からっぽの心
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#1 [みぃ]
こんにちは
みぃこと主です
暗くて重い話になりますが、読んで何か感じて頂けたら嬉しいです(人・・)+゚

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感想スレ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2045/
プロローグ
>>2

⏰:07/03/28 21:49 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#2 [みぃ]


大原大志様



一生 笑わないで下さい。

自分の罪を償い、幸せにならないで下さい。


私はあなたを一生恨みます。



どうか、笑わないで下さい。

⏰:07/03/28 21:53 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#3 [みぃ]

――――---・・・・



お姉ちゃんが死んだ。


三日前死んで、
今日灰と骨になった。

お姉ちゃんの生きた証の灰色の煙は、
空までのぼって、
いつの間にか消えてしまった。

⏰:07/03/28 21:57 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#4 [みぃ]


お通夜にもお葬式にも行けなかった。

お姉ちゃんの死を認めたくなくて、
わざと行かなかった。


行けなかった。


あんなしんみりとした空気の中にいると、

これ以上腐ってしまいそうだったから。

⏰:07/03/28 21:59 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#5 [みぃ]

どこかで少し期待していたんだ。

“もしかしたら”
が消えなくて、


ちっぽけな期待を武器にして、お姉ちゃんの死と向き合わなかった。



だから、今。

今、施設長が持って来た初めて見る箱の中身を見る勇気が出ない。

⏰:07/03/28 22:08 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#6 [みぃ]

「夢芽ちゃん・・・。
 辛いだろうけど・・・。」


何が言いたいのか分かる。


“早く中を見ろ”

ってこと。


お姉ちゃんの死から逃げているあたしを捕まえて、

向き合えって言うんでしょ?

⏰:07/03/28 22:13 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#7 [みぃ]

2人しかいない応接室。


2つ並んだコーヒーカップの中には30分も前に入れたコーヒーが冷えきってある。



もう30分もこうしているのに、
箱を開けることができない。

認めたくない。


施設長あたしを見た後、
目を伏せながらも箱を開けて“それ”をあたしに手渡した。

⏰:07/03/28 22:19 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#8 [みぃ]


慣れない感触。


予想以上の細さ。



真っ白な遺骨。





―――これが・・・

お姉ちゃん・・・?

⏰:07/03/28 22:21 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#9 [みぃ]


実感してしまった瞬間に襲い掛かってくる。

不安も

悲しみも

絶望も

怒りも

後悔も。


本当に全部同時に込み上げてきたんだ。

⏰:07/03/28 22:24 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#10 [みぃ]

カタカタと震える手。

自分の手じゃないみたいにコントロールが効かない。


『やだ・・・。やだぁ・・・。』


手から足。足から全身へ。


震えが止まらなくて、
おかしくなりそうだ。

⏰:07/03/28 22:26 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#11 [みぃ]

『お姉ちゃん・・・。
 やだよぉ・・・。』



知らせを受けてから3日目の今。


初めて涙が出た。


今まで出なかったのがおかしかったみたいに、

どんどん溢れてくる。

⏰:07/03/28 22:29 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#12 [みぃ]

寒くなんてないのに。


施設長は毛布をかけてあたしの震える体をそっと抱きしめてくれた。


人間の体温ってすごい。

身体があったかくなる。



でも、

心は冷たいままだよ。

⏰:07/03/28 22:33 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#13 [みぃ]

声なのか鳴咽なのか分からない泣き声で、
途切れながらも必死に叫ぶ。


ひたすらお姉ちゃんの名前を。




3月27日。

お姉ちゃんこと栗山美優(クリヤマ ミユウ)は短い人生の幕を閉じた。

⏰:07/03/28 22:37 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#14 [みぃ]

16歳。

高校2年生になるはずだった。


お姉ちゃんは名前の通り、すごく優しくて、

自慢のお姉ちゃんだった。




血は繋がってない。

でも、物心ついた頃からずっと一緒だった。

⏰:07/03/28 22:40 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#15 [みぃ]

あたし、安幡夢芽(ヤスハタ ユメ)は、
3歳の頃に親に捨てられてこの施設に入った。


ここの児童養護施設は、
何らかの事情があって親と暮らせない3歳〜18歳の男女が生活している。


あたしとお姉ちゃんは

ここで出会った。

⏰:07/03/28 22:45 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#16 [みぃ]

施設に馴染めないあたしを一歳しか変わらないのに、世話してくれた。


本当の姉妹みたいに仲良くなって、

ずっと一緒だった。


あたしとお姉ちゃんは元々一つだったんじゃないか、ってぐらい。

本当のお姉ちゃんみたいで大好きだった。

⏰:07/03/28 22:48 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#17 [みぃ]

ここの施設の子はみんな口が悪いけど、
本当に性格の悪い子なんて一人もいない。


みんな淋しいだけ。

口には出さないけど。


みんな家族みたいで、
親がいなくても平気だった。

この幸せがずっと続くと思ってた。


――――なのに・・・。

⏰:07/03/28 22:51 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#18 [みぃ]

「夢芽?」


施設の部屋の自分のベッドの中に居ると、
同い年の美輝(ミキ)が話しかけてきた。


「あ、起きてたんだ。
 大丈夫?」

『・・・ん。』


春休みなのに美輝は制服を着ている。


『お葬式・・・。
 行ってきたの?』

⏰:07/03/28 22:55 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#19 [みぃ]

美輝は悲しそうに小さく頷いた。


「制服・・・。
 どっちの着てくか迷ったけど、まだ3月だし、
 中学のんで着て行ったぁ!」


美輝はわざと明るく話すけど、
辛いのが丸分かりだった。


お姉ちゃんはみんなに好かれていたから、
みんな辛い。

美輝の目も、赤く腫れている。

⏰:07/03/28 23:00 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#20 [みぃ]

「夢芽・・・大丈夫?」


返事をしない代わりに、
軽く微笑んでみせる。


「そりゃ・・・。
 平気じゃないよね。
 アンタが一番仲良かったもんね・・・。」



無気力だ。

何もする気にならない。

⏰:07/03/29 20:04 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#21 [みぃ]


ただ、部屋の窓から見える景色をボーっと見ていた。


「――――あ。」


美輝が制服を着替えている時だった。


「夢芽、これ・・・。」


美輝がそう言って制服のポケットから取り出したのは、
小さなビニール袋だった。

⏰:07/03/29 20:08 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#22 [みぃ]

『何・・・。』


美輝から受け取った掌には、見覚えのある物が入ったビニール袋。


『美輝・・・これ・・・。』

「・・・事故現場に落ちてたんだって・・・。
 警察の人が検視も終わったし、血まみれでもいいならって・・・。
 お葬式、来てくれてたよ。
 直接夢芽に渡したかったらしいけど・・・。」

⏰:07/03/29 20:18 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#23 [みぃ]

チャリ・・・


袋の中から出てきた“それ”は、
間違いなくお姉ちゃんの物だった。

血は乾いてこびりついてしまっている。


唇を噛み締め、“それ”を握りしめる。


胸が痛い。


「それ・・・大志くんとのやつだよね・・・?」

⏰:07/03/29 20:26 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#24 [みぃ]

美輝の一言で憎しみが戻ってきた。


『美輝、あいつの話はしないで。』


美輝は構わず続ける。


「でもさぁ、やっぱり大志くんに渡すべきだったよね・・・。」

『・・・美輝。』

「でも・・・。」

『美輝ッッ!!』

⏰:07/03/29 20:29 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#25 [みぃ]


あたしの声が部屋に響き渡る。


「夢芽・・・ごめん。
 でもね・・・?」

『あたしの前であいつの名前出さないで。』


「・・・辛いのは夢芽だけじゃないんだよ。」


美輝はそれだけ言って、
部屋から出て行った。

⏰:07/03/30 14:55 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#26 [みぃ]


―――分かってる。

そんなこと、分かってるよ。


でも、無理なんだもん。



目を開けてても閉じててもお姉ちゃんの顔が浮かんでくるんだ。

⏰:07/03/30 14:58 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#27 [みぃ]

笑うとえくぼができるところとか、
照れた時に鼻を触る癖とか、
涙もろくて、ドラマを観たら絶対泣いちゃうところとか、

もう二度と見れないんだ。



ほら、また、涙が。

⏰:07/03/30 15:02 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#28 [みぃ]

お姉ちゃんのベッドや机はまだそのままで、

“そのうちお姉ちゃんが帰ってくるんじゃないか”

って錯覚を起こすぐらい。


そのうち、
「ただいまー。」

なんて言って。




そんな事ある訳ないのに。

⏰:07/03/30 15:05 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#29 [みぃ]


夕食の放送がかかって食堂へ降りたけど、
ろくに食べられなかった。

施設の先生は何とか明るい雰囲気を造ろうとしてたけど、
重い空気は消えなかった。



まだ信じられない。


お姉ちゃんが死んだなんて。

⏰:07/03/30 15:09 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#30 [みぃ]

そんな空気の中、
山口先生が口を開いた。

女子部屋の今の中等部、
つまりあたし達の年代の担当の先生だ。


「明日で3月も終わりかぁ・・・。早いね・・・。」


山口先生の声で、
みんな無意識にカレンダーを見る。


「夢芽ちゃん、高校の入学式っていつだっけ?」

⏰:07/03/30 15:14 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#31 [みぃ]

『―――えッ。』


突然話しかけられて、
びっくりした。


『4月・・・4日。』


もう一週間もないんだ。


「そっかー。
 もうすぐだね!
 高校は楽しいよー!」


山口先生がふふっと笑う。

⏰:07/03/30 15:17 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#32 [みぃ]

「そうだ。それに勉強も難しくなんぞー?」


男子部屋の先生も後に続く。

食堂の空気が一瞬軽くなった。


・・・楽しいこと?

そんなことあんの?


お姉ちゃんがいて・・・。

それが最低条件でしょ?


もう人と関わることが面倒で仕方ないんだ。

⏰:07/03/30 15:20 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#33 [みぃ]

部屋に戻って、
壁に飾られた真新しい制服を見つめる。

この制服を着たお姉ちゃんの姿が目に浮かぶ。


あたしが4月から通う城北高校は、
お姉ちゃんが1年間通っていた高校。


同じ高校に行きたくて、
必死に勉強した。

⏰:07/03/31 21:14 📱:SH902i 🆔:MbbLTstk


#34 [みぃ]

お姉ちゃんと

“絶対に一緒の制服着て、プリクラ撮りに行こ!”

って約束してた。

もう、それも叶わないんだね。


お姉ちゃんのバカ。

もっと伝えたいこと、
たくさんあったのに。


何で死んじゃったの。

⏰:07/03/31 21:22 📱:SH902i 🆔:MbbLTstk


#35 [みぃ]

――――---・・・


「じゃ、気をつけてね!」


4月4日。

とうとう高校の入学式。


施設の玄関で山口先生に見送られ、
高校へ向かう。


「夢芽!待てよ!」


男子の棟から出て来たのは同い年の大杉 豊(オオスギ ユタカ)

⏰:07/03/31 21:27 📱:SH902i 🆔:MbbLTstk


#36 [みぃ]

施設の中で城北高校へ入るのはあたし達2人だけ。


『何で豊と一緒に行かなきゃなんないの。』

「んな寂しいこと言うなって!あ、バス来た。」


高校には施設の近くから出てるバス一本で行ける。

結構難しい学校だから、
うちの施設から受かったのはお姉ちゃんが久しぶりなんだって。


つまり、豊も頭良い組。

⏰:07/03/31 21:38 📱:SH902i 🆔:MbbLTstk


#37 [みぃ]

バスに乗り、椅子に座ると、
豊が隣に座った。


『・・・豊。』

「あ゙ー!
 緊張すんな!なッ?!」


あたしの言葉に耳を貸さずに豊は話す。


『・・・はぁ。』


ため息が出る。

豊のことは嫌いじゃないけど、人と関わることが面倒なの。

豊は、あたしの作る壁を平気で壊すから。

⏰:07/03/31 21:44 📱:SH902i 🆔:MbbLTstk


#38 [みぃ]

「なぁ!
 おまえ、もらった?」

『え?あぁ・・・うん。』


そう言って鞄から携帯を取り出す。

うちの施設では、
高校生になれば希望者は携帯を持たせてもらえる。


「貸して!」


豊はあたしの手から素早く携帯を奪うと、
何やら操作し始めた。

⏰:07/04/01 19:39 📱:SH902i 🆔:c9xADsic


#39 [みぃ]

『・・・ちょ、何してんの。』


取り返そうとして手を伸ばすあたしから身をかわし、
操作を続ける。


『・・・豊、怒るよ。』

「よっしゃ!
 できた!はい。」


携帯を差し出す豊。

⏰:07/04/01 19:42 📱:SH902i 🆔:c9xADsic


#40 [みぃ]

『・・・何したの?』


受け取りながら尋ねる。


「おまえの番号登録するついでに、
 オレの番号も登録しといたぁ!」


豊は笑顔で自慢げに言う。


『勝手に触んないでよ。
 もー・・・。』


窓にもたれながら初めての携帯をいじる。

⏰:07/04/01 19:45 📱:SH902i 🆔:c9xADsic


#41 [みぃ]

「ま、何かあったらいつでもかけてこいよ!
 オレもかけるし!」


豊は相変わらず笑ってる。


『・・・かけないし。
 ってか、出ないよ。』


豊から顔を背ける。

豊の笑顔は、何か苦手。


「なんで?」

『電話嫌いだから。』

⏰:07/04/01 19:48 📱:SH902i 🆔:c9xADsic


#42 [みぃ]

あの日・・・

お姉ちゃんが死んだ日。


事故の知らせを受けたのはあたしだった。


あれはお風呂の時間で。

夕食がいらないのは知ってたけど、
珍しく遅いなーって、

少し心配してた頃。


着替えを忘れて部屋に取りに行って、
事務室の前を通った時だった。

⏰:07/04/01 20:04 📱:SH902i 🆔:c9xADsic


#43 [みぃ]



鳴り響く電話。


誰も居ない事務室。




その日は先生が一人休みで、先生達がバタバタしてる事を知ってたから、

あたしが電話に出た。

⏰:07/04/03 00:50 📱:SH902i 🆔:Je2I7T7I


#44 [みぃ]


警察から。


・・・・・・え?


待って。


何言ってんの? この人。


お姉ちゃんが事故?

重体?



頭が回んないよ・・・。

⏰:07/04/03 00:53 📱:SH902i 🆔:Je2I7T7I


#45 [みぃ]


―――――----・・・


電話は嫌い。


あれから事務室の電話が鳴る度に体が反応する。

思い出したくない瞬間を思い出す。


だから、電話は嫌い。

⏰:07/04/03 00:54 📱:SH902i 🆔:Je2I7T7I


#46 [みぃ]


「ふぅーん・・・?
 じゃあ、何で携帯持ったんだよ。」


あたしの気持ちを探る様にあたしの顔を見た後、
豊は言った。


『・・・あたしだって別に要らなかったけど・・・。』

「けど?」

『施設長が・・・。
 何するか分かんないから持っとけって。』


つまり、この携帯は監視役。

⏰:07/04/03 01:00 📱:SH902i 🆔:Je2I7T7I


#47 [みぃ]

「ははッ!
 確かにおまえ、今にも死にそーな顔してんもんなッ!!」


豊を横目で睨む。


「冗談だろーが!
 ってか、オレもおまえと同じ理由!」

『・・・何が。』

「何するか分かんねーから持っとけって!ははッ!」

『・・・納得。』

⏰:07/04/03 01:04 📱:SH902i 🆔:Je2I7T7I


#48 [みぃ]

豊は、いわゆる悪ガキ。

普段はヘラヘラしてて腹立つけど、キレたら半端なく恐い。

小学校でも中学校でも、
目立つ存在だった。


悪戯とかやんちゃが大好きで、よく先生の手を焼かせてたっけ。


「・・・そーいえば、城北って大志くん居るよな。」

⏰:07/04/04 08:24 📱:SH902i 🆔:AA0V1HLM


#49 [みぃ]


動きが止まる。


「オレ、顔見たことないから分かんねー。
 夢芽、見たことあんの?」

『・・・ないよ。』




そうだ。


アイツが居るんだ。

⏰:07/04/04 08:27 📱:SH902i 🆔:AA0V1HLM


#50 [みぃ]


「・・・おまえ・・・。
 変なことすんなよ?」


豊はあたしの心を見透かしてる。


やっぱり、苦手だ。


『・・・着いたよ。』


豊の忠告をかわす様にバスから下り、
学校までの少しの距離を歩く。

⏰:07/04/04 08:31 📱:SH902i 🆔:AA0V1HLM


#51 [みぃ]

頭の中は、入学式とかクラス編成のことじゃなくて、

アイツのことでいっぱいだった。


「夢芽、たぶんあそこ。」


豊の指した先には体育館。


体育館の前で胸ポケットに花をつけてもらって、
張り出した紙のクラス編成を見る。


「夢芽ぇー、
 何組だった?」

⏰:07/04/04 08:35 📱:SH902i 🆔:AA0V1HLM


#52 [みぃ]

『5組。豊は?』

「あー、オレ1組。
 離れちったな。」


とりあえず、解放。


『じゃ、あたし向こうだから。』

「えッ、夢芽!」


早々と豊に別れを告げ、5組らしき列へ向かう。

名前の書かれたパイプ椅子に座り、式が始まるのを
ぼんやりと待っていた。

⏰:07/04/04 08:39 📱:SH902i 🆔:AA0V1HLM


#53 [みぃ]

「あのー・・・。」


左を向くと、同じ真新しい制服に包まれた女の子が立っていた。


「そこの席なの?」

『・・・うん。』


だから座ってんだよ、
って思いつつも、とりあえず返事をする。

⏰:07/04/05 02:13 📱:SH902i 🆔:NdmUDT5c


#54 [みぃ]

「そぉなんだぁ!
 あたし、隣の席だぁ!
 あたし、西岡中の吉平 遥(ヨシヒラ ハルカ)って言うの!
 よろしくねぇ!」

『・・・よろしく。』


そう呟き、再び前を見る。


「――えッ・・・。
 ねぇ、あなたは何て名前?」


(めんどくさい・・・。)

⏰:07/04/05 02:17 📱:SH902i 🆔:NdmUDT5c


#55 [みぃ]

これだから新学期って嫌いなんだよ。

余計な気使うばっかで、
無駄に疲れる。


気なんて使う気、さらさら無いけど。


『朝原中の安幡 夢芽。』

⏰:07/04/05 02:20 📱:SH902i 🆔:NdmUDT5c


#56 [みぃ]

顔も見ずに答える。


ここまで愛想悪くされたらさすがに離れるでしょ。


以前のあたしなら、
ちゃんと友達作ろうと頑張ってたんだろうなぁ・・・。


「えッ!ユメッて言うの?!
 いぃなぁー!」


はい?

