からっぽの心
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#1 [みぃ]
こんにちは
みぃこと主です
暗くて重い話になりますが、読んで何か感じて頂けたら嬉しいです(人・・)+゚

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感想スレ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2045/
プロローグ
>>2

⏰:07/03/28 21:49 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#2 [みぃ]


大原大志様



一生 笑わないで下さい。

自分の罪を償い、幸せにならないで下さい。


私はあなたを一生恨みます。



どうか、笑わないで下さい。

⏰:07/03/28 21:53 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#3 [みぃ]

――――---・・・・



お姉ちゃんが死んだ。


三日前死んで、
今日灰と骨になった。

お姉ちゃんの生きた証の灰色の煙は、
空までのぼって、
いつの間にか消えてしまった。

⏰:07/03/28 21:57 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#4 [みぃ]


お通夜にもお葬式にも行けなかった。

お姉ちゃんの死を認めたくなくて、
わざと行かなかった。


行けなかった。


あんなしんみりとした空気の中にいると、

これ以上腐ってしまいそうだったから。

⏰:07/03/28 21:59 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#5 [みぃ]

どこかで少し期待していたんだ。

“もしかしたら”
が消えなくて、


ちっぽけな期待を武器にして、お姉ちゃんの死と向き合わなかった。



だから、今。

今、施設長が持って来た初めて見る箱の中身を見る勇気が出ない。

⏰:07/03/28 22:08 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#6 [みぃ]

「夢芽ちゃん・・・。
 辛いだろうけど・・・。」


何が言いたいのか分かる。


“早く中を見ろ”

ってこと。


お姉ちゃんの死から逃げているあたしを捕まえて、

向き合えって言うんでしょ?

⏰:07/03/28 22:13 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#7 [みぃ]

2人しかいない応接室。


2つ並んだコーヒーカップの中には30分も前に入れたコーヒーが冷えきってある。



もう30分もこうしているのに、
箱を開けることができない。

認めたくない。


施設長あたしを見た後、
目を伏せながらも箱を開けて“それ”をあたしに手渡した。

⏰:07/03/28 22:19 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#8 [みぃ]


慣れない感触。


予想以上の細さ。



真っ白な遺骨。





―――これが・・・

お姉ちゃん・・・?

⏰:07/03/28 22:21 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#9 [みぃ]


実感してしまった瞬間に襲い掛かってくる。

不安も

悲しみも

絶望も

怒りも

後悔も。


本当に全部同時に込み上げてきたんだ。

⏰:07/03/28 22:24 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#10 [みぃ]

カタカタと震える手。

自分の手じゃないみたいにコントロールが効かない。


『やだ・・・。やだぁ・・・。』


手から足。足から全身へ。


震えが止まらなくて、
おかしくなりそうだ。

⏰:07/03/28 22:26 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#11 [みぃ]

『お姉ちゃん・・・。
 やだよぉ・・・。』



知らせを受けてから3日目の今。


初めて涙が出た。


今まで出なかったのがおかしかったみたいに、

どんどん溢れてくる。

⏰:07/03/28 22:29 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#12 [みぃ]

寒くなんてないのに。


施設長は毛布をかけてあたしの震える体をそっと抱きしめてくれた。


人間の体温ってすごい。

身体があったかくなる。



でも、

心は冷たいままだよ。

⏰:07/03/28 22:33 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#13 [みぃ]

声なのか鳴咽なのか分からない泣き声で、
途切れながらも必死に叫ぶ。


ひたすらお姉ちゃんの名前を。




3月27日。

お姉ちゃんこと栗山美優(クリヤマ ミユウ)は短い人生の幕を閉じた。

⏰:07/03/28 22:37 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#14 [みぃ]

16歳。

高校2年生になるはずだった。


お姉ちゃんは名前の通り、すごく優しくて、

自慢のお姉ちゃんだった。




血は繋がってない。

でも、物心ついた頃からずっと一緒だった。

⏰:07/03/28 22:40 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#15 [みぃ]

あたし、安幡夢芽(ヤスハタ ユメ)は、
3歳の頃に親に捨てられてこの施設に入った。


ここの児童養護施設は、
何らかの事情があって親と暮らせない3歳〜18歳の男女が生活している。


あたしとお姉ちゃんは

ここで出会った。

⏰:07/03/28 22:45 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#16 [みぃ]

施設に馴染めないあたしを一歳しか変わらないのに、世話してくれた。


本当の姉妹みたいに仲良くなって、

ずっと一緒だった。


あたしとお姉ちゃんは元々一つだったんじゃないか、ってぐらい。

本当のお姉ちゃんみたいで大好きだった。

⏰:07/03/28 22:48 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#17 [みぃ]

ここの施設の子はみんな口が悪いけど、
本当に性格の悪い子なんて一人もいない。


みんな淋しいだけ。

口には出さないけど。


みんな家族みたいで、
親がいなくても平気だった。

この幸せがずっと続くと思ってた。


――――なのに・・・。

⏰:07/03/28 22:51 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#18 [みぃ]

「夢芽?」


施設の部屋の自分のベッドの中に居ると、
同い年の美輝(ミキ)が話しかけてきた。


「あ、起きてたんだ。
 大丈夫?」

『・・・ん。』


春休みなのに美輝は制服を着ている。


『お葬式・・・。
 行ってきたの?』

⏰:07/03/28 22:55 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#19 [みぃ]

美輝は悲しそうに小さく頷いた。


「制服・・・。
 どっちの着てくか迷ったけど、まだ3月だし、
 中学のんで着て行ったぁ!」


美輝はわざと明るく話すけど、
辛いのが丸分かりだった。


お姉ちゃんはみんなに好かれていたから、
みんな辛い。

美輝の目も、赤く腫れている。

⏰:07/03/28 23:00 📱:SH902i 🆔:1wopH5ls


#20 [みぃ]

「夢芽・・・大丈夫?」


返事をしない代わりに、
軽く微笑んでみせる。


「そりゃ・・・。
 平気じゃないよね。
 アンタが一番仲良かったもんね・・・。」



無気力だ。

何もする気にならない。

⏰:07/03/29 20:04 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#21 [みぃ]


ただ、部屋の窓から見える景色をボーっと見ていた。


「――――あ。」


美輝が制服を着替えている時だった。


「夢芽、これ・・・。」


美輝がそう言って制服のポケットから取り出したのは、
小さなビニール袋だった。

⏰:07/03/29 20:08 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#22 [みぃ]

『何・・・。』


美輝から受け取った掌には、見覚えのある物が入ったビニール袋。


『美輝・・・これ・・・。』

「・・・事故現場に落ちてたんだって・・・。
 警察の人が検視も終わったし、血まみれでもいいならって・・・。
 お葬式、来てくれてたよ。
 直接夢芽に渡したかったらしいけど・・・。」

⏰:07/03/29 20:18 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#23 [みぃ]

チャリ・・・


袋の中から出てきた“それ”は、
間違いなくお姉ちゃんの物だった。

血は乾いてこびりついてしまっている。


唇を噛み締め、“それ”を握りしめる。


胸が痛い。


「それ・・・大志くんとのやつだよね・・・?」

⏰:07/03/29 20:26 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#24 [みぃ]

美輝の一言で憎しみが戻ってきた。


『美輝、あいつの話はしないで。』


美輝は構わず続ける。


「でもさぁ、やっぱり大志くんに渡すべきだったよね・・・。」

『・・・美輝。』

「でも・・・。」

『美輝ッッ!!』

⏰:07/03/29 20:29 📱:SH902i 🆔:xpnmAmI2


#25 [みぃ]


あたしの声が部屋に響き渡る。


「夢芽・・・ごめん。
 でもね・・・?」

『あたしの前であいつの名前出さないで。』


「・・・辛いのは夢芽だけじゃないんだよ。」


美輝はそれだけ言って、
部屋から出て行った。

⏰:07/03/30 14:55 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#26 [みぃ]


―――分かってる。

そんなこと、分かってるよ。


でも、無理なんだもん。



目を開けてても閉じててもお姉ちゃんの顔が浮かんでくるんだ。

⏰:07/03/30 14:58 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#27 [みぃ]

笑うとえくぼができるところとか、
照れた時に鼻を触る癖とか、
涙もろくて、ドラマを観たら絶対泣いちゃうところとか、

もう二度と見れないんだ。



ほら、また、涙が。

⏰:07/03/30 15:02 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#28 [みぃ]

