からっぽの心
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#435 [
みぃ
]
――――――――――――
霊園で大志くんに別れを告げ、
バス停までの坂道を下っていく。
一歩一歩、今を踏み締めながら。
バス停のベンチに人影を見つけた。
ゆっくり近付き、覗き込む。
:08/01/31 20:44
:SH903i
:MYCX6XLk
#436 [
みぃ
]
『豊?』
その人物はゆっくりと顔を上げてあたしを見る。
「美優、元気だった?」
豊の微笑みはあたしの固い心を溶かしてくれる。
『うん、大志くんに会えたからね。』
:08/01/31 20:50
:SH903i
:MYCX6XLk
#437 [
みぃ
]
そう言って横に腰掛けた時、豊が嬉しそうに
「そっか。」
と笑った。
『豊は?
会わなくていいの?
今、来たんでしょ?』
あたしの問いに、
豊は渋い顔をした。
「追試受かるまで顔合わせらんねぇ。」
:08/01/31 20:56
:SH903i
:MYCX6XLk
#438 [
みぃ
]
『あはッ!馬鹿だ。』
豊は2年最後の期末考査で数学と英語を落として、
次で再々々追試。
『一緒に3年なれないかもね〜。』
皮肉を込めた口調で言ったけど、
豊にはさほど効果がないみたいだった。
:08/01/31 21:00
:SH903i
:MYCX6XLk
#439 [
みぃ
]
「んな訳ねーだろ。
オレは天才だから。」
『天才は追試なんかなんねぇよ、ばーか。』
そう言って2人で笑っている時の豊の手はあたしの上。
今は世間で言う恋人同士。
自分でもまさかの展開。
:08/01/31 21:06
:SH903i
:MYCX6XLk
#440 [
みぃ
]
施設の中では自重してるけど、
みんなあたしたちのことを喜んでくれた。
あたしにとって
初めての体験と感情で、
なんかくすぐったい気がしたけど、
嫌な気分じゃなかった。
恥ずかしさの方が大きいのかも。
:08/01/31 21:11
:SH903i
:MYCX6XLk
#441 [
みぃ
]
お姉ちゃんが死んだ時、
この命を捨てていいとさえ思えた。
生きてることに何の意味も見出だせなくなっていた。
心が泉みたいで水が張ってあるのなら、
あの時のあたしはまさに、
からっぽだった。
:08/01/31 21:14
:SH903i
:MYCX6XLk
#442 [
みぃ
]
でも、最初に美輝に言われた通りだった。
辛いのはあたしだけじゃない。
みんな何かしらの傷を負って生きてるんだ。
傷の深さは
目に見えないもので
簡単に計れるものじゃない。
:08/01/31 21:25
:SH903i
:MYCX6XLk
#443 [
みぃ
]
だけど、その人にとってはそれが死活問題なくらい悩んでる。
傷は一生癒えない。
色褪せるはずもない。
だけど、
その傷を引き連れて生きていかなくちゃならない。
くじけてる暇があったら前へ進め。
:08/01/31 21:28
:SH903i
:MYCX6XLk
#444 [
みぃ
]
「ゴールデンウイークどこ行くか決めた?」
豊が繋いだ手を握り締めながら尋ねる。
『まだ。
どこでもいいよ。』
「んだ、それ!
真面目に考えれ!」
少しふてくされた表情をする豊。
そんな豊を見て思う。
幸せって、こういう事なのかも。
:08/01/31 21:33
:SH903i
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