⏰:07/04/05 02:23 📱:SH902i 🆔:NdmUDT5c


#57 [みぃ]

遥は離れるどころか、
更に食いついてきた。


「かわいー名前ぇ!
 羨ましーい!」


何がだよ、と心の中で舌打ちをしながらも、
生返事だけする。


更に遥は聞いてもいないのに、自分の話を始める。


・・・早く式始まんないかな。

⏰:07/04/05 02:27 📱:SH902i 🆔:NdmUDT5c


#58 [みぃ]

式が始まってからも遥は喋りっぱなしだった。

愛想の悪いあたしに構わず、ずっと話し続けてる。


そんな中、一人の男が壇上に上がった。


「えー・・・みなさん、
 ご入学おめでとうございます。」


その男の生徒は、どうやら生徒会長っぽい。

でも、なんかすごく
“生徒会長”
っぽくない。

⏰:07/04/07 13:14 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#59 [あ、携帯変えました]

「あ!先輩だ!」


隣で、遥が目を輝かせている。


『・・・知り合い?』


生徒会長は、2・3年の女子にステージの下から話しかけられている。


どうやら人気みたい。

⏰:07/04/07 13:17 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#60 [みぃ]

「えへへ!
 あの人、うちの中学の先輩なの!
 あたしの憧れの人!」


遥は顔を赤らめて言う。


『要するに、後追って入学したんだ。』


遥の顔が更に赤くなる。


―――まぁ・・・。

モテる材料は揃ってるか。

⏰:07/04/07 13:23 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#61 [みぃ]

先生が2・3年の女子に注意を促し、
やっと体育館が静かになった時、
彼は再び話し出した。


「えっと、応援してくれるのは嬉しいけど、
 式中は静かにしてな。」


彼の言葉に女子がキャッキャと笑う。

隣を見ると、遥も嬉しそうに笑っている。


「じゃあ、改めて。
 新一年生の皆さん、こんにちは。
 生徒会長の大原 大志です。」

⏰:07/04/07 13:30 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#62 [みぃ]










―――――大志?


「大志ぃー頑張れぇー!」

「だから、ちょっと静かにしとけって。」

「あはッ!ごめーん!」

⏰:07/04/07 13:34 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#63 [みぃ]

そんな上級生のやりとりも、隣で遥が、


「かっこいぃー・・・。」


って呟くのも、まるで耳に入ってこなかった。


あたしの周りだけ時間がなくなったみたいに、

ただ真っ直ぐとアイツを見据えていた。



アイツが・・・お姉ちゃんを・・・。

⏰:07/04/07 13:38 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#64 [みぃ]


教室へ戻り、自己紹介なんかしてHRが終わった。


このクラスのことなんて、
どうでもいい。

あたしが今、考えてるのはアイツの事だけ。


みんなが席を立ち始めた時、後ろから肩を叩かれた。


「ねぇ、夢芽って呼んでい?」

⏰:07/04/08 20:31 📱:SH903i 🆔:JXqEfdy6


#65 [みぃ]

遥だ。 後の席らしい。


『どーぞ。』


軽く返事をして席を立つ。


「あ、待って。
 あたしは遥でいーからねッ!」


誰もおまえの名前なんかに興味ねーよ、と思いつつ、

荷物を鞄の中にしまう。

⏰:07/04/08 20:35 📱:SH903i 🆔:JXqEfdy6


#66 [みぃ]

「ねぇ、夢芽。
 今日暇だったら帰り、
どっか寄らない?」


は?  冗談じゃない。

こんなテンションの高い奴と、
これ以上一緒に居られるか。


『行かない。』

「ゆ――――めッッ!!」


廊下の方から声がした。

⏰:07/04/08 20:39 📱:SH903i 🆔:JXqEfdy6


#67 [みぃ]

『・・・豊。』

「夢芽、一緒帰ろー!」


豊は教室の外から両手をブンブン振っている。

クラスの奴らは、あたしと豊を交互に見てる。


そりゃ、入学早々あんな馬鹿みたいな髪の色の奴が来ればびっくりするだろう。


「えッ・・・。
 夢芽の彼氏ぃ?」

⏰:07/04/08 20:44 📱:SH903i 🆔:JXqEfdy6


#68 [みぃ]

遥が肘をつついて来る。


『はぁ・・・。』


またため息。


何でこんな面倒臭い奴らばっかなの。


教室を出て、豊の横をすり抜けて、歩く。


「おいッ、夢芽、待てよ!」

⏰:07/04/08 20:48 📱:SH903i 🆔:JXqEfdy6


#69 [みぃ]

豊が後ろからついてくる。


うるさい。


『ついて来ないでよ。』

「おまえ、どこ行く気?」


足が止まる。


『・・・何が?』

「おまえ、大志くんトコ行くつもりだろ?」

⏰:07/04/09 23:52 📱:SH903i 🆔:g9s549RE


#70 [みぃ]

『・・・豊に関係ない。』

「やめとけって。」


豊があたしの腕を掴む。


『何よ、離して。』


「辛いのはお前だけじゃねぇんだよ。」


分かってるよ。

何で豊までそんな事言うの?


一番辛いのはお姉ちゃんなんだよ?

⏰:07/04/09 23:56 📱:SH903i 🆔:g9s549RE


#71 [みぃ]


『―――もう、離して!』


豊の手を振り払った時、
自由になった手が誰かにぶつかった。


―――ドンッッ


『―――ひゃッ・・・。
 ごめんなさ・・・。』





――――――あ・・・。

⏰:07/04/09 23:59 📱:SH903i 🆔:g9s549RE


#72 [みぃ]











大原・・・大志。


⏰:07/04/10 00:00 📱:SH903i 🆔:/XZB/EVw


#73 [みぃ]



「大丈夫?」


大原は倒れそうになったあたしの腕を取った。


『・・・触んないでッ!!』


あたしの右手を掴む左手を払いのけ、彼を睨む。


「君・・・もしかして・・・。」

⏰:07/04/11 13:42 📱:SH903i 🆔:STB6Toao


#74 [みぃ]

彼の言葉を最後まで聞かずに下駄箱へと走った。


大原の周りの女の先輩たちは、


「何あれ。」
「助けてもらってお礼なし?」
「大志、気にしない方がいいよ。」


とか、文句たれてた。


「夢芽!待てよ!」

⏰:07/04/11 13:47 📱:SH903i 🆔:STB6Toao


#75 [みぃ]

後ろから豊が追いかけてきて、
下駄箱に着いた所で追い付かれた。


「はぁ・・・はぁ・・・。
 ちょっと落ち着けよ。」


落ち着ける訳がない。


『・・・何も言えなかった。』

やっと見つけたのに。

⏰:07/04/11 13:52 📱:SH903i 🆔:STB6Toao


#76 [みぃ]

あの日からずっとずうっと憎んでいた相手が目の前に現れたのに。

言ってやりたい事がいっぱいあったのに・・・。


『何で、あんな平気そうなんだよ・・・。』

「夢芽・・・。」


『もうお姉ちゃんは笑えないのに・・・。
 何で笑えんの・・・!』

⏰:07/04/11 13:57 📱:SH903i 🆔:STB6Toao


#77 [みぃ]

悔しい。


悔しい。


「だから、もう何もすんなって。
 お前が傷つくだけだろ?」


じゃあ、どこにぶつければ消えんの?

この行き場のない感情は。


どうすればいいの?


誰か教えてよ。

⏰:07/04/11 14:00 📱:SH903i 🆔:STB6Toao


#78 [みぃ]


施設に帰ると、みんな既に帰っていた。

今日入学式だった子も
新学期でクラス替えだった子も、

みんな楽しそうに今日の感想を語っていた。



みんな、こうやって忘れてくの?


お姉ちゃんを過去の人にしちゃうの?

⏰:07/04/13 20:58 📱:SH903i 🆔:Sj9s1Nt6


#79 [みぃ]

「あ、夢芽、おかえりー。」

「どうだった?城北。」

『別に、普通。』


談話室でくつろいでいる子たちを適当にあしらい、
自分の部屋に入る。



微かにお姉ちゃんの匂いがする。

ぽっかり空いた胸にしっとりと染み込む。

⏰:07/04/13 21:05 📱:SH903i 🆔:Sj9s1Nt6


#80 [みぃ]

最近は、この部屋に入ることすら胸が痛む。

ここは、お姉ちゃんとの思い出が多すぎる。


思い出にするには、早すぎるよ。


机に座り、紙とペンを取る。


大原 大志様



人殺し。

⏰:07/04/13 21:08 📱:SH903i 🆔:Sj9s1Nt6


#81 [みぃ]

それだけ書き終えて、
ベッドへと倒れ込む。

布団に吸い込まれていくみたいに、身体が重いや。


「夢芽、おやつだって。」


気がつくと、美輝が部屋の入口に立っていた。


『・・・いらない。』


美輝はため息をついて部屋を出て行った。

⏰:07/04/13 21:12 📱:SH903i 🆔:Sj9s1Nt6


#82 [みぃ]

お腹が空かない。
のどが渇かない。
眠たくない。
何もする気になれない。


あたしは人間じゃなくなっちゃったのかな。

だって、生きてる気がしない。


ただ毎日が過ぎていくのを色の映らない目で見てる、

生きた屍だよ。


あたしは何の為に生きてるの・・・?

⏰:07/04/13 21:17 📱:SH903i 🆔:Sj9s1Nt6


#83 [みぃ]

――――――――――――


あれから二ヶ月。


何だかんだで生きてる。

人間は水と食料さえあれば生きていける。


心が死んでいても。



「夢芽、そろそろ起きないと遅れるよ。」

⏰:07/04/14 13:29 📱:SH903i 🆔:/ch1Di52


#84 [みぃ]

布団にくるまり、夢の世界へ旅立とうとしているあたしに、
女子棟代表の川口先生が呼びかける。


「ほら!いつまで寝てんのッッ!!」


布団を剥ぎ取られ、
眠たい目をこすりながら仕方なく体を起こす。


『眠・・・。』


時計を見る。

7時20分。

⏰:07/04/14 13:33 📱:SH903i 🆔:/ch1Di52


#85 [みぃ]

本日の睡眠時間、一時間弱。


昨日より少ない。


そんな事を考えながら部屋着から制服へ着替える。


いつもやっと眠りについた頃に、もう起きる時間になってる。


そんな睡眠サイクルでも、
不思議と眠くならない。



やっぱり、あたしはおかしいんだ。

⏰:07/04/14 13:36 📱:SH903i 🆔:/ch1Di52


#86 [みぃ]

少しみんなより遅い朝食を食べ、
身なりを整えて玄関へと向かう。


ポケットに一枚の紙切れを忍ばせて。


「夢芽、遅いー!」


靴を履いたところで、
男子の棟から豊が歩いてきた。


「遅刻したらどうすんだよー。」

⏰:07/04/14 13:40 📱:SH903i 🆔:/ch1Di52


#87 [みぃ]

『ちゃんと最後のバスに間に合う時間だし。
 そんな事言うなら、先に行っときゃいーじゃん。』

「まぁーた そんな事言うだろー。
 素直にごめんって言えよ。」



うるさい。


朝から迷惑な奴。



人の気持ちも考えないで。

⏰:07/04/14 13:45 📱:SH903i 🆔:/ch1Di52


#88 [みぃ]


バスを待ってる間も、
バスに乗っている間も豊は
ずっと喋りっぱなし。


頭が痛い。

最近、耳鳴りがひどい。


全然寝てないせいかな。


「おまえ、目の下。」

『は?』

「くま。すげーぞ。」

⏰:07/04/15 23:18 📱:SH903i 🆔:tnflJJnk


#89 [みぃ]

豊があたしの顔を指す。


『は? くま?』


鞄の中から鏡を取り出して確認してみる。



うわ・・・。


あたし、こんな顔だったっけ?

⏰:07/04/15 23:20 📱:SH903i 🆔:tnflJJnk


#90 [みぃ]

目はくぼんでるし、

髪の毛はツヤないし、

肌はカサカサだし、

唇は荒れてるし。


ちゃんと化粧したのにな。


意味ねぇー。


「眠れねぇの?」

⏰:07/04/15 23:22 📱:SH903i 🆔:tnflJJnk


#91 [みぃ]

鞄の中に鏡をしまっている時だった。


『んなことないよ。
 眠たくないだけ。』

「それ、同じ意味だろ。」

『眠れるけど寝ないだけ。
 全然意味違うじゃん。』

「いや、一緒だって。」

『ちがうッつーの!』


しつこい。

ダメだ。 イライラする。

⏰:07/04/15 23:27 📱:SH903i 🆔:tnflJJnk


#92 [みぃ]

「・・・ところでさぁー、
 おまえ、知ってる?」


豊はあたしの剣幕に圧倒されたのか、話題を変えた。


『―――何を。』


ってか、まだ喋る気?


「大志くん、嫌がらせされてるって。」


⏰:07/04/15 23:30 📱:SH903i 🆔:tnflJJnk


#93 [ぁや]
この話すっごぃ好きです           頑張ってくらさぁぃ

⏰:07/04/16 00:28 📱:N702iD 🆔:cN6bc0/E


#94 [みぃ]

ぁやサン

コメントありがとうございます
頑張るんで、良かったら見て下さいね

更新します

⏰:07/04/17 23:56 📱:SH903i 🆔:VEH4aNDY


#95 [みぃ]



『―――ふーん・・・。』


豊があたしの顔をじっと見る。


『・・・何よ。』

「おまえ、何もしてねぇよな?」


疑いの目があたしを見つめる。

⏰:07/04/17 23:58 📱:SH903i 🆔:VEH4aNDY


#96 [みぃ]

『――何それ。
 あたしの事、疑ってんの?』


負けじと、豊の目を見つめる。


「い・・・や。
 そーゆー訳じゃねーけど・・・。」

『疑ってんじゃん。
 ・・・別にいーけど。』

「わりぃ。気にすんな。」



簡単。

頭使えよ、豊。


少し考えたら分かる事じゃん。

⏰:07/04/18 00:01 📱:SH903i 🆔:JX3aC7wM


#97 [みぃ]

バスを下り、校門をくぐる。


最初の頃は豊と並んで歩くのが嫌だったけど、

こいつは言っても聞きやしない。


クラスの子はあたしが施設の子だって知ってるから、
少なからず距離を置いてる。



つまり、クラスで浮いてます。

⏰:07/04/18 00:05 📱:SH903i 🆔:JX3aC7wM


#98 [みぃ]

元から誰かと深く関わるつもりなんて無いから、
さほど困らないけど。

人を外見とか体裁で判断する奴なんて、
こったから願い下げだし。


まぁ、あたしの冷めた態度も原因の一つだと思うけど・・・。

みんな上辺目的なのは分かってるし。


ただ一人を除いては。

⏰:07/04/18 00:09 📱:SH903i 🆔:JX3aC7wM


#99 [みぃ]

「夢芽ぇ!おはよーッ!」


遥はそう言って、
あたしの腕に自分の腕を絡ませてくる。


『・・・おはよ。』

「あッ!
 豊くん、おはよぉ!」

「おはよ。
 じゃあ、夢芽のことよろしく。」

「了ー解♪
 また帰りにねー!」



あたしは子どもか。

⏰:07/04/18 00:12 📱:SH903i 🆔:JX3aC7wM


#100 [みぃ]

豊は毎日こうやって、
あたしがクラスに着くのを見届けて、
自分のクラスへ行く。


どんだけ過保護なの。


「夢芽ー!!」


遥は更に体を密着させて、
上目使いであたしを見る。


こいつ、レズなんじゃないの?

⏰:07/04/21 13:50 📱:SH903i 🆔:GFRZf3G.


#101 [みぃ]

『何?』


豊と別れたと思ったら、
次は遥か。

一日中テンションの高い奴にまとわり付かれて、疲れる。


「豊くんッてぇー、
 絶対夢芽のこと好きだよねッッ!」

『はぁ?』


遥の手をさりげなく解いて遥を見る。

⏰:07/04/21 13:53 📱:SH903i 🆔:GFRZf3G.


#102 [みぃ]

「だって、毎日お見送りとお迎え♪」

『そんなんじゃないし。』


そんなんじゃない。

豊は家族。


ちょっと(いや、かなり)うるさいけど、大切な家族。


もう、誰一人欠けて欲しくない。


もう、あんな思いするのは嫌だよ・・・。

⏰:07/04/21 13:57 📱:SH903i 🆔:GFRZf3G.


#103 [みぃ]

――――――――――――

昼休みを告げるチャイムが鳴る。

みんなご飯を買いに食堂へ行ったり、
他のクラスへ食べに行ったりして、
教室の机は半分以上空席になった。



頭が重い。

どうしよう・・・。


今日はいつもより一段と頭痛がひどいや。

⏰:07/04/21 14:00 📱:SH903i 🆔:GFRZf3G.


#104 [みぃ]

「夢芽ぇーお昼行こー!」

『――ごめん、
 一人で行って。』

「えッ!どしたの?」


頭を抱えるあたしを見て、
遥が目を丸くする。


『あたま・・・痛い。』


話し声すら頭に響く。

⏰:07/04/21 14:03 📱:SH903i 🆔:GFRZf3G.


#105 [我輩は匿名である]
おもしろい

⏰:07/04/21 18:08 📱:SH702iD 🆔:t9VNk/ZU


#106 [みぃ]

匿名サン

ありがとぉございます(・艸・)
そんなん言われたらやる気出てまうじゃないですか(´`)プ
また暇な時に読んで下さいね


更新します

⏰:07/04/22 15:27 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#107 [みぃ]

「保健室行きなよ!
 ついて行く?」

『うぅん・・・。
 一人で大丈夫。』


遥に別れを告げ、
保健室へと歩く。


入学して初めての保健室。

症状を説明すると、
先生は驚くほど簡単にベッドに案内してくれた。

⏰:07/04/22 15:31 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#108 [みぃ]

「とりあえず5時間目終わるまでは寝てていーからね。」


保健室の先生は笑顔でそう言うと、カーテンを閉めた。

スカートの折り目に気をつけて布団に潜り込む。


あったかい。


柔軟剤の匂い。

ここなら眠れそうな気がする。

⏰:07/04/22 15:35 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#109 [みぃ]


気持ちいぃ。


ふわふわした感じ。


久しぶりの感覚。



―――あ・・・。でも・・・。

今日、まだ紙入れてない。


そう思った瞬間に思考は停止した。

⏰:07/04/22 15:37 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#110 [みぃ]


――――   ―――――

夢芽―――・・・



『・・・お姉ちゃん?』


真っ白な世界。

確かに今、お姉ちゃんの声が聞こえたのに。



夢芽・・・。

泣かないで・・・。

⏰:07/04/22 15:40 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#111 [みぃ]



セメントで塗りたくられた天井。

真っ白な布団に黄色のカーテン。



―――そうだ。

ここ、保健室・・・。


「だから、何で何もしないの!?」

⏰:07/04/22 15:43 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#112 [我輩は匿名である]
あげっち

⏰:07/04/24 18:46 📱:SH702iD 🆔:scMS1MSs


#113 [みぃ]


匿名サン

この間コメントくれた匿名さんですよね
あげありがとうございます(人・・)+゚

更新します

⏰:07/04/25 21:19 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#114 [みぃ]
>>111


カーテン越しに聞こえる女の怒鳴り声。


(今・・・何時?)