お姉ちゃんのベッドや机はまだそのままで、

“そのうちお姉ちゃんが帰ってくるんじゃないか”

って錯覚を起こすぐらい。


そのうち、
「ただいまー。」

なんて言って。




そんな事ある訳ないのに。

⏰:07/03/30 15:05 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#29 [みぃ]


夕食の放送がかかって食堂へ降りたけど、
ろくに食べられなかった。

施設の先生は何とか明るい雰囲気を造ろうとしてたけど、
重い空気は消えなかった。



まだ信じられない。


お姉ちゃんが死んだなんて。

⏰:07/03/30 15:09 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#30 [みぃ]

そんな空気の中、
山口先生が口を開いた。

女子部屋の今の中等部、
つまりあたし達の年代の担当の先生だ。


「明日で3月も終わりかぁ・・・。早いね・・・。」


山口先生の声で、
みんな無意識にカレンダーを見る。


「夢芽ちゃん、高校の入学式っていつだっけ?」

⏰:07/03/30 15:14 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#31 [みぃ]

『―――えッ。』


突然話しかけられて、
びっくりした。


『4月・・・4日。』


もう一週間もないんだ。


「そっかー。
 もうすぐだね!
 高校は楽しいよー!」


山口先生がふふっと笑う。

⏰:07/03/30 15:17 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#32 [みぃ]

「そうだ。それに勉強も難しくなんぞー?」


男子部屋の先生も後に続く。

食堂の空気が一瞬軽くなった。


・・・楽しいこと?

そんなことあんの?


お姉ちゃんがいて・・・。

それが最低条件でしょ?


もう人と関わることが面倒で仕方ないんだ。

⏰:07/03/30 15:20 📱:SH902i 🆔:SnHULqKE


#33 [みぃ]

部屋に戻って、
壁に飾られた真新しい制服を見つめる。

この制服を着たお姉ちゃんの姿が目に浮かぶ。


あたしが4月から通う城北高校は、
お姉ちゃんが1年間通っていた高校。


同じ高校に行きたくて、
必死に勉強した。

⏰:07/03/31 21:14 📱:SH902i 🆔:MbbLTstk


#34 [みぃ]

お姉ちゃんと

“絶対に一緒の制服着て、プリクラ撮りに行こ!”

って約束してた。

もう、それも叶わないんだね。


お姉ちゃんのバカ。

もっと伝えたいこと、
たくさんあったのに。


何で死んじゃったの。

⏰:07/03/31 21:22 📱:SH902i 🆔:MbbLTstk


#35 [みぃ]

――――---・・・


「じゃ、気をつけてね!」


4月4日。

とうとう高校の入学式。


施設の玄関で山口先生に見送られ、
高校へ向かう。


「夢芽!待てよ!」


男子の棟から出て来たのは同い年の大杉 豊(オオスギ ユタカ)

⏰:07/03/31 21:27 📱:SH902i 🆔:MbbLTstk


#36 [みぃ]

施設の中で城北高校へ入るのはあたし達2人だけ。


『何で豊と一緒に行かなきゃなんないの。』

「んな寂しいこと言うなって!あ、バス来た。」


高校には施設の近くから出てるバス一本で行ける。

結構難しい学校だから、
うちの施設から受かったのはお姉ちゃんが久しぶりなんだって。


つまり、豊も頭良い組。

⏰:07/03/31 21:38 📱:SH902i 🆔:MbbLTstk


#37 [みぃ]

バスに乗り、椅子に座ると、
豊が隣に座った。


『・・・豊。』

「あ゙ー!
 緊張すんな!なッ?!」


あたしの言葉に耳を貸さずに豊は話す。


『・・・はぁ。』


ため息が出る。

豊のことは嫌いじゃないけど、人と関わることが面倒なの。

豊は、あたしの作る壁を平気で壊すから。

⏰:07/03/31 21:44 📱:SH902i 🆔:MbbLTstk


#38 [みぃ]

「なぁ!
 おまえ、もらった?」

『え?あぁ・・・うん。』


そう言って鞄から携帯を取り出す。

うちの施設では、
高校生になれば希望者は携帯を持たせてもらえる。


「貸して!」


豊はあたしの手から素早く携帯を奪うと、
何やら操作し始めた。

⏰:07/04/01 19:39 📱:SH902i 🆔:c9xADsic


#39 [みぃ]

『・・・ちょ、何してんの。』


取り返そうとして手を伸ばすあたしから身をかわし、
操作を続ける。


『・・・豊、怒るよ。』

「よっしゃ!
 できた!はい。」


携帯を差し出す豊。

⏰:07/04/01 19:42 📱:SH902i 🆔:c9xADsic


#40 [みぃ]

『・・・何したの?』


受け取りながら尋ねる。


「おまえの番号登録するついでに、
 オレの番号も登録しといたぁ!」


豊は笑顔で自慢げに言う。


『勝手に触んないでよ。
 もー・・・。』


窓にもたれながら初めての携帯をいじる。

⏰:07/04/01 19:45 📱:SH902i 🆔:c9xADsic


#41 [みぃ]

「ま、何かあったらいつでもかけてこいよ!
 オレもかけるし!」


豊は相変わらず笑ってる。


『・・・かけないし。
 ってか、出ないよ。』


豊から顔を背ける。

豊の笑顔は、何か苦手。


「なんで?」

『電話嫌いだから。』

⏰:07/04/01 19:48 📱:SH902i 🆔:c9xADsic


#42 [みぃ]

あの日・・・

お姉ちゃんが死んだ日。


事故の知らせを受けたのはあたしだった。


あれはお風呂の時間で。

夕食がいらないのは知ってたけど、
珍しく遅いなーって、

少し心配してた頃。


着替えを忘れて部屋に取りに行って、
事務室の前を通った時だった。

⏰:07/04/01 20:04 📱:SH902i 🆔:c9xADsic


#43 [みぃ]



鳴り響く電話。


誰も居ない事務室。




その日は先生が一人休みで、先生達がバタバタしてる事を知ってたから、

あたしが電話に出た。

⏰:07/04/03 00:50 📱:SH902i 🆔:Je2I7T7I


#44 [みぃ]


警察から。


・・・・・・え?


待って。


何言ってんの? この人。


お姉ちゃんが事故?

重体?



頭が回んないよ・・・。

⏰:07/04/03 00:53 📱:SH902i 🆔:Je2I7T7I


#45 [みぃ]


―――――----・・・


電話は嫌い。


あれから事務室の電話が鳴る度に体が反応する。

思い出したくない瞬間を思い出す。


だから、電話は嫌い。

⏰:07/04/03 00:54 📱:SH902i 🆔:Je2I7T7I


#46 [みぃ]


「ふぅーん・・・?
 じゃあ、何で携帯持ったんだよ。」


あたしの気持ちを探る様にあたしの顔を見た後、
豊は言った。


『・・・あたしだって別に要らなかったけど・・・。』

「けど?」

『施設長が・・・。
 何するか分かんないから持っとけって。』


つまり、この携帯は監視役。

⏰:07/04/03 01:00 📱:SH902i 🆔:Je2I7T7I


#47 [みぃ]

「ははッ!
 確かにおまえ、今にも死にそーな顔してんもんなッ!!」


豊を横目で睨む。


「冗談だろーが!
 ってか、オレもおまえと同じ理由!」

『・・・何が。』

「何するか分かんねーから持っとけって!ははッ!」

『・・・納得。』

⏰:07/04/03 01:04 📱:SH902i 🆔:Je2I7T7I


#48 [みぃ]

豊は、いわゆる悪ガキ。

普段はヘラヘラしてて腹立つけど、キレたら半端なく恐い。

小学校でも中学校でも、
目立つ存在だった。


悪戯とかやんちゃが大好きで、よく先生の手を焼かせてたっけ。


「・・・そーいえば、城北って大志くん居るよな。」

⏰:07/04/04 08:24 📱:SH902i 🆔:AA0V1HLM


#49 [みぃ]


動きが止まる。


「オレ、顔見たことないから分かんねー。
 夢芽、見たことあんの?」

『・・・ないよ。』




そうだ。


アイツが居るんだ。

⏰:07/04/04 08:27 📱:SH902i 🆔:AA0V1HLM


#50 [みぃ]


