きみを送る
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#101 [
]
まみは明らかに嫌そうな顔をしている。
当然だろう。
男の俺が見ても嫌な奴だ。
「わかった!コウくんとこ行く〜!でも1時間したら戻るからね!」
さきが口を尖らせながら言った。
「まみも行くやろ?」
「……わかったよー…」
よしっ!!
俺は今日こそ幸子と…
頑張れ俺!!
:07/03/29 21:22
:SH901iS
:☆☆☆
#102 [
]
《ピンポーン》
家のチャイムが鳴った。
きた!!
俺はハイテンションで玄関を開けたが
すぐにテンションが下がる
「…何でおんねん…」
「偶然会っちゃって!」
「おっじゃましま〜す!」
幸子の隣には
まんべんの笑みをした恵司がいた。
:07/03/29 21:25
:SH901iS
:☆☆☆
#103 [
]
「うっわ〜!ロコツに嫌な顔すんなや〜!!」
ケラケラ笑いながら
恵司は俺を小突く。
「邪魔や…。」
嫌な顔をする俺に
恵司はニヤニヤしながら小声で
「残念やな、脱童貞できへんくて」
と言った。
なぜ俺の貞操事情を知っている?
:07/03/29 21:28
:SH901iS
:☆☆☆
#104 [
]
「悪いと思うなら帰れ」
「思いませ〜ん!!」
今日の俺は生理か?
イライラが止まらない。
「志乃、ごめん…ね?」
上目使いで俺を見上げる幸子。
かわいすぎる……
許すしかないやんけ
「かまわんよ」
心の広い男を演じた。
:07/03/29 21:30
:SH901iS
:☆☆☆
#105 [
]
「でも…あたし残念やな」
舌をペロッと出して
へらっと笑う幸子を見て
俺は恵司の腕を掴んだ。
「やっぱ帰れ」
「えー!!そりゃないぜアニキ…」
誰がアニキや。
「帰れよ弟」
恵司はぶつぶつ言いながら玄関を開けた。
「あ、そうそう。今日お前が譫言で言ってたまみってもしかして草野まみ?」
:07/03/29 21:33
:SH901iS
:☆☆☆
#106 [
]
「え…?」
草野…?
知らない。
まみの苗字は
俺は知らない。
「いや、なんもな〜い!じゃーな!」
そう言い残し、恵司は帰って行った。
草野…まみ……?
まみの名前か……?
ほんまに…知り合いなのか……?
:07/03/29 21:36
:SH901iS
:☆☆☆
#107 [
]
「志乃?どしたん?」
幸子が呆然とする俺の顔をのぞきこむ。
「や…別に……」
俺には関係ない。
俺に関係あるのは
今からの幸子との…
《ピンポーン》
:07/03/29 23:27
:SH901iS
:☆☆☆
#108 [
]
誰だ?
俺は玄関のドアを開けた。
なんてこったい…。
「相手を確認せずにドアを開けるのは危険ですよ志乃くん」
「…コウ…何しに来た」
「何言ってるんですか。まみさんとさきさんをお返ししにきました」
:07/03/29 23:30
:SH901iS
:☆☆☆
#109 [
]
「志乃?誰…」
「こんにちわ」
「…神谷くん……?」
幸子は不思議そうな顔でコウを見る。
「やはり間近で見るとかわいらしいですね」
コウは幸子をジロジロといやらしい目で見ている。
「やめーーい!近付くな」
:07/03/29 23:33
:SH901iS
:☆☆☆
#110 [
]
俺は幸子の前に仁王立ちになった。
「なんですか志乃くん」
「やらしい目で俺の彼女を見るな」
「そんな目で見てません」
このっ………
嘘つきハッタリ君め!!
「志乃くん、少し話しがあるのですが」
さっき話したじゃないの!
:07/03/29 23:36
:SH901iS
:☆☆☆
#111 [
]
「俺はない」
「僕はあります。幸子さん志乃くんを少しかります」
いやだーーー!!
「えっ…じゃ…あたし帰ろうかな…」
幸子は困った表情で俺とコウを見た。
「いや、コウを帰らせる」
「僕は帰りません」
なんて傲慢なやつだ!
:07/03/29 23:38
:SH901iS
:☆☆☆
#112 [
]
幸子は俺に微笑み、
「今度また来るから」
と言い、軽くコウに会釈して帰っていった。
玄関に残されたのは
俺とコウの
むさ苦しい男ふたり。
(まみとさきもいるが)
「話しってなんやねん」
俺はイライラした口調で話した。
:07/03/29 23:41
:SH901iS
:☆☆☆
#113 [
]
「イライラしないで下さい。脱童貞をする日が少し延びただけじゃないですか」
…なぜ童貞だと知ってる?
