…キコエナイ歌声…
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#348 [三ッ葉
]
しばらくの間、沈黙がつのる。
突然、墓石に触れている麻人の手から薄白い光が体全体に広がっていく。
その光景に驚くばかりであった。
……麻人?
心配になり、麻人の手をぎゅっと力を込めて掴んだ。
その時――…
麻「……わ」
麻人の唇が小さく動く。
:07/08/01 02:59
:N902i
:☆☆☆
#349 [三ッ葉
]
麻「……み…わ」
麻人が私の名を呼ぶ。
…………ッ!?
私は思わず息を飲んだ。
だって
麻人の傍に紛れもなくお母さんが立っているから。
でもそれは薄白くて、
きっと幻影なんだ――…
"お…お母さん?"
:07/08/03 14:58
:N902i
:☆☆☆
#350 [三ッ葉
]
麻「美和……もぅ泣かないで――…」
麻人の声がお母さんの声に染まっていく。
麻人が私の隣にしゃがみこむのと同時に、お母さんの幻影も同じように動く。
涙がこぼれる。
"本当にお母さんなの?"
私はくしゃくしゃな顔を見せながら、問い掛けた。
お母さんは優しく目を細めて頷いた。
:07/08/03 15:03
:N902i
:☆☆☆
#351 [三ッ葉
]
"ご…ごめんなさいっ"
私は深く頭を下げた。
冷たいコンクリート面に涙が落ちてシミをつくった。
麻「美和、顔をあげて?
もぅ謝らなくていいの――…」
私は首を数回横に振った。
すると
麻人の手によって顔があがる。
:07/08/03 15:07
:N902i
:☆☆☆
#352 [三ッ葉
]
麻「あのね、お母さんは美和の事恨んだりなんかしてない。
むしろ嬉しかったの。
大事な美和をしっかりと守れたんだもの――…。
もし美和が死んじゃってたら、お母さん生きていられない――…」
お母さんの言葉一つ一つが胸にしみ込んでいく。
"お母さん、本当にごめんなさい……。"
私は謝る事しかできない。
お母さんの幻影が私の頬に手を添えて、人差し指を目下に滑らせ、涙を拭った。
:07/08/03 15:15
:N902i
:☆☆☆
#353 [三ッ葉
]
麻「愛してるわ、美和。
あなたは私の最高な娘よ。だから――…
もぅお母さんの事で泣かなくていいの。
笑っていてほしいの!」
お母さんは涙を浮かべながら満面の笑みをみせた。
お母さんが両手を広げて、私を抱き締める。
体の周りの空気が暖かくなった気がする。
心地よい香が何故だかして、鼻をかすめる。
今まで私を縛っていた鎖が消えていく――…
"お母さん……大好き。
ずっと大好きだから。"
:07/08/03 15:19
:N902i
:☆☆☆
#354 [三ッ葉
]
麻「当たり前でしょ?」
お母さんの幻影は八重歯を見せながら笑った。
スッ
お母さんは麻人の方を指差した。
麻人の瞳は黒く底光している。
麻「麻人君に感謝してるわ。麻人君のおかげで美和とこうやって話す事ができたんだから――…。
これで悔いなく空にいけるっ。」
お母さんの幻影が足元から少しずつ消えていく――…
:07/08/03 15:25
:N902i
:☆☆☆
#355 [三ッ葉
]
麻「もうすぐ消えちゃうみたい。
麻人君が力を強制解放してくれたから、保たないみたい……。」
もぅ胸元あたりまで消えている。
もうすぐお別れ。
"空からでも私の事ずっと見ててくれる?"
手を伸ばしても幻影を突き抜けてしまう。
麻「もちろん。
ずっと見てるって。
美和の歌声聞かせてね。」
パンッ…
:07/08/03 15:31
:N902i
:☆☆☆
#356 [三ッ葉
]
その言葉が耳に届いた瞬間、幻影は弾けて消えた。
お母さんは行ってしまった――…
私の鎖を解いて
無邪気な笑顔を残して――…
お母さんに
又聞かせたい――…。
声が戻るように頑張るからねっ!!
乾いた頬に一筋の涙をこぼしながら、星がちらつく真っ暗な空の満月に向かって、笑った。
:07/08/03 15:36
:N902i
:☆☆☆
#357 [三ッ葉
]
ドサッ
……………!!
私のすぐ横で何かが崩れさる音がした。
振り向くとさっきまでしゃがんでいた麻人が倒れていた。
額には汗をかいていて
不規則な荒い息を口からこぼしながら気を失っているようだ――…。
私は慌てて麻人の頭を膝の上にのせた。
力を解放してこんなになるまで――…
:07/08/03 15:41
:N902i
:☆☆☆
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