「・・・おまえ・・・。
 変なことすんなよ?」


豊はあたしの心を見透かしてる。


やっぱり、苦手だ。


『・・・着いたよ。』


豊の忠告をかわす様にバスから下り、
学校までの少しの距離を歩く。

⏰:07/04/04 08:31 📱:SH902i 🆔:AA0V1HLM


#51 [みぃ]

頭の中は、入学式とかクラス編成のことじゃなくて、

アイツのことでいっぱいだった。


「夢芽、たぶんあそこ。」


豊の指した先には体育館。


体育館の前で胸ポケットに花をつけてもらって、
張り出した紙のクラス編成を見る。


「夢芽ぇー、
 何組だった?」

⏰:07/04/04 08:35 📱:SH902i 🆔:AA0V1HLM


#52 [みぃ]

『5組。豊は?』

「あー、オレ1組。
 離れちったな。」


とりあえず、解放。


『じゃ、あたし向こうだから。』

「えッ、夢芽!」


早々と豊に別れを告げ、5組らしき列へ向かう。

名前の書かれたパイプ椅子に座り、式が始まるのを
ぼんやりと待っていた。

⏰:07/04/04 08:39 📱:SH902i 🆔:AA0V1HLM


#53 [みぃ]

「あのー・・・。」


左を向くと、同じ真新しい制服に包まれた女の子が立っていた。


「そこの席なの?」

『・・・うん。』


だから座ってんだよ、
って思いつつも、とりあえず返事をする。

⏰:07/04/05 02:13 📱:SH902i 🆔:NdmUDT5c


#54 [みぃ]

「そぉなんだぁ!
 あたし、隣の席だぁ!
 あたし、西岡中の吉平 遥(ヨシヒラ ハルカ)って言うの!
 よろしくねぇ!」

『・・・よろしく。』


そう呟き、再び前を見る。


「――えッ・・・。
 ねぇ、あなたは何て名前?」


(めんどくさい・・・。)

⏰:07/04/05 02:17 📱:SH902i 🆔:NdmUDT5c


#55 [みぃ]

これだから新学期って嫌いなんだよ。

余計な気使うばっかで、
無駄に疲れる。


気なんて使う気、さらさら無いけど。


『朝原中の安幡 夢芽。』

⏰:07/04/05 02:20 📱:SH902i 🆔:NdmUDT5c


#56 [みぃ]

顔も見ずに答える。


ここまで愛想悪くされたらさすがに離れるでしょ。


以前のあたしなら、
ちゃんと友達作ろうと頑張ってたんだろうなぁ・・・。


「えッ!ユメッて言うの?!
 いぃなぁー!」


はい?

⏰:07/04/05 02:23 📱:SH902i 🆔:NdmUDT5c


#57 [みぃ]

遥は離れるどころか、
更に食いついてきた。


「かわいー名前ぇ!
 羨ましーい!」


何がだよ、と心の中で舌打ちをしながらも、
生返事だけする。


更に遥は聞いてもいないのに、自分の話を始める。


・・・早く式始まんないかな。

⏰:07/04/05 02:27 📱:SH902i 🆔:NdmUDT5c


#58 [みぃ]

式が始まってからも遥は喋りっぱなしだった。

愛想の悪いあたしに構わず、ずっと話し続けてる。


そんな中、一人の男が壇上に上がった。


「えー・・・みなさん、
 ご入学おめでとうございます。」


その男の生徒は、どうやら生徒会長っぽい。

でも、なんかすごく
“生徒会長”
っぽくない。

⏰:07/04/07 13:14 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#59 [あ、携帯変えました]

「あ!先輩だ!」


隣で、遥が目を輝かせている。


『・・・知り合い?』


生徒会長は、2・3年の女子にステージの下から話しかけられている。


どうやら人気みたい。

⏰:07/04/07 13:17 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#60 [みぃ]

「えへへ!
 あの人、うちの中学の先輩なの!
 あたしの憧れの人!」


遥は顔を赤らめて言う。


『要するに、後追って入学したんだ。』


遥の顔が更に赤くなる。


―――まぁ・・・。

モテる材料は揃ってるか。

⏰:07/04/07 13:23 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#61 [みぃ]

先生が2・3年の女子に注意を促し、
やっと体育館が静かになった時、
彼は再び話し出した。


「えっと、応援してくれるのは嬉しいけど、
 式中は静かにしてな。」


彼の言葉に女子がキャッキャと笑う。

隣を見ると、遥も嬉しそうに笑っている。


「じゃあ、改めて。
 新一年生の皆さん、こんにちは。
 生徒会長の大原 大志です。」

⏰:07/04/07 13:30 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#62 [みぃ]










―――――大志?


「大志ぃー頑張れぇー!」

「だから、ちょっと静かにしとけって。」

「あはッ!ごめーん!」

⏰:07/04/07 13:34 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#63 [みぃ]

そんな上級生のやりとりも、隣で遥が、


「かっこいぃー・・・。」


って呟くのも、まるで耳に入ってこなかった。


あたしの周りだけ時間がなくなったみたいに、

ただ真っ直ぐとアイツを見据えていた。



アイツが・・・お姉ちゃんを・・・。

⏰:07/04/07 13:38 📱:SH903i 🆔:pn5Rh2ek


#64 [みぃ]


教室へ戻り、自己紹介なんかしてHRが終わった。


このクラスのことなんて、
どうでもいい。

あたしが今、考えてるのはアイツの事だけ。


みんなが席を立ち始めた時、後ろから肩を叩かれた。


「ねぇ、夢芽って呼んでい?」

⏰:07/04/08 20:31 📱:SH903i 🆔:JXqEfdy6


#65 [みぃ]

遥だ。 後の席らしい。


『どーぞ。』


軽く返事をして席を立つ。


「あ、待って。
 あたしは遥でいーからねッ!」


誰もおまえの名前なんかに興味ねーよ、と思いつつ、

荷物を鞄の中にしまう。

⏰:07/04/08 20:35 📱:SH903i 🆔:JXqEfdy6


#66 [みぃ]

「ねぇ、夢芽。
 今日暇だったら帰り、
どっか寄らない?」


は?  冗談じゃない。

こんなテンションの高い奴と、
これ以上一緒に居られるか。


『行かない。』

「ゆ――――めッッ!!」


廊下の方から声がした。

⏰:07/04/08 20:39 📱:SH903i 🆔:JXqEfdy6


#67 [みぃ]

『・・・豊。』

「夢芽、一緒帰ろー!」


豊は教室の外から両手をブンブン振っている。

クラスの奴らは、あたしと豊を交互に見てる。


そりゃ、入学早々あんな馬鹿みたいな髪の色の奴が来ればびっくりするだろう。


「えッ・・・。
 夢芽の彼氏ぃ?」

⏰:07/04/08 20:44 📱:SH903i 🆔:JXqEfdy6


#68 [みぃ]

遥が肘をつついて来る。


『はぁ・・・。』


またため息。


何でこんな面倒臭い奴らばっかなの。


教室を出て、豊の横をすり抜けて、歩く。


「おいッ、夢芽、待てよ!」

⏰:07/04/08 20:48 📱:SH903i 🆔:JXqEfdy6


#69 [みぃ]

豊が後ろからついてくる。


うるさい。


『ついて来ないでよ。』

「おまえ、どこ行く気?」


足が止まる。


『・・・何が?』

「おまえ、大志くんトコ行くつもりだろ?」

⏰:07/04/09 23:52 📱:SH903i 🆔:g9s549RE


#70 [みぃ]

『・・・豊に関係ない。』

「やめとけって。」


豊があたしの腕を掴む。


『何よ、離して。』


「辛いのはお前だけじゃねぇんだよ。」


分かってるよ。

何で豊までそんな事言うの?


一番辛いのはお姉ちゃんなんだよ?