腕時計で時間を確認する。



――――えッ!?


もう放課後?!

⏰:07/04/25 21:22 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#115 [みぃ]

カーテンの隙間から室内を見渡す。


――あれ・・・?

保健室の先生いないじゃん・・・。



それと同時に一人の女の人の後ろ姿。


「毎日下駄箱で見張ってたら捕まえられるに決まってんじゃん!!」

⏰:07/04/25 21:26 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#116 [みぃ]

背中まで伸びた茶色の混じった髪の毛をなびかせながら、
女の人は怒鳴る。


ケンカ・・・?


―――――誰と??


視線を右へとずらす。


「そこまでする必要ないじゃん。」

⏰:07/04/25 21:28 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#117 [みぃ]









―――大原 大志!!



あたしの視線の先には、
アイツがいる。

⏰:07/04/25 21:29 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#118 [みぃ]

「じゃあ、このまま嫌がらせ続けられるのを黙って見とけッて言うの?!」

「別に、紙切れだけで殺される訳でもねーじゃん。
 それより足、大丈夫?」


アイツは軽く笑う。


「体育でちょっとくじいただけだから大丈夫ッて・・・
 そーじゃなくて!」

「保健室の先生、どこ行ったんだろなー・・・。」

「大志ッッ!!!」

⏰:07/04/25 21:33 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#119 [みぃ]

女の人がアイツの腕を掴む。


「大志・・・。
 何かあってからじゃ遅いんだよ・・・?
 大志に何かあったら・・・あたし・・・。」

「由美・・・。ありがと。
 でも大丈夫だから。」


アイツの手が‘由美’の体を優しく包む。



――――何これ。

⏰:07/04/29 11:37 📱:SH903i 🆔:MpOvwUGM


#120 [みぃ]

目の前で起こっている出来事に思考が追い付かない。


何やってんの、こいつら。


アイツらが出て行った後も、
時間が止まったみたいに、しばらく動けなかった。

怒りで手が震える。


保健室にあったペンと2枚の紙を手に取り、
書きなぐる。

⏰:07/04/29 11:41 📱:SH903i 🆔:MpOvwUGM


#121 [みぃ]

1枚は、先生宛て。


お礼の言葉と、体調の回復の報告。


もう1枚は・・・。




教室に戻り、荷物を整える。

みんな帰って、誰もいない静かな教室。

ふと、携帯を見ると、メールが2件届いていた。

⏰:07/04/29 11:44 📱:SH903i 🆔:MpOvwUGM


#122 [みぃ]

1件目は 遥。

【夢芽、大丈夫ぅ〜?】


ほんとに心配してんのか、コイツは。


2件目は 豊。

【大丈夫?オレ、今日用事あるから先帰るな!
 気ぃつけろよ!】


―――パチン・・・。

⏰:07/04/29 11:48 📱:SH903i 🆔:MpOvwUGM


#123 [みぃ]

今日は入学して以来、
初の一人での下校か。


携帯をポケットにしまいながらそんなことを考える。



やっと、やりたい事ができる。



ふで箱からカッターナイフを取り出し、
セーターの袖に隠して下駄箱へと向かう。

⏰:07/04/29 11:51 📱:SH903i 🆔:MpOvwUGM


#124 [みぃ]

この時間なら、
下校後か部活中で、生徒はいないだろう。


電灯が消えて、うす暗くなり始めた廊下を歩く。

あたしの上履きの音だけが冷たい廊下に響く。


下駄箱へ着き、いつもとは逆の方向へ向かう。


そこは、2年生のロッカースペース。

⏰:07/05/02 16:21 📱:SH903i 🆔:040EPTNg


#125 [みぃ]

慣れた足で、一つのロッカーの前へと進む。


‘大原 大志’


この名前を口に出すのも、
いや、名前を見るだけでも憎しみが沸き上がってくる。


そっとロッカーへ手を伸ばす。

ダイヤル式の鍵。


まだ鍵、変えてないんだ。

⏰:07/05/02 16:25 📱:SH903i 🆔:040EPTNg


#126 [みぃ]

ねぇ、あたし、もう暗証番号知ってるよ?

早く変えた方がいぃんじゃない?


入学して始めの半月、
携帯をいじるフリして何回もロッカー開ける所見てたから。



・・・・1・・・・2・・・・4・・・・



カチャ。

⏰:07/05/02 16:27 📱:SH903i 🆔:040EPTNg


#127 [みぃ]

鈍い音と共に鉄のつっかえが外れる。

小さな長方形の扉が口を開く。


無造作に積まれた教科書。

体育館シューズ。

上履き。


もうこの二ヶ月間、毎日見てる景色だ。

その中に、紙を2枚置く。

⏰:07/05/02 16:31 📱:SH903i 🆔:040EPTNg


#128 [みぃ]

昨日の夜に書いたものと、
保健室で書いたもの。



生きてるなんて許さない

裏切り者



ここ二ヶ月間、毎日彼への憎しみを文にして、
ロッカーへ投げ込んだ。


朝、休み時間、体育の移動の時、放課後。

隙を見つけて、あたしの思いをぶつけた。

⏰:07/05/02 16:34 📱:SH903i 🆔:040EPTNg


#129 []
あげ

⏰:07/05/03 23:32 📱:SH703i 🆔:iKB/PF4w


#130 [みぃ]

サン

あげありがとうです
更新まちまちですいません(・`;

更新します

⏰:07/05/05 14:39 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#131 [みぃ]

扉を閉め、セーターの袖からカッターを取り出す。


カチカチカチ・・・。


独特の音。

3p程出した刃で決まったスペースの中を傷つける。


――ガリッ・・・ギギギ・・・


不気味な音が廊下に響く。

⏰:07/05/05 14:43 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#132 [みぃ]

憎い名前が貼付けてある、
そのロッカーにあたしの心の刃を刻んでいく。



‘陰湿’



今のあたしにはそんな言葉がぴったりだ。


自分でも分かってる。

馬鹿なことしてるって。

⏰:07/05/05 14:47 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#133 [みぃ]

だけど、これを見た時のアイツの顔を見ると、
自然と笑みがこぼれる。



苦しめ。


苦しめ。



これっぽっちの刃で痛いなんて言わせない。

どれだけ願ったって、
もうお姉ちゃんは還って来ないからんだ。

⏰:07/05/05 14:50 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#134 [↑ ‘から’要らないです]

誰も分からなくていい。

あたしの気持ちはあたしだけの物。


あたしとお姉ちゃんの絆を知らない奴からの同時なんて、尚更要らない。


1番お姉ちゃんの近くに居たのはあたしで、アイツじゃない。



例え、それがお姉ちゃんの愛した人だとしても。

⏰:07/05/05 14:54 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#135 [みぃ]

まるで何かにとり憑かれた様に、右手が動く。

その握り締めた手にどんどん力が加わる。




ギギッ・・・ギギギッ・・・



―――――バキッ!!

⏰:07/05/05 14:57 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#136 [みぃ]
>>133

アイツの顔を見ると
   ↓
アイツの顔を考えると


>>134

同時なんて
  ↓
同情なんて


の間違いです

誤字ばっかですみません(・ω・`)

⏰:07/05/05 22:14 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#137 [みぃ]


〇  ο
o     Ο   οО








一瞬、何が起こったのか分からなかった。

⏰:07/05/10 16:40 📱:SH903i 🆔:i3Ua3MDA


#138 [みぃ]


左頬に走る痛み。


スカートと地面に浮かぶ赤。



『・・・血?』


足元には、力の作用に耐えられずに折れたカッターの刄が転がっている。

⏰:07/05/10 16:43 📱:SH903i 🆔:i3Ua3MDA


#139 [みぃ]

左頬から静かに流れる血。


刄が飛んだ拍子に切れたのか・・・。




アイツの反撃・・・?

なんて、心の中で思って一人で鼻で笑う。


再び顔を上げた時、固まった。

⏰:07/05/10 16:46 📱:SH903i 🆔:i3Ua3MDA


#140 [みぃ]

ロッカーに刻まれた無数の傷。

そこからは憎しみ以外の何も感じられない。



―――これ、あたしがやったの・・・?



まるで、あたしの心を表しているかのような傷。


‘卑怯’

そんな言葉が頭の中を廻った。

⏰:07/05/10 16:49 📱:SH903i 🆔:i3Ua3MDA


#141 [みぃ]

『あ・・・あぁ・・・。』


全身に寒気が立つ。


自分のしたことの卑劣さに目を向けることができず、

逃げるように荷物を抱えて、
学校を飛び出す。



それと同時に、あの日の事が甦る。

⏰:07/05/10 16:53 📱:SH903i 🆔:i3Ua3MDA


#142 [放置しすぎた]

━--・・━━━-・━--・・━━

「どした?夢芽。」


電話片手に固まったあたしに、
事務室へ戻ってきた男子棟の先生が尋ねる。


『加山せんせ・・・。
 おね・・・。』


途切れ途切れに言葉を発するあたしに何かを感じたのか、
加山先生はあたしから電話を奪う。

⏰:07/05/23 23:49 📱:SH903i 🆔:YyEvP3JA


#143 [誰も読んでないけど更新]

「もしもし?!
 ――え?美優が?!」


加山先生が警察と電話している間も、
他の先生に連絡している間も、
あたしは放心状態だった。

ただ、頭の中に映る嫌な映像をかき消すことに必死だった。


「夢芽!
 先生病院行ってくるから!」

『――待って!
 あたしも行く!!』

⏰:07/05/23 23:53 📱:SH903i 🆔:YyEvP3JA


#144 [みぃ]

事務室から飛び出して行く先生を追いかけ、
一緒に車に乗り込む。


心臓が今までに感じたことのない程の速さで波打っている。


(お姉ちゃん・・・。)



やだ・・・。

やだよ・・・。

⏰:07/05/24 00:01 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#145 [みぃ]




病院へ着いた時には、
もう手遅れだった。


医師から一通り話を聞いて、霊安室へと案内される。


機械的な説明。

事務的な案内。


人事でしかない医師に腹が立つ。

⏰:07/05/24 00:04 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#146 [みぃ]


他にこの複雑な想いをぶつける場所がないから。



嘘だよね?


お姉ちゃんが何したって言うのよ。


誰かに迷惑かけるような人生じゃなかった筈なのに。


こらえ切れずに病院を飛び出した。

⏰:07/05/24 00:07 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#147 [なォ]
読んでますょ
がんばれッ

⏰:07/05/24 01:56 📱:N902iS 🆔:☆☆☆


#148 [みぃ]

なォサン

コメントありがとうございます

俄然やる気でちゃいます
最後まで頑張るんで、良かったら付き合ってやって下さいね(・艸・)

⏰:07/05/24 08:41 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#149 [にゃんちゅ]
うぉーΣ(´Д` )なんだこのぉもろぃ小説ゎ
久しぶりにハマる作品
見つけたじぇ
絶対完結させてネ
頑張れッ

⏰:07/05/24 13:42 📱:D903iTV 🆔:EDrri.JI


#150 [みぃ]


にゃんちゅサン

そんな言葉もったいないです

こんな駄作ですが、最後まで頑張るんで良かったら読んで下さいね

⏰:07/05/24 15:55 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#151 [みぃ]
>>146



「―――夢芽ッ!!」


加山先生の制止も無視し、
警察から聞いた場所へ向かう。





―――そう、事故現場。

⏰:07/05/24 15:58 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#152 [みぃ]


そこは、大通りに面した歩道だった。


まだパトカーが何台か止まっていて、
野次馬がたかっている。


野次馬の群れを掻き分け、
一番前にいた警察官に食らいついた。


『何があったんですか!?』

⏰:07/05/24 16:01 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#153 [みぃ]

いきなり袖をつかまれた警察官は驚きつつも、


「―――誰だ?!
 ほら、このテープの中は立入禁止!!」


と言って、あたしを追い出す。


『事故に遭った女の人の妹です!!』

「じゃあ君、施設の・・・。」

⏰:07/05/24 16:06 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#154 [みぃ]

『ねぇ、何があったの?!
 教えてよ!!』


警察官の服を両腕で掴み、
かすれた声で答えを促す。


警察官は他の警察官と目を合わせて、
ゆっくりとあたしに目線を戻す。


「・・・君のお姉さんと交際相手の男の人がここの歩道を歩いている時、
 トラックが追突して来たんだよ。」

⏰:07/05/24 16:11 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#155 [みぃ]


追突・・・。


「トラックの運転手が居眠り運転でね・・・。
 それが偶然君のお姉さん達の場所に・・・。」


歩道には、生々しい血痕が飛び散っている。


「それで、お姉さんにだけ・・・。」

『・・・大志くんは・・・。
 彼氏はどこですか!?』

⏰:07/05/24 16:18 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#156 [みぃ]

「え?あぁ・・・。
 一緒に救急車に乗って行ったから、病院じゃないかな・・・。」


病院・・・。

霊安室に居たのかな・・・。


『ありがとう・・・ございました・・・。』


ふらつく足を引きずる様にして、警察官から離れる。

⏰:07/05/26 23:10 📱:SH903i 🆔:.Cl4W36g


#157 [みぃ]


「大丈夫?」


抜け殻の様になったあたしに、
警察官が心配そうな顔で問い掛ける。


『大丈夫・・・。』


自分に言い聞かせるように呟き、人込みを抜ける。

⏰:07/05/26 23:16 📱:SH903i 🆔:.Cl4W36g


#158 [みぃ]


野次馬の好奇の目が突き刺さる。



何笑ってんだよ・・・。


人が一人死んでんのに。


見せ物じゃねぇんだよ。



群がる野次馬を睨みながら歩いた時だった。

⏰:07/05/26 23:21 📱:SH903i 🆔:.Cl4W36g


#159 [みぃ]


「ひどいよね、彼氏も。」


小さく囁いたその会話を聞き逃さなかった。


『それッ・・・!
 どーゆー意味ですか?!』


いきなり話に入ってきたあたしに驚きながらも、
その女の人は答えてくれた。

⏰:07/05/26 23:25 📱:SH903i 🆔:.Cl4W36g


#160 [みぃ]


「えッ・・・。
 何かねー、トラックが突っ込んで来た時、
 彼氏が彼女置いて逃げたらしいよ。」



『――――は?』



「あたしが見てた訳じゃないんだけど、
 反対側の歩道から見てた人がいるらしいよ!!」


頭の中が真っ白になる。

⏰:07/05/29 16:09 📱:SH903i 🆔:.J7yiuPU


#161 [みぃ]


「トラックが突っ込んで、
 瞬間的に彼氏が避けて、彼女だけがひかれちゃったんだって!!」


『―――それ・・・。
 本当ですか?』

「本当じゃないのー?
 実際2人で並んで歩いてたのに、
 彼女だけひかれるなんて、有り得なくない?」



大志くんが・・・?

⏰:07/05/29 16:17 📱:SH903i 🆔:.J7yiuPU


#162 [みぃ]

「男なら女の前に立ちはだかって、
 守れってモンだよねぇ。」

『ありがとう・・・ございました・・・。』


まだ愚痴を続けようとする女の人を残し、
トボトボと家へ帰った。



信じられない。

大志くんはお姉ちゃんを裏切ったんだ・・・。


お姉ちゃんは、アイツに殺されたんだ・・・。

⏰:07/05/29 16:24 📱:SH903i 🆔:.J7yiuPU


#163 [みぃ]

━━━━━------・・・・


施設に戻ると、暗い雰囲気が皆を包んでいた。


ここには、毎週のように親が面会に来る子もいれば、
入所したっきり一度も会いに来ない親もいる。


ここにしか家族がいない子がたくさん居る。



あたしもその一人。

⏰:07/05/29 16:30 📱:SH903i 🆔:.J7yiuPU


#164 [みぃ]

どれだけお姉ちゃんがみんなに好かれているか、
この状態を見れば分かる。



部屋に入り、お姉ちゃんのベッドに寝転ぶ。


ベッドからお姉ちゃんの匂い。

甘くて大好きな香り。


あたしの大好きな匂い。

⏰:07/05/29 16:33 📱:SH903i 🆔:.J7yiuPU


#165 [ぁぃュ]
>>151

⏰:07/05/30 11:54 📱:W43S 🆔:plfesnEE


#166 [みぃ]

ぁぃサン

アンカーありがとうございます

更新します

⏰:07/05/31 16:46 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#167 [みぃ]

あれは、小学三年生の時・・・。


周りは誕生日とかクリスマスとか、
親が面会に来たり、一次帰宅の為に迎えに来たり、手紙やプレゼントが届いていたのに、
あたしはいつも一人ぼっちで。


声を押し殺して泣いてた。


気持ちを押し殺して泣いてた。

⏰:07/05/31 16:49 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#168 [みぃ]

その時だよ。

お姉ちゃんが二段ベッドの上から一緒に寝よう、って言ってくれたの。


短い階段登って、
お姉ちゃんの布団に潜り込んで。


お姉ちゃんが優しく何度も頭を撫でてくれた。

⏰:07/05/31 16:52 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#169 [みぃ]

親なんて、いらない。


お姉ちゃんさえずっと隣に居てくれたら、
それでいい。


心からそう思えたの。



お姉ちゃん、

昔みたいに優しく頭を撫でてよ。

⏰:07/05/31 16:54 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#170 [みぃ]

溢れそうになる気持ちを唇を噛み締めて抑え、
顔を上げて周りを見渡す。


ベッドの脇にある写真立てを手に取る。

それは、あたしとお姉ちゃんが笑顔で映った写真。


もう、お姉ちゃんは写真の中でしか笑えないの?

⏰:07/05/31 16:58 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#171 [みぃ]

ご飯食べて
「おいしいね。」
って笑うことも、


施設の子と喧嘩して泣くことも、


「早く起きなさい!」
って布団めくりながら怒ることも、



もうできない。

⏰:07/05/31 17:00 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#172 [みぃ]


写真の中でしか

みんなの記憶の中で生きることしかできない。


やだよ。


そんなのやだよ。



ねぇ、

お姉ちゃん返してよ。

⏰:07/06/03 00:53 📱:SH903i 🆔:ETPWO7I2


#173 [みぃ]


神様か仏様か知んないけど


誰でもいいから時間を戻してよ。



やだ。

まだ出てこないで。


お姉ちゃんが帰って来た時まで待って。

その時は2人で嬉し涙、流すから。

⏰:07/06/03 00:56 📱:SH903i 🆔:ETPWO7I2


#174 [みぃ]

お姉ちゃんの枕に顔を埋めた瞬間、
部屋の中に強い風が入り込んできた。

窓に一番近いお姉ちゃんの机の上の紙が飛ぶ。


けだるい身体を起こし、
床に散らばった紙を一枚ずつ拾い集めていく。


テストの答案用紙、ピアノの楽譜、宿題のプリント。

⏰:07/06/03 01:02 📱:SH903i 🆔:ETPWO7I2


#175 [みぃ]

その中に、一枚のメモ用紙を見つけた。

そこには、走り書きながらもお姉ちゃんの手で記入された字が浮かんでいた。


『・・・住所?』

(誰の・・・?)


