あなたの願望叶えます
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#641 [ぱいん]

俺はやる気でいた。

だがその金額は
想像以上に高額だった。

すぐには払えない
かもしれない。

相手の提示した
金額は五百万だった。

⏰:08/01/11 04:28 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#642 [ぱいん]

人の命の値段としては
安いのかもしれない。

俺は動揺を
顔に出さないように
注意しながら
今後の日取りを決めた。

決行の前日
俺は叶羽を呼び出した。

⏰:08/01/11 04:31 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#643 [ぱいん]

もちろん叶羽には
俺の計画など
話すつもりはない。

だが、もし
警察に捕まるような
ことになったら
もう叶羽に
会うことはできない
かもしれない。

最後に叶羽に
会っておきたかった。

⏰:08/01/11 04:33 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#644 [ぱいん]

駅で待ち合わせて
車でドライブに
出かけた。

加奈子にバレて以来
家にも帰らず
会社にも
行っていなかったが
俺はスーツを着て
仕事帰りを装った。

⏰:08/01/11 04:35 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#645 [ぱいん]

夕食を食べ
ホテルに行った。

叶羽の服を
脱がせた俺は
言葉を失った。

叶羽のからだは
痣だらけになっていた。

叶羽は慌てて
タオルでからだを隠し
下を向いた。

⏰:08/01/11 04:49 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#646 [ぱいん]

俺はそのタオルを取り
叶羽に聞いた。

「どうしたの、これ?」

「あいつに…」

聞き取れないほど
小さな声だった。

殴られたことを
思い出したのか
叶羽のからだが
震え始めた。

⏰:08/01/11 04:51 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#647 [ぱいん]

「抵抗したら
 殴られて…何度も…」

震えながらも
必死に説明しようと
声を振り絞る叶羽を
俺は抱きしめた。

「もういい。
 わかったから」

⏰:08/01/11 04:53 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#648 [ぱいん]

「嫌だったの…
 あいつに触られるの。
 だから…」

「わかったから。
 落ち着いて」

「…嫌だった」

「うん」

「あなた以外の人に
 触れられるのが」

⏰:08/01/11 04:56 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#649 [ぱいん]

俺は思わず
からだを離し
叶羽の顔を見た。

「抵抗したけど
 ダメだった。
 ごめんなさい…」

「謝まらなくていい。
 叶羽が悪いんじゃない」

俺はさっきよりも強く
叶羽を抱きしめた。

⏰:08/01/11 04:59 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#650 [ぱいん]

悪いのはあいつだ。

俺は自分の
したことも忘れ
怒りに震えた。

「あたしのこと
 嫌いになった?」

「なってないよ」

「怒った?」

⏰:08/01/11 05:02 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#651 [ぱいん]

「怒ってないよ」

俺が答えると
叶羽はからだを離し
俺の顔を見つめて

「でもすごく
 恐い顔してる」

と笑った。

⏰:08/01/11 05:04 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#652 [ぱいん]

その日は
何もしなかった。

痣だらけの
叶羽を抱く気に
なれなかった。

嫌いになったから
じゃない。

むしろ俺は
叶羽を愛していた。

⏰:08/01/11 05:06 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#653 [ぱいん]

帰りぎわに
叶羽が俺に言った。

「名前…
 聞いてもいい?」

その時になって
叶羽が俺の名前を
知らないことに
気づいた。

「圭太」

俺は答えた。

⏰:08/01/11 05:09 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#654 [ぱいん]

それを聞き叶羽は

「やっと携帯に
 あなたの名前を
 登録できる」

と、笑った。

「今まで何て
 登録してたの?」

俺が聞くと
叶羽はもう一度笑い

⏰:08/01/11 05:11 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#655 [ぱいん]

「内緒」

と、子供みたいな
顔をした。

和やかな時間は
すぐに過ぎ
俺はまた一人になった。

指定された時間まで
24時間を切っていた。

⏰:08/01/11 05:13 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#656 [ぱいん]

次の日の夜
再びあのマンションに
足を踏み入れた俺は
ベッドに横たわる
男の姿を見た。

「薬を使ったので
 あと一時間は
 目を覚ましません」

この間の男が言った。

⏰:08/01/11 05:20 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#657 [ぱいん]

「終わったら
 連絡して下さい」

「あぁ」

「それからこれ
 頼まれていた物です」

そう言うと男は
ビニールに入った
携帯を取り出した。

⏰:08/01/11 05:21 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#658 [ぱいん]

俺は手袋と一緒に
携帯を受け取った。

「でわ…」

男が部屋を出ると
俺は手袋をし
ビニールから
携帯を取り出した。

携帯の画像には
叶羽の姿が
何枚も保存されていた。

⏰:08/01/11 05:25 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#659 [ぱいん]