⏰:07/04/09 23:56 📱:SH903i 🆔:g9s549RE


#71 [みぃ]


『―――もう、離して!』


豊の手を振り払った時、
自由になった手が誰かにぶつかった。


―――ドンッッ


『―――ひゃッ・・・。
 ごめんなさ・・・。』





――――――あ・・・。

⏰:07/04/09 23:59 📱:SH903i 🆔:g9s549RE


#72 [みぃ]











大原・・・大志。


⏰:07/04/10 00:00 📱:SH903i 🆔:/XZB/EVw


#73 [みぃ]



「大丈夫?」


大原は倒れそうになったあたしの腕を取った。


『・・・触んないでッ!!』


あたしの右手を掴む左手を払いのけ、彼を睨む。


「君・・・もしかして・・・。」

⏰:07/04/11 13:42 📱:SH903i 🆔:STB6Toao


#74 [みぃ]

彼の言葉を最後まで聞かずに下駄箱へと走った。


大原の周りの女の先輩たちは、


「何あれ。」
「助けてもらってお礼なし?」
「大志、気にしない方がいいよ。」


とか、文句たれてた。


「夢芽!待てよ!」

⏰:07/04/11 13:47 📱:SH903i 🆔:STB6Toao


#75 [みぃ]

後ろから豊が追いかけてきて、
下駄箱に着いた所で追い付かれた。


「はぁ・・・はぁ・・・。
 ちょっと落ち着けよ。」


落ち着ける訳がない。


『・・・何も言えなかった。』

やっと見つけたのに。

⏰:07/04/11 13:52 📱:SH903i 🆔:STB6Toao


#76 [みぃ]

あの日からずっとずうっと憎んでいた相手が目の前に現れたのに。

言ってやりたい事がいっぱいあったのに・・・。


『何で、あんな平気そうなんだよ・・・。』

「夢芽・・・。」


『もうお姉ちゃんは笑えないのに・・・。
 何で笑えんの・・・!』

⏰:07/04/11 13:57 📱:SH903i 🆔:STB6Toao


#77 [みぃ]

悔しい。


悔しい。


「だから、もう何もすんなって。
 お前が傷つくだけだろ?」


じゃあ、どこにぶつければ消えんの?

この行き場のない感情は。


どうすればいいの?


誰か教えてよ。

⏰:07/04/11 14:00 📱:SH903i 🆔:STB6Toao


#78 [みぃ]


施設に帰ると、みんな既に帰っていた。

今日入学式だった子も
新学期でクラス替えだった子も、

みんな楽しそうに今日の感想を語っていた。



みんな、こうやって忘れてくの?


お姉ちゃんを過去の人にしちゃうの?

⏰:07/04/13 20:58 📱:SH903i 🆔:Sj9s1Nt6


#79 [みぃ]

「あ、夢芽、おかえりー。」

「どうだった?城北。」

『別に、普通。』


談話室でくつろいでいる子たちを適当にあしらい、
自分の部屋に入る。



微かにお姉ちゃんの匂いがする。

ぽっかり空いた胸にしっとりと染み込む。

⏰:07/04/13 21:05 📱:SH903i 🆔:Sj9s1Nt6


#80 [みぃ]

最近は、この部屋に入ることすら胸が痛む。

ここは、お姉ちゃんとの思い出が多すぎる。


思い出にするには、早すぎるよ。


机に座り、紙とペンを取る。


大原 大志様



人殺し。

⏰:07/04/13 21:08 📱:SH903i 🆔:Sj9s1Nt6


#81 [みぃ]

それだけ書き終えて、
ベッドへと倒れ込む。

布団に吸い込まれていくみたいに、身体が重いや。


「夢芽、おやつだって。」


気がつくと、美輝が部屋の入口に立っていた。


『・・・いらない。』


美輝はため息をついて部屋を出て行った。

⏰:07/04/13 21:12 📱:SH903i 🆔:Sj9s1Nt6


#82 [みぃ]

お腹が空かない。
のどが渇かない。
眠たくない。
何もする気になれない。


あたしは人間じゃなくなっちゃったのかな。

だって、生きてる気がしない。


ただ毎日が過ぎていくのを色の映らない目で見てる、

生きた屍だよ。


あたしは何の為に生きてるの・・・?

⏰:07/04/13 21:17 📱:SH903i 🆔:Sj9s1Nt6


#83 [みぃ]

――――――――――――


あれから二ヶ月。


何だかんだで生きてる。

人間は水と食料さえあれば生きていける。


心が死んでいても。



「夢芽、そろそろ起きないと遅れるよ。」

⏰:07/04/14 13:29 📱:SH903i 🆔:/ch1Di52


#84 [みぃ]

布団にくるまり、夢の世界へ旅立とうとしているあたしに、
女子棟代表の川口先生が呼びかける。


「ほら!いつまで寝てんのッッ!!」


布団を剥ぎ取られ、
眠たい目をこすりながら仕方なく体を起こす。


『眠・・・。』


時計を見る。

7時20分。

⏰:07/04/14 13:33 📱:SH903i 🆔:/ch1Di52


#85 [みぃ]

本日の睡眠時間、一時間弱。


昨日より少ない。


そんな事を考えながら部屋着から制服へ着替える。


いつもやっと眠りについた頃に、もう起きる時間になってる。


そんな睡眠サイクルでも、
不思議と眠くならない。



やっぱり、あたしはおかしいんだ。

⏰:07/04/14 13:36 📱:SH903i 🆔:/ch1Di52


#86 [みぃ]

少しみんなより遅い朝食を食べ、
身なりを整えて玄関へと向かう。


ポケットに一枚の紙切れを忍ばせて。


「夢芽、遅いー!」


靴を履いたところで、
男子の棟から豊が歩いてきた。


「遅刻したらどうすんだよー。」

⏰:07/04/14 13:40 📱:SH903i 🆔:/ch1Di52


#87 [みぃ]

『ちゃんと最後のバスに間に合う時間だし。
 そんな事言うなら、先に行っときゃいーじゃん。』

「まぁーた そんな事言うだろー。
 素直にごめんって言えよ。」



うるさい。


朝から迷惑な奴。



人の気持ちも考えないで。

⏰:07/04/14 13:45 📱:SH903i 🆔:/ch1Di52


#88 [みぃ]


バスを待ってる間も、
バスに乗っている間も豊は
ずっと喋りっぱなし。


頭が痛い。

最近、耳鳴りがひどい。


全然寝てないせいかな。


「おまえ、目の下。」

『は?』

「くま。すげーぞ。」

⏰:07/04/15 23:18 📱:SH903i 🆔:tnflJJnk


#89 [みぃ]

豊があたしの顔を指す。


『は? くま?』


鞄の中から鏡を取り出して確認してみる。



うわ・・・。


あたし、こんな顔だったっけ?

⏰:07/04/15 23:20 📱:SH903i 🆔:tnflJJnk


#90 [みぃ]

目はくぼんでるし、

髪の毛はツヤないし、

肌はカサカサだし、

唇は荒れてるし。


ちゃんと化粧したのにな。


意味ねぇー。


「眠れねぇの?」

⏰:07/04/15 23:22 📱:SH903i 🆔:tnflJJnk


#91 [みぃ]

鞄の中に鏡をしまっている時だった。


『んなことないよ。
 眠たくないだけ。』

「それ、同じ意味だろ。」

『眠れるけど寝ないだけ。
 全然意味違うじゃん。』

「いや、一緒だって。」

『ちがうッつーの!』


しつこい。

ダメだ。 イライラする。

⏰:07/04/15 23:27 📱:SH903i 🆔:tnflJJnk


#92 [みぃ]

「・・・ところでさぁー、
 おまえ、知ってる?」


豊はあたしの剣幕に圧倒されたのか、話題を変えた。


『―――何を。』


ってか、まだ喋る気?


「大志くん、嫌がらせされてるって。」


⏰:07/04/15 23:30 📱:SH903i 🆔:tnflJJnk


#93 [ぁや]
この話すっごぃ好きです           頑張ってくらさぁぃ

⏰:07/04/16 00:28 📱:N702iD 🆔:cN6bc0/E


#94 [みぃ]

ぁやサン

コメントありがとうございます
頑張るんで、良かったら見て下さいね

更新します

⏰:07/04/17 23:56 📱:SH903i 🆔:VEH4aNDY


#95 [みぃ]



『―――ふーん・・・。』


豊があたしの顔をじっと見る。


『・・・何よ。』

「おまえ、何もしてねぇよな?」


疑いの目があたしを見つめる。

⏰:07/04/17 23:58 📱:SH903i 🆔:VEH4aNDY


#96 [みぃ]

『――何それ。
 あたしの事、疑ってんの?』


負けじと、豊の目を見つめる。


「い・・・や。
 そーゆー訳じゃねーけど・・・。」

『疑ってんじゃん。
 ・・・別にいーけど。』

「わりぃ。気にすんな。」



簡単。

頭使えよ、豊。


少し考えたら分かる事じゃん。

⏰:07/04/18 00:01 📱:SH903i 🆔:JX3aC7wM


#97 [みぃ]

