砂糖が甘い理由
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#335 [花◆AV8KevAYKk]
紗弥は棚から小皿とフォークを出して,ケーキを取り分けた。
[裕也,今は一個ね。]
[うん!]
裕也君にはガトーショコラ。俺と紗弥は苺のショートケーキ。
だけど箱にはまだケーキが残ってる。一体裕也君に何個買ったんだよ。
B人でケーキを食べていると,なんだか俺も家族の一員みたいになれた。
裕也君はおいしいね,と俺に笑ってくれた。
可愛くていい子だな…
みんなが食べ終わると,紗弥はすぐ使った食器を洗ってくると言って,ついでに花瓶を持って病室を出て行った。
:06/08/21 22:22 :F700iS :9MSW5YGA
#336 [花◆AV8KevAYKk]
…おいおいおいおい!!
A人にされると何話したらいいのかわからねえーよ。
と思っていたら案の定沈黙…
裕也君はさっきみたいに窓の外を見て,まぶしそうにしていた。
[あ…カーテン閉めようか?]
俺が立ち上がって動こうとすると,裕也君は俺の服を掴んで,ゆっくり首を横にふった。
[ありがとう!でも僕,空が好きだからいいんだ]
そう言って笑った顔は,決して紗弥には似ていないんだけど,雰囲気や瞳の奥が紗弥にそっくりだった。
:06/08/21 22:30 :F700iS :9MSW5YGA
#337 [花◆AV8KevAYKk]
そういえば,紗弥とはじめて会ったときも,紗弥は空っていうか,太陽を見上げてたよな。
そんな部分がそっくりってわけか。
それからしばらく,俺の話や裕也君の質問攻めに答えたりして,仲良く話した。
[ねぇ,お姉ちゃんって優しいでしょ?僕,お姉ちゃん大好きなんだ〜!
お兄ちゃんは,お姉ちゃんのこと好き?]
裕也君は何とも純粋で真っ直ぐだった。
Aでこんなこと言うのはきっと裕也君くらいだろうな。
菜々子なんか絶対言わない。
でも,そんな顔されるのはすごく嬉しかったけど,少しだけまたなぜか胸が苦しくなった。
:06/08/21 22:39 :F700iS :9MSW5YGA
#338 [花◆AV8KevAYKk]
[俺も好きだよ,紗弥のこと大好きだよ。]
[ほんとー?やっぱりお姉ちゃんは人気者なんだね]
裕也君は無邪気に笑う。
うん…ほんとに,好きだよ。俺は紗弥が大好きだ。
そんな話を終えたころ,紗弥が部屋に戻ってきた。と,もう一人。
白衣を着た長身の男の人。もちろん一目で医者だとわかった。
:06/08/21 22:45 :F700iS :9MSW5YGA
#339 [花◆AV8KevAYKk]
[あッ,中林先生!こんにちは。
お兄ちゃん,僕の担当のお医者さんだよ]
裕也君は,その中林先生という人に丁寧にあいさつをして,嬉しそうに俺に紹介してくれた。
[はいこんにちは,裕也君。元気だね。
えっとお兄さん…?]
中林先生は細い目を俺に向けて,頭を少し下げた。
[あッ俺は…]
俺が自分のことをはなそうとするとすぐ紗弥が横から口を出した。
[私の同級生です。
裕也に会わせたくて,今日連れてきただけで…]
:06/08/21 22:55 :F700iS :9MSW5YGA
#340 [花◆AV8KevAYKk]
[そうかね。優しそうなお兄さんだね〜
裕也君,紗弥さん]
と言って,顔を緩めた。
[はい!
先生,今日はどうしたんですか?]
紗弥も裕也君と同様,隣で頷いてくれた。
[今日はね,大事なお話があるんだよ]
俺はなんだか中林先生の口調と,紗弥の優しそうだけど,深刻を交えた顔付きを見て,手術の話だと思って,席を外そうとした。
:06/08/21 23:00 :F700iS :9MSW5YGA
#341 [スィミー]
:06/08/22 17:50 :N901iC :☆☆☆
#342 [たけのこ山]
:06/08/22 23:26 :F901iC :Q1XPEe1I
#343 [花◆AV8KevAYKk]
:06/08/22 23:34 :F700iS :MU5SA70Y
#344 [花◆AV8KevAYKk]
でも,紗弥は部屋を出ていこうとした俺の腕を掴んだ。
[いいから…てゆーか,傍にいて]
俺は黙って紗弥に寄り添うように隣に立った。
中林先生は笑顔で話を続ける。
裕也君も紗弥も中林先生を見つめる顔は真剣。
[裕也君はそろそろ入院して長いんだ。
体も前よりは成長してきてるし,手術には耐えれるように思える。]
裕也君は不安げだけど,中林先生から視線を外さない。
心臓がどう悪いかは全く知らないけど,今はいい方向に進んでるんだよな???
:06/08/22 23:40 :F700iS :MU5SA70Y
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