砂糖が甘い理由
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#135 [花]
優の真っすぐな言葉に俺は隠し切れずに,小さく頷いた。
優はやっぱりといったように,俺を見下ろし,空を仰いだ。
[でも,城谷とはコンビニで少し話しただけで,すぐ帰ったんだ]
俺は焦って話す。
[連絡先とか聞かなかったのか?達也らしくないな〜]
見透かしたように優は軽く言った。
[別に俺は…]
俺が言葉に詰まっていると,優はため息をついた。
:06/07/20 17:38 :F700iS :vh5TIEvQ
#136 [花]
[無理にうそつくなよ。らしくない
俺は何もやましく思ってねーし,達也の事なら少しは理解してるつもりだよ]
話しながら優は飲み終えた缶ジュースをごみ箱に投げた。
…少しじゃねーよ。優は俺の全て理解してくれてるじゃん。
泣きそうになった。
俺城谷のことが好きなんだ…!!
逃げ続けてきた俺の中の事実をしっかり自分自身で確かめた。
優は泣きそうな俺を察して,背を向けたままでいてくれた。
:06/07/20 17:44 :F700iS :vh5TIEvQ
#137 [花]
そんな時,俺の携帯がいきなり鳴った。
正直二人とも驚いて,優は背を向けていたが振返り,苦笑いをした。
携帯の着信の相手は美穂子。まさにバットタイミング…
俺はため息をついてから思い切りまた空気を吸い込み,電話に出た。
[もしもし,美穂子???]
:06/07/22 19:09 :F700iS :O2aYlb92
#138 [花]
[達也ァ-!今どこにいる???家???]
美穂子はハイテンションで明るく話し掛けてくれる。
俺は少しためらったが,すぐ返事を返した。
[今は駅前の公園。優と一緒だよ]
[そっかぁ。ねぇ明日会える???]
この美穂子の言葉に
[悪い。明日は家族で出掛けるんだ]
と咄嗟に言ってしまった。明日は何も予定なんかないのに…
優は黙って俺のほうを心配げにみている。
弱くて卑怯な自分がいやになった。
:06/07/22 19:24 :F700iS :O2aYlb92
#139 [寿]
仕事中だけど更新まってます 頑張ってね
:06/07/28 12:45 :P901iS :RTRQQiHE
#140 [花]
:06/07/28 17:30 :F700iS :YbfMQd/6
#141 [花]
美穂子は一瞬電話の向こうで静まった。
そしてすぐ
[わかった!!!!また連絡する]
と言って,明るく返事をした。
俺は自分の弱さに加えて美穂子に申し訳なくて,また涙が出そうになった。
電話を切ったあと,また深いため息が出た。
優は俺の肩を軽く撫でてくれた。
[なぁ…優
俺 どうしたらいいんだろう。わかんねぇよ]
:06/07/28 17:40 :F700iS :YbfMQd/6
#142 [花]
情けなくて,不甲斐なくて,優柔不断な自分。
俺は城谷のコトを思えば思うほど,城谷に魅かれていく。
でも美穂子に別れを告げる自信なんか…あるわけない。
優は少しの間黙っていた。
[…達也は優し過ぎるんだよ。
でもその優しさがきっと両方をいつか傷つけることになる。
ケジメ…つけるんだよ]
と おおらかに言った
:06/07/28 17:47 :F700iS :YbfMQd/6
#143 [花]
優と別れてからどれくらい時間が経ったんだろう。
駅から俺の家までこんなにかかったっけ…。
そう気がついた頃には,もう午後D時過ぎ。
そして虚ろな俺がたどり着いた先,それは
―学校
[何してんだよ。俺…]
俺は優に貸してもらった城谷の中学のアルバムを片手に学校を見上げた。
夕焼けと屋上が重なってすげー綺麗。
また目が潤んで空が霞んだ。
俺 いつからこんなに涙脆くなったんだっけ。
:06/07/28 17:55 :F700iS :YbfMQd/6
#144 [花]
フラフラな足取りで玄関に手をかけたが,もちろん開かない。
グラウンドの方から野球部の声が微かに聞こえた。
俺は玄関先に座込み,アルバムを開いて城谷の写真を見ると,心が熱くなった。
じーんと体に響くみたいに,あの目の冷たさが伝わる。
部活動別の写真の中に城谷を探す。
[女子テニス部]
赤のユニホームにポニーテールをした城谷がいた。可愛いけどやっぱり笑ってない。
その他の行事のページも見たが,城谷の姿はひとつもなかった。
:06/07/28 18:04 :F700iS :YbfMQd/6
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