何気なく目を紙の下の方へ走らせ、
入り込んできたもの。




『―――大原大志・・・!!』

⏰:07/06/03 01:09 📱:SH903i 🆔:ETPWO7I2


#176 [みぃ]





――――ドクンッ・・・




心臓が大きく波打つ。


身体の体温が一瞬で上昇する。



忘れかけていた感情が沸き上がってくる。

⏰:07/06/03 01:11 📱:SH903i 🆔:ETPWO7I2


#177 [みぃ]


近くにあったペンと紙をおもむろに取り、

一文字一文字心を込めて書く。


日も暮れ、すっかりと夜に包まれた室内に、

ペンが紙の上を走る音が響く。


紙が破れるんじゃないか、ってぐらいの筆圧。

⏰:07/06/07 21:55 📱:SH903i 🆔:ZyI0szvc


#178 [みぃ]


大原大志様



一生 笑わないで下さい。

自分の罪を償い、幸せにならないで下さい。


私はあなたを一生恨みます。



どうか、笑わないで下さい。

⏰:07/06/07 21:56 📱:SH903i 🆔:ZyI0szvc


#179 [みぃ]

――――――――――――

差出人の名前は書かず、
切手を貼ってポストに出す。

彼の家へ送ったのは、
これが最初で最後。


後は、入学してからずっと下駄箱へ。


自分で汚い女だって分かってる。

こんなことしたって何も変わらないのも分かってる。
もう、お姉ちゃんは死んでしまったのだから。

⏰:07/06/07 21:59 📱:SH903i 🆔:ZyI0szvc


#180 [みぃ]

――――――----・・・


外はあっという間に暗闇に包まれる。


何の頼りもなく駅の周りの街を歩いているうちに、
すっかり夜になっていた。

時間を確かめる為に携帯を開くと、
すごい着信履歴の数だった。


『―――あ・・・。
 マナーモード・・・。』

⏰:07/06/07 22:04 📱:SH903i 🆔:ZyI0szvc


#181 [みぃ]

マナーモードを解除して、
履歴を確認していく。


“施設”
“施設”
“豊”
“施設”
“美輝
“豊”
“施設”
“豊”
“美輝”




・・・・ただ今 18:40。

⏰:07/06/07 22:09 📱:SH903i 🆔:ZyI0szvc


#182 [みぃ]

(やば・・・門限過ぎてる。)


慌てて施設へ電話する。


[はい、あおば学園です。]

『――あッ・・・。
 ・・・夢芽。』

[――夢芽ッ!?
アンタ今どこにいんのッ?!]


受話口の先生の口調が変わる。

⏰:07/06/10 23:45 📱:SH903i 🆔:BmAgIcJs


#183 [みぃ]

うわ・・・。加山先生だ。


『ごめん、ボーッとしてて・・・。』

[どんだけ心配したと思ってんの!!]


耳がキーンとなる。

声でかいんだよ、加山先生は。


『ごめんッてば。
 今から帰るから・・・。』


電話を切って足早に施設へと戻る。

⏰:07/06/10 23:48 📱:SH903i 🆔:BmAgIcJs


#184 [実習から帰ってきた主です]

うちの施設の門限は18時。

部活がある子は20時。


二週間前に申し出て、
その内容に許可が出た場合は、21時まで延ばすことができる。


あの事故の日、
お姉ちゃんはあいつと遊ぶ為に門限を延ばしてた。

⏰:07/07/03 23:21 📱:SH903i 🆔:zauvG9rE


#185 [みぃ]
 

――――――――――――

施設に着いて、
廊下で会う先生たちに謝りまくった。


「もー・・・本当心配したんだから・・・。」

『ごめん・・・。
 あ、加山先生は?』

「たぶん事務室かな。」

『ありがと。』


今からお説教が始まると思うと、かなりの憂鬱。

⏰:07/07/03 23:25 📱:SH903i 🆔:zauvG9rE


#186 [みぃ]

ため息をつきながら事務室へ向かう。

ノックをしようと思ったら、
中から怒鳴り声が聞こえた。


「なんで一人で帰らせたのッ!!」


顔なんて見なくても分かる。

このハスキーなデカイ声は加山先生だ。

⏰:07/07/03 23:31 📱:SH903i 🆔:zauvG9rE


#187 [みぃ]

恐る恐るドアを開け、
隙間から事務室を覗く。






加山先生と・・・・・





豊?!

⏰:07/07/03 23:33 📱:SH903i 🆔:zauvG9rE


#188 [みぃ]

「あれだけ一人にさせないでって言ったのに・・・。」

「悪かったって。
 今日はどうしても行く所あったんだよ。」

「あの子・・・何するか分かんないから・・・。
 一番さりげなく一緒に居れそうな豊に頼んだのに・・・。」





・・・何?

・・・この会話。

⏰:07/07/03 23:40 📱:SH903i 🆔:zauvG9rE


#189 [にゅー]
この小説何か好き
最後まで書いてくれ
たら嬉しいです

何か続ききになる

⏰:07/07/04 19:50 📱:N703iD 🆔:f9E9xluo


#190 [みぃ]

にゅーサン

コメありがとうございます
大分放置しちゃいましたけど、最後まで頑張るんで、良かったら見て下さいね

更新します

⏰:07/07/05 09:21 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#191 [みぃ]

「明日からちゃんと目ぇ離さねーから!
 結局無事だったんだろー?」

「そうだけど・・・。
 もう・・・。
 寿命縮まっちゃうわよ・・・。」





―――――どういう事?




「あ、夢芽!」

⏰:07/07/05 09:25 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#192 [みぃ]

「えッ?!」


豊が扉の前にたたずむあたしの姿に気付き、
近づいてくる。


「おまえ、みんな心配してたんだぞ?!
 どこ行ってたんだよ。」


豊の手があたしの肩に触れる。





『・・・・・・・触んなッ!!』

⏰:07/07/05 09:28 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#193 [みぃ]


あたしの左手が無意識に豊の手を払いのける。


「・・・夢芽?」

「夢芽、とりあえず話は後で聞くから先にご飯食べておいで。
 あんたの分、取ってあるから。」


加山先生に言われ、食堂へ向かう。




バカみたい。

⏰:07/07/05 09:31 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#194 [みぃ]


何、心開きかけてんの?


豊のあたしへの優しさは、
あたしの事心配してるからじゃない。

先生に頼まれたからだ。


あたしが変なことしないかどうかの見張り役。

あたしが大切だからじゃない。


あたしの傍に居てくれたのは、
あたしの為じゃない。

⏰:07/07/05 09:33 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#195 [みぃ]

「夢芽ー。
 どこ行ってたんだぁー??」


食堂のおじちゃんが夕食を運んでくれながら、
語りかける。


『えへへ、ちょっとね。』

「心配してたんだぞー?
 まぁ、無事で良かった。」


そう言って、おじちゃんはあたしの頭をなでる。


『・・・ありがと。』

⏰:07/07/05 09:37 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#196 [みぃ]

おじちゃんには昔から、
何か弱い。


「今日の晩御飯はー・・・
 あ!夢芽、レバー食えなかったな!」


目の前にはレバーの炒め物が他の食べ物と一緒に並んでいる。


「レバー食べると、湿疹出るんだっけ?
 他のに代えるよ。」

⏰:07/07/08 22:52 📱:SH903i 🆔:GpES.BMM


#197 [みぃ]
 

おじちゃんが皿に手をかける。


『―――――いい。』


「――――へ?」


唾を飲み込み、
一息でレバーの炒め物をかきこむ。


「――ちょッ・・・夢芽!?」

⏰:07/07/08 22:55 📱:SH903i 🆔:GpES.BMM


#198 [みぃ]


『――ごほッ!うッ・・・。』

「あぁあ〜何やってんだよー。
 だから他のに代えるって言ったのにー!!」


むせるあたしの背中を、
おじちゃんは優しくさすってくれる。


『気持ち・・・わる・・・うッ・・・。』

⏰:07/07/08 22:58 📱:SH903i 🆔:GpES.BMM


#199 [みぃ]

「何で食べられない物食べたのー!!」


おじちゃんが水を渡してくれる。


『だって・・・大好物だったの・・・。』

「え?」




『お姉ちゃんの・・・大好物だったの・・・。』

「夢芽・・・。」

⏰:07/07/08 23:01 📱:SH903i 🆔:GpES.BMM


#200 [みぃ]


バカみたい。

希望なんて何もなかったはずなのに・・・。


こんなに傷ついてるあたしが悔しい。


少しでも周りに期待してた証拠じゃない。




―――――バカだよ。

⏰:07/07/08 23:03 📱:SH903i 🆔:GpES.BMM


#201 [みぃ]


涙が枯れるくらい泣くって、どんなの?



まだ枯れてない?


早く枯れて、
ひからびて死んじゃえばいいんだ。

そしたら、こんな想いする必要ないよね。



早く、楽になりたい。

⏰:07/07/14 03:35 📱:SH903i 🆔:lFkvOcOY


#202 [みぃ]

――――----・・・・・


『・・・は・・・はぁ・・・。』


拒絶反応で、湿疹と共に熱も出てきた。


「もう・・・何やってんの。」


川口先生が額のタオルを代えてくれる。


「・・・泣いたって、美優は還ってこないよ。」

⏰:07/07/14 03:40 📱:SH903i 🆔:lFkvOcOY


#203 [みぃ]


そんなこと 分かってるよ。


分かってても止まらないんだもん。


「ねぇ・・・夢芽?」

『・・・・・・・ん?』

「明日・・・。
 病院行こっか。」




――――――病院?

⏰:07/07/14 03:43 📱:SH903i 🆔:lFkvOcOY


#204 [みぃ]

『・・・湿疹なら、一晩寝たら治るよ?』


熱だって・・・。

レバー消化してしばらくしたら下がるもん。


「・・・そーじゃなくて。
 ・・・心療内科。」





心療・・・内科?

⏰:07/07/14 03:45 📱:SH903i 🆔:lFkvOcOY


#205 [みぃ]

「隣の駅にね・・・。
 すっごくいいお医者さんがいるんだって。
 一回、行ってみない?」

『・・・やだ。
 あたし、大丈夫だもん。』


額のタオルを目元まで下ろし、暗闇へと逃げる。


「何が大丈夫なの?!
 今までだったら無理してレバー食べるなんて絶対無かったじゃない!!」

『あれは・・・違うもん。』

「・・・え?」

⏰:07/07/14 03:49 📱:SH903i 🆔:lFkvOcOY


#206 [みぃ]

『無理なんてしてない!
 お姉ちゃんがいっつもどんな気持ちで食べてたか知りたかっただけ!』


暗闇に向かって叫ぶ。


「・・・だから、そーゆーのが不安定だって言ってるの。」


川口先生が目の上に乗っかったタオルを奪う。


『―――まぶし・・・。』

⏰:07/07/17 21:34 📱:SH903i 🆔:DsFKwV86


#207 [みぃ]


天井に吊された電気が容赦なく視界を襲う。


さっきと明るさは変わらないはずなのに、
ものすごく眩しい。


「暗い所に逃げるのは楽だけど、
 次出てくる時は前よりもしんどくなるよ。」


耳を塞いでしまいたかった。

⏰:07/07/17 21:37 📱:SH903i 🆔:DsFKwV86


#208 [みぃ]




川口先生の言葉が胸に突き刺さる。


先生の言ってる意味、
よく分かるよ。

分かってるよ?



でも、許せない。


あいつだけは、どうしても許せないんだもん。

⏰:07/07/17 21:40 📱:SH903i 🆔:DsFKwV86


#209 [みぃ]


その日は熱が体力を奪ってすぐに眠れたけど、
全然眠った気になれなかった。


「夢芽、大丈夫?」


既に学校へ行く準備の整った美輝が部屋のカーテンを開けながら言う。


『ん・・・。
 まだちょっと体はダルいけど、熱は下がったみたい。』


眩しい。

太陽の光が窓から差し、
今日の天気を示す。

⏰:07/07/17 21:45 📱:SH903i 🆔:DsFKwV86


#210 [みぃ]

「そ、良かった。
 じゃ、行ってくんね。」

『行ってらっしゃい。』


美輝は、膝上まで折ったスカートをなびかせながら、
足早に階段を降りて行った。


その様子をただ呆然と見守っていた。


熱が下がった反動なのか、
心が枯れているからなのかは分からないけど、

息をすることでさえ面倒臭い。

⏰:07/07/17 21:51 📱:SH903i 🆔:DsFKwV86


#211 [我輩は匿名である]
いっきに読みました

なんか、不思議な気持ちになります

更新待ってるんで、頑張って下さいね(・ε・)

⏰:07/07/20 02:04 📱:N702iD 🆔:z4V24LZI


#212 [みぃ]
匿名サン

コメありがとうございます

あたしの書いた小説で何か感じて頂けたら嬉しいです

更新します

⏰:07/07/22 22:30 📱:SH903i 🆔:GKuGWHgo


#213 [みぃ]

美輝は新しい高校で上手くいってるみたい。

毎日笑顔を絶やさずにいるところを見れば、
何も聞かなくても分かる。


みんな、ちゃんと新しい道を歩いてる。

大きな障害があっても、ちゃんと。


あたしだけが止まってる。

過去に捕われて、
過去を羨んで、

動けずにいる。


あたしだけ。

⏰:07/07/22 22:35 📱:SH903i 🆔:GKuGWHgo


#214 [みぃ]


「夢芽、用意できたー?」

『今行く。』


服を着替えて、車に乗り込む。


「今日行く病院の先生はね、三年くらい前に学会で認められた、すごい先生なんだって。
 それでね・・・。」


川口先生が運転しながら得意げにその先生のことを話してくれたけど、
まるで耳に入ってこなかった。

⏰:07/07/22 22:39 📱:SH903i 🆔:GKuGWHgo


#215 [みぃ]



流れる景色を見ているだけで、
何も考えていなかった。



着ぐるみを着てるみたい。


動いてるけど、
被ってるのは本当のあたしじゃない。

でも、中にいるのが本当のあたしなのか?
って聞かれると、答えられない。

⏰:07/07/22 22:43 📱:SH903i 🆔:GKuGWHgo


#216 [みぃ]



そもそも、

本当の自分って何?


誰か知ってるの?



自分ですら分からないのに。



それを見つけなきゃいけないって、決まってるの?



そんなもの、生きてく上で必要なの・・・?

⏰:07/07/22 22:45 📱:SH903i 🆔:GKuGWHgo


#217 [続きばっかですんません]


ねぇ・・・。


お姉ちゃんは本当の自分に会えた?



生きてるうちに見つけれた?




あたしはもう、あなたのいない世界で生きていく程の目的がないんだ。


ねぇ、

どうすればいい?

⏰:07/07/22 22:48 📱:SH903i 🆔:GKuGWHgo


#218 [みぃ]

「着いたよ。」


外の景色と同時に車の動きが止まり、
小さな建物の中へ入る。


住宅街の一角。

想像してた様な大きな病院じゃない。


「おいで、夢芽。」

⏰:07/07/25 21:40 📱:SH903i 🆔:EdRT1epg


#219 [みぃ]


自動ドアを抜け、
ホワイトで統一された壁の待合室が現れた。

平日だからか、午前中だからかは分からないけど、
他に患者はいなかった。


「ちょっと、座って待ってて。」


川口先生はそう告げると 受け付けへ行き、
先に診察室へと入って行った。


待合室のソファに座って窓の外を見てみた。

⏰:07/07/25 21:47 📱:SH903i 🆔:EdRT1epg


#220 [みぃ]


. ゚ 。

゚ ゜ 。

. 。

. ゜

゜ 。


空白の時間。

外からはうざったい程の春の日差し。

⏰:07/07/25 21:52 📱:SH903i 🆔:EdRT1epg


#221 [みぃ]




今日も太陽は頑張って こんなにもみんなを照らしているのに、

あたしの心は淀んでる。



誰も照らせない。




きっと、

これからもずっと。

⏰:07/07/25 21:57 📱:SH903i 🆔:EdRT1epg


#222 [みぃ]



「夢芽。」


何分経った頃かな。


診察室から出てきた川口先生があたしを呼ぶ。


「先生、外で待ってるから行っといで。」


重い気持ちを抱えて、
診察室へと向かう。

⏰:07/07/25 22:01 📱:SH903i 🆔:EdRT1epg


#223 [みぃ]


正直、誰かに話してどうにかなるんだれうか。

あたしの気持ちはあたしにか分からない。


どうせ、事務的な対処されるだけ。

それで、終わり。



――――コンコン・・・


「どうぞ。」

⏰:07/08/03 22:06 📱:SH903i 🆔:jzIdGWE.


#224 [みぃ]

声に応えるようにドアを開けると、
50代くらいの女の先生が笑顔で迎えてくれた。


「こんにちは、
 夢芽さん・・・ね?」

『あッ・・・はい。』

「そう。
 じゃあ、ここに座ってくれるかしら?」


言われるがままイスに座り、
先生と向き合う。

⏰:07/08/03 22:12 📱:SH903i 🆔:jzIdGWE.


#225 [みぃ]

診察室からは“病院”というものが全然感じられなくて、
“子どもの部屋”って感じ。

窓ガラスにはピンクや黄色のステンドグラス。


「眠れる?」

『えッ!?』


部屋を見渡していたあたしは、
先生の一言で現実へと戻される。

⏰:07/08/03 22:16 📱:SH903i 🆔:jzIdGWE.


#226 [みぃ]

「夜。
 見た感じ、快眠そうには見えないけど。」


―――あ・・・。くま。


『―――あんまり・・・。』


さっきまで頑なだった心も、
不思議と和らいでいた。


この部屋がそうさせるのか、先生の声がそうさせるのかは分かんないけど。

⏰:07/08/03 22:19 📱:SH903i 🆔:jzIdGWE.


#227 [みぃ]


「川口先生から全部聞いたわよ。
 ・・・大変だったわねぇ。」



別に同情して欲しかった訳じゃない。

ただ、先生の声が本当に心のこもった声で、

優しくて、

あたしを包んでくれてるみたいで・・・。


自然と涙がこぼれたの。

⏰:07/08/03 22:23 📱:SH903i 🆔:jzIdGWE.


