冷めた身体

あサﾝありがとﾃﾞｽッ♪

－｢どこ行きたい？｣

｢ん～和ちゃんは？｣

｢唯が行きたいとこでいいよ｣

和也は優しい。
いつもいつでも。

それが少しだけ
物足りない。

｢唯ちょっとお腹空いたかなぁ｣

｢おし！んじゃ飯行くか♪｣

嬉しそうな横顔で
ｱｸｾﾙを踏む。

あたしはこの人も
失いたくない。

愛してくれる人を
全員手放したくない。

傷付けるって
ちゃんとわかってるよ？

でも結局あたしは
自分に甘いからね。

独りは寂しいじゃんって

全ての事をごまかして過ごしてる。

｢唯ちゃん昨日の夜何してた～？｣

ギクｯ

｢長風呂したの～そしたらのぼせて…そのまま寝ちゃｯてた☆｣

｢そーなんだ大丈夫だった？
メール返事ないから心配したよ～｣

あ-２、３回バイブ鳴ってたな。

雅樹とキスしてた時。

｢ごめんね…
和ちゃんは何してた？｣

何もなかった顔で
平気で嘘を付く。

いつからかな。
こんな人間になっちゃったのは。

｢俺はテレビ見て～
唯ちゃんの事考えて～
寝た♪｣

考えてくれるのは嬉しいけど
唯ちゃん違う男と
えっちしてましたよ。

｢そっかぁ笑｣

車がファミレスに到着して
軽くご飯。
残したのは和也が全部食べてくれた。

それから大きいｼｮｯﾋﾟﾝｸﾞﾓｰﾙに行って
買い物。

黒のニｯﾄセ-タ-と
ピﾝｸリﾎﾞﾝに黒レ-ｽ付いてるえろかわポｰチ買った♪

和也はいつも一緒に見て回ってくれる。

唯は可愛いからなんでも似合うなって
言ってくれる。

優しいけど
やっぱ刺激がない。

夕方からは映画。

ありふれた
カｯプルのデ-トコ-ス。

チケットを買う為に列に並ぶと
和也が小声で言う。

｢皆ひでー顔してるね(笑｣

あたし以外には毒舌。

｢んな事言ｯちゃダメ～｣

頭を軽くくしゃってすると
和也は決まって嬉しそうに笑う。

優しいな。
可愛いな。

いつも思うよ。

大事だとも思う。

でもなんだろ-ね。
言葉って嘘っぽいんだよ。

裏切られたりして

もう信じ切れない
寂しい人間になっちゃった。

和也、こんな女でごめんね。

映画館に入り座る。

｢人少なくね？笑｣

｢だっても-これ古いし！｣

｢あ～そかそか｣

周りにはﾎﾟﾂﾎﾟﾂと人やカップルがいる。

館内が暗くなって
映画が始まった。

今日観る映画は
あたしが大好きな純愛系♪

純愛してないけど。

真剣に観てると
和也の手が太ももに触った。

和也を見ても
視線はスクリーン。

でも手は動いて
太ももを撫でる様に触ってきた。

｢…和ちゃﾝ…？｣

｢シー…｣

人差し指を唇に持ってきた瞬間
キスされた。