バスを下り、校門をくぐる。


最初の頃は豊と並んで歩くのが嫌だったけど、

こいつは言っても聞きやしない。


クラスの子はあたしが施設の子だって知ってるから、
少なからず距離を置いてる。



つまり、クラスで浮いてます。

⏰:07/04/18 00:05 📱:SH903i 🆔:JX3aC7wM


#98 [みぃ]

元から誰かと深く関わるつもりなんて無いから、
さほど困らないけど。

人を外見とか体裁で判断する奴なんて、
こったから願い下げだし。


まぁ、あたしの冷めた態度も原因の一つだと思うけど・・・。

みんな上辺目的なのは分かってるし。


ただ一人を除いては。

⏰:07/04/18 00:09 📱:SH903i 🆔:JX3aC7wM


#99 [みぃ]

「夢芽ぇ!おはよーッ!」


遥はそう言って、
あたしの腕に自分の腕を絡ませてくる。


『・・・おはよ。』

「あッ!
 豊くん、おはよぉ!」

「おはよ。
 じゃあ、夢芽のことよろしく。」

「了ー解♪
 また帰りにねー!」



あたしは子どもか。

⏰:07/04/18 00:12 📱:SH903i 🆔:JX3aC7wM


#100 [みぃ]

豊は毎日こうやって、
あたしがクラスに着くのを見届けて、
自分のクラスへ行く。


どんだけ過保護なの。


「夢芽ー!!」


遥は更に体を密着させて、
上目使いであたしを見る。


こいつ、レズなんじゃないの?

⏰:07/04/21 13:50 📱:SH903i 🆔:GFRZf3G.


#101 [みぃ]

『何?』


豊と別れたと思ったら、
次は遥か。

一日中テンションの高い奴にまとわり付かれて、疲れる。


「豊くんッてぇー、
 絶対夢芽のこと好きだよねッッ!」

『はぁ?』


遥の手をさりげなく解いて遥を見る。

⏰:07/04/21 13:53 📱:SH903i 🆔:GFRZf3G.


#102 [みぃ]

「だって、毎日お見送りとお迎え♪」

『そんなんじゃないし。』


そんなんじゃない。

豊は家族。


ちょっと(いや、かなり)うるさいけど、大切な家族。


もう、誰一人欠けて欲しくない。


もう、あんな思いするのは嫌だよ・・・。

⏰:07/04/21 13:57 📱:SH903i 🆔:GFRZf3G.


#103 [みぃ]

――――――――――――

昼休みを告げるチャイムが鳴る。

みんなご飯を買いに食堂へ行ったり、
他のクラスへ食べに行ったりして、
教室の机は半分以上空席になった。



頭が重い。

どうしよう・・・。


今日はいつもより一段と頭痛がひどいや。

⏰:07/04/21 14:00 📱:SH903i 🆔:GFRZf3G.


#104 [みぃ]

「夢芽ぇーお昼行こー!」

『――ごめん、
 一人で行って。』

「えッ!どしたの?」


頭を抱えるあたしを見て、
遥が目を丸くする。


『あたま・・・痛い。』


話し声すら頭に響く。

⏰:07/04/21 14:03 📱:SH903i 🆔:GFRZf3G.


#105 [我輩は匿名である]
おもしろい

⏰:07/04/21 18:08 📱:SH702iD 🆔:t9VNk/ZU


#106 [みぃ]

匿名サン

ありがとぉございます(・艸・)
そんなん言われたらやる気出てまうじゃないですか(´`)プ
また暇な時に読んで下さいね


更新します

⏰:07/04/22 15:27 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#107 [みぃ]

「保健室行きなよ!
 ついて行く?」

『うぅん・・・。
 一人で大丈夫。』


遥に別れを告げ、
保健室へと歩く。


入学して初めての保健室。

症状を説明すると、
先生は驚くほど簡単にベッドに案内してくれた。

⏰:07/04/22 15:31 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#108 [みぃ]

「とりあえず5時間目終わるまでは寝てていーからね。」


保健室の先生は笑顔でそう言うと、カーテンを閉めた。

スカートの折り目に気をつけて布団に潜り込む。


あったかい。


柔軟剤の匂い。

ここなら眠れそうな気がする。

⏰:07/04/22 15:35 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#109 [みぃ]


気持ちいぃ。


ふわふわした感じ。


久しぶりの感覚。



―――あ・・・。でも・・・。

今日、まだ紙入れてない。


そう思った瞬間に思考は停止した。

⏰:07/04/22 15:37 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#110 [みぃ]


――――   ―――――

夢芽―――・・・



『・・・お姉ちゃん?』


真っ白な世界。

確かに今、お姉ちゃんの声が聞こえたのに。



夢芽・・・。

泣かないで・・・。

⏰:07/04/22 15:40 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#111 [みぃ]



セメントで塗りたくられた天井。

真っ白な布団に黄色のカーテン。



―――そうだ。

ここ、保健室・・・。


「だから、何で何もしないの!?」

⏰:07/04/22 15:43 📱:SH903i 🆔:3tXVrbEI


#112 [我輩は匿名である]
あげっち

⏰:07/04/24 18:46 📱:SH702iD 🆔:scMS1MSs


#113 [みぃ]


匿名サン

この間コメントくれた匿名さんですよね
あげありがとうございます(人・・)+゚

更新します

⏰:07/04/25 21:19 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#114 [みぃ]
>>111


カーテン越しに聞こえる女の怒鳴り声。


(今・・・何時?)


腕時計で時間を確認する。



――――えッ!?


もう放課後?!

⏰:07/04/25 21:22 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#115 [みぃ]

カーテンの隙間から室内を見渡す。


――あれ・・・?

保健室の先生いないじゃん・・・。



それと同時に一人の女の人の後ろ姿。


「毎日下駄箱で見張ってたら捕まえられるに決まってんじゃん!!」

⏰:07/04/25 21:26 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#116 [みぃ]

背中まで伸びた茶色の混じった髪の毛をなびかせながら、
女の人は怒鳴る。


ケンカ・・・?


―――――誰と??


視線を右へとずらす。


「そこまでする必要ないじゃん。」

⏰:07/04/25 21:28 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#117 [みぃ]









―――大原 大志!!



あたしの視線の先には、
アイツがいる。

⏰:07/04/25 21:29 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#118 [みぃ]

「じゃあ、このまま嫌がらせ続けられるのを黙って見とけッて言うの?!」

「別に、紙切れだけで殺される訳でもねーじゃん。
 それより足、大丈夫?」


アイツは軽く笑う。


「体育でちょっとくじいただけだから大丈夫ッて・・・
 そーじゃなくて!」

「保健室の先生、どこ行ったんだろなー・・・。」

「大志ッッ!!!」

⏰:07/04/25 21:33 📱:SH903i 🆔:A6A/qrL6


#119 [みぃ]

女の人がアイツの腕を掴む。


「大志・・・。
 何かあってからじゃ遅いんだよ・・・?
 大志に何かあったら・・・あたし・・・。」

「由美・・・。ありがと。
 でも大丈夫だから。」


アイツの手が‘由美’の体を優しく包む。



――――何これ。

⏰:07/04/29 11:37 📱:SH903i 🆔:MpOvwUGM


#120 [みぃ]

目の前で起こっている出来事に思考が追い付かない。


何やってんの、こいつら。


アイツらが出て行った後も、
時間が止まったみたいに、しばらく動けなかった。

怒りで手が震える。


保健室にあったペンと2枚の紙を手に取り、
書きなぐる。

⏰:07/04/29 11:41 📱:SH903i 🆔:MpOvwUGM


#121 [みぃ]

1枚は、先生宛て。


お礼の言葉と、体調の回復の報告。


もう1枚は・・・。




教室に戻り、荷物を整える。

みんな帰って、誰もいない静かな教室。

ふと、携帯を見ると、メールが2件届いていた。

⏰:07/04/29 11:44 📱:SH903i 🆔:MpOvwUGM


#122 [みぃ]

1件目は 遥。

【夢芽、大丈夫ぅ〜?】


ほんとに心配してんのか、コイツは。


2件目は 豊。

【大丈夫?オレ、今日用事あるから先帰るな!
 気ぃつけろよ!】


―――パチン・・・。

⏰:07/04/29 11:48 📱:SH903i 🆔:MpOvwUGM


#123 [みぃ]

今日は入学して以来、
初の一人での下校か。


携帯をポケットにしまいながらそんなことを考える。



やっと、やりたい事ができる。



ふで箱からカッターナイフを取り出し、
セーターの袖に隠して下駄箱へと向かう。

⏰:07/04/29 11:51 📱:SH903i 🆔:MpOvwUGM


#124 [みぃ]

この時間なら、
下校後か部活中で、生徒はいないだろう。


電灯が消えて、うす暗くなり始めた廊下を歩く。

あたしの上履きの音だけが冷たい廊下に響く。


下駄箱へ着き、いつもとは逆の方向へ向かう。


そこは、2年生のロッカースペース。

⏰:07/05/02 16:21 📱:SH903i 🆔:040EPTNg


#125 [みぃ]

慣れた足で、一つのロッカーの前へと進む。


‘大原 大志’


この名前を口に出すのも、
いや、名前を見るだけでも憎しみが沸き上がってくる。


そっとロッカーへ手を伸ばす。

ダイヤル式の鍵。


まだ鍵、変えてないんだ。

⏰:07/05/02 16:25 📱:SH903i 🆔:040EPTNg


#126 [みぃ]

ねぇ、あたし、もう暗証番号知ってるよ?