#228 [みぃ]

 
『―――ごめんなさ・・・。』


急いで涙を拭おうとするあたしの手を、
先生の手が掴む。


「拭かなくていいよ。
 泣きたい時は泣けばいいの。」

『だって・・・。』

「我慢するから、そんな顔しなくちゃいけなくなるの。
 先生の前では我慢しなくていいから。」

⏰:07/08/08 02:35 📱:SH903i 🆔:hw/5GTf2


#229 [みぃ]
 

先生は小さい子をあやすみたいに、
あたしの頭を優しくなでる。


「先生しかいないから。
 夢芽ちゃんの思ってること、全部話して?」




それからの事は、
はっきりと覚えていない。


上手く説明できたか分かんないけど、全部話した。

⏰:07/08/08 02:38 📱:SH903i 🆔:hw/5GTf2


#230 [みぃ]

お姉ちゃんのこと

後悔

大原大志のこと

憎悪

豊のこと

不信感



先生はうんうん、って頷きながら、
ずっとあたしの手を握ってくれていた。

⏰:07/08/08 02:42 📱:SH903i 🆔:hw/5GTf2


#231 [みぃ]


その手が本当に温かくて・・・。


顔も覚えてない自分の母親の姿を重ねた。


あたしを捨てた親。


二度と顔も見たくないって、思ってた。



でも今、目の前の先生の温もりが、自然と母親の温もりと重なる。

⏰:07/08/08 02:45 📱:SH903i 🆔:hw/5GTf2


#232 [みぃ]

「あなたは一人ぼっちじゃないのよ?」


心の奥底で望んでいた言葉。

いつか、お姉ちゃんが言ってくれた言葉。


あたしが本当はずっと望んでいた言葉。



この先生、何であたしの考えてる事が分かるんだろう。

何で、あたしの欲しい言葉をくれるんだろう。

⏰:07/08/08 02:48 📱:SH903i 🆔:hw/5GTf2


#233 [お久しぶりです]


心に沈んだ思い鉛が、
少し軽くなった気がした。


散々泣いた後に先生は笑顔で、

「泣きたくなったらまたおいで?
 他の人には内緒にしてあげるから。」

そう言い、口元に人差し指をあてる。


『・・・泣きたくなかったら、来ちゃダメ?』

⏰:07/08/26 13:04 📱:SH903i 🆔:0za1Wi56


#234 [みぃ]

先生は一瞬きょとんとした顔をして、すぐに笑った。


「いつでもおいで。
 待ってるから。」


部屋を出る時に軽く会釈をして、
ドアを開けた。


「夢芽!」


待ち合い室にいた川口先生が、
あたしの顔を見るなり駆け寄ってきた。

⏰:07/08/26 13:07 📱:SH903i 🆔:0za1Wi56


#235 [みぃ]
 


「どうだった?
 うまく話せた?!」


川口先生が不安そうな顔をして尋ねる。

“どうだった?”

・・・なんて聞かれても、
どう答えたらいいのか分かんない。





『・・・来てよかったよ。』

⏰:07/08/26 13:10 📱:SH903i 🆔:0za1Wi56


#236 [みぃ]

あたしの一言で川口先生の顔に笑顔がこぼれる。


「・・・夢芽ぇー!!」


ニタニタしながらあたしを抱きしめる。


『うぜぇー!
 ちょ、離れてよー!』


それでも川口先生は離れてくれようとしない。

⏰:07/08/26 13:34 📱:SH903i 🆔:0za1Wi56


#237 [みぃ]

『ちょ、何ニヤニヤしてんの、きもいッ!!』

「嬉しんだよー!」

『うざぁー!』


でも、悪い気はしない。


あたしにも人を照らす力は残ってる。



まだ、照らし続けられるかな。

⏰:07/08/26 13:36 📱:SH903i 🆔:0za1Wi56


#238 [みぃ]


その日は処方してもらった薬が効いたのか、
気持ちが楽になったのかは分からないけど、
帰ってから泥のように眠った。

目が覚めた時、
外は真っ暗だった。


『――――今・・・
 何時・・・。』


枕元の時計は3時21分を表している。

(あたし・・・14時間以上寝てたんだ。)

⏰:07/08/27 23:27 📱:SH903i 🆔:XUoEPv1I


#239 [みぃ]


眠りすぎて頭が重い。


(こんなに眠れたの、久しぶり・・・。)


そんな事を考えているうちに、
どうやら腹の虫も起きたみたい。


昼と夜食べてないし、
さすがにお腹空いたや。

⏰:07/08/27 23:29 📱:SH903i 🆔:XUoEPv1I


#240 [みぃ]

真っ暗の廊下を音を立てないように忍び足で進んでいく。


もう、とっくに就寝時間過ぎてるし。

宿直の先生も寝てる時間だし。


階段を降りて、食堂へと進む。


『―――・・・あれ?』


食堂・・・明かりついてる。

⏰:07/08/27 23:32 📱:SH903i 🆔:XUoEPv1I


#241 [みぃ]

『こんな時間におじちゃんいる訳ないし・・・。』


恐る恐る近づく。


(消し忘れ・・・?)


ドアの前まで来た時、
明かりが消えた。




・・・と、同時に勢いよくドアが開いた。


『――――うわッッ!!』

⏰:07/08/27 23:36 📱:SH903i 🆔:XUoEPv1I


#242 [みぃ]

突然目の前に現れた人影に驚いて大声が出た。


「―――ちょッ・・・!」


影の主はそう言ってあたしの口を塞ぐ。





―――――何?!


暴れようとするあたしの体を押さえつける。

⏰:07/08/27 23:39 📱:SH903i 🆔:XUoEPv1I


#243 [みぃ]



やだ・・・。




怖い・・・。 怖い!!





「―――――・・・夢芽?」

⏰:07/08/30 14:56 📱:SH903i 🆔:GuaCcmaM


#244 [みぃ]


戸惑いながら発せられたその声は、
聞き覚えのあるものだった。

暗闇に慣れた瞳がその姿をとらえる。





『・・・・・・・・・豊?』

⏰:07/08/30 14:58 📱:SH903i 🆔:GuaCcmaM


#245 [みぃ]

掌でこもった声を豊は理解したらしく、
ゆっくりとあたしから離れる。


「あー、やっぱ夢芽か!
 ごめんな、
 びっくりさせて。」



―――――豊だ。



一気に全身の力が抜ける。

⏰:07/08/30 15:01 📱:SH903i 🆔:GuaCcmaM


#246 [みぃ]


『・・・びっくりしたぁ。
 何してんの、こんな時間に。』

「え?  いやー・・・。
 腹減って死にそうだったから・・・。」

『盗み食い?』

「それ!!」


小声ながらも、
豊はニカッと笑う。

⏰:07/08/30 15:04 📱:SH903i 🆔:GuaCcmaM


#247 [みぃ]

「夢芽は?」

『・・・あたしも盗み食い。』


あたしの言葉を聞いて、
豊はまた笑う。


豊はあたしの手を引いて食堂へ戻り、
慣れた手つきで食料をあさる。


豊と普通に話せてる自分にびっくりだよ。

⏰:07/08/30 15:08 📱:SH903i 🆔:GuaCcmaM


#248 [みぃ]

昨日あんなことがあっのに、豊はいつも通り。



あたしの気持ち、
分かってないの?

あたしが傷ついたの、
気付いてないの?



昨日は豊に絶望、怒りしか感じなかったけど、

今はすごく不安だよ。

⏰:07/09/04 11:34 📱:SH903i 🆔:O1yqJ3Vk


#249 [みぃ]

愛することの意味を知ってしまった今、

愛されていないと思うことがこんなに苦しい。


勝手だよね。






「夢芽。 ん!」

⏰:07/09/04 11:35 📱:SH903i 🆔:O1yqJ3Vk


#250 [みぃ]

そう言って、
豊は両手いっぱいのパンを渡す。


『・・・ばぁか。
 こんな食えないよ。』


自然と笑みがこぼれる。


「ばか言うなッ!
 ってか、食え!
 おまえ、痩せすぎ!」

⏰:07/09/04 11:38 📱:SH903i 🆔:O1yqJ3Vk


#251 [みぃ]

ねぇ・・・豊。

それは、あたしの為?


あたしが心配だから?


豊の考えてること、
分かんないよ。





「良かったな。」

⏰:07/09/04 11:41 📱:SH903i 🆔:O1yqJ3Vk


#252 [みぃ]

『―――えッ?』


豊はパンを頬張りつつ、
静かに話す。


「夢芽、大分すっきりした顔してるよ。」

『・・・え、そぉ・・・?』


自分じゃ、あんま分かんないけど。


「一時はどうなるかと思ったけど、安心した。」


そう言って笑う。

⏰:07/09/04 11:44 📱:SH903i 🆔:O1yqJ3Vk


#253 [みぃ]


言わなきゃいけない。


今、伝えなきゃいけない。


豊に
‘ありがとう’
って。


『――――ゆ・・・』

「もう大丈夫だな。」

⏰:07/09/07 16:51 📱:SH903i 🆔:dsg2xI32


#254 [みぃ]


『・・・・・・・・え?』


私の声は豊の声と重なって消えてしまった。


「もう、オレの役目は終わりかー。
 でも、夢芽が元気んなって良かった!」





―――――役目・・・?

⏰:07/09/07 16:53 📱:SH903i 🆔:dsg2xI32


#255 [みぃ]


待って、役目って何?


まさか・・・

私の勘違いだよね、豊。


豊の言葉一つ一つに不安が渦を巻き始める。


お願いだから違うって言って・・・。


「明日、オレ先に行くからゆっくり寝ろよ。」

⏰:07/09/07 16:56 📱:SH903i 🆔:dsg2xI32


#256 [みぃ]
 


――――最後の言葉。


「おやすみ。」


豊は食堂から姿を消した。






頬に何かが流れた。

⏰:07/09/07 16:58 📱:SH903i 🆔:dsg2xI32


#257 [みぃ]

・・・まいったな。

これじゃ、最悪のパターンだよ。


あたしの不安が全て当たってしまった。


『・・・本当に・・・
 頼まれただけだったんだぁ・・・。』


口に出すと、悲しい気持ちは止められない。

涙がここぞとばかりに溢れてくる。

⏰:07/09/07 17:01 📱:SH903i 🆔:dsg2xI32


#258 [我輩は匿名である]
;>>73

⏰:07/09/10 02:18 📱:W42K 🆔:FIZzRsrI


#259 [我輩は匿名である]
>>73 ごめんなさいホ

⏰:07/09/10 02:18 📱:W42K 🆔:FIZzRsrI


#260 [みぃ]

匿名サン

アンカーありがとうございます'v`Pq)

更新します

⏰:07/09/11 17:11 📱:SH903i 🆔:DYaTq/wA


#261 [みぃ]
>>257


どうして思ってしまったんだろう。

自分が特別だなんて。


どうして・・・。




私の期待を打ち砕く豊の言葉。


それからしばらく、
その場から動けなかった。

⏰:07/09/11 17:14 📱:SH903i 🆔:DYaTq/wA


#262 [みぃ]

――――――――――――


朝日が差し込む。

カーテン閉めるの忘れちゃった・・・。


「ゆーめッ!おはよ!」


美輝が顔を覗かせる。


『あ・・・。
 おはよ、早いね。』

⏰:07/09/11 17:17 📱:SH903i 🆔:DYaTq/wA


#263 [みぃ]

美輝はもう制服に着替えてて、準備万端って感じ。


「さっき放送鳴ったよ。
 食堂行こッ!」


軽い足どりで部屋を出ていく美輝に圧倒されながらも、制服に着替える。


そこに一通のメール。


♪・・・♪・・・♪

⏰:07/09/11 17:20 📱:SH903i 🆔:DYaTq/wA


#264 [みぃ]

受信:遥

夢芽、大丈夫?
今日来れるぅー?(>_<)

ーーーENDーーー




――――行くよ。


あたしには会わなきゃいけない人がいる。

伝えなきゃならないことがある。

聞かなきゃならないことがある。

⏰:07/09/11 17:23 📱:SH903i 🆔:DYaTq/wA


#265 [みぃ]


朝食を済ませて門を出た時、そこにいつもの豊の姿は無かった。

激しい虚無感に襲われる。

あたしはまた、大切なものを失ってしまうのかな。


唇を噛み締め、バス停に着いた時、
ちょうどバスが通り過ぎていった。


『あー・・・。
 ツイてないなぁ・・・。』

⏰:07/09/11 17:29 📱:SH903i 🆔:DYaTq/wA


#266 [まみ]
楽しくみてます

あのぉ、もしかして主さんって、【世界】って小説書いてた方ですかぁ??

⏰:07/09/17 00:22 📱:N702iD 🆔:P5LtWA8.


#267 [みぃ]

まみさん

ありがとうございますー

はい、書いてましたよー(・3・)
知っててくれたのが嬉しいです(´`)プ

今から更新しますね'v`Pq)

⏰:07/09/17 14:54 📱:SH903i 🆔:tsK1y/vM


#268 [みぃ]
>>265


なんとなく次のバスを待つ気になれなくて、
学校まで歩いてみることにした。





あたし、後悔してる。


あんだけ豊のこと邪険に扱っといたくせに、
いなくなって、こんなに寂しい。

⏰:07/09/17 14:57 📱:SH903i 🆔:tsK1y/vM


#269 [みぃ]

学校までの道のり。


ひとりで歩いてみて分かったことがたくさんある。



ここの角はガソリンスタンドだったんだ、とか、

この信号、時差式でややこしいな、とか、

こんな所に幼稚園あったんだ、とか。


そんな些細なこと、
気付かなかった。

⏰:07/09/17 15:00 📱:SH903i 🆔:tsK1y/vM


#270 [みぃ]

なによりも、学校までこんなに距離があって、
時間がかかること。




気付かなかった。





いつもあたし、
下ばっか見てたから。

⏰:07/09/17 15:03 📱:SH903i 🆔:tsK1y/vM


#271 [みぃ]

気付けなかった。



でも、それだけじゃない。


豊がいたから、
周りに目が向かなかったんだ。



頬を流れる涙。

また出てきちゃった。

⏰:07/09/17 15:05 📱:SH903i 🆔:tsK1y/vM


#272 [みぃ]


なんだか最近、泣いてばっかだよ。



お姉ちゃんが今のあたしを見たら、
どう思うかな。


「何やってんの!」

って怒るかな。

「情けない!」

って笑うかな。

⏰:07/09/17 15:07 📱:SH903i 🆔:tsK1y/vM


#273 [まみ]
やっぱりそうだったんですかぁ

世界から楽しく読ませてもらってましたぁ

応援してるんでがんばってくださぁい

⏰:07/09/18 00:03 📱:N702iD 🆔:4l2E/shQ


#274 [みぃ]

まみサン

ありがとうございます
はい、がむばります(・艸・)

更新します

⏰:07/09/19 02:07 📱:SH903i 🆔:2OBIjsZk


#275 [みぃ]
>>272

ねぇ、お姉ちゃん。

あたし、意外と弱虫なんだ。

今回のことで分かっちゃった。


お姉ちゃんがいたから強くいられたみたい。




だから・・・。

今だけは力、貸しててね。

⏰:07/09/19 02:11 📱:SH903i 🆔:2OBIjsZk


#276 [みぃ]

――――‐‐‐・・


歩いて40分。

やっと学校に着いた。


もうとっくに一時間目は始まっていて、
校門には誰もいない。





真っ直ぐ向かう先は、
2年生の下駄箱。

⏰:07/09/19 02:14 📱:SH903i 🆔:2OBIjsZk


#277 [みぃ]

‘大原 大志’


この名前を見るのは何回目だろう。

このダイヤル式の鍵を開けるのも。



バカみたいな習慣。


でもね、
今日はいつもと少し違うんだ。

⏰:07/09/19 02:17 📱:SH903i 🆔:2OBIjsZk


#278 [みぃ]


カチ・・カチ・・カチ・・・


ダイヤル式の鍵をゆっくり回していく。


最後のダイヤルを回して
鍵が外れた瞬間、

左手に加わる強い力。


『――――ッ?!』


反射的に左を見る。

⏰:07/09/19 02:20 📱:SH903i 🆔:2OBIjsZk


#279 [みぃ]
<Div Align="center">< /Div>

「捕まえた。」



声の主は・・・。



『―――あ・・・。』


2日前、保健室にいた女。

大原大志と抱き合ってた女。

⏰:07/09/19 02:29 📱:SH903i 🆔:2OBIjsZk


#280 [みぃ]

しくっちゃいました

見にくくなってすみません

⏰:07/09/19 02:30 📱:SH903i 🆔:2OBIjsZk


#281 [みぃ]


「やっと見つけた。
 ・・・一年生か。」


女は、学年色のスリッパに視線を落とし、呟く。


「昨日、ロッカーに紙入ってなかったから、
今日は絶対入れに来ると思って張ってたんだよ。」




やばい。

バレた。

⏰:07/09/20 16:41 📱:SH903i 🆔:K2GG55Yk


#282 [みぃ]


心臓がおかしくなってしまったんじゃないかと思うくらい高鳴る鼓動。


「由美。」


‘由美’の後ろからゆっくりと姿を現したのは、
紛れもなく大原大志だった。


大原の目があたしを見据える。

⏰:07/09/20 16:46 📱:SH903i 🆔:K2GG55Yk


#283 [みぃ]


「あんたのせいでどんだけ大志が辛い想いしたと思ってんの?!」


由美の声は止まらない。


「あんた、何者?!
 何の目的で・・・
 大志に何の恨みがあってこんなことしてんの?!」

『――あたし・・・は・・・。』

「夢芽ちゃんだろ?」

⏰:07/09/20 16:51 📱:SH903i 🆔:K2GG55Yk


#284 [みぃ]






予想していなかった言葉。

頭の中で大原の声がこだまする。



『・・・・・・・・・・・・・え?』

⏰:07/09/20 16:54 📱:SH903i 🆔:K2GG55Yk


#285 [みぃ]

あたしと由美は同時に彼を見る。


「・・・大志?」

「夢芽ちゃんだよ。
 美優の妹。」


由美に語りかけるように優しく言うと、
今度はあたしを見た。


『なん・・・知って・・・?』


あたしが最後まで言い終わらないうちに、
強く頷いた。

⏰:07/09/20 16:57 📱:SH903i 🆔:K2GG55Yk


#286 [我輩は匿名である]
気になる

⏰:07/09/25 03:12 📱:W42K 🆔:BYVikq5g


#287 [まゆき]
途中感動しました!

