からっぽの心
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#420 [
みぃ
]
一人・・・暮らし・・・?
『―――どこに?!』
「大学の近く。
――つってもまだ探し中なんだけどね。」
―――知らなかった。
:08/01/24 16:39
:SH903i
:KoC3LOaI
#421 [
みぃ
]
大学が決まったところまでは知っていたけど、
三年は自由登校だったし、
卒業式でも少ししか話せなかったから。
確かにこの辺は終電は早いし、
駅までのバスなんて一時間に二本だし、
通学に不便なのはよく分かる。
――――でも・・・。
:08/01/24 16:42
:SH903i
:KoC3LOaI
#422 [
みぃ
]
『会えなくなっちゃうの?!』
自分で予想していた以上に大きな声が出たらしく、
大志くんは目を丸くして驚いていた。
「何言ってんの。
会えるよ。」
馬鹿だね、と言って笑う大志くんとは反対に、
あたしの表情は曇ったままだった。
:08/01/24 16:48
:SH903i
:KoC3LOaI
#423 [
みぃ
]
「ほら、笑顔!」
大志くんの手に引っ張られる頬からは不思議と痛みを感じなくて、
指から温もりだけが伝わる。
「あーあ、
そんな泣きそうな顔してさ。
2年前とは大違いだねー?
まぁ、嬉しいけどさ。」
『泣かないよ・・・。
でも、笑えない・・・。』
:08/01/24 16:54
:SH903i
:KoC3LOaI
#424 [
みぃ
]
なにがこんなに悲しいのか
どうしてこんなに辛いのか
なんでこんなに大志くんと離れることが嫌なのかが
自分でもわからない。
わからないから、
解決策も見当たらない。
:08/01/24 16:56
:SH903i
:KoC3LOaI
#425 [
みぃ
]
本当は、笑って
「おめでとう」
そう言うべきなんだろうけど
最後まで‘いい子’になれないあたし。
でも、変わらなきゃいけない。
大志くんの重荷にならないように。
:08/01/29 19:32
:SH903i
:760GA90o
#426 [
みぃ
]
「夢芽ちゃ・・・」
『――わかった、
ごめんね、頑張って!』
精一杯気持ちを噛み殺して見上げた大志くんの顔は、
笑顔だった。
本当はずっとこの笑顔でいて欲しい。
困らせてばっかじゃダメだよ。
:08/01/29 21:39
:SH903i
:760GA90o
#427 [
みぃ
]
『大志くん・・・。
これ・・・。』
そう言いながらポケットから取り出した物を見て、
大志くんの表情が変わる。
「―――なんで・・・。」
大志くんの独り言に近い呟きに応えず、
大志くんの掌にそれを転がせる。
:08/01/29 21:43
:SH903i
:760GA90o
#428 [
みぃ
]
シルバーのペアリング。
お葬式の日に、
美輝が警察から受け取ったもの。
『本当はね・・・
もっと早くに渡さなきゃいけないと思ったんだけど・・・。』
大志くんがこびりついた血を見て、
悲しそうな顔をする。
:08/01/29 21:47
:SH903i
:760GA90o
#429 [
みぃ
]
「オレが・・・
苦しむと思った・・・?」
目を伏せながら小さく頷く。
『受験に集中して欲しかったのもあるの。
でも、これ握りしめて毎日お祈りしてた。』
そう言って大志くんの掌ごと指輪を包み込んだ。
「お祈り・・・?」
:08/01/29 21:51
:SH903i
:760GA90o
#430 [
みぃ
]
『うん。
大志くんが合格しますようにって。』
ひんやりとしていた指輪が、2人の体温で温まっていく。
『でも、失敗したな。』
「え?」
『合格した後でお守りとして渡しとけば良かったなって後悔した。』
:08/01/31 20:12
:SH903i
:MYCX6XLk
#431 [
みぃ
]
ははっと小さく笑うと、
大志くんが大きな両手であたしの身体を抱きしめてくれた。
「泣きたくなったらすぐ呼んで。
こんな兄ちゃんで良ければすぐ行くからさ。」
目の奥が熱くなっていくのが分かる。
でも、
かっこいい事言う割に鼻声なのが笑えた。
:08/01/31 20:25
:SH903i
:MYCX6XLk
#432 [
みぃ
]
「あ、何、笑ってんの!」
『ぷくく・・・
やだよ、こんな泣き虫なお兄ちゃん。』
「えー?ひどっ!!」
そう言って2人で笑った。
何故かツボに入って、
2人で大声で笑い転げた。
:08/01/31 20:30
:SH903i
:MYCX6XLk
#433 [
みぃ
]
こんな風に笑える日なんて来ないと思ってた。
腐るのを待つだけのあたしが人と向き合えるなんて
もう無いと思ってた。
昔、お姉ちゃんが言ってた。
「どん底まで落ちたら、
あとは昇るだけだよ。」
:08/01/31 20:34
:SH903i
:MYCX6XLk
#434 [
みぃ
]
あの頃のあたしは確かにどん底で、
這い上がる気力さえなかった。
でも、少しずつ暗い穴を抜け出そうともがいてる。
自分一人の力じゃなくて
周りのパワーを分けてもらって。
みなぎる力を武器にして
心に覆い被さる闇をやっつけてやる。
あたしは 生きてるから
:08/01/31 20:39
:SH903i
:MYCX6XLk
#435 [
みぃ
]
――――――――――――
霊園で大志くんに別れを告げ、
バス停までの坂道を下っていく。
一歩一歩、今を踏み締めながら。
バス停のベンチに人影を見つけた。
ゆっくり近付き、覗き込む。
:08/01/31 20:44
:SH903i
:MYCX6XLk
#436 [
みぃ
]
『豊?』
その人物はゆっくりと顔を上げてあたしを見る。
「美優、元気だった?」
豊の微笑みはあたしの固い心を溶かしてくれる。
『うん、大志くんに会えたからね。』
:08/01/31 20:50
:SH903i
:MYCX6XLk
#437 [
みぃ
]
そう言って横に腰掛けた時、豊が嬉しそうに
「そっか。」
と笑った。
『豊は?