てかお前に関係ねーし!
「まみさんとさきさんも、少し外してもらえますか」
コウの言葉に、まみとさきはお互い顔を見合わせて
再度コウを見た。
:07/03/29 23:44
:SH901iS
:☆☆☆
#114 [
]
「外して下さいと言ってるんです。聞こえませんか」
コウはギロリと二人を見た
まみとさきは
脅えるような表情をし、
ふわりとどこかに消えた。
…こいつは何者だ!?
妖術使いか!?
「志乃くん、部屋に」
:07/03/29 23:46
:SH901iS
:☆☆☆
#115 [
]
こいつのわがままも
慣れ始めてきたな。
俺はコウを上がらせ
階段を上ろうとした。
「のどが渇きました。志乃くん、飲み物下さい」
………
前言撤回する。
慣れる事はない。
こいつのわがままは
予測不可能レベルだ。
:07/03/29 23:48
:SH901iS
:☆☆☆
#116 [
]
「…………」
「志乃くん」
「…はいはい」
俺はリビングへ向かおうとした。
「何がのみたいか、聞かないのですか?」
聞くかーー!!
出来れば何も飲ませたくねーよ!
:07/03/29 23:49
:SH901iS
:☆☆☆
#117 [
]
「お茶しかない」
「……まぁ、いいです」
何その偉そうな口調!
ほんまはジュースがのみたいとか言いそうな口ぶりやな。
「ジュースが飲みたかったのですが」
言ったーー!!!
「まぁ、お茶でもいいですけどね」
……むかつく
:07/03/29 23:52
:SH901iS
:☆☆☆
#118 [
]
俺はリビングに向かい、
お茶をとり、
部屋に向かった。
部屋のドアを開けると
涼しげな表情で窓を空け
たばこを吸っているコウがいた。
「ありがとうございます。そこに置いといて下さい」
何くつろいとんねん!!
俺はこめかみに青すじが立った事を予感した。
:07/03/29 23:54
:SH901iS
:☆☆☆
#119 [
]
「…で?話しって?」
俺はベットにドスンと腰掛けて言った。
「ああ、先程田中くんをみました。やはり…」
窓の外を眺めながら
コウが眉間にしわを寄せた
「まみさんは田中くんと知り合いです。間違いありません」
:07/03/29 23:57
:SH901iS
:☆☆☆
#120 [
]
「…なぜそう思う」
「田中くんを見た時の、まみさんの態度は異常です」
俺はさっきの恵司の言葉をコウに言うか迷った。
「彼女、もう一年近く下界にいるでしょう?」
「え…ああ」
「危険です」
「まみがか?」
コウは溜め息をつき言った
「いえ、田中くんが」
:07/03/29 23:59
:SH901iS
:☆☆☆
#121 [
]
俺はわけがわからない、という表情をしていたのだろう。
コウは俺を一度見、
お茶を一口飲んで続けた。
「志乃くんは、下界に長期間さ迷い続ける霊がどうなるか、ご存知ですか?」
「…いや」
「まみさんは、今はまだ無邪気な霊です。が、これ以上下界にいると感情のコントロールが効かなくなります、つまり…」
:07/03/30 00:03
:SH901iS
:☆☆☆
#122 [
]
コウは窓の外を眺めている
俺は窓に近づき、
外をのぞいた。
近くに見える公園のベンチに恵司が肩を落とし座っている。
「田中くんが、まみさんに取り殺される可能性があります」
:07/03/30 00:06
:SH901iS
:☆☆☆
#123 [
]
「……な………」
「もちろん、まみさんの意志ではなく」
グラスに入っていた氷をガリッと噛みながらコウは続ける
「意志とは、生存する者しかもたない感情です。まみさんはやがて自分の意志がなくなる。おそらくそれは明日でしょう…」
:07/03/30 00:09
:SH901iS
:☆☆☆
#124 [
]
「お前…何者や…」
「神谷コウです」
名前じゃねーつの!