早く変えた方がいぃんじゃない?


入学して始めの半月、
携帯をいじるフリして何回もロッカー開ける所見てたから。



・・・・1・・・・2・・・・4・・・・



カチャ。

⏰:07/05/02 16:27 📱:SH903i 🆔:040EPTNg


#127 [みぃ]

鈍い音と共に鉄のつっかえが外れる。

小さな長方形の扉が口を開く。


無造作に積まれた教科書。

体育館シューズ。

上履き。


もうこの二ヶ月間、毎日見てる景色だ。

その中に、紙を2枚置く。

⏰:07/05/02 16:31 📱:SH903i 🆔:040EPTNg


#128 [みぃ]

昨日の夜に書いたものと、
保健室で書いたもの。



生きてるなんて許さない

裏切り者



ここ二ヶ月間、毎日彼への憎しみを文にして、
ロッカーへ投げ込んだ。


朝、休み時間、体育の移動の時、放課後。

隙を見つけて、あたしの思いをぶつけた。

⏰:07/05/02 16:34 📱:SH903i 🆔:040EPTNg


#129 []
あげ

⏰:07/05/03 23:32 📱:SH703i 🆔:iKB/PF4w


#130 [みぃ]

サン

あげありがとうです
更新まちまちですいません(・`;

更新します

⏰:07/05/05 14:39 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#131 [みぃ]

扉を閉め、セーターの袖からカッターを取り出す。


カチカチカチ・・・。


独特の音。

3p程出した刃で決まったスペースの中を傷つける。


――ガリッ・・・ギギギ・・・


不気味な音が廊下に響く。

⏰:07/05/05 14:43 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#132 [みぃ]

憎い名前が貼付けてある、
そのロッカーにあたしの心の刃を刻んでいく。



‘陰湿’



今のあたしにはそんな言葉がぴったりだ。


自分でも分かってる。

馬鹿なことしてるって。

⏰:07/05/05 14:47 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#133 [みぃ]

だけど、これを見た時のアイツの顔を見ると、
自然と笑みがこぼれる。



苦しめ。


苦しめ。



これっぽっちの刃で痛いなんて言わせない。

どれだけ願ったって、
もうお姉ちゃんは還って来ないからんだ。

⏰:07/05/05 14:50 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#134 [↑ ‘から’要らないです]

誰も分からなくていい。

あたしの気持ちはあたしだけの物。


あたしとお姉ちゃんの絆を知らない奴からの同時なんて、尚更要らない。


1番お姉ちゃんの近くに居たのはあたしで、アイツじゃない。



例え、それがお姉ちゃんの愛した人だとしても。

⏰:07/05/05 14:54 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#135 [みぃ]

まるで何かにとり憑かれた様に、右手が動く。

その握り締めた手にどんどん力が加わる。




ギギッ・・・ギギギッ・・・



―――――バキッ!!

⏰:07/05/05 14:57 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#136 [みぃ]
>>133

アイツの顔を見ると
   ↓
アイツの顔を考えると


>>134

同時なんて
  ↓
同情なんて


の間違いです

誤字ばっかですみません(・ω・`)

⏰:07/05/05 22:14 📱:SH903i 🆔:FWuQmt/g


#137 [みぃ]


〇  ο
o     Ο   οО








一瞬、何が起こったのか分からなかった。

⏰:07/05/10 16:40 📱:SH903i 🆔:i3Ua3MDA


#138 [みぃ]


左頬に走る痛み。


スカートと地面に浮かぶ赤。



『・・・血?』


足元には、力の作用に耐えられずに折れたカッターの刄が転がっている。

⏰:07/05/10 16:43 📱:SH903i 🆔:i3Ua3MDA


#139 [みぃ]

左頬から静かに流れる血。


刄が飛んだ拍子に切れたのか・・・。




アイツの反撃・・・?

なんて、心の中で思って一人で鼻で笑う。


再び顔を上げた時、固まった。

⏰:07/05/10 16:46 📱:SH903i 🆔:i3Ua3MDA


#140 [みぃ]

ロッカーに刻まれた無数の傷。

そこからは憎しみ以外の何も感じられない。



―――これ、あたしがやったの・・・?



まるで、あたしの心を表しているかのような傷。


‘卑怯’

そんな言葉が頭の中を廻った。

⏰:07/05/10 16:49 📱:SH903i 🆔:i3Ua3MDA


#141 [みぃ]

『あ・・・あぁ・・・。』


全身に寒気が立つ。


自分のしたことの卑劣さに目を向けることができず、

逃げるように荷物を抱えて、
学校を飛び出す。



それと同時に、あの日の事が甦る。

⏰:07/05/10 16:53 📱:SH903i 🆔:i3Ua3MDA


#142 [放置しすぎた]

━--・・━━━-・━--・・━━

「どした?夢芽。」


電話片手に固まったあたしに、
事務室へ戻ってきた男子棟の先生が尋ねる。


『加山せんせ・・・。
 おね・・・。』


途切れ途切れに言葉を発するあたしに何かを感じたのか、
加山先生はあたしから電話を奪う。

⏰:07/05/23 23:49 📱:SH903i 🆔:YyEvP3JA


#143 [誰も読んでないけど更新]

「もしもし?!
 ――え?美優が?!」


加山先生が警察と電話している間も、
他の先生に連絡している間も、
あたしは放心状態だった。

ただ、頭の中に映る嫌な映像をかき消すことに必死だった。


「夢芽!
 先生病院行ってくるから!」

『――待って!
 あたしも行く!!』

⏰:07/05/23 23:53 📱:SH903i 🆔:YyEvP3JA


#144 [みぃ]

事務室から飛び出して行く先生を追いかけ、
一緒に車に乗り込む。


心臓が今までに感じたことのない程の速さで波打っている。


(お姉ちゃん・・・。)



やだ・・・。

やだよ・・・。

⏰:07/05/24 00:01 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#145 [みぃ]




病院へ着いた時には、
もう手遅れだった。


医師から一通り話を聞いて、霊安室へと案内される。


機械的な説明。

事務的な案内。


人事でしかない医師に腹が立つ。

⏰:07/05/24 00:04 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#146 [みぃ]


他にこの複雑な想いをぶつける場所がないから。



嘘だよね?


