からっぽの心
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#1 [みぃ]
こんにちは
みぃこと主です
暗くて重い話になりますが、読んで何か感じて頂けたら嬉しいです(人・・)+゚

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感想スレ
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プロローグ
>>2

⏰:07/03/28 21:49 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#2 [みぃ]


大原大志様



一生 笑わないで下さい。

自分の罪を償い、幸せにならないで下さい。


私はあなたを一生恨みます。



どうか、笑わないで下さい。

⏰:07/03/28 21:53 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#3 [みぃ]

――――---・・・・



お姉ちゃんが死んだ。


三日前死んで、
今日灰と骨になった。

お姉ちゃんの生きた証の灰色の煙は、
空までのぼって、
いつの間にか消えてしまった。

⏰:07/03/28 21:57 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#4 [みぃ]


お通夜にもお葬式にも行けなかった。

お姉ちゃんの死を認めたくなくて、
わざと行かなかった。


行けなかった。


あんなしんみりとした空気の中にいると、

これ以上腐ってしまいそうだったから。

⏰:07/03/28 21:59 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#5 [みぃ]

どこかで少し期待していたんだ。

“もしかしたら”
が消えなくて、


ちっぽけな期待を武器にして、お姉ちゃんの死と向き合わなかった。



だから、今。

今、施設長が持って来た初めて見る箱の中身を見る勇気が出ない。

⏰:07/03/28 22:08 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#6 [みぃ]

「夢芽ちゃん・・・。
 辛いだろうけど・・・。」


何が言いたいのか分かる。


“早く中を見ろ”

ってこと。


お姉ちゃんの死から逃げているあたしを捕まえて、

向き合えって言うんでしょ?

⏰:07/03/28 22:13 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#7 [みぃ]

2人しかいない応接室。


2つ並んだコーヒーカップの中には30分も前に入れたコーヒーが冷えきってある。



もう30分もこうしているのに、
箱を開けることができない。

認めたくない。


施設長あたしを見た後、
目を伏せながらも箱を開けて“それ”をあたしに手渡した。

⏰:07/03/28 22:19 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#8 [みぃ]


慣れない感触。


予想以上の細さ。



真っ白な遺骨。





―――これが・・・

お姉ちゃん・・・?

⏰:07/03/28 22:21 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#9 [みぃ]


実感してしまった瞬間に襲い掛かってくる。

不安も

悲しみも

絶望も

怒りも

後悔も。


本当に全部同時に込み上げてきたんだ。

⏰:07/03/28 22:24 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#10 [みぃ]

カタカタと震える手。

自分の手じゃないみたいにコントロールが効かない。


『やだ・・・。やだぁ・・・。』


手から足。足から全身へ。


震えが止まらなくて、
おかしくなりそうだ。

⏰:07/03/28 22:26 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#11 [みぃ]

『お姉ちゃん・・・。
 やだよぉ・・・。』



知らせを受けてから3日目の今。


初めて涙が出た。


今まで出なかったのがおかしかったみたいに、

どんどん溢れてくる。

⏰:07/03/28 22:29 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#12 [みぃ]

寒くなんてないのに。


施設長は毛布をかけてあたしの震える体をそっと抱きしめてくれた。


人間の体温ってすごい。

身体があったかくなる。



でも、

心は冷たいままだよ。

⏰:07/03/28 22:33 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#13 [みぃ]

声なのか鳴咽なのか分からない泣き声で、
途切れながらも必死に叫ぶ。


ひたすらお姉ちゃんの名前を。




3月27日。

お姉ちゃんこと栗山美優(クリヤマ ミユウ)は短い人生の幕を閉じた。

⏰:07/03/28 22:37 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#14 [みぃ]

16歳。

高校2年生になるはずだった。


お姉ちゃんは名前の通り、すごく優しくて、

自慢のお姉ちゃんだった。




血は繋がってない。

でも、物心ついた頃からずっと一緒だった。

⏰:07/03/28 22:40 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#15 [みぃ]

あたし、安幡夢芽(ヤスハタ ユメ)は、
3歳の頃に親に捨てられてこの施設に入った。


ここの児童養護施設は、
何らかの事情があって親と暮らせない3歳〜18歳の男女が生活している。


あたしとお姉ちゃんは

ここで出会った。

⏰:07/03/28 22:45 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#16 [みぃ]

施設に馴染めないあたしを一歳しか変わらないのに、世話してくれた。


本当の姉妹みたいに仲良くなって、

ずっと一緒だった。


あたしとお姉ちゃんは元々一つだったんじゃないか、ってぐらい。

本当のお姉ちゃんみたいで大好きだった。

⏰:07/03/28 22:48 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#17 [みぃ]

