砂糖が甘い理由
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#204 [花]
時間が一瞬止まったような気がした。
紗弥からの思わぬ行為は俺に暈を起こさせるような,そんな感じにさせた。
名残惜しく,紗弥の唇が俺から離れる。
[紗弥…]
紗弥は俺から少し距離を置いて,座り直して何も言わない。
[紗弥…???]
しばらく紗弥の横顔を見つめていると紗弥が小さい声で呟いた。
[達也は…]
[何???]
俺は紗弥の頭を撫でた。
:06/08/08 20:33 :F700iS :QX54pnUE
#205 [花]
[達也は…今日あたしを笑わせてくれたし,携帯の使い方教えてくれたから!
お礼…みたいな!!]
照れを隠すように,俯きながら強気に言う紗弥らしい姿を見て,俺はまた紗弥に愛しさを抱いた。
でも俺は…
[そっか!サンキュ]
ただこれだけ。
紗弥をもう一度抱きしめることもできず,俺の本当の気持ちも伝えることもできなかった。
まじで意気地なし。
[あ,写メ見る?]
紗弥も焦って話を変えようとしているのは,見え見えだった。
:06/08/08 21:01 :F700iS :QX54pnUE
#206 [花]
[見る!]
俺も紗弥の話を変えようとする流れに合わせた。
紗弥はとろい指の動きでボタンを押して,俺に画像を見せてくれた。
写メに写る紗弥は笑っていた。
優しくて 可愛くて…
俺は自分の顔を確認するのもしずに,紗弥を見入った。
[達也チョット眩しそうな顔してる]
[ほんとだ。カッコ悪]
俺は笑っているけど,紗弥の言うとおり目は少し細くて,口も引きつっていた。
緊張してたからな…
[カッコ悪くないよ]
紗弥は真顔で呟いた。
俺にはちゃんと聞こえた。
:06/08/08 22:12 :F700iS :QX54pnUE
#207 [花]
紗弥がそう言ってくれたし…
[その写メ,俺にもちょうだい!]
[うん]
俺は赤外線を繋ごうと自分の携帯をポケットから取り出した。
[どうやって送ればいいの?]
[送らなくていいよ。画像選択して,赤外線っての選ぶんだ]
紗弥は不器用な手つきで,携帯をいじった。
:06/08/10 18:36 :F700iS :OvK9Ul/o
#208 [花]
[ん!]
そう言って俺に携帯を突き出した。
[はいはい]
俺はわざと紗弥をおちょくるように,軽く笑いながら自分の携帯を紗弥の手元に合わせた。
紗弥は赤外線の機能を見て[これ結構早いね]とか[便利だね]とか言って珍しそうに俺達の携帯を眺めた。
:06/08/10 18:46 :F700iS :OvK9Ul/o
#209 [花]
通信し終わると,紗弥はさっさと携帯を鞄にしまった。
俺は紗弥の行動を見て,時間を確認した。
もう話始めて,A時間は経ってる。
ちらほら部活を始める声がした。
[紗弥…]
[うん。そろそろバイトだし行くよ。今日は楽しかった]
紗弥は立ち上がり,俺に背を向けた。
[俺も下まで一緒に…]
[あの写メ裕也に見せとくよ。また日曜にね]
紗弥は俺が言い終わる前に,言葉を被せて言った。
:06/08/10 18:54 :F700iS :OvK9Ul/o
#210 [花]
:06/08/10 21:09 :F700iS :OvK9Ul/o
#211 [新]
ダメなとこなんか無いよ
いつも見てるから頑張ってメ
:06/08/10 21:17 :W41T :☆☆☆
#212 [花]
[お…おう。必ず連絡するよ]
俺は塞がれた言葉を続けようとはしなかった。
紗弥は背を向けたまま振り返らずに真っ直ぐ出口に向かって歩いて行った。長い髪がなびいて甘い香りが俺にさよならを告げていた。
紗弥が視界から消えたので俺も紗弥にさよならを言った。
[またな!紗弥ー!!!!]
:06/08/10 21:25 :F700iS :OvK9Ul/o
#213 [花]
:06/08/10 21:27 :F700iS :OvK9Ul/o
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