お姉ちゃんが何したって言うのよ。


誰かに迷惑かけるような人生じゃなかった筈なのに。


こらえ切れずに病院を飛び出した。

⏰:07/05/24 00:07 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#147 [なォ]
読んでますょ
がんばれッ

⏰:07/05/24 01:56 📱:N902iS 🆔:☆☆☆


#148 [みぃ]

なォサン

コメントありがとうございます

俄然やる気でちゃいます
最後まで頑張るんで、良かったら付き合ってやって下さいね(・艸・)

⏰:07/05/24 08:41 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#149 [にゃんちゅ]
うぉーΣ(´Д` )なんだこのぉもろぃ小説ゎ
久しぶりにハマる作品
見つけたじぇ
絶対完結させてネ
頑張れッ

⏰:07/05/24 13:42 📱:D903iTV 🆔:EDrri.JI


#150 [みぃ]


にゃんちゅサン

そんな言葉もったいないです

こんな駄作ですが、最後まで頑張るんで良かったら読んで下さいね

⏰:07/05/24 15:55 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#151 [みぃ]
>>146



「―――夢芽ッ!!」


加山先生の制止も無視し、
警察から聞いた場所へ向かう。





―――そう、事故現場。

⏰:07/05/24 15:58 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#152 [みぃ]


そこは、大通りに面した歩道だった。


まだパトカーが何台か止まっていて、
野次馬がたかっている。


野次馬の群れを掻き分け、
一番前にいた警察官に食らいついた。


『何があったんですか!?』

⏰:07/05/24 16:01 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#153 [みぃ]

いきなり袖をつかまれた警察官は驚きつつも、


「―――誰だ?!
 ほら、このテープの中は立入禁止!!」


と言って、あたしを追い出す。


『事故に遭った女の人の妹です!!』

「じゃあ君、施設の・・・。」

⏰:07/05/24 16:06 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#154 [みぃ]

『ねぇ、何があったの?!
 教えてよ!!』


警察官の服を両腕で掴み、
かすれた声で答えを促す。


警察官は他の警察官と目を合わせて、
ゆっくりとあたしに目線を戻す。


「・・・君のお姉さんと交際相手の男の人がここの歩道を歩いている時、
 トラックが追突して来たんだよ。」

⏰:07/05/24 16:11 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#155 [みぃ]


追突・・・。


「トラックの運転手が居眠り運転でね・・・。
 それが偶然君のお姉さん達の場所に・・・。」


歩道には、生々しい血痕が飛び散っている。


「それで、お姉さんにだけ・・・。」

『・・・大志くんは・・・。
 彼氏はどこですか!?』

⏰:07/05/24 16:18 📱:SH903i 🆔:4QW/7sIY


#156 [みぃ]

「え?あぁ・・・。
 一緒に救急車に乗って行ったから、病院じゃないかな・・・。」


病院・・・。

霊安室に居たのかな・・・。


『ありがとう・・・ございました・・・。』


ふらつく足を引きずる様にして、警察官から離れる。

⏰:07/05/26 23:10 📱:SH903i 🆔:.Cl4W36g


#157 [みぃ]


「大丈夫?」


抜け殻の様になったあたしに、
警察官が心配そうな顔で問い掛ける。


『大丈夫・・・。』


自分に言い聞かせるように呟き、人込みを抜ける。

⏰:07/05/26 23:16 📱:SH903i 🆔:.Cl4W36g


#158 [みぃ]


野次馬の好奇の目が突き刺さる。



何笑ってんだよ・・・。


人が一人死んでんのに。


見せ物じゃねぇんだよ。



群がる野次馬を睨みながら歩いた時だった。

⏰:07/05/26 23:21 📱:SH903i 🆔:.Cl4W36g


#159 [みぃ]


「ひどいよね、彼氏も。」


小さく囁いたその会話を聞き逃さなかった。


『それッ・・・!
 どーゆー意味ですか?!』


いきなり話に入ってきたあたしに驚きながらも、
その女の人は答えてくれた。

⏰:07/05/26 23:25 📱:SH903i 🆔:.Cl4W36g


#160 [みぃ]


「えッ・・・。
 何かねー、トラックが突っ込んで来た時、
 彼氏が彼女置いて逃げたらしいよ。」



『――――は?』



「あたしが見てた訳じゃないんだけど、
 反対側の歩道から見てた人がいるらしいよ!!」


頭の中が真っ白になる。

⏰:07/05/29 16:09 📱:SH903i 🆔:.J7yiuPU


#161 [みぃ]


「トラックが突っ込んで、
 瞬間的に彼氏が避けて、彼女だけがひかれちゃったんだって!!」


『―――それ・・・。
 本当ですか?』

「本当じゃないのー?
 実際2人で並んで歩いてたのに、
 彼女だけひかれるなんて、有り得なくない?」



大志くんが・・・?

⏰:07/05/29 16:17 📱:SH903i 🆔:.J7yiuPU


#162 [みぃ]

「男なら女の前に立ちはだかって、
 守れってモンだよねぇ。」

『ありがとう・・・ございました・・・。』


まだ愚痴を続けようとする女の人を残し、
トボトボと家へ帰った。



信じられない。

大志くんはお姉ちゃんを裏切ったんだ・・・。


お姉ちゃんは、アイツに殺されたんだ・・・。

⏰:07/05/29 16:24 📱:SH903i 🆔:.J7yiuPU


#163 [みぃ]

━━━━━------・・・・


施設に戻ると、暗い雰囲気が皆を包んでいた。


ここには、毎週のように親が面会に来る子もいれば、
入所したっきり一度も会いに来ない親もいる。


ここにしか家族がいない子がたくさん居る。



あたしもその一人。

⏰:07/05/29 16:30 📱:SH903i 🆔:.J7yiuPU


#164 [みぃ]

どれだけお姉ちゃんがみんなに好かれているか、
この状態を見れば分かる。



部屋に入り、お姉ちゃんのベッドに寝転ぶ。


ベッドからお姉ちゃんの匂い。

甘くて大好きな香り。


あたしの大好きな匂い。

⏰:07/05/29 16:33 📱:SH903i 🆔:.J7yiuPU


#165 [ぁぃュ]
>>151

⏰:07/05/30 11:54 📱:W43S 🆔:plfesnEE


#166 [みぃ]

ぁぃサン

アンカーありがとうございます

更新します

⏰:07/05/31 16:46 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#167 [みぃ]

あれは、小学三年生の時・・・。


周りは誕生日とかクリスマスとか、
親が面会に来たり、一次帰宅の為に迎えに来たり、手紙やプレゼントが届いていたのに、
あたしはいつも一人ぼっちで。


声を押し殺して泣いてた。


気持ちを押し殺して泣いてた。

⏰:07/05/31 16:49 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#168 [みぃ]

その時だよ。

お姉ちゃんが二段ベッドの上から一緒に寝よう、って言ってくれたの。


短い階段登って、
お姉ちゃんの布団に潜り込んで。


お姉ちゃんが優しく何度も頭を撫でてくれた。

⏰:07/05/31 16:52 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#169 [みぃ]

親なんて、いらない。


お姉ちゃんさえずっと隣に居てくれたら、
それでいい。


心からそう思えたの。



お姉ちゃん、

昔みたいに優しく頭を撫でてよ。

⏰:07/05/31 16:54 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#170 [みぃ]

溢れそうになる気持ちを唇を噛み締めて抑え、
顔を上げて周りを見渡す。


ベッドの脇にある写真立てを手に取る。

それは、あたしとお姉ちゃんが笑顔で映った写真。


もう、お姉ちゃんは写真の中でしか笑えないの?

⏰:07/05/31 16:58 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#171 [みぃ]

ご飯食べて
「おいしいね。」
って笑うことも、


施設の子と喧嘩して泣くことも、


「早く起きなさい!」
って布団めくりながら怒ることも、



もうできない。

⏰:07/05/31 17:00 📱:SH903i 🆔:dT268xD.


#172 [みぃ]


写真の中でしか

みんなの記憶の中で生きることしかできない。


やだよ。


そんなのやだよ。



ねぇ、

お姉ちゃん返してよ。

⏰:07/06/03 00:53 📱:SH903i 🆔:ETPWO7I2


#173 [みぃ]


神様か仏様か知んないけど


誰でもいいから時間を戻してよ。



やだ。

まだ出てこないで。


お姉ちゃんが帰って来た時まで待って。

その時は2人で嬉し涙、流すから。

⏰:07/06/03 00:56 📱:SH903i 🆔:ETPWO7I2


#174 [みぃ]

お姉ちゃんの枕に顔を埋めた瞬間、
部屋の中に強い風が入り込んできた。

窓に一番近いお姉ちゃんの机の上の紙が飛ぶ。


けだるい身体を起こし、
床に散らばった紙を一枚ずつ拾い集めていく。


テストの答案用紙、ピアノの楽譜、宿題のプリント。

⏰:07/06/03 01:02 📱:SH903i 🆔:ETPWO7I2


#175 [みぃ]

その中に、一枚のメモ用紙を見つけた。

そこには、走り書きながらもお姉ちゃんの手で記入された字が浮かんでいた。


『・・・住所?』

(誰の・・・?)