泣きながら
股を開いている叶羽。

男のモノが
叶羽の中に入っている
アップの画像。

俺は必死で
怒りを抑えながら
すべての画像を
消去した。

⏰:08/01/11 05:28 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#660 [ぱいん]

次は動画の削除だ。

覚悟はしていたが
動画の方が
よりリアルだった。

嫌がり泣き叫ぶ
叶羽の声。

俺はすべての動画を
見ることが
できなかった。

⏰:08/01/11 05:33 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#661 [ぱいん]

動画を消し
電話帳から叶羽の
メモリーを消し
俺は深い息をついた。

携帯をビニールに
戻すと
ゆっくりと
ベッドに近づいた。

もう迷いはなかった。

⏰:08/01/11 05:35 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#662 [ぱいん]

男を後ろ向きに
寝かせると
用意されていた
煉瓦を思い切り
振り下ろした。

ゴンという
鈍い音と一緒に
男が小さな
呻き声をあげた。

⏰:08/01/11 05:43 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#663 [ぱいん]

その瞬間
男が目を覚ます
錯覚に襲われた。

殴るのは
一度だけという
約束を忘れ
俺は何度も
男の頭に
煉瓦を振り下ろした。

⏰:08/01/11 05:45 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#664 [ぱいん]

連絡を受け
部屋に来た男は
すでに死体と化した
男の姿を見て
顔をしかめた。

「これじゃあ
 事故死は無理ですね」

ため息をついて
俺に言った。

⏰:08/01/11 11:18 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#665 [ぱいん]

「川か山にでも
 捨てましょう」

俺は血だらけになった
両手を眺めながら
もうどうにでも
してくれと思った。

男は電話を始め
色々と相談している。

⏰:08/01/11 11:22 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#666 [ぱいん]

電話を終えた男は
俺に言った。

「死体の処理は
 こちらでやります。
 ただし追加料金です」

「あぁ。悪いな」

払う気など
最初からなかった。

⏰:08/01/11 11:27 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#667 [ぱいん]

どうせ違法な
サイトだし
訴えたりできない
だろうと思った。

俺は適当に
返事をしながら
部屋を出た。

安堵感からか
車のシートに保たれると
大きなため息が出た。

⏰:08/01/11 11:31 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#668 [ぱいん]

どれくらい
その場にいただろうか。

叶羽からの電話で
俺は我に返った。

もし金が
払えなかったら
俺はどうなるのだろう。

通報されて
捕まるのだろうか。

⏰:08/01/11 11:37 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#669 [ぱいん]

いや、通報は
しないだろう。
向こうにも
リスクはある。

でももし死体を
見つかりやすい
場所に移されたら…。

俺は背筋が
寒くなるのを感じた。

⏰:08/01/11 11:39 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#670 [ぱいん]

手が震え
電話が取れない。

捕まりたくない。

その時俺の頭には
それしか浮かばなかった。

悪い想像ばかり膨らむ。

⏰:08/01/11 11:41 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#671 [ぱいん]

俺は死体を捨てる
場所を知らない。

自分で移動させる
こともできない。

俺の運命は
完璧にあのサイトの
手の中にあった。

⏰:08/01/11 11:43 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#672 [ぱいん]

捕まりたくない。

叶羽のそばにいたい。

捕まりたくない。

叶羽のそばにいたい。

そのことばかりが
何度も頭の中を
駆けめぐった。

⏰:08/01/11 11:45 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#673 [ぱいん]

そして今
俺はあのサイトで
働いている。

法外な利子をつけられ
膨らんだ借金で
俺の毎月の給料は
ほとんど残らない。

それどころか
俺の担当の客が
ヘマをすれば
代わりに逮捕される。

⏰:08/01/11 11:49 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#674 [ぱいん]

逃げ出せば
すぐにでも
逮捕されるだろう。

我慢を重ね
安月給で働いてきた
苦労が水の泡になる。

まして「あいつ」の為に
捕まるなんて
バカバカしい。

⏰:08/01/11 11:53 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#675 [ぱいん]

だから俺は今日も
ここにいる。

毎日飽きもせず
痴漢や監禁をしたがる
性欲を持て余した客が
連絡をよこす。

今日の客のリストに
目を通すと
俺はため息をついた。

⏰:08/01/11 11:55 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#676 [ぱいん]

新規の客だった。

本名かはわからないが
名前は多田に
なっていた。

また一人
悲惨な運命を
辿る男が増えるだろう。

俺は書類を机に置き
重いからだを引きずり
会社を出た。

⏰:08/01/11 12:00 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


#677 [ぱいん]





――完――





⏰:08/01/11 12:01 📱:D905i 🆔:HJjw9UJk


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