「なんでわかる…?」
「人間は誰でも人に言えない秘密があるものです」
………
「僕はただの神谷コウです。しかしわかる。僕には生まれ持ってその才能があります」
:07/03/30 00:12
:SH901iS
:☆☆☆
#125 [
]
「…………」
「志乃くん。どうします」
「…なにを」
「おそらく明日には、まみさんはまみさんではなくなる。僕はまみさんのまま、成仏していただきたいのですが。」
…俺だって……
「今から田中くんと話してみましょう。行きますよ」
俺の腕を掴み、
俺とコウは足早に玄関へ向かった。
:07/03/30 00:15
:SH901iS
:☆☆☆
#126 [
]
しばらく歩き、
公園が見えたところで
コウは足をとめた。
「どうした?」
コウは眉間にしわを寄せ、ギリッと下唇を噛んだ。
「まずいですね」
俺はコウの視線の先を見た
「まみ……」
恵司の隣には
まみがふわりと浮いていた
:07/03/30 00:17
:SH901iS
:☆☆☆
#127 [
]
「まみさんが近くにいたのでは、田中くんと話す事はできません…」
……確かに……
そういえば…
「さきは?」
俺はコウに向かい言った
コウはこの上なく不機嫌な表情で
「知るわけないでしょう」
と言った。
:07/03/30 00:20
:SH901iS
:☆☆☆
#128 [
]
「おーい!志乃ー?何してんだお前?」
ナイスタイミングでりえが戻ってきた。
りえとコウはお互い顔を見合わせたがフイッと顔を背け、りえは俺に向き直った
「まみじゃん。あいつ何してんだ?つーか隣の男誰だあ?」
「りえ、まみをどっか連れてってくれ」
「はあ?」
:07/03/30 00:33
:SH901iS
:☆☆☆
#129 [
]
「いいですね、りえさん僕からもお願いします」
コウはりえの顔を見ずに話した。
「りえ頼むわ〜!」
「…わかったよ」
りえはふわふわとまみの側にいき、何かを話して
まみと一緒にどこかへ行った。
「志乃くん行きますよ」
:07/03/30 00:35
:SH901iS
:☆☆☆
#130 [
]
俺とコウは公園へ入り、
恵司の座るベンチへと向かった。
「恵司〜!」
恵司が顔を上げる。
「あれ?どしたん?幸子とは〜?ははーん、拒否られたか」
ニヤリと笑いながら恵司が言った。
「拒否られる以前に、そういう雰囲気にはなっていませんでしたよ」
お前のせいじゃ!!
:07/03/30 00:38
:SH901iS
:☆☆☆
#131 [
]
「神谷?なんで??お前ら仲良かったっけ?」
「いや…」
「はい、親友です」
親友ーー!?
キモい事ゆーな!!
「へ〜意外な組合せやな」
ケラケラと恵司は笑う。
「僕もそう思います」
:07/03/30 00:40
:SH901iS
:☆☆☆
#132 [
]
そんな話しどーでもいいやろ!!
「おい、コウ」
「はい、すみません。話しが逸れました」
逸れすぎ。
「田中くん、あなたまみさんをご存知ですか?」
「え…?」
「さっき言うてた…多分…草野まみ……」
「あ…あぁ」
:07/03/30 00:42
:SH901iS
:☆☆☆
#133 [
]
「知って…」
「ちょっと志乃くん」
恵司の言葉を遮り
コウが俺を睨む。
今度は何だ
「なんですか、志乃くん、先程田中くんとまみさんの話しをされたんですか?僕聞いてませんけど?」
言ってねーもん
:07/03/30 00:44
:SH901iS
:☆☆☆
#134 [
]
「全く…志乃くんは僕をイライラさせるのが趣味ですか」
はーーー!?
それはこっちのセリフやし!つか、今その話しどーでもいいやんけ!
「すみません田中くん、取り乱しました」
取り乱したんか!?今!?
:07/03/30 00:46
:SH901iS
:☆☆☆
#135 [
]
「それで、まみさんとは知り合いなんですね?」
「……知り合い…てか…」
恵司は濁した口調で言った
「何です?」
「一年くらい前に告白された。でも…」
「でも?」
「顔を知らない。会った事ないねん」
:07/03/30 00:48
:SH901iS
:☆☆☆
#136 [
]
「会ったことない…?」
「あぁ、手紙で告白された。」
「手紙…それはどうやって届いたんです?」
「まみの友達伝いに」
「……ほう」
「恵司は手紙貰うまで、まみの存在を知ってたんか?例えば…どっかで会ったとか…」
「…知らない。急に告白されたから」
:07/03/30 00:52
:SH901iS
:☆☆☆
#137 [
]
…なんだそれ
会った事ねーのに
告白された…?
