きみを送るA
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#221 []
「あんな体質…って?」

「志乃くん、子供は母胎にいる頃から外の音が聞こえるという話、聞いた事ありませんか?」

「………さぁ…ある…かな……いや、ないかな…」

「弟は母胎にいる頃から、外の音を聞いていた。つまり義母のお腹にいた時から、義父の性格を知っていたという事になります」

⏰:07/05/09 02:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#222 []
「……………」

「まぁ、頭の悪い志乃くんには縁のない話ですが」

やかましい

「特殊能力、ですね。弟は特殊能力を持っていました。だから知的障害のフリをしていた。義父の暴行、異常なまでの完璧主義ぶりを…弟はわからないフリをしながらも影では笑っていた。頭良いですよね」

⏰:07/05/09 02:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#223 []
「しかし…」

コウはそれまでニッコリしていた顔を止めた。

眉間にしわを寄せている。

「……………」

俺のゴクリと緊張を飲み込む音だけが鳴り響く。

「その頭の良さ…完璧なほどの演技力が、弟を残酷な道に踏み込ませたんです」

⏰:07/05/09 02:13 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#224 []
コウと旬が話していた時
義父が一人、プールに近づいてきた。

旬はすぐさまいつも通りの障害あるフリをし、プールではしゃいでいた。

《コウ、少し外してくれないか》

義父がコウに向かい、
ニッコリと微笑み言った。

⏰:07/05/09 03:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#225 []
コウは義父には逆らわず、プールを出た。

《ああ、旬ものどが渇いただろう。コウ、ジュースをとってきてくれ》

義父の言う通り、
コウはジュースを取りに家の中に入ろうと、ドアに手を伸ばした。その時

⏰:07/05/09 03:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#226 []
《バシャーンッ!!》

大きな水しぶきの音が聞こえ、コウはプールを振り返った。

「義父は………」

まさか…

「義父は旬を…」

まさか……

「義父は旬をプールに沈めたんです」

⏰:07/05/09 03:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#227 []
「僕は足が動きませんでした。ただ…ただ呆然とし、その場に立ち尽くしていました」

コウは俯いたまま、
わずかだが震えていた。

「義父はバタバタとする旬の…義弟の頭を掴み…」

コウの顔から
涙がポタリと落ちた。

⏰:07/05/09 03:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#228 []
「…義父が殺した……お前は殺してないやん!殺したんはお前ちゃうやん!!」

俺の言葉に
コウは俯きながら首を横にふった。

「あの時僕は確かに、旬の声が頭の中に響いた…旬ははっきりと言いました。お兄ちゃん助けて、と。僕は…僕は旬を助ける事ができませんでした」

⏰:07/05/09 03:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#229 []
「あの時、助けようと思えば助けられたんです。なのに僕は……」

コウはポタポタと涙を流し続けている。

「お前が悪いわけちゃう」

俺はコウの肩をポンッと軽く叩いた。
コウはまた首を横に振った

「僕が悪いんです」

⏰:07/05/09 03:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#230 []
コウは旬が沈められ、
バタバタと動かなくなるまで黙って見ているしかできなかったらしい。

旬の動きはだんだんと弱くなり、ついには動かなくなった。

さっきまで動いていた旬の手が、身体が、
水面にぷかっと浮いた時、義父は旬を見ながらニヤリと笑い口を開いた。

《出来損ないは神谷家には必要ない》と。

⏰:07/05/09 03:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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