何気なく目を紙の下の方へ走らせ、
入り込んできたもの。




『―――大原大志・・・!!』

⏰:07/06/03 01:09 📱:SH903i 🆔:ETPWO7I2


#176 [みぃ]





――――ドクンッ・・・




心臓が大きく波打つ。


身体の体温が一瞬で上昇する。



忘れかけていた感情が沸き上がってくる。

⏰:07/06/03 01:11 📱:SH903i 🆔:ETPWO7I2


#177 [みぃ]


近くにあったペンと紙をおもむろに取り、

一文字一文字心を込めて書く。


日も暮れ、すっかりと夜に包まれた室内に、

ペンが紙の上を走る音が響く。


紙が破れるんじゃないか、ってぐらいの筆圧。

⏰:07/06/07 21:55 📱:SH903i 🆔:ZyI0szvc


#178 [みぃ]


大原大志様



一生 笑わないで下さい。

自分の罪を償い、幸せにならないで下さい。


私はあなたを一生恨みます。



どうか、笑わないで下さい。

⏰:07/06/07 21:56 📱:SH903i 🆔:ZyI0szvc


#179 [みぃ]

――――――――――――

差出人の名前は書かず、
切手を貼ってポストに出す。

彼の家へ送ったのは、
これが最初で最後。


後は、入学してからずっと下駄箱へ。


自分で汚い女だって分かってる。

こんなことしたって何も変わらないのも分かってる。
もう、お姉ちゃんは死んでしまったのだから。

⏰:07/06/07 21:59 📱:SH903i 🆔:ZyI0szvc


#180 [みぃ]

――――――----・・・


外はあっという間に暗闇に包まれる。


何の頼りもなく駅の周りの街を歩いているうちに、
すっかり夜になっていた。

時間を確かめる為に携帯を開くと、
すごい着信履歴の数だった。


『―――あ・・・。
 マナーモード・・・。』

⏰:07/06/07 22:04 📱:SH903i 🆔:ZyI0szvc


#181 [みぃ]

マナーモードを解除して、
履歴を確認していく。


“施設”
“施設”
“豊”
“施設”
“美輝
“豊”
“施設”
“豊”
“美輝”




・・・・ただ今 18:40。

⏰:07/06/07 22:09 📱:SH903i 🆔:ZyI0szvc


#182 [みぃ]

(やば・・・門限過ぎてる。)


慌てて施設へ電話する。


[はい、あおば学園です。]

『――あッ・・・。
 ・・・夢芽。』

[――夢芽ッ!?
アンタ今どこにいんのッ?!]


受話口の先生の口調が変わる。

⏰:07/06/10 23:45 📱:SH903i 🆔:BmAgIcJs


#183 [みぃ]

うわ・・・。加山先生だ。


『ごめん、ボーッとしてて・・・。』

[どんだけ心配したと思ってんの!!]


耳がキーンとなる。

声でかいんだよ、加山先生は。


『ごめんッてば。
 今から帰るから・・・。』


電話を切って足早に施設へと戻る。

⏰:07/06/10 23:48 📱:SH903i 🆔:BmAgIcJs


#184 [実習から帰ってきた主です]

うちの施設の門限は18時。

部活がある子は20時。


二週間前に申し出て、
その内容に許可が出た場合は、21時まで延ばすことができる。


あの事故の日、
お姉ちゃんはあいつと遊ぶ為に門限を延ばしてた。

⏰:07/07/03 23:21 📱:SH903i 🆔:zauvG9rE


#185 [みぃ]
 

――――――――――――

施設に着いて、
廊下で会う先生たちに謝りまくった。


「もー・・・本当心配したんだから・・・。」

『ごめん・・・。
 あ、加山先生は?』

「たぶん事務室かな。」

『ありがと。』


今からお説教が始まると思うと、かなりの憂鬱。

⏰:07/07/03 23:25 📱:SH903i 🆔:zauvG9rE


#186 [みぃ]

ため息をつきながら事務室へ向かう。

ノックをしようと思ったら、
中から怒鳴り声が聞こえた。


「なんで一人で帰らせたのッ!!」


顔なんて見なくても分かる。

このハスキーなデカイ声は加山先生だ。

⏰:07/07/03 23:31 📱:SH903i 🆔:zauvG9rE


#187 [みぃ]

恐る恐るドアを開け、
隙間から事務室を覗く。






加山先生と・・・・・





豊?!

⏰:07/07/03 23:33 📱:SH903i 🆔:zauvG9rE


#188 [みぃ]

「あれだけ一人にさせないでって言ったのに・・・。」

「悪かったって。
 今日はどうしても行く所あったんだよ。」

「あの子・・・何するか分かんないから・・・。
 一番さりげなく一緒に居れそうな豊に頼んだのに・・・。」





・・・何?

・・・この会話。

⏰:07/07/03 23:40 📱:SH903i 🆔:zauvG9rE


#189 [にゅー]
この小説何か好き
最後まで書いてくれ
たら嬉しいです

何か続ききになる

⏰:07/07/04 19:50 📱:N703iD 🆔:f9E9xluo


#190 [みぃ]

にゅーサン

コメありがとうございます
大分放置しちゃいましたけど、最後まで頑張るんで、良かったら見て下さいね

更新します

⏰:07/07/05 09:21 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#191 [みぃ]

「明日からちゃんと目ぇ離さねーから!
 結局無事だったんだろー?」

「そうだけど・・・。
 もう・・・。
 寿命縮まっちゃうわよ・・・。」





―――――どういう事?




「あ、夢芽!」

⏰:07/07/05 09:25 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#192 [みぃ]

「えッ?!」


豊が扉の前にたたずむあたしの姿に気付き、
近づいてくる。


「おまえ、みんな心配してたんだぞ?!
 どこ行ってたんだよ。」


豊の手があたしの肩に触れる。





『・・・・・・・触んなッ!!』

⏰:07/07/05 09:28 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#193 [みぃ]


あたしの左手が無意識に豊の手を払いのける。


「・・・夢芽?」

「夢芽、とりあえず話は後で聞くから先にご飯食べておいで。
 あんたの分、取ってあるから。」


加山先生に言われ、食堂へ向かう。




バカみたい。

⏰:07/07/05 09:31 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#194 [みぃ]


何、心開きかけてんの?


豊のあたしへの優しさは、
あたしの事心配してるからじゃない。

先生に頼まれたからだ。


あたしが変なことしないかどうかの見張り役。

あたしが大切だからじゃない。


あたしの傍に居てくれたのは、
あたしの為じゃない。

⏰:07/07/05 09:33 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#195 [みぃ]

「夢芽ー。
 どこ行ってたんだぁー??」


食堂のおじちゃんが夕食を運んでくれながら、
語りかける。


『えへへ、ちょっとね。』

「心配してたんだぞー?
 まぁ、無事で良かった。」


そう言って、おじちゃんはあたしの頭をなでる。


『・・・ありがと。』

⏰:07/07/05 09:37 📱:SH903i 🆔:RzssrUic


#196 [みぃ]

おじちゃんには昔から、
何か弱い。


「今日の晩御飯はー・・・
 あ!夢芽、レバー食えなかったな!」


目の前にはレバーの炒め物が他の食べ物と一緒に並んでいる。


「レバー食べると、湿疹出るんだっけ?
 他のに代えるよ。」

⏰:07/07/08 22:52 📱:SH903i 🆔:GpES.BMM


#197 [みぃ]
 

おじちゃんが皿に手をかける。


『―――――いい。』


「――――へ?」


唾を飲み込み、
一息でレバーの炒め物をかきこむ。


「――ちょッ・・・夢芽!?」

⏰:07/07/08 22:55 📱:SH903i 🆔:GpES.BMM


#198 [みぃ]


『――ごほッ!うッ・・・。』

「あぁあ〜何やってんだよー。
 だから他のに代えるって言ったのにー!!」


むせるあたしの背中を、
おじちゃんは優しくさすってくれる。


『気持ち・・・わる・・・うッ・・・。』

⏰:07/07/08 22:58 📱:SH903i 🆔:GpES.BMM


#199 [みぃ]

「何で食べられない物食べたのー!!」


おじちゃんが水を渡してくれる。


『だって・・・大好物だったの・・・。』

「え?」




『お姉ちゃんの・・・大好物だったの・・・。』

「夢芽・・・。」

⏰:07/07/08 23:01 📱:SH903i 🆔:GpES.BMM


#200 [みぃ]


バカみたい。

希望なんて何もなかったはずなのに・・・。


こんなに傷ついてるあたしが悔しい。


少しでも周りに期待してた証拠じゃない。




―――――バカだよ。

⏰:07/07/08 23:03 📱:SH903i 🆔:GpES.BMM


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