⏰:07/09/26 18:13 📱:N902i 🆔:PQ8LJzWc


#288 [ナナ]
今一気に読みました〜
めッちャおもしろい
楽しみにしてるんで更新よろしくお願いします

⏰:07/09/27 12:29 📱:SH904i 🆔:hmcYzC/k


#289 [みぃ]
匿名サン

気にならせて更新遅れてすみません
ありがとうございます

まゆきサン

ありがとうございます
あたしの文で何か感じて頂けたら嬉しいです

ナナサン

ありがとうございます
ほんと更新まちまちてすみません
これからもお付き合いして頂けたら嬉しいです

更新します

⏰:07/09/27 22:25 📱:SH903i 🆔:NoNXZDjI


#290 [みぃ]
>>285


「待って・・・大志。
 栗山さんって・・・妹いないでしょ?
 ・・・だって・・・。」


‘施設の子だから’


由美は、そう言いたかったんだと思う。


大原は笑って、
「妹だよ。」
と、笑った。

⏰:07/09/27 22:35 📱:SH903i 🆔:NoNXZDjI


#291 [みぃ]


「夢芽ちゃん、はじめまして。
 何か・・・オレに言いたいことあるよね?」


あたしの気持ちをなだめようと優しい言い方をしてるのが見え見え。

うざったい。


虫ずが走る。

⏰:07/09/27 22:39 📱:SH903i 🆔:NoNXZDjI


#292 [みぃ]


言いたいこと・・・。


そうだよ。

いっぱいあるよ。



『・・・人殺し。』

「―――ちょッ・・・!!」


何か言おうとする由美を制して、
大原はゆっくりと頷く。

⏰:07/09/27 22:44 📱:SH903i 🆔:NoNXZDjI


#293 [みぃ]

「他には?」


『・・・守ってもらってばっかで・・・
 格好悪い。』

「―――うん・・・。」


大原が悲しそうに微笑む。


『・・・大切な人を自分が殺したくせに・・・
 女に守ってもらうなんて・・・ずるい。』

⏰:07/09/27 22:48 📱:SH903i 🆔:NoNXZDjI


#294 [みぃ]

「――――あんた・・・。
 何言ってんの?」


大原の制止を振り切って、
由美は言う。


「殺したって、何?!
 そんな言い方しなくてもいいじゃんっ!!」

『―――だって・・・。
 実際にそうじゃん!!』

「何がっ!?」

『お姉ちゃん捨てて、
 自分だけ助かろうとしたんじゃん!!』

⏰:07/09/27 22:53 📱:SH903i 🆔:NoNXZDjI


#295 [みぃ]






静まりかえる2人。


しばらくして、
口を開いたのは由美だった。


「あんた・・・何言ってんの?」

『・・・・・え?』

⏰:07/09/30 23:35 📱:SH903i 🆔:ImWtXexk


#296 [みぃ]

「あんたのお姉ちゃんはねぇ、自分を犠牲にして・・・
 大志を突き飛ばしたんだから!!」

「由美!!」




大原の声で由美は口を閉ざしたけど息は乱れていて、
まだ何か言いたそうだ。


『・・・な・・・に・・・。』

⏰:07/09/30 23:41 📱:SH903i 🆔:ImWtXexk


#297 [みぃ]


由美の言った言葉を理解しようと必死に脳を働かせるけど、
思考が追い付かない。




突き飛ばす?
お姉ちゃんが?

なんで?

大原を助けるために?
大原が避けたのに?

⏰:07/09/30 23:44 📱:SH903i 🆔:ImWtXexk


#298 [みぃ]

汗が流れるのは
6月の蒸し暑さのせいじゃない。

頭がクラクラするのは
照りつける日差しのせいじゃない。



「・・・夢芽ちゃん。」


真っ白な頭の中に突然入ってきた大原の声に、
体がこわばる。

⏰:07/09/30 23:46 📱:SH903i 🆔:ImWtXexk


#299 [みぃ]

「今さら・・・何だよって思うかもしれないけど、
 ちゃんと話したい。」



話す?
何を?



「美優のこと、
 夢芽ちゃんの口から聞きたいんだ。」


あたしがあんたに?

⏰:07/09/30 23:49 📱:SH903i 🆔:ImWtXexk


#300 [みぃ]

『・・・・・・・・・・・・いや。』


やっとのことで絞り出した声は、
とても小さかったけど大原には届いたみたいだった。


一瞬、悲しそうな顔が浮かんでたから。



『――なんで・・・
 あんたなんかと話さなきゃなんないの・・・?』

⏰:07/10/07 18:53 📱:SH903i 🆔:iKYy846Y


#301 [みぃ]

『お姉ちゃんのこと殺したやつなんかと・・・。』

「夢芽ちゃんの中に誤解があるから。」


今度は真剣な表情できっぱりと言った。


『―――は・・・?』

「オレの事はどんなに恨んでくれても構わないけど、
 美優のこと誤解してるから。」

⏰:07/10/07 18:57 📱:SH903i 🆔:iKYy846Y


#302 [みぃ]


何言ってんの、こいつ。


『・・・はぁ?!
 お姉ちゃんのこと、あたしよりも知ったような言い方しないでよ!!』

「気に障ったならごめん。
 でも・・・。」

『うるさいッ!!
 あたしはあんたと話したくない!』

「夢芽ちゃ・・・」

『あんたなんか、大嫌いッ!!』

⏰:07/10/07 19:02 📱:SH903i 🆔:iKYy846Y


#303 [みぃ]







―――パンッ



音がしたと共に、左頬に痛みが走る。

⏰:07/10/07 19:09 📱:SH903i 🆔:iKYy846Y


#304 [みぃ]


「・・・逃げてんじゃないわよ!」


由美の声で、
やっと殴られたことに気付いた。


『―――いった・・・。』


一昨日カッターの刃で切れた傷の痛みと同じ場所。


痛みがシンクロする。

⏰:07/10/07 19:13 📱:SH903i 🆔:iKYy846Y


#305 [みぃ]

『――何すんだよ!
 あたしが何から逃げてるっつーの?!』


痛みの増す左頬を押さえながら由美を睨む。


「全部だよ!
 栗山さんが死んだことからも大志からも自分からも!!」

『―――逃げてねぇよ!
 アンタに何が分かんの?
 関係ないやつが人の事情に首突っ込んでくんじゃねぇよ!!』


そう言って由美の体を突き飛ばす。

⏰:07/10/08 22:56 📱:SH903i 🆔:jx76hIaE


#306 [みぃ]


みんなして土足で入ってこないでよ。


あたしの心の中に入ってこないで。




由美は一瞬フラついたけど、すぐに態勢を取り戻して、続ける。


「―――そうだよ。
 関係ないよ。
 でも、大志を傷つけるのは許さない!!」

⏰:07/10/08 22:59 📱:SH903i 🆔:jx76hIaE


#307 [みぃ]



その瞳は、真っ直ぐだった。


大原も豊も持ってるのに、
あたしは持ってない真っ直ぐな眼差し。

あたしはこの目に弱い。




今、気付いた。

この女、
大原のことが好きなんだ。

⏰:07/10/08 23:02 📱:SH903i 🆔:jx76hIaE


#308 [みぃ]


「由美、もういいから。」


しばらく黙って話を聞いていた大原が口を開いた。


「―――でも・・・。」

「ありがと。
 もう授業戻って?」


名残惜しそうな表情を見せながらも、
由美は三年生の校舎へ歩いていった。

⏰:07/10/08 23:05 📱:SH903i 🆔:jx76hIaE


#309 [みぃ]

「大丈夫?」


大原があたしの頬を触れようと伸ばす手を、弾く。


『・・・触んないで・・・。』


力なく呟いた言葉に、
大原が微笑む。


「はは・・・二回目・・・。」

『―――二回目・・・?』


大原の声が今までと違うように聞こえて、
その言葉が気になった。

⏰:07/10/08 23:09 📱:SH903i 🆔:jx76hIaE


#310 [みぃ]

「あ、ちょ、こっち!」


大原は素早くあたしの手をとって、
体育館の方へと駆け出す。


『ちょ・・・やだ!何?!』


慌てて離そうとするけど、
思った以上に強い力だった。

⏰:07/10/09 09:09 📱:SH903i 🆔:DhfKCPBE


#311 [みぃ]

大きな手。

きっとお姉ちゃんと繋いだこともある手。


こんな時に、
昨日、豊に繋がれた手の温もりを思い出して複雑な気分になってみたり。


この人の考えていることが全くわからない。


人気のない体育館裏に着いたところで、
大原の足が止まった。

⏰:07/10/09 09:12 📱:SH903i 🆔:DhfKCPBE


#312 [みぃ]


『・・・なに?』


あたしの問いに大原は振り向く。


「ごめん、先生来るの見えたから。
 あそこじゃちゃんと話せないし。」

『・・・あたしは話すことなんてないし。』


わざとらしくため息をついた時、
大原が吹き出した。

⏰:07/10/09 09:14 📱:SH903i 🆔:DhfKCPBE


#313 [みぃ]

「ははっ!
 ほんっと頑固だね。」

『・・・はぁ?!』

「美優が言ってたまんま!!」


大原は何がそんなに面白いのか、ケラケラ笑っている。

なんか馬鹿にされてる?


「・・・オレ、夢芽ちゃんに会いたかった。」


急に真面目な顔して言うから、反応できない。

⏰:07/10/09 09:17 📱:SH903i 🆔:DhfKCPBE


#314 [みぃ]

「ずっと美優から話聞いてて、絶対会ったら仲良くなれる気がしたから。」

『・・・話す気ないってば。』

「・・・うん、独り言だと思っていーよ。」


そう言って体育館のドアの前の階段に腰を下ろす。


そんなこと言われたら、
ここに居なきゃあたしが逃げたみたいになるじゃん。

そんなのヤだ。

⏰:07/10/09 09:21 📱:SH903i 🆔:DhfKCPBE


#315 [みぃ]

『・・・・・・・・。』


しぶしぶ、少し離れたところに腰を下ろす。

そんなあたしを見て、
大原が嬉しそうに笑った。


「オレ、美優に会えて良かった。」


大原がふいに呟く。

⏰:07/10/22 08:34 📱:SH903i 🆔:zX/s5lQU


#316 [みぃ]

今、この状況で、
いきなりそんな言葉が出てくるなんて思ってもいなかったあたしは、
馬鹿みたいに口を開けて大原を見る。


「心からそう思う。」

『・・・よっく言うよ。
 お姉ちゃんのこと・・・。』
「殺したよ。」


大原があたしの言葉を遮った声は落ち着いていて、
あたしの心を掻き乱した。

⏰:07/10/22 08:40 📱:SH903i 🆔:zX/s5lQU


#317 [みぃ]


心臓が大きく波打つ。


「美優はオレが殺した。」




―――ドクンッ



ずっと認めさせたかった言葉。

⏰:07/10/22 08:43 📱:SH903i 🆔:zX/s5lQU


#318 [みぃ]


のうのうと生きながらえている彼に自責の念を感じてもらうために。



―――ドクンッ



なのに・・・。

どうして?

⏰:07/10/22 08:44 📱:SH903i 🆔:zX/s5lQU


#319 [みぃ]

大原の口からこんなにはっきりと肯定されると、
胸が苦しい。


心臓が自分のものじゃないみたいにドクドク言っているのが分かる。


うるさいよ。

今、動揺してる場合じゃないの。

せっかく憎い相手が目の前に居るのに。


心が押し潰されそうだ。

⏰:07/10/22 08:48 📱:SH903i 🆔:zX/s5lQU


#320 [みぃ]


「オレが殺したも同然なんだよ・・・。」


そうこぼした大原の声は消えてしまいそうな程か細いものだった。


『・・・どうゆう意味?』


独り言のはずだったのに、
大原に話しかけてしまっている自分がいることに気付いた。


「さっき由美が言ってた通りだよ。」

⏰:07/10/23 18:31 📱:SH903i 🆔:D4maMl0Q


#321 [みぃ]

“自分を犠牲にして
突き飛ばした”


由美の言っていた言葉が頭の中で響く。


「―――あの日・・・
 美優が死んだ日・・・
オレの誕生日だったんだ。」



3月27日


知ってる。

⏰:07/10/23 21:31 📱:SH903i 🆔:D4maMl0Q


#322 [みぃ]

知ってるよ。


お姉ちゃん、
一ヶ月も前から張り切ってたから。


決められたおこづかいをやりくりして

プレゼント買って

施設長に外出時間の延長説き伏せて

朝早くに起きてオシャレして。

⏰:07/10/23 21:33 📱:SH903i 🆔:D4maMl0Q


#323 [みぃ]

「いってきます」


そう言って笑顔で出て行った。


「あの日、
 朝から遊んで飯食って、
 美優を送ってる帰り道だったんだ。」


あたしは何も言わずに大原の言葉を待つ。

いや、何も言えなかっただけなのかもしれない。

⏰:07/10/23 21:36 📱:SH903i 🆔:D4maMl0Q


#324 [みぃ]

「そん時、信号待ちで・・・
 まさかトラックが突っ込んでくるなんて全然考えてなくて・・・。」


大原の声はどんどん小さくなっていき、
少し震えているようにも聞こえる。


「トラックが突っ込んで来た時・・・
 頭ん中が真っ白になった。
 動けなかった。
 ・・・守らなきゃいけないものを・・・
 守れなかった・・・。」

⏰:07/10/23 21:41 📱:SH903i 🆔:D4maMl0Q


#325 [みぃ]

そこまで言うと、
大原は頭を抱えて俯いてしまった。





・・・地面に水滴が落ちて、
一カ所だけコンクリートの色が変わる。



誰の涙?



・・・・・・・・・あたしだ。

⏰:07/10/27 02:47 📱:SH903i 🆔:XMpnRYFs


#326 [みぃ]

大原が唇を噛み締め、
思い出なんて言葉じゃ軽すぎるくらいの苦い記憶を吐き出す。


大原が笑顔で軽快に発していた言葉とは比べものになんないくらい

小さくて

下手な言葉で

情けなく震えてたけど、


今までのどの言葉よりもあたしの心に響いてた。

⏰:07/10/27 02:51 📱:SH903i 🆔:XMpnRYFs


#327 [みぃ]

あんなに頑なだった心が不思議と大原の次の言葉を待ってる。



真実を知りたいって。



「モロにはぶつからなかったけど・・・。
 出血がひどくて・・・。
 病院に着く前にはダメだった。」


俯きながらも大原は話すことを止めない。

まるでそれが義務であるかのように。

⏰:07/10/27 02:56 📱:SH903i 🆔:XMpnRYFs


#328 [みぃ]


「でも・・・。
 美優、最後に笑って言ったんだ。」

『・・・・・・・・・・何を?』


それまで俯いていた大原が顔を上げてあたしを見る。

大原の瞳にも大粒の涙が溜まっている。



言って。

真実を。

⏰:07/10/27 02:58 📱:SH903i 🆔:XMpnRYFs


#329 [みぃ]

「‘ありがとう。
 夢芽のことよろしくね。
 それと、ずっと笑ってて。’
 って、それだけ。」












お姉ちゃん。

⏰:07/10/27 03:00 📱:SH903i 🆔:XMpnRYFs


#330 [みぃ]



「ありがとうなんて・・・
 オレのセリフだって・・・
 最後まで人の心配して・・・馬鹿だよ。」


そこまで言うと、
大原はまた下を向いた。


「・・・ごめん、美優。
 今だけは笑えねぇや。」


そう呟き、肩を震わせて泣いた。

⏰:07/10/31 00:15 📱:SH903i 🆔:KBelshAA


#331 [みぃ]


きっと大原はお姉ちゃんのこと、
心の底から愛してて


お姉ちゃんも同じくらい大原のことが大切で


目の前で自分を守って恋人が死んでしまった大原の心の傷は
あたしよりもっと深くて



毎日毎日こうやって人目に触れない所で泣いていたんだと思う。

⏰:07/10/31 00:18 📱:SH903i 🆔:KBelshAA


#332 [みぃ]


人生で一番幸せな日に
世界一好きな人を失って

あげく、その妹には恨まれてて


みんなの前では‘笑顔’でいることを約束して


どれだけ傷ついたの?


どれだけ自分を責めたの?

⏰:07/10/31 00:21 📱:SH903i 🆔:KBelshAA


#333 [みぃ]

もう とっくにお姉ちゃんのことは吹っ切れて、

新しい人生を歩んでるんだと思った。



でも、逆だよね。



お姉ちゃんのこと、
忘れられないからこそ、


ずっと笑ってたんだよね?

⏰:07/10/31 00:24 📱:SH903i 🆔:KBelshAA


#334 [みぃ]

何も知らないで最低野郎はあたしじゃないか。

どうしてあたしはお姉ちゃんが愛した人を信じられなかったの。



大志くん、ごめんなさい。

信じられなくて。



お姉ちゃん、ごめんなさい。

馬鹿な妹で。

⏰:07/10/31 00:27 📱:SH903i 🆔:KBelshAA


#335 [みぃ]

『・・・ごめ・・・なさ・・・。』


あたしが涙ながらに発した言葉に、
大原はあたしを見つめる。


『あたし・・・何も知らないで・・・
 ずっと大志くんのこと傷つけてた・・・。
 自分の存在隠して・・・
 嫌がらせして・・・。』


そこまで言うと、
大原は首を横に振った。


「知ってたよ、夢芽ちゃんのこと。」

⏰:07/11/05 09:39 📱:SH903i 🆔:Q0ikKyaI


#336 [みぃ]

『・・・え?』

「入学式の日に・・・
 オレら ぶつかったよね。」


入学式の日・・・。


「夢芽ちゃんがよろけて・・・手ぇ跳ねのけられたけど。」


そう言って、
大原は優しく微笑む。


『―――あ・・・。』

⏰:07/11/05 09:43 📱:SH903i 🆔:Q0ikKyaI


#337 [みぃ]

「夢芽ちゃん、豊くんといたよな。」



そうだ。


あたし、豊の手を振り払って、大原にぶつかって・・・。


「思い出した?」

『・・・はい。
 でも、何であたしの顔知って・・・?』

⏰:07/11/05 09:45 📱:SH903i 🆔:Q0ikKyaI


#338 [みぃ]

あたしの問いに、
大原がまた笑う。


「美優にそっくりだったから。」

『――――え・・・?』

「顔見たことなかったけど、すぐ分かったよ。
 美優の妹だって。」




妹――――・・・。

⏰:07/11/05 09:48 📱:SH903i 🆔:Q0ikKyaI


#339 [みぃ]

『嘘つかないで。
あたしとお姉ちゃん、血ぃ繋がってないもん。
 顔、全然似てないし。』

「そうかな?
 そっくりだと思ったけどなぁ。」

『嘘!!どこが!?』


血の繋がりのない姉妹。

別に戸籍上姉妹なわけでもない。


単に寂しさを紛らわすだけの“ごっこ”でしかない姉妹。

⏰:07/11/05 09:53 📱:SH903i 🆔:Q0ikKyaI


#340 [みぃ]


「美優と同じ目してた。」

『・・・目?』

「オレと美優が初めて会った時と同じ目してたよ。
 夢芽ちゃん。

 誰も信じられない、人の中に入ってくるな、って目。」



言葉を失った。


ほんとに?

⏰:07/11/12 09:15 📱:SH903i 🆔:y8As4P4c


#341 [みぃ]


「すぐ分かったよ。
 むしろ、一緒すぎてびっくりした。
 やっぱ、姉妹だね。」




涙が溢れた。



あたしとお姉ちゃんが似てる?

おんなじ目?


・・・ほんとに?

