horrorU〜二重連鎖〜
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#21 [輪廻]
『ちょっと! いきなり大声出さないでよ!』
先ほどの気の強そうな女同級生が思わず立ち上がって言う。
幹事は、女同級生を見上げて後頭部を爪でぽりぽりと掻きながら
『いやぁ…ごめんごめん。それより、この旅館の裏にある林を少し歩いた先に墓地があるって!』
と嬉しそうに言う中…
『ナナ…今のうちに出よ』
響歌が七瀬に耳打ちし、幹事らが騒いでいる時に2人はどさくさにまぎれて、その部屋を出た。
:11/12/26 11:49 :Android :m1XbORJ.
#22 [輪廻]
広めの廊下へ出て辺りを見回すと少し離れた所に、ポケットに手を突っ込んで壁に背をついている蓮がいた。
『蓮!』
七瀬が手を振りながら小さい声で呼ぶと、蓮は2人に気がつき、傍に駆け寄ってくる。
『遅かったな』
『ごめん、ちょっとあって。ね? 響歌』
『うん。ちょっとびっくりしちゃった…』
『ふうん…まあいいや。それより、安井ちゃんが言ってた事だけど…』
蓮は早速本題を切り出す。
:11/12/26 11:51 :Android :m1XbORJ.
#23 [輪廻]
『確かに、デスネットでアルバイトしてるって言ってたよね…』
『うん、言ってた言ってた』
『変だよな…。だって、デスネットって元々俺らの中学の時の副担が復讐の為に始めたサイトの事なんじゃねえの?』
『たまたま同じ名前の会社だったって事は…?』
『そんな名前の会社聞いた事ねえよ。七瀬…お前は聞いた事ある?』
『ううん、あたしもないな』
3人はそう話した後、難しい顔をしてじっと考え込む。
:11/12/26 11:52 :Android :m1XbORJ.
#24 [輪廻]
『…あっ!』
数分後、突然あげた響歌の声に蓮と七瀬は驚いて、一瞬体をビクッとさせる。
『響歌、どうしたの?』
『あの男…』
『…え? あの男って?』
七瀬が聞き返すと、蓮はすぐに誰の事かわかったように眉をしかめながら言った…
『あの警官なりすまし野郎の事か?』
『…うん。あの人言ってたの…“ゲームはまだ終わらない”って』
『あのオッサンがそんな事を? そういえばここ最近は俺達の前に姿を現してないよな』
『あの人、何を考えてるのかわからない。
私を殺そうと思えばいつでも殺せるはずなのに…襲ってこようともしないんだよ』
難しい顔をしながら、うつむき加減で言う。
:11/12/26 11:54 :Android :m1XbORJ.
#25 [輪廻]
『どっちにしろ奴が犯罪者な事には変わりないんだし、そんな奴の気持ちをわかってやる必要なんてねえよ…』
『そうなんだけどさ…何を考えてるのかわからないからこそ、次に何をしてくるかわからないじゃん』
『まあ、次何かしようとしてきたら俺が止めるけどね』
自信満々に言う蓮に、響歌は気付かれないようにクスッと小さく笑う。
『とりあえず、後で安井ちゃんにデスネットの事詳しく聞いてみるわ』
蓮がそう言って3人顔を見合せていると、後ろの部屋の障子がスッと開き、そこから幹事がひょっこり顔を覗かせた。
:11/12/26 11:57 :Android :m1XbORJ.
#26 [輪廻]
『話し声が聞こえると思ったら…3人で何やってるの〜?』
ニコニコ顔でそう尋ねながら3人の方に歩いていく。
『いや、なんでもねえよ。それより墓地は見つかった?』
『ああ、バッチリ! それで、今から行くか行かないか多数決をとってるんだけど、皆はどっちがいい?』
『俺はいいけど、村井と七瀬はどうする?』
そう言いながら2人の方に目をやる蓮。
『あたしもいいよ。響歌は?』
『え…あ、うん…いいよ』
一瞬ためらう響歌だったが、どの道行く事になりそうだったので、首を縦に振って頷いた。
:11/12/27 15:10 :Android :Vqta6GbI
#27 [輪廻]
『よし! これで行きたい人が11人で、行きたくない人が8人! よって、肝試し決行!』
『行きたくない人そんなにいるんだ』
七瀬が驚いたように言う。
『そりゃ、墓地に行って霊を連れて帰っちゃうって事もあるからな』
『帰ったら塩撒けばいいだけなのにね』
蓮と七瀬の和やかそうな会話を、興奮気味の幹事が遮る。
『さあさあ! じゃあ3人共、中に入って! 肝試しの計画を立てるから!』
幹事の無駄に大きな声が廊下中に響き渡った後、3人は彼の後に続いて再び部屋の中に入った。
:11/12/27 15:12 :Android :G/gAzf86
#28 [輪廻]
『…じゃあ皆さん! これから墓地に行きます! さっき話した通り、2〜3人組で墓地の中をぐるっと一周して戻ってくるという事で!』
こうして、一同は荷物を持って墓地へと向かった。
旅館の裏にある林道から入り、10分ほど歩いた所に、墓地はあった。
『はい、じゃあここで2〜3人組を作ってください!』
到着するなり幹事に言われ、皆はしぶしぶ行動する。
『俺は安井ちゃんと組むわ』
蓮は響歌と七瀬にそう言ってから、大人数の中、安井を探しにいく。
:11/12/27 15:14 :Android :FgjiK2UE
#29 [輪廻]
『じゃあ響歌、あたしと一緒に行こうよ。男なんかいなくても、あたし達だけで大丈夫だよね?』
『…そうだね』
少しして、それぞれ組む人同士が固まり、決まったのを確認してから幹事がニヤニヤしながら言った
『はい! では…誰からいきます?』
誰も名乗り出ず、しばらくシーンと静まり返った後、一人が手を挙げる。
『じゃあ俺達からで』
皆がその声の方に目をやった先には、蓮と安井がいた。
『おお、桐谷! 君達から行っちゃう? 度胸あるね!』
『いや…さっさと終わらせて帰りたいだけ』
涼しい顔でさらっと言う蓮に、一同は『おお!』と小さな歓声をあげる。
:11/12/27 15:16 :Android :fxxBpVP2
#30 [輪廻]
『安井ちゃん、行こ』
『桐谷くんって男らしいんだね。変わってないなあ!』
『いや、男だし』
蓮と安井はそんな会話をしながら、墓地の中へと入っていった。
残された皆はそれぞれ、その場にしゃがみ込んだり、携帯電話をいじったり、雑談をし始める。
『あたし達も座ろっか』
響歌と七瀬は、近くに置かれている大きな石の上に腰を下ろした。
:11/12/27 15:17 :Android :uM9k8Kw.
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