「意味がわかりませんね」
コウは腑に落ちないといった顔つきで恵司を見る。
「手紙を貰った次の日に、まみが死んだって聞いてんやん…」
「誰に」
「その友達に」
:07/03/30 00:54
:SH901iS
:☆☆☆
#138 [
]
「話しが全くわかりません。僕、どうしていいかわからなくなりました」
お前なーー!!
「志乃〜!!わりー!まみに逃げられた〜!」
「りえ!!」
俺とコウはりえを見る。
恵司は俺達を不思議な顔つきで見ている。
:07/03/30 01:01
:SH901iS
:☆☆☆
#139 [
]
「まみさんが逃げた…?」
コウは呟くように言った。
「まずいです。志乃くん、田中くんが危ないです」
「え!?」
恵司が困惑な顔でコウを見た。
:07/03/30 01:03
:SH901iS
:☆☆☆
#140 [
]
「まずいって…?」
俺はコウを見る。
俺の額からは
なぜか冷や汗が流れた。
「多分、今日田中くんを発見したことで、まみさんは感情のコントロールができなくなったと思われます。このままではまずいです」
:07/03/30 01:04
:SH901iS
:☆☆☆
#141 [
]
「まみって…神谷…?」
「説明は省きますが、僕と志乃くんにはまみさんの姿が見えています」
説明してるし!!
つか俺の名前まで出すな
「何…え……?」
恵司はパニック状態になっている。
「落ち着いてください」
お前が原因やろ!!
:07/03/30 01:06
:SH901iS
:☆☆☆
#142 [
]
「志乃くんは、まみさんを探して下さい。僕は田中くんと一緒にいます」
「わかった!」
って…え?
なんか俺こき使われてるような……
「早く探しなさい!」
命令!?
こいつ…あとで絶対ぶん殴ってやる…
:07/03/30 01:10
:SH901iS
:☆☆☆
#143 [
]
俺はりえと一緒にまみを探した。
しばらくすると
「志乃くん!!」
さきが困った表情で俺たちに近づいてきた。
「まみが……」
:07/03/30 01:11
:SH901iS
:☆☆☆
#144 [
]
「どうした!?」
「まみが…急に……」
さきは泣きじゃくって
続きを話せないようすだ。
「まみはどこに!?」
「わか…ない…恵司…って呟きながら…」
恵司…!?
俺は急いでもときた道を走った。
:07/03/30 01:13
:SH901iS
:☆☆☆
#145 [
]
公園に入ったところで
コウと恵司と
まみがいるのが見えた
「恵司!!まみ!!」
三人が俺を振り返る。
「…僕の名前は呼んでくれないんですか」
ムスッとしながらコウが言った。
どーでもいいし!!
:07/03/30 01:15
:SH901iS
:☆☆☆
#146 [
]
「ま…み……」
がくがくと震えている恵司
まみの表情は……
「?」
優しい笑み
いつものまみと同じだ。
「何が起こってる?」
俺はコウに問い掛けた。
「見てればわかります」
:07/03/30 01:17
:SH901iS
:☆☆☆
#147 [
]
「恵司くん…ごめんね…」
まみが恵司を見ながら言う
「あたし、あなたが大好きだったの…だから…あなたの近くにいたかった…でもだめみたい。やっぱり死んだ人間は、この世にさ迷ってちゃいけないみたい」
ニッコリ笑うまみ
:07/03/30 01:19
:SH901iS
:☆☆☆
#148 [
]
「まみ…」
……恵司にはまみが見えてるのか?
「生まれ変わったら…今度はちゃんと…恵司くんに話し掛けるね」
ニッコリ微笑み、
まみは俺の近くへきた。
「志乃にも…来世は生きている時に会いたい」
そう言って
まみは消えた。
:07/03/30 01:24
:SH901iS
:☆☆☆
#149 [
]
……まみ…?
「まみ…?」
まみの気配が
なくなってしまった。
どういうことか
全く理解できないでいる俺の隣で
「僕には何のお礼もなかったですね…」
と、スネたようにコウが言った。
:07/03/30 01:26
:SH901iS
:☆☆☆
#150 [
]
「コウ…どうなったんや?まみは…?」
「成仏しました」
コウは得意げに口の端を釣り上げ、
「僕のおかげです」
と言った。
こいつ何をしたんや!?
:07/03/30 01:28
:SH901iS
:☆☆☆
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