砂糖が甘い理由
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#198 [花]
それから紗弥はずっと携帯を触っていた。
俺は話し掛けなかった。
時々紗弥が,わからないと言って,携帯を俺に突き出したので一緒になって設定や待受を変えた。
紗弥が待受にしたのは,ネットワーク接続して拾った外人の画像。
俺には誰なのかわからない。何となく長い髪とか紗弥に似てる。
紗弥はご機嫌な様子で待受を眺めていた。
[ね,達也!達也の写メ撮っていい???]
紗弥はカメラを起動して俺に向けた。
:06/08/08 17:34 :F700iS :QX54pnUE
#199 [花]
[ダメだよ。恥ずかしいじゃん!
紗弥が一緒に入るならいいよ]
俺は紗弥の携帯のレンズを軽く指で弾いた。
[え…でも裏返すと,うちらの顔どんな風に写ってるか見えないじゃん]
紗弥は携帯を裏返して自分に向けたりして,レンズを覗き込んでいた。
[こうするんだよ]
俺は紗弥から携帯を取り上げ,内側カメラのボタンを押して紗弥の肩を抱いた。
:06/08/08 17:40 :F700iS :QX54pnUE
#200 [しぉり]
:06/08/08 19:27 :P900i :☆☆☆
#201 [花]
[上の端にある黒くて丸いとろこ。あれが内側カメラだよ]
紗弥は画面とカメラを交互に見た。
[へぇ,これ何だろって思ってたんだ]
[撮るよ???]
俺は俺と紗弥の顔がしっかり入るように紗弥のすぐ横に自分の顔をくっつけた。
[うん…]
:06/08/08 19:52 :F700iS :QX54pnUE
#202 [花]
―カシャッ
俺はカメラ目線だったから,写す瞬間の紗弥は見てなかった。
俺も一緒に写ったの見たいのに
[見せて見せて!]
紗弥は俺を急かして携帯を覗いた。
さっきよりもすぐ傍にある紗弥の顔。
まつ毛長いな
あ…マスカラ玉になってんじゃん。
オレが紗弥の顔に見とれていると,紗弥がいきなり俺を見上げた。
[画質いいね!]
:06/08/08 19:59 :F700iS :QX54pnUE
#203 [花]
目が合う…
[そうだな。結構いいな]
俺が目をそらそうとする
次の瞬間
―お互い言葉を失った。
俺の目と鼻の先には紗弥の目を閉じた美しい顔。
口には生暖かくて柔らかい感触。
鼻から吸い込む空気は甘い甘い紗弥の香り。
:06/08/08 20:09 :F700iS :QX54pnUE
#204 [花]
時間が一瞬止まったような気がした。
紗弥からの思わぬ行為は俺に暈を起こさせるような,そんな感じにさせた。
名残惜しく,紗弥の唇が俺から離れる。
[紗弥…]
紗弥は俺から少し距離を置いて,座り直して何も言わない。
[紗弥…???]
しばらく紗弥の横顔を見つめていると紗弥が小さい声で呟いた。
[達也は…]
[何???]
俺は紗弥の頭を撫でた。
:06/08/08 20:33 :F700iS :QX54pnUE
#205 [花]
[達也は…今日あたしを笑わせてくれたし,携帯の使い方教えてくれたから!
お礼…みたいな!!]
照れを隠すように,俯きながら強気に言う紗弥らしい姿を見て,俺はまた紗弥に愛しさを抱いた。
でも俺は…
[そっか!サンキュ]
ただこれだけ。
紗弥をもう一度抱きしめることもできず,俺の本当の気持ちも伝えることもできなかった。
まじで意気地なし。
[あ,写メ見る?]
紗弥も焦って話を変えようとしているのは,見え見えだった。
:06/08/08 21:01 :F700iS :QX54pnUE
#206 [花]
[見る!]
俺も紗弥の話を変えようとする流れに合わせた。
紗弥はとろい指の動きでボタンを押して,俺に画像を見せてくれた。
写メに写る紗弥は笑っていた。
優しくて 可愛くて…
俺は自分の顔を確認するのもしずに,紗弥を見入った。
[達也チョット眩しそうな顔してる]
[ほんとだ。カッコ悪]
俺は笑っているけど,紗弥の言うとおり目は少し細くて,口も引きつっていた。
緊張してたからな…
[カッコ悪くないよ]
紗弥は真顔で呟いた。
俺にはちゃんと聞こえた。
:06/08/08 22:12 :F700iS :QX54pnUE
#207 [花]
紗弥がそう言ってくれたし…
[その写メ,俺にもちょうだい!]
[うん]
俺は赤外線を繋ごうと自分の携帯をポケットから取り出した。
[どうやって送ればいいの?]
[送らなくていいよ。画像選択して,赤外線っての選ぶんだ]
紗弥は不器用な手つきで,携帯をいじった。
:06/08/10 18:36 :F700iS :OvK9Ul/o
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