ここの施設の子はみんな口が悪いけど、
本当に性格の悪い子なんて一人もいない。


みんな淋しいだけ。

口には出さないけど。


みんな家族みたいで、
親がいなくても平気だった。

この幸せがずっと続くと思ってた。


――――なのに・・・。

⏰:07/03/28 22:51 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#18 [みぃ]

「夢芽?」


施設の部屋の自分のベッドの中に居ると、
同い年の美輝(ミキ)が話しかけてきた。


「あ、起きてたんだ。
 大丈夫?」

『・・・ん。』


春休みなのに美輝は制服を着ている。


『お葬式・・・。
 行ってきたの?』

⏰:07/03/28 22:55 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#19 [みぃ]

美輝は悲しそうに小さく頷いた。


「制服・・・。
 どっちの着てくか迷ったけど、まだ3月だし、
 中学のんで着て行ったぁ!」


美輝はわざと明るく話すけど、
辛いのが丸分かりだった。


お姉ちゃんはみんなに好かれていたから、
みんな辛い。

美輝の目も、赤く腫れている。

⏰:07/03/28 23:00 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#20 [みぃ]

「夢芽・・・大丈夫?」


返事をしない代わりに、
軽く微笑んでみせる。


「そりゃ・・・。
 平気じゃないよね。
 アンタが一番仲良かったもんね・・・。」



無気力だ。

何もする気にならない。

⏰:07/03/29 20:04 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#21 [みぃ]


ただ、部屋の窓から見える景色をボーっと見ていた。


「――――あ。」


美輝が制服を着替えている時だった。


「夢芽、これ・・・。」


美輝がそう言って制服のポケットから取り出したのは、
小さなビニール袋だった。

⏰:07/03/29 20:08 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#22 [みぃ]

『何・・・。』


美輝から受け取った掌には、見覚えのある物が入ったビニール袋。


『美輝・・・これ・・・。』

「・・・事故現場に落ちてたんだって・・・。
 警察の人が検視も終わったし、血まみれでもいいならって・・・。
 お葬式、来てくれてたよ。
 直接夢芽に渡したかったらしいけど・・・。」

⏰:07/03/29 20:18 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#23 [みぃ]

チャリ・・・


袋の中から出てきた“それ”は、
間違いなくお姉ちゃんの物だった。

血は乾いてこびりついてしまっている。


唇を噛み締め、“それ”を握りしめる。


胸が痛い。


「それ・・・大志くんとのやつだよね・・・?」

⏰:07/03/29 20:26 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#24 [みぃ]

美輝の一言で憎しみが戻ってきた。


『美輝、あいつの話はしないで。』


美輝は構わず続ける。


「でもさぁ、やっぱり大志くんに渡すべきだったよね・・・。」

『・・・美輝。』

「でも・・・。」

『美輝ッッ!!』

⏰:07/03/29 20:29 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#25 [みぃ]


あたしの声が部屋に響き渡る。


「夢芽・・・ごめん。
 でもね・・・?」

『あたしの前であいつの名前出さないで。』


「・・・辛いのは夢芽だけじゃないんだよ。」


美輝はそれだけ言って、
部屋から出て行った。

⏰:07/03/30 14:55 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#26 [みぃ]


―――分かってる。

そんなこと、分かってるよ。


でも、無理なんだもん。



目を開けてても閉じててもお姉ちゃんの顔が浮かんでくるんだ。

⏰:07/03/30 14:58 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#27 [みぃ]

笑うとえくぼができるところとか、
照れた時に鼻を触る癖とか、
涙もろくて、ドラマを観たら絶対泣いちゃうところとか、

もう二度と見れないんだ。



ほら、また、涙が。

⏰:07/03/30 15:02 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#28 [みぃ]

お姉ちゃんのベッドや机はまだそのままで、

“そのうちお姉ちゃんが帰ってくるんじゃないか”

って錯覚を起こすぐらい。


そのうち、
「ただいまー。」

なんて言って。




そんな事ある訳ないのに。

⏰:07/03/30 15:05 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#29 [みぃ]


夕食の放送がかかって食堂へ降りたけど、
ろくに食べられなかった。

施設の先生は何とか明るい雰囲気を造ろうとしてたけど、
重い空気は消えなかった。



まだ信じられない。


お姉ちゃんが死んだなんて。

⏰:07/03/30 15:09 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#30 [みぃ]

そんな空気の中、
山口先生が口を開いた。

女子部屋の今の中等部、
つまりあたし達の年代の担当の先生だ。


「明日で3月も終わりかぁ・・・。早いね・・・。」


山口先生の声で、
みんな無意識にカレンダーを見る。


「夢芽ちゃん、高校の入学式っていつだっけ?」

⏰:07/03/30 15:14 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


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