⏰:07/11/12 09:19 📱:SH903i 🆔:y8As4P4c


#342 [みぃ]

適当なこと言ってるのかもしれない。

本当はそんなこと思ってないのかもしれない。


だけど、
血の繋がりのない。

今となっては思い出だけでしかお姉ちゃんと繋がれないあたしにとっては、



最高の褒め言葉だったの。

⏰:07/11/12 09:21 📱:SH903i 🆔:y8As4P4c


#343 [みぃ]


『――ッ・・・ひッ・・・。』


子どもみたいに泣くあたしを大原の大きな腕が包み込む。

まるで、壊れ物を包むような、

ぎこちない。

でも、優しい包み方。



拒絶どころか、
心が落ち着くのが分かった。

⏰:07/11/12 09:25 📱:SH903i 🆔:y8As4P4c


#344 [みぃ]

「美優はもういない・・・。
 どれだけ望んだって還ってこないよ。」


わかってる。


「でも、オレたちが美優のこと想ってる限り・・・
 美優の存在は消えないよ。」


あたしを包み込む大原の腕は震えていた。

まるで自分に言い聞かせているみたい。

⏰:07/11/12 09:28 📱:SH903i 🆔:y8As4P4c


#345 [みぃ]

「夢芽ちゃん、
 もう一度お姉ちゃんのこと、愛してあげよう?」


大原の腕に力が加わる。






――お姉ちゃん。

何も言わなくていいから聞いててね。

⏰:07/11/16 19:39 📱:SH903i 🆔:XuQuAMgc


#346 [みぃ]

バカな妹でごめん。

お姉ちゃんの大切な人を傷つけちゃうような、
どうしようもない妹だよ。

人、見る目ないよね。


これからは2人でお姉ちゃんのこと守るから。

お姉ちゃんは何も気にせず笑っててね。

大好きだよ、お姉ちゃん。

ありがとう。

⏰:07/11/16 19:42 📱:SH903i 🆔:XuQuAMgc


#347 [みぃ]




――――---・・・


「結局、全部授業サボっちったね。」


帰り道の歩道を歩きながら大原は笑う。


『・・・お姉ちゃんが知ったら怒るよね、きっと。』

「はっ!!
 間違いねぇな。
 絶対殴るよ、あいつ。」


そう言って笑う。

⏰:07/11/16 19:46 📱:SH903i 🆔:XuQuAMgc


#348 [続き出現すみません]


お姉ちゃんの話で笑えるのなんて、いつぶりだろう。

でも、前ほど苦しくないや。



まだ10分も歩いてないけど、気付いたことが一つ。

大原は絶対に車道側を歩くこと。

⏰:07/11/16 19:49 📱:SH903i 🆔:XuQuAMgc


#349 [みぃ]

でもたぶんそれは、
普通の男の人がするような気遣いじゃなくて、

彼の中でトラウマになってるんだと思う。


あの日、もしかしたら車道側を歩けてなかったのかな・・・。


また泣かしたら悪いから聞かないけど。

笑ってないとお姉ちゃんに怒られそうだし。

⏰:07/11/16 19:53 📱:SH903i 🆔:XuQuAMgc


#350 [みぃ]

『大志くんはさ・・・
 お姉ちゃんのこと、今でも好き・・・?』


唐突なあたしの質問に、
大原は目を丸くしてあたしを見る。


「好きだよ。
 ずっと。」


迷いのない返事。

でも、引っ掛かってることがまだ一つあるの。

⏰:07/11/26 23:32 📱:SH903i 🆔:Q1VToTac


#351 [みぃ]

『じゃあ・・・
 あの由美って人は?』

「――へっ?由美?!」


予想外の名前だったらしく、大原の表情が驚いていることを表している。


『彼女じゃないの?』


明らかに他人って雰囲気じゃなかった。

固唾を飲んで大原の返答を待つ。

⏰:07/11/26 23:40 📱:SH903i 🆔:Q1VToTac


#352 [みぃ]

「――え?
 ・・・あ!はは!
 違う違う!
 幼なじみだよ。
 ごめんな、あいつ変に正義感強いから。」

『・・・ふぅん。』


そっか。
由美の気持ちに気付いてないんだ。


それはそれで・・・
なんだかなぁ、って感じ。

⏰:07/11/26 23:44 📱:SH903i 🆔:Q1VToTac


#353 [みぃ]

「夢芽ちゃんも、自分の気持ちに素直になんないとダメだよ。」

『―――え?』

「後悔してることあるなら動かなきゃ。」


―――何の話?


「豊くん。
 心配してたよ。
 夢芽ちゃんのこと。」

⏰:07/11/26 23:46 📱:SH903i 🆔:Q1VToTac


#354 [みぃ]



―――――豊?




『――え?
 なん・・・豊??』


訳わかんない。

何で大志くんが豊のこと知ってんの?


「一昨日、会いにきたんだよ、豊くん。」

⏰:07/11/26 23:49 📱:SH903i 🆔:Q1VToTac


#355 [みぃ]

『―――へ・・・?
 おととい・・・?』


会話を中断して、
脳内の記憶を必死に辿っていった時、

豊のメールがぼんやりと浮かんだ。




あ・・・。

あたしが保健室に行って、
豊が先に帰った日だ。

⏰:07/12/04 11:44 📱:SH903i 🆔:qZ.4GDMM


#356 [みぃ]

『でも・・・何で豊が大志くんに・・・。』

「話があるって言って、放課後に3年の教室まで来たんだよ。」


きっと大志くんのクラスの人達は大志くんにタチの悪い後輩がカツアゲにでも来たと思ったんじゃないだろうか。


なんてったってあんな馬鹿みたいな見た目だから。

⏰:07/12/04 11:50 📱:SH903i 🆔:qZ.4GDMM


#357 [みぃ]
 

「そん時に豊くんから聞いて、初めてわかった。

 夢芽ちゃんも豊くんも事件のこと誤解してるんだって。」

『そうなんだ・・・。』

「嫌がらせのことも、夢芽は今混乱してるから許してやってくれって、
 頭下げて頼まれたよ。」



なんで?

⏰:07/12/04 11:53 📱:SH903i 🆔:qZ.4GDMM


#358 [みぃ]
 

なんで?


あたしには関わるな、って言っといて

面倒臭いことは嫌いで
人に頭下げることなんかもっと嫌いで


なのになんで?


頼まれただけだったんじゃないの・・・?

⏰:07/12/04 11:56 📱:SH903i 🆔:qZ.4GDMM


#359 [みぃ]

『――なんで・・・。』


あたしがポツリと呟いた言葉を聞き、
大原が不思議そうな顔であたしを見る。


「なんでって・・・
 夢芽ちゃんのこと心配してんでしょ?」


【心配】・・・。


「いい友達もったね。」

⏰:07/12/04 12:00 📱:SH903i 🆔:qZ.4GDMM


#360 [みぃ]

大原の言葉が、
さっきからずっと頭の中で響いてる。


“素直になんないとダメだよ”


あたしにいつも足りないもの。

自分から逃げちゃいけない。


『大志くん。』

⏰:07/12/04 12:15 📱:SH903i 🆔:qZ.4GDMM


#361 [みぃ]

「え?」


あと100メートルもすれば施設に着くといったところで大原を呼びとめた。


あたりは少し暗くなって、
闇が街を支配し始めている。


街灯に照らされた大原の顔はどこかすっきりしたように感じる。

⏰:07/12/04 12:23 📱:SH903i 🆔:qZ.4GDMM


#362 [みぃ]

制服のスカートの裾を握りしめながら、
大きく息を吸い込む。


『・・・あたしね、
 大志くんのことが羨ましかったんだ。』

「なんで?」


大原の強い瞳を見ると、
醜いあたしの決意は押し潰されてしまいそうになる。

あたしはずっとこの瞳から逃げてきた。


でも、もう逃げない。

⏰:07/12/10 10:09 📱:SH903i 🆔:fAon9AqU


#363 [☆((菜ω摘))☆+゜・゜。・♪]
頑張って

⏰:07/12/10 10:11 📱:W43H 🆔:1J0EXXUI


#364 [みぃ]

『最初はお姉ちゃんが取られたみたいで嫌だったけど・・・。
 大志くんと付き合ってからお姉ちゃんが幸せそうな顔してたから。』


大原の瞳があたしを捉らえる。

その瞳には多分、色々な感情が含まれているんだけど・・・
少し暗闇に包まれているせいかな。


あたしが読み取れるのは二つだけ。

⏰:07/12/10 10:18 📱:SH903i 🆔:fAon9AqU


#365 [みぃ]
☆((菜ω摘))☆+゜・゜。・♪サン

ありがとうございます
誰も見てないと思ってたんで嬉しいです

更新します

⏰:07/12/10 10:21 📱:SH903i 🆔:fAon9AqU


#366 [みぃ]


どこかホッとした安堵の表情

それと、

どこか不思議そうな表情


「・・・なんで、そう思うの?」

『何でかな・・・。
 わかんないけど、あたしはそう感じた。』


大原は、納得いかないような嬉しいような、
なんとも言えない顔をしていた。

⏰:07/12/10 10:26 📱:SH903i 🆔:fAon9AqU


#367 [みぃ]

届いて。
あたしのキモチ。


「・・・そうかな。」


小さく呟いたその言葉は、
横を通る車の音に掻き消されてしまいそうだった。


『―――そうだよ!
 妹のあたしが言うんだから間違いないじゃん!!』

⏰:07/12/10 10:31 📱:SH903i 🆔:fAon9AqU


#368 [みぃ]

予想以上の大きな声が、
日の暮れた住宅街に響いた。

大原は少しびっくりした顔をしたけど、
強張っていた表情は緩んだ。


『だからさ・・・。
 ありがとう』

「・・・え?」


ずっと伝えたかった言葉。

⏰:07/12/10 10:37 📱:SH903i 🆔:fAon9AqU


#369 [みぃ]

『お姉ちゃんを好きになってくれて・・・
 愛してくれて・・・
 ありがとう。

 大志くんがお姉ちゃんの彼氏でよかった。』




同情でも
いたわりでもなくて

偽りのない


真実(ほんとう)の気持ち。

⏰:07/12/16 00:45 📱:SH903i 🆔:c6k9jGDY


#370 [みぃ]


きっと ずっと伝えたかった。


お姉ちゃんから大志くんを紹介してもらった時に、
言おうと決めていた言葉。


遺影の中で屈託なく笑うお姉ちゃんは
大志くんに会わなければ

いないから。

⏰:07/12/16 00:49 📱:SH903i 🆔:c6k9jGDY


#371 [みぃ]

大志くんの瞳からは、
止まる気配のない大粒の涙が溢れている。


一粒
一粒

意味を持って。


何も言わないかわりに
大志くんの気持ちが重力に逆らうことなく

こぼれていく。

⏰:07/12/16 00:51 📱:SH903i 🆔:c6k9jGDY


#372 [みぃ]


あたしは少し乱れた呼吸を整えながら、
その様子をボーっと見ていた。


『ありがとう・・・。
 ・・・夢芽ちゃん。』


大志くんの言葉があたしのからっぽだった心に突き刺さる。


胸のつっかえがスーッと音を立てて消えていくのが聞こえた気がした。

⏰:07/12/16 00:55 📱:SH903i 🆔:c6k9jGDY


#373 [みぃ]

あたしの体中の悪いものが一瞬にして浄化したような開放感。

至福に包まれているようなフワフワした感覚。


本当は ずっと

こんな風に


人と向き合いたかったの。


【アタシ】
を認めて欲しかったの。

⏰:07/12/16 00:59 📱:SH903i 🆔:c6k9jGDY


#374 [みぃ]



――――――――――――



「おかえり。」


大志くんと別れて施設の門をくぐろうとしたあたしの足は、
その声で動くことを止めた。

⏰:07/12/21 19:36 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#375 [みぃ]

破れたポスターの貼りつけてある電柱の影から現れた姿に、
目を疑った。


『豊・・・?』


思わず声に出して確かめてしまった。


「はッ!
 なんで疑問形?」


人を小バカにした様に笑う豊の顔は、
どこか懐かしく思えて涙が溢れた。

⏰:07/12/21 19:42 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#376 [みぃ]

「――は?!
 なに泣いてんだよ!?」


慌ててあたしの元にかけ寄ろうとした豊を、
涙を拭っていない方の手で制する。


『―――わかんないからっ・・・。』

「・・・なにが?!」


踏み出した足を半歩戻して豊は尋ねる。

⏰:07/12/21 19:49 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#377 [みぃ]


「ばーか!!」


その場に似つかわしくない豊の間の抜けた声に耳を疑った。


『・・・・・・は?』


頭の中はぐちゃぐちゃだったけれど、
ぐちゃぐちゃなりに様々なパターンを想定していた。

けれど、豊の言葉はどのパターンにも当て嵌まってはいなかった。

⏰:07/12/21 19:54 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#378 [みぃ]


「ばか!
 ばーか!
 ばか夢芽!」

人を小バカにした様に【ばか】をくり返す豊。


『・・・ばか言うな!』


ふてくされながらも繰り出したあたしの右ストレートを豊は難無くかわし、
あたしの顔面にタオルを押し当てた。

⏰:07/12/21 20:01 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#379 [みぃ]

『―――ぶっ!』

「女みてぇな顔しやがって。
 メソメソ泣いてんなよ、ばか夢芽。」


呆れた様に呟きながら、
押し当てたタオルを顔面に滑らせる。


『女だし・・・。
 ってか、これは豊が泣かしてんだよ!』

⏰:07/12/21 20:07 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#380 [みぃ]


豊からタオルを奪い、
自分で涙を拭っている時になんとなくラベルに書かれた名前に目をやった。

【たかし】


・・・これ、豊のじゃないじゃん。


『―――ほんっとムカつく・・・。』

⏰:07/12/21 20:10 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#381 [みぃ]

「え?
 オレ、ムカつかれてんの?」


半笑いで、あたしを試すような言い方。


もう、どうしたらいいのかわからない。


考えるのが面倒臭くなってきた。


『・・・知んねぇよ!
 ほんっと嫌い、おまえ。』

⏰:07/12/21 20:15 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#382 [みぃ]

吐き捨てる様に言って施設の門をくぐる。



喧嘩がしたい訳じゃないのに。

こんなことが言いたいんじゃないのに。


なんで上手くいかないの。




「オレは夢芽が好きなのに。」

⏰:07/12/21 20:17 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#383 [みぃ]





『―――――え?』



豊の言った言葉の意味を考え直して振り返った時、
豊の足は既に男子棟の方角へと向いていた。


『―――まって、豊!
 今、なんて・・・』

「夢芽ぇーーー!!」

⏰:07/12/23 02:07 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#384 [みぃ]

あたしの問いかけは、
突然響き渡った大声によってかき消された。

声のした方向を見ると、
男子棟の二階に加山先生の姿が見えた。


「あんた!
 授業も出ないで学校に何しに行ってたの!!」

『・・・げ。』


そういえば、授業サボったこと忘れてた。

⏰:07/12/23 02:10 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#385 [みぃ]


「荷物置いて着替えたら、
 すぐ職員室来なさい!」

「あーあ、お説教。」


鼻で軽く笑うと、
豊は男子棟の中へと消えていった。


『――――ゆたっ・・・』

「ゆーーーめーーー!!」

⏰:07/12/23 02:13 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#386 [みぃ]

豊の後ろ姿を追いたいあたしの意志を、
加山先生のハスキーな怒鳴り声が遮る。



その時、
見上げた加山先生越しに、
星が顔を出し始めた夕空が映った。



あぁ・・・。

空なんて見たの、
いつぶりだろう・・・。

⏰:07/12/23 02:17 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#387 [みぃ]

首を上に向けると、
こんなにたくさんの光が見えるのに。


そんな簡単なことなのに。

たったそれだけのことなのに。


あたしはずっとこの光から目を反らしてた。


でも、その間にも、
こうやって光を届けてくれてたんだよね。

⏰:07/12/23 02:19 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#388 [みぃ]


久しぶりに見た空は

絵の具のケースにある何色かの色を混ぜても
きっと造れない複雑な色で


でも、優しくて


どこか懐かしくて




すごくキレイで

⏰:07/12/23 23:20 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#389 [みぃ]

この暗闇を晴らして

早くあの青を見たい


そう思った。


明日が待ち遠しく思える日なんて、
もう来ないと思ってた。



でも

今はこんなにも


早くあの鮮明な青空に会いたい。

⏰:07/12/23 23:24 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#390 [みぃ]












――――――------・・・


⏰:07/12/23 23:25 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#391 [みぃ]


市街から少し離れた場所へ向かうバスの本数は少なく、
バス停の待合室で、
止む気配のない雨を見つめていた。


予想外の雨は100円ショップで買ったビニール傘では対処しきれずに、
ジャケットの肩は湿ってしまっている。


やっと三月の終わりに咲いた桜だというのに、
この雨で大方散ってしまった。

⏰:07/12/23 23:30 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#392 [みぃ]

そんなことを考えているうちにダイヤ表に記された時間になったみたいで、
あたしの前にバスはゆっくりと停まる。


バスに乗ってしばらくすると、
灰色で埋めつくされていた窓の外の景色に
少しずつ緑が顔を出し始め、

あっという間にコンクリートの冷たい色は見えなくなった。

⏰:07/12/23 23:34 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#393 [みぃ]

春休みの週末だというのに、
バスの中はあたしの他に二、三人しか乗っていない。


バスの本数と合わせて考えても、
需要が少ないことに納得した。


他の人の傘を見る限り、
この雨は天気予報でも知らされていたのだろう。

雨の被害に遭ったのはあたしだけのようだ。

⏰:07/12/23 23:38 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#394 [みぃ]

湿気で髪が濡れてしまうことは分かっていたけど、
ひんやりとしたガラスが気持ち良くて、
バスの窓にもたれかかって目を閉じた。


雨がガラスに当たる音と車内の揺れが心地良くて、
自然に眠りにおちる。


どれぐらいこうしていたのだろう。

車内に流れるアナウンスの声で浅い眠りから呼び戻された。

⏰:07/12/23 23:43 📱:SH903i 🆔:F9LNNOLU


#395 [みぃ]


運賃を払い、
運転手さんにお礼を行ってバスを降りると、
雨はすっかり上がり、
水たまりだけが残っていた。



【吉野霊園】



そう記された石柱の横を通りすぎ、
桶に水を汲んで、
再び歩きだす。

⏰:08/01/01 02:49 📱:SH903i 🆔:FHVRgNWE


#396 [みぃ]

ここに来るのは一年ぶり。


去年の3月27日に来て、
今年で2回目になる。


頭の中の記憶を頼りに進んで行き、
目的の墓石に辿り着いた時、
墓石の前にしゃがみ込んでいる人影が目に入った。


『卒業、おめでとう。』

⏰:08/01/01 02:53 📱:SH903i 🆔:FHVRgNWE


#397 [みぃ]

あたしの声でその人物は振り返り、
顔を上げた。


「夢芽ちゃん。」


声の主は、
卒業式ぶりに会う大志くん。


『大志くん、早いね。
 いつ来たの?』

「ん?
 さっきだよ。
 今来たとこ。」

⏰:08/01/01 03:06 📱:SH903i 🆔:FHVRgNWE


#398 [みぃ]

そう言って笑い、
また墓石と向き合う。






そう。


今日はお姉ちゃんの命日。



お姉ちゃんがいなくなって丸2年が経った。

⏰:08/01/01 03:09 📱:SH903i 🆔:FHVRgNWE


#399 [みぃ]