会わなくていいの?
今、来たんでしょ?』
あたしの問いに、
豊は渋い顔をした。
「追試受かるまで顔合わせらんねぇ。」
:08/01/31 20:56
:SH903i
:MYCX6XLk
#438 [
みぃ
]
『あはッ!馬鹿だ。』
豊は2年最後の期末考査で数学と英語を落として、
次で再々々追試。
『一緒に3年なれないかもね〜。』
皮肉を込めた口調で言ったけど、
豊にはさほど効果がないみたいだった。
:08/01/31 21:00
:SH903i
:MYCX6XLk
#439 [
みぃ
]
「んな訳ねーだろ。
オレは天才だから。」
『天才は追試なんかなんねぇよ、ばーか。』
そう言って2人で笑っている時の豊の手はあたしの上。
今は世間で言う恋人同士。
自分でもまさかの展開。
:08/01/31 21:06
:SH903i
:MYCX6XLk
#440 [
みぃ
]
施設の中では自重してるけど、
みんなあたしたちのことを喜んでくれた。
あたしにとって
初めての体験と感情で、
なんかくすぐったい気がしたけど、
嫌な気分じゃなかった。
恥ずかしさの方が大きいのかも。
:08/01/31 21:11
:SH903i
:MYCX6XLk
#441 [
みぃ
]
お姉ちゃんが死んだ時、
この命を捨てていいとさえ思えた。
生きてることに何の意味も見出だせなくなっていた。
心が泉みたいで水が張ってあるのなら、
あの時のあたしはまさに、
からっぽだった。
:08/01/31 21:14
:SH903i
:MYCX6XLk
#442 [
みぃ
]
でも、最初に美輝に言われた通りだった。
辛いのはあたしだけじゃない。
みんな何かしらの傷を負って生きてるんだ。
傷の深さは
目に見えないもので
簡単に計れるものじゃない。
:08/01/31 21:25
:SH903i
:MYCX6XLk
#443 [
みぃ
]
だけど、その人にとってはそれが死活問題なくらい悩んでる。
傷は一生癒えない。
色褪せるはずもない。
だけど、
その傷を引き連れて生きていかなくちゃならない。
くじけてる暇があったら前へ進め。
:08/01/31 21:28
:SH903i
:MYCX6XLk
#444 [
みぃ
]
「ゴールデンウイークどこ行くか決めた?」
豊が繋いだ手を握り締めながら尋ねる。
『まだ。
どこでもいいよ。』
「んだ、それ!
真面目に考えれ!」
少しふてくされた表情をする豊。
そんな豊を見て思う。
幸せって、こういう事なのかも。
:08/01/31 21:33
:SH903i
:MYCX6XLk
#445 [
みぃ
]
様々な人に触れて、
初めて人間の温かさを知った。
人間に優しさを与えてくれるのは人間でしかないことも。
からっぽだった心は少しずつ満ちていく。
変えるのはいつだって自分。
:08/01/31 21:41
:SH903i
:MYCX6XLk
#446 [
みぃ
]
:08/01/31 21:42
:SH903i
:MYCX6XLk
#447 [
みぃ
]
栗山 美優様
元気ですか?
そっちではうまく笑えてますか?
あなたがこの世を去って2年が経つけれど、
まだ傷は痛みます。
でも、
泣いてないよ。
笑ってる。
いつか会える日まで頑張るから。
その時は成長したあたしを見てね。
たくさんの温もりをありがとう。
安幡 夢芽
:08/01/31 21:46
:SH903i
:MYCX6XLk
#448 [
みぃ
]
:08/01/31 21:48
:SH903i
:MYCX6XLk
#449 [
みぃ
]
これで一応おしまいです。
更新がすごく不定期で
文章も雑ですみません。
最後の方は見てる人いないかもしれませんでしたが、
最後まで書き終えるのが責任だと思ったので、
図々しいながらも書かせて頂きました。
こんな駄作に感想をくれた皆様、ありがとうございました。

みぃ

:08/01/31 21:52
:SH903i
:MYCX6XLk
#450 [でら]
更新楽しみに見ていました。
完結お疲れ様ですヽ(*´∀`)ノ
:08/02/09 05:20
:SH903i
:3cfG807M
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