好きになりました。
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#2 [zono]


“ずっと一緒にいような。じいちゃんとばあちゃんになっても、今みたいに笑ってさ”

“約束だよ”

無邪気にそう笑う彼とあたし、とても幸せで…いや、幸せだった。

今では思い出だけが、残ってしまった。

“大好きだよ、睦月”



⏰:12/06/07 11:51 📱:941SC 🆔:☆☆☆


#3 [zono]

―――――……
―――…

「んぅ、ん…夢、か。」

懐かしい夢を見た。
最近は全く見ていなかった夢。

あの頃の幼いあたしと彼。


「会いたい、な」

ボソッと呟いた言葉は、誰もいない部屋に妙に響いた。


〜〜〜♪

夢の余韻に浸っていると、部屋に携帯の着信音が鳴り響く。


⏰:12/06/07 11:57 📱:941SC 🆔:☆☆☆


#4 [zono]


こんな朝から誰?

不思議に思いながらもテーブルの上に置いてあった携帯を手に取り、電話に出る。

「はい、もしも―」
「ちょっと、睦月!あんたまだ寝てんの!?」

あたしの声を遮り、聞こえてきた大きな声。
すかさず耳から少し離す。

「あ、みくちゃん。おはよ」

彼女とは対象に普通に声をかける。

「あ、おはよ。じゃないわよ!」

⏰:12/06/07 12:02 📱:941SC 🆔:☆☆☆


#5 [zono]


なぜ彼女はこんな朝から怒っているのだろう?

なんて呑気なことを考えるあたしは、彼女の次の言葉で現実に引き戻された。


「もう1限目終わったわよ!」

「うそ?!」

あたしはそんなに寝ていたのだろうか?

「今から急いで行くね!」

⏰:12/06/07 12:07 📱:941SC 🆔:☆☆☆


#6 [zono]


彼女との電話を切ると、あたしは急いで制服に着替え鞄を手に部屋を出る。

そのまま洗面所に行き、顔を洗うと次はキッチンに。
冷蔵庫から牛乳を取り出すとコップに入れて、ゴクゴクと飲み干す。
遅刻をしていても、毎朝の牛乳は欠かせない。

何故って?

151センチしかない背を、日頃みくちゃんや他の子に小さいと言われるのを防ぐため。

牛乳飲んで、大きくなるんだから!

⏰:12/06/07 12:14 📱:941SC 🆔:☆☆☆


#7 [zono]


「忘れ物はなし、っと。お父さん、お母さん、いってきます」

優しい笑みを浮かべた二人が写る写真に向かって、あたしは声をかけた。

あ、もちろん死んでなんかいないよ?
ちゃんと二人とも生きてる。

お父さんが仕事の都合で海外赴任になったんだけど、お母さんが心配だからって着いていっちゃって…。


一人娘のあたしは心配じゃないんですかー?
まぁそんな漢字で、今は独り暮らしを満喫中。


⏰:12/06/07 12:20 📱:941SC 🆔:☆☆☆


#8 [zono]


「…なんて言ってる場合じゃなかった!」

戸締まりを確認したあたしは、これ以上遅くならない様に学校へと向かう。


あたしが1人で住むマンションから徒歩15分でつく学校は、男女共学。
頭は良くも悪くもなく普通。

走っていけば10分でつく…はず。
みくちゃん曰く、あたしは歩いても走っても大差はないらしい。

⏰:12/06/07 18:16 📱:941SC 🆔:☆☆☆


#9 [zono]


この先のコンビニを曲がれば、学校は目前。
なのに…

ドンッ

顔から何かに直撃してしまったあたしは、痛みでその場にしゃがみこむ。


⏰:12/06/07 18:20 📱:941SC 🆔:☆☆☆


#10 [zono]


ホントつくづく今日は、ついてないと思う。
ぶつかったあの後、前方から聞こえる声。

見上げれば、同い年くらいの男の子。
その後ろには、明らかに不良っぽい男の子が3人くらい地面に座りタバコを吸っている。


あたしがぶつかった相手も見るからに不良で、タバコと香水の匂いが鼻を刺激する。


「す、すいません」

立ち上がり様、頭を下げたまま謝る。

⏰:12/06/07 19:36 📱:941SC 🆔:☆☆☆


#11 [zono]


「すっげー痛かったんだけど。すいません、じゃ足りねぇし」

怒りを含んだ声が頭上から聞こえ、肩をビクつかせる。

「本当ごめんなさい。急いでて…」

そう言ってあたしは顔を上げる。
そうとう痛かったのか、眉間に皺を寄せ、怒りを露にしている。

どうしよー…

心の中でそう思いながら、もう一度謝ろうとしたら。

「ねぇ、君可愛いね。俺らと遊んでくれたら許してあげてもいいよ!」

先ほどと一変して、笑みを浮かべる目の前の男の子。

⏰:12/06/07 19:45 📱:941SC 🆔:☆☆☆


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