毎年、この季節は心の傷が疼く。


胸を締め付ける痛みの重さに、
まだ思い出にするには早い年月なのだということを改めて知る。





用意した献花を供え、
墓石に水をかける。


雨で濡れた墓石は色に変化がなく、
水をかけた実感がなかった。

⏰:08/01/01 03:16 📱:SH903i 🆔:FHVRgNWE


#400 [みぃ]

『お墓、きれいにしとあるよね。』


雑草の生い茂っている周りの墓石に比べ、
お姉ちゃんのお墓は去年もきちんと手入れしてあった。


「おばさん、よく来てんだよ、きっと。」



お姉ちゃんが死んでしばらくした後、
施設に一本の電話が入った。

お姉ちゃんの実の母親からだった。

⏰:08/01/10 21:47 📱:SH903i 🆔:g9BX27JI


#401 [みぃ]

お姉ちゃんは3歳の時、
うちの施設に預けられた。


うちの施設に預けられている子は、
みんな何らかの事情があって預けられているのだけど、




お姉ちゃんの場合は、
【虐待】
だった。

⏰:08/01/10 21:55 📱:SH903i 🆔:g9BX27JI


#402 [みぃ]

母子家庭で育ったお姉ちゃんは、
実の母親から毎日虐待を受けていた。


仕事や家事でのストレスのはけ口。


それは日に日にエスカレートしていく。


ある日、

お姉ちゃんは頭を4針縫うケガを負い、
入院した。

⏰:08/01/10 21:59 📱:SH903i 🆔:g9BX27JI


#403 [みぃ]


母親は初めて自分のした事の重大さを知り、
お姉ちゃんを
【ショートスティ】
ということで二週間施設に預けた。







そして、


そのまま姿を消した。

⏰:08/01/10 22:02 📱:SH903i 🆔:g9BX27JI


#404 [みぃ]

二週間後に迎えに来るはずの母の姿はなく、
連絡もとれなくなった。

そして、
それからうちの施設で13年間生活した。


お姉ちゃんが物心ついた頃に施設の先生に教えてもらったのは、
これだけだった。


まだ他にも理由あっただろうけど、
おそらくお姉ちゃんのことを想って言わなかったのだろう。

⏰:08/01/10 22:07 📱:SH903i 🆔:g9BX27JI


#405 [みぃ]

施設にいる子がみんな、
他の子の事情を知っている訳じゃない。


あたしがお姉ちゃんにこの話を聞かされたのは中学生になった頃だった。

その話をあたしにする時のお姉ちゃんは笑ってはいたけど、

どこか悲しそうな顔をして


「弱い人なんだよ。」


と言っていた。

⏰:08/01/10 22:10 📱:SH903i 🆔:g9BX27JI


#406 [みぃ]


お姉ちゃんが死んで半年。

14年ぶりに母親から電話が来た。


母親はお姉ちゃんが死んだことなど全く知らない様子で、
申し訳なさそうにお姉ちゃんの様子を聞いてきたのだという。


先生からお姉ちゃんの死を聞かされてすぐ、
施設に来て泣いて謝っていた。

⏰:08/01/10 22:13 📱:SH903i 🆔:g9BX27JI


#407 [みぃ]

その時の姿がすごく印象的で、
今も瞳の奥に強く焼き付いている。


「―――自信がなかった・・・か・・・。」


突然の大志くんの呟きに、
この無言の時間に2人とも同じことを考えていたことを知った。


【自信がなかった】

⏰:08/01/10 22:19 📱:SH903i 🆔:g9BX27JI


#408 [みぃ]

施設に来たお姉ちゃんの母親が言った言葉。


施設に預けて二週間後に引き取りに来るはずが、
そのまま来られなかった理由。

また暴力をふるってしまうのが怖かった、 という。



『あたしはよくわかんないな。』

「ん?」

『お母さんの気持ち。』

⏰:08/01/10 22:26 📱:SH903i 🆔:g9BX27JI


#409 [みぃ]


姿を消したけど、
存在を忘れたことはなかった。
自分の気持ちが落ち着いたら、
迎えに来るつもりだった。


お姉ちゃんの母親はそう言った。



でも、
自分の気持ちが落ち着くのに14年?

⏰:08/01/12 16:02 📱:SH903i 🆔:r3EjIchk


#410 [みぃ]

「―――そだね。
 でも、俺はわかんなくもないかな。」


大志くんはそう言って笑うけど、
あたしには理解できそうもない感情。


あたしがまだ子どもなのかな。


「俺はそういう経験ないから分かんないけど、
 傷つけるのが怖くて離れるっていう理屈は分かんなくもないかな。」

⏰:08/01/12 16:06 📱:SH903i 🆔:r3EjIchk


#411 [みぃ]

墓石に止まった蝶々を見つめながら大志くんは言う。


確かに筋は通っているかもしれない。




―――――でも・・・。




『――でも、
 置いてかれた方は・・・
 そんな風に考えらんないよ。』

⏰:08/01/12 16:10 📱:SH903i 🆔:r3EjIchk


#412 [みぃ]

大志くんが蝶々からあたしへと視線を動かす。


『あたしのことが嫌いだから・・・
 あたしが悪い子だから・・・
 どうしても、そう考えちゃうよ。』




あたしの母親は現れない。


生きているのかさえも分からない。

⏰:08/01/12 16:13 📱:SH903i 🆔:r3EjIchk


#413 [みぃ]

あたしからしてみれば、
10何年かも一緒に居ない人がいきなり現れても、
【母親】だ、なんて思えやしない。


『―――って、思うんじゃないかな?
 普通の人はッ!!』


あたしが慌てて付け足した言葉を聞いて、
大志くんの手があたしの頭に触れる。


「大丈夫だよ。
 夢芽ちゃんには、ちゃんとした【家族】がいるじゃん。」

⏰:08/01/12 16:17 📱:SH903i 🆔:r3EjIchk


#414 [みぃ]


大志くんの手は温かい。


「ちゃんと愛されて育ってるよ。
 だから、そんな顔すんなって!
 夢芽ちゃんにせわな顔させたら、俺が美優に怒られるよ。」


な?と言って、
あたしの頭を軽く叩く。


『別に・・・
 あたしの話じゃないってば・・・』


あたし、どんな顔してたんだろう。

⏰:08/01/19 02:13 📱:SH903i 🆔:1tnVlLZQ


#415 [みぃ]


大志くんの優しさに涙が溢れそうになる。


下唇を噛みしめて堪えることに必死だった。


『ね、大志くんの大学って遠いの?』

「んー・・・。
 片道二時間くらいかなぁ・・・。
 今んとこは。」

『今のとこ?』

⏰:08/01/19 02:17 📱:SH903i 🆔:1tnVlLZQ


#416 [みぃ]

大志くんが“やばい。”という顔をしたのを、
見逃さなかった。

大志くんの意味深な発言と表情につい、
話の腰を折ってしまう。


「んー・・・。」

『どうゆう意味?』

「ん?」


大志くんが必死にはぐらかそうと考えているのが尖った口から読み取れた。


大志くんの癖。

⏰:08/01/19 02:21 📱:SH903i 🆔:1tnVlLZQ


#417 [みぃ]

『なに?!
 なんか隠し事あんでしょっ?!』

「んー・・・。
 だって夢芽ちゃんすぐ怒るからなぁ・・・。」


そう呟き、あたしの方をチラリと見る。


『―――怒んないよ!!』

「怒ってんじゃん!
 ははっ!」

⏰:08/01/19 02:24 📱:SH903i 🆔:1tnVlLZQ


#418 [みぃ]


余裕な表情で笑う大志くんを見て、
自分がこんなに必死なのが馬鹿みたいに思えてくる。


でも、
なんか胸騒ぎがするんだもん。


悪いことが起こりそうな予感がして、
嫌なんだもん。


「一人暮らししようと思って。」

⏰:08/01/19 02:26 📱:SH903i 🆔:1tnVlLZQ


#419 [みぃ]
>>414

せわな顔

じゃなくて

そんな顔です


いつの間に打ち間違えたんや


更新します

⏰:08/01/24 16:35 📱:SH903i 🆔:KoC3LOaI


#420 [みぃ]



一人・・・暮らし・・・?



『―――どこに?!』

「大学の近く。
 ――つってもまだ探し中なんだけどね。」




―――知らなかった。

⏰:08/01/24 16:39 📱:SH903i 🆔:KoC3LOaI


#421 [みぃ]


大学が決まったところまでは知っていたけど、
三年は自由登校だったし、
卒業式でも少ししか話せなかったから。


確かにこの辺は終電は早いし、
駅までのバスなんて一時間に二本だし、

通学に不便なのはよく分かる。



――――でも・・・。

⏰:08/01/24 16:42 📱:SH903i 🆔:KoC3LOaI


#422 [みぃ]

『会えなくなっちゃうの?!』


自分で予想していた以上に大きな声が出たらしく、
大志くんは目を丸くして驚いていた。


「何言ってんの。
 会えるよ。」


馬鹿だね、と言って笑う大志くんとは反対に、
あたしの表情は曇ったままだった。

⏰:08/01/24 16:48 📱:SH903i 🆔:KoC3LOaI


#423 [みぃ]


「ほら、笑顔!」


大志くんの手に引っ張られる頬からは不思議と痛みを感じなくて、
指から温もりだけが伝わる。


「あーあ、
 そんな泣きそうな顔してさ。
 2年前とは大違いだねー?
 まぁ、嬉しいけどさ。」


『泣かないよ・・・。
 でも、笑えない・・・。』

⏰:08/01/24 16:54 📱:SH903i 🆔:KoC3LOaI


#424 [みぃ]


なにがこんなに悲しいのか


どうしてこんなに辛いのか



なんでこんなに大志くんと離れることが嫌なのかが

自分でもわからない。


わからないから、
解決策も見当たらない。

⏰:08/01/24 16:56 📱:SH903i 🆔:KoC3LOaI


#425 [みぃ]

本当は、笑って

「おめでとう」

そう言うべきなんだろうけど


最後まで‘いい子’になれないあたし。


でも、変わらなきゃいけない。

大志くんの重荷にならないように。

⏰:08/01/29 19:32 📱:SH903i 🆔:760GA90o


#426 [みぃ]

「夢芽ちゃ・・・」

『――わかった、
 ごめんね、頑張って!』


精一杯気持ちを噛み殺して見上げた大志くんの顔は、
笑顔だった。


本当はずっとこの笑顔でいて欲しい。

困らせてばっかじゃダメだよ。

⏰:08/01/29 21:39 📱:SH903i 🆔:760GA90o


#427 [みぃ]

『大志くん・・・。
 これ・・・。』


そう言いながらポケットから取り出した物を見て、
大志くんの表情が変わる。


「―――なんで・・・。」


大志くんの独り言に近い呟きに応えず、
大志くんの掌にそれを転がせる。

⏰:08/01/29 21:43 📱:SH903i 🆔:760GA90o


#428 [みぃ]


シルバーのペアリング。


お葬式の日に、
美輝が警察から受け取ったもの。


『本当はね・・・
 もっと早くに渡さなきゃいけないと思ったんだけど・・・。』


大志くんがこびりついた血を見て、
悲しそうな顔をする。

⏰:08/01/29 21:47 📱:SH903i 🆔:760GA90o


#429 [みぃ]

「オレが・・・
 苦しむと思った・・・?」


目を伏せながら小さく頷く。


『受験に集中して欲しかったのもあるの。
 でも、これ握りしめて毎日お祈りしてた。』


そう言って大志くんの掌ごと指輪を包み込んだ。


「お祈り・・・?」

⏰:08/01/29 21:51 📱:SH903i 🆔:760GA90o


#430 [みぃ]

『うん。
 大志くんが合格しますようにって。』


ひんやりとしていた指輪が、2人の体温で温まっていく。


『でも、失敗したな。』

「え?」

『合格した後でお守りとして渡しとけば良かったなって後悔した。』

⏰:08/01/31 20:12 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#431 [みぃ]

ははっと小さく笑うと、
大志くんが大きな両手であたしの身体を抱きしめてくれた。


「泣きたくなったらすぐ呼んで。
 こんな兄ちゃんで良ければすぐ行くからさ。」


目の奥が熱くなっていくのが分かる。


でも、
かっこいい事言う割に鼻声なのが笑えた。

⏰:08/01/31 20:25 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#432 [みぃ]

「あ、何、笑ってんの!」

『ぷくく・・・
 やだよ、こんな泣き虫なお兄ちゃん。』

「えー?ひどっ!!」


そう言って2人で笑った。

何故かツボに入って、
2人で大声で笑い転げた。

⏰:08/01/31 20:30 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#433 [みぃ]


こんな風に笑える日なんて来ないと思ってた。


腐るのを待つだけのあたしが人と向き合えるなんて

もう無いと思ってた。


昔、お姉ちゃんが言ってた。


「どん底まで落ちたら、
 あとは昇るだけだよ。」

⏰:08/01/31 20:34 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#434 [みぃ]


あの頃のあたしは確かにどん底で、
這い上がる気力さえなかった。

でも、少しずつ暗い穴を抜け出そうともがいてる。


自分一人の力じゃなくて
周りのパワーを分けてもらって。

みなぎる力を武器にして
心に覆い被さる闇をやっつけてやる。


あたしは  生きてるから

⏰:08/01/31 20:39 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#435 [みぃ]

――――――――――――

霊園で大志くんに別れを告げ、
バス停までの坂道を下っていく。


一歩一歩、今を踏み締めながら。


バス停のベンチに人影を見つけた。

ゆっくり近付き、覗き込む。

⏰:08/01/31 20:44 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#436 [みぃ]


『豊?』


その人物はゆっくりと顔を上げてあたしを見る。


「美優、元気だった?」


豊の微笑みはあたしの固い心を溶かしてくれる。


『うん、大志くんに会えたからね。』

⏰:08/01/31 20:50 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#437 [みぃ]


そう言って横に腰掛けた時、豊が嬉しそうに
「そっか。」
と笑った。

『豊は?
 会わなくていいの?
 今、来たんでしょ?』


あたしの問いに、
豊は渋い顔をした。


「追試受かるまで顔合わせらんねぇ。」

⏰:08/01/31 20:56 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#438 [みぃ]

『あはッ!馬鹿だ。』


豊は2年最後の期末考査で数学と英語を落として、
次で再々々追試。


『一緒に3年なれないかもね〜。』


皮肉を込めた口調で言ったけど、
豊にはさほど効果がないみたいだった。

⏰:08/01/31 21:00 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#439 [みぃ]

「んな訳ねーだろ。
 オレは天才だから。」

『天才は追試なんかなんねぇよ、ばーか。』


そう言って2人で笑っている時の豊の手はあたしの上。

今は世間で言う恋人同士。


自分でもまさかの展開。

⏰:08/01/31 21:06 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#440 [みぃ]


施設の中では自重してるけど、
みんなあたしたちのことを喜んでくれた。


あたしにとって

初めての体験と感情で、
なんかくすぐったい気がしたけど、

嫌な気分じゃなかった。


恥ずかしさの方が大きいのかも。

⏰:08/01/31 21:11 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#441 [みぃ]

お姉ちゃんが死んだ時、

この命を捨てていいとさえ思えた。

生きてることに何の意味も見出だせなくなっていた。


心が泉みたいで水が張ってあるのなら、


あの時のあたしはまさに、
からっぽだった。

⏰:08/01/31 21:14 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#442 [みぃ]

でも、最初に美輝に言われた通りだった。


辛いのはあたしだけじゃない。


みんな何かしらの傷を負って生きてるんだ。


傷の深さは
目に見えないもので

簡単に計れるものじゃない。

⏰:08/01/31 21:25 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#443 [みぃ]

だけど、その人にとってはそれが死活問題なくらい悩んでる。


傷は一生癒えない。

色褪せるはずもない。


だけど、

その傷を引き連れて生きていかなくちゃならない。


くじけてる暇があったら前へ進め。

⏰:08/01/31 21:28 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#444 [みぃ]


「ゴールデンウイークどこ行くか決めた?」


豊が繋いだ手を握り締めながら尋ねる。


『まだ。
 どこでもいいよ。』

「んだ、それ!
 真面目に考えれ!」


少しふてくされた表情をする豊。


そんな豊を見て思う。


幸せって、こういう事なのかも。

⏰:08/01/31 21:33 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#445 [みぃ]

様々な人に触れて、
初めて人間の温かさを知った。


人間に優しさを与えてくれるのは人間でしかないことも。


からっぽだった心は少しずつ満ちていく。



変えるのはいつだって自分。

⏰:08/01/31 21:41 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#446 [みぃ]














⏰:08/01/31 21:42 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#447 [みぃ]

栗山 美優様


元気ですか?
そっちではうまく笑えてますか?

あなたがこの世を去って2年が経つけれど、
まだ傷は痛みます。

でも、
泣いてないよ。
笑ってる。

いつか会える日まで頑張るから。
その時は成長したあたしを見てね。

たくさんの温もりをありがとう。

安幡 夢芽

⏰:08/01/31 21:46 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#448 [みぃ]











END

⏰:08/01/31 21:48 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#449 [みぃ]

これで一応おしまいです。

更新がすごく不定期で
文章も雑ですみません。


最後の方は見てる人いないかもしれませんでしたが、
最後まで書き終えるのが責任だと思ったので、
図々しいながらも書かせて頂きました。


こんな駄作に感想をくれた皆様、ありがとうございました。

みぃ

⏰:08/01/31 21:52 📱:SH903i 🆔:MYCX6XLk


#450 [でら]
更新楽しみに見ていました。
完結お疲れ様ですヽ(*´∀`)ノ

⏰:08/02/09 05:20 📱:SH903i 🆔:3cfG807M


#451 [みぃ]
でらさん

読んでいて下さったんですね
コメントありがとうございます。
本当に不定期な更新ですみませんでした

⏰:08/02/13 12:13 📱:SH903i 🆔:s5PYCfQc


#452 [我輩は匿名である]
>>1-200
>>201-400
>>401-600

⏰:08/04/13 10:30 📱:F705i 🆔:☆☆☆


#453 [我輩は匿名である]
あげる

⏰:09/04/20 02:22 📱:P906i 🆔:6d28uPqM


#454 [我輩は匿名である]
面白い!

⏰:09/04/27 17:47 📱:SH001 🆔:2Fvzahik


#455 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)

⏰:22/11/23 16:28 📱:Android 🆔:yR7K92nk


#456 [わをん◇◇]
>>420-450

⏰:22/11/23 16:57 📱:Android 🆔:yR7K92nk


#457 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:22/11/23 17:03 📱:Android 🆔:yR7K92nk


#458 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/11/23 17:06 📱:Android 🆔:yR7K92nk


#459 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*

⏰:22/11/23 19:33 📱:Android 🆔:yR7K92nk


#460 [わをん◇◇]
大大大大大大大大大大大大大大大大大大大〜好き♡(๑♡ᴗ♡๑)

⏰:22/12/08 19:29 📱:Android 🆔:3lgQxJz2


#461 [わをん◇◇]
>>500-999

⏰:22/12/08 19:30 📱:Android 🆔:3lgQxJz2


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