からっぽの心
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#430 [
みぃ
]
『うん。
大志くんが合格しますようにって。』
ひんやりとしていた指輪が、2人の体温で温まっていく。
『でも、失敗したな。』
「え?」
『合格した後でお守りとして渡しとけば良かったなって後悔した。』
:08/01/31 20:12
:SH903i
:MYCX6XLk
#431 [
みぃ
]
ははっと小さく笑うと、
大志くんが大きな両手であたしの身体を抱きしめてくれた。
「泣きたくなったらすぐ呼んで。
こんな兄ちゃんで良ければすぐ行くからさ。」
目の奥が熱くなっていくのが分かる。
でも、
かっこいい事言う割に鼻声なのが笑えた。
:08/01/31 20:25
:SH903i
:MYCX6XLk
#432 [
みぃ
]
「あ、何、笑ってんの!」
『ぷくく・・・
やだよ、こんな泣き虫なお兄ちゃん。』
「えー?ひどっ!!」
そう言って2人で笑った。
何故かツボに入って、
2人で大声で笑い転げた。
:08/01/31 20:30
:SH903i
:MYCX6XLk
#433 [
みぃ
]
こんな風に笑える日なんて来ないと思ってた。
腐るのを待つだけのあたしが人と向き合えるなんて
もう無いと思ってた。
昔、お姉ちゃんが言ってた。
「どん底まで落ちたら、
あとは昇るだけだよ。」
:08/01/31 20:34
:SH903i
:MYCX6XLk
#434 [
みぃ
]
あの頃のあたしは確かにどん底で、
這い上がる気力さえなかった。
でも、少しずつ暗い穴を抜け出そうともがいてる。
自分一人の力じゃなくて
周りのパワーを分けてもらって。
みなぎる力を武器にして
心に覆い被さる闇をやっつけてやる。
あたしは 生きてるから
:08/01/31 20:39
:SH903i
:MYCX6XLk
#435 [
みぃ
]
――――――――――――
霊園で大志くんに別れを告げ、
バス停までの坂道を下っていく。
一歩一歩、今を踏み締めながら。
バス停のベンチに人影を見つけた。
ゆっくり近付き、覗き込む。
:08/01/31 20:44
:SH903i
:MYCX6XLk
#436 [
みぃ
]
『豊?』
その人物はゆっくりと顔を上げてあたしを見る。
「美優、元気だった?」
豊の微笑みはあたしの固い心を溶かしてくれる。
『うん、大志くんに会えたからね。』
:08/01/31 20:50
:SH903i
:MYCX6XLk
#437 [
みぃ
]
そう言って横に腰掛けた時、豊が嬉しそうに
「そっか。」
と笑った。
『豊は?
会わなくていいの?
今、来たんでしょ?』
あたしの問いに、
豊は渋い顔をした。
「追試受かるまで顔合わせらんねぇ。」
:08/01/31 20:56
:SH903i
:MYCX6XLk
#438 [
みぃ
]
『あはッ!馬鹿だ。』
豊は2年最後の期末考査で数学と英語を落として、
次で再々々追試。
『一緒に3年なれないかもね〜。』
皮肉を込めた口調で言ったけど、
豊にはさほど効果がないみたいだった。
:08/01/31 21:00
:SH903i
:MYCX6XLk
#439 [
みぃ
]
「んな訳ねーだろ。
オレは天才だから。」
『天才は追試なんかなんねぇよ、ばーか。』
そう言って2人で笑っている時の豊の手はあたしの上。
今は世間で言う恋人同士。
自分でもまさかの展開。
:08/01/31 21:06
:SH903i
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