、手首から下、足首から下…これらが写された写真を見て狂也はある確信をした。


視線をゆっくりと写真から、あのダンボールに移す。


『もしかして…』

“あのダンボールの中身は、この写真に写っているものだ”…そう確信したのだ。

⏰:12/04/12 09:47 📱:iPhone 🆔:.cw6gBWY


#145 [輪廻]
 
 
そう思った瞬間、何だかわからない悪寒が突如、狂也を襲った。


同時に昨晩の出来事がフラッシュバックする。


昨晩、死体遺棄現場から逃げ出し、あの男の車の元へ辿りつき、車内を探索した。

そこにあった、刃先に血と肉片のようなものがこびりついていたチェーンソーを見つけた。


そこからある結論に達する事ができる。


昨晩埋めた死体は、あのチェーンソーで手首、足首などの部位を切られた状態のもので、その部位は今ここにあるダンボールの中身なのではないかと。


自分は、そんな猟奇的な殺し方をした男と昨晩を共にしていたー

それ以上の身が凍る思いなどあるだろうかと、狂也は自分自身に問いたい気分だった。

⏰:12/04/12 09:49 📱:iPhone 🆔:.cw6gBWY


#146 [輪廻]
 
 
写真を封筒に戻し、シーンと静まり返った部屋で、あのダンボールを見つめる。


今度はこのダンボールの処分方法を考えなければいけなかった。


どこかへ捨てに行こうにも、これだけ大きく目立つダンボールならば、すぐ人目についてしまうだろう。


そもそも、こんなダンボールを抱えて歩いているだけでも充分に人目につく。


狂也は必死に頭を働かせた。

⏰:12/04/13 15:15 📱:iPhone 🆔:XD5LpQdg


#147 [輪廻]
 
 
5分…10分…と時間だけが刻々と過ぎていく。

どれだけ考えてもダンボールの処分方法は思いつかない…と思われたが、一つだけ簡単な方法を思いついた。


狂也は部屋を見回し、そこいらに無造作に捨ててあるコンビニ袋をできるだけかき集め、先ほど使ったゴム手袋をはめた。


こんな大きなダンボールをわざわざ持ち歩く必要なく処分する…

それはダンボールに入った中身を、今集めたコンビニ袋に移し、残ったダンボールは潰して、それぞれ別の場所に捨てる…という方法だった。

⏰:12/04/13 15:17 📱:iPhone 🆔:XD5LpQdg


#148 [輪廻]
 
 
狂也はダンボールをそばに引き寄せ、先ほど貼ったガムテープを再度剥がし、箱の口を開いた。

開けると同時に再び、とてつもない異臭が放たれたが、狂也は我慢しつつ顔を引き、片手で中身を取り出すと、もう片手に持ったコンビニ袋にその新聞紙に包まれた物を入れていく。

放たれる異臭と戦いながら、その作業を始めて5分が過ぎた。


中には、腐食して感触がぐにゃりとするものもあり、鳥肌が立ちつつもどうにか中身を全てコンビニ袋に移し変える事ができた。


最後に、残ったダンボール箱の底を開き、なるべく小さくなるまで折りたたむ。


『……はあ』

計15分ほどでその作業を終え、安心したようなため息をつく。

⏰:12/04/13 15:18 📱:iPhone 🆔:XD5LpQdg


#149 [輪廻]
 
 
『(あとは、これを夜にでもどっかに捨てにいけばいいか…)』

中身が入ったコンビニ袋と、小さくたたまれたダンボールを手にしながらそう思い、ひとまず…とそれらを浴室に移動させた。


再度部屋の中に漂った異臭を別の消臭スプレーで消した後、どっと疲れた狂也は布団に倒れるようにして寝込んだー

⏰:12/04/13 15:19 📱:iPhone 🆔:XD5LpQdg


#150 [輪廻]
 
 
…けたたましく鳴る救急車の音でふと目を覚ました。


寝ぼけ眼で窓の方に視線をやる。

外は薄暗く、大粒の雨がザアザアと降りしきっていた。


仰向けの状態で、手探りで携帯電話を探す。

すぐそれを見つけて手に取り画面を見ると

PM5:48ー

昼前からすっかり寝入っていた。


携帯電話の画面に目をやったまま身体を起こし、しばらくボーッと画面を見つめた後、ふとあのコンビニ袋とダンボールの事を思い出し、立ち上がると、浴室へ向かった。

⏰:12/04/13 15:20 📱:iPhone 🆔:XD5LpQdg


#151 [輪廻]
 
 
隅に置いておいたそれを手に取り、今度は玄関へ向かう。

ダンボールを右の小脇に抱え、コンビニ袋も右手に持ち、玄関の脇から傘を手にすると、狂也は大雨の降る外へと踏み出した。


これらを処分する作業から人目をつきにくするには、外が暗く雨が降る状況が有利だと思ったからだった。

⏰:12/04/15 11:08 📱:iPhone 🆔:fvn71Mrg


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