きみを送るA
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#400 []
「…コウ…姫菜の携帯番号聞いたか?」

俺の質問に
コウは俺をギロリと睨んだ

「聞いてません」

「……そっか……」

俺だけ携帯番号聞いたなんて言えないなー。

は〜めんどくせ〜…。

⏰:07/05/25 18:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#401 []
俺は名刺をポケットに入れ、コウと並んで帰路についた。

「はあ…」

コウが悩ましげにため息をつく。

旬の事で…
こいつもまいってるんかな

「やはり姫菜さんは天使のような方でした」

その事かい!!

⏰:07/05/27 03:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#402 []
「どこが天使かわからん」

「どこが、ではなく彼女は全てが天使なんです」

ニコニコしながらコウが言った。

天使とは真逆なんですけど

「天使とは真逆なんですけど」

「…悪魔とでも言うんですか」

いやいや

「そこまではゆってない」

⏰:07/05/27 03:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#403 []
「小悪魔、ですかね」

小悪魔…?

「誰が」

「彼女が」

「彼女とは」

「姫菜さんが」

ないないないない

「ありえへん」

「でしょう?ならばやはり天使です」

あーりーえーねー!!

⏰:07/05/27 03:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#404 []
【第21章 悪魔記念日】

「志乃くん今日は飲みましょう」

家につくなり、コウが冷蔵庫からビールを取り出し言った。

おいおい
俺んちですよね

「今日はやけ酒です」

さいでっか〜。

「今日くらいいっか」

俺達は部屋に入りビールを開けた。

⏰:07/05/27 03:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#405 []
「かんぱ〜い」

缶ビールの鈍い音で乾杯し、俺達はグイッとビールを飲んだ。

「っく〜っ!!夏はビールうまいな〜」

「あなたは親父ですか」

「枝豆食いたない?」

「いいですね、持ってきて下さい」

「え?家にないで」

「………………」

⏰:07/05/27 03:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#406 []
「………………」

「ではなぜ言ったんです」

「食いたいと思ったから」

「でもないんでしょう」

「…ないけど……」

「………………」

「………………」

⏰:07/05/27 03:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#407 []
沈黙のあと、コウはビールを見つめた。

「志乃くん、夏のビールには何でしょう」

「は」

「夏のビールには」

「……………」

「枝豆ですよね」

多分

「そーやと思う」

「では買ってきて下さい」

⏰:07/05/27 03:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#408 []
「俺が!?」

「当たり前です。先に言ったのは志乃くんです」

「…そーやけど……」

「でも、はいりません。買ってきて下さい」

「……………」

「志乃くん僕は…えだま…め……が………」

またこのパターンかい!

コウは腹を押さえ倒れた。

⏰:07/05/27 03:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#409 []
ええい!!

「わかりました!!買ってきたらえーんやろ!!」

「ありがとうございます」

コウは起き上がり飄々としながらビールを飲んだ。

「何見てるんですか早く買ってきなさい」

命令すんな!!

「…いってきます」

「早くして下さいね」

⏰:07/05/27 03:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#410 []
俺は枝豆を買いにスーパーへ向かった。

「枝豆〜枝豆〜……あ、すんません。枝豆ってどこにありますか」

「枝豆ですか?」

うわっお〜!!
声をかけた店員は驚くほどべっぴんさんだ。

「え…枝豆っす!!」

⏰:07/05/28 01:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#411 []
「こちらですよ」

ニッコリとべっぴんの姉ちゃんが俺を案内してくれた

目的地…枝豆のもとへ。

「こちらにありますよ」

「ありがとうございます」

俺はあまりのきれいさに
目がハートになった。

⏰:07/05/28 01:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#412 []
「あの…?なにか…?」

はっ!!

「すんません!!何もないっす」

思わず見とれてしまった

姉ちゃんはクスクスと笑い俺に枝豆を渡してきた。

「あたしのオススメはこの枝豆なんですよ」

⏰:07/05/28 01:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#413 []
姉ちゃんが渡してきたのは数ある枝豆の中でも
最も高い枝豆。
まさにキングオブ枝豆。

「……高い…っすね」

「そうですか?でも枝豆の中でもこれが一番なんですよ。あたしこの枝豆大好きなんです」

そんなかわいらしい笑顔で言われたら…

⏰:07/05/28 01:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#414 []
「じゃ〜これもろとくわ」

「ありがとうございます」

買うしかないではないか!

「また来て下さいね」

「は〜い!」

俺はニヤニヤしながら
キングオブ枝豆を片手に帰路についた。

「おかえりなさい」

⏰:07/05/28 01:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#415 []
部屋に入るなり
コウは二本目のビールを片手にくつろいでいるところだった。

「枝豆」

俺はコウにキングオブ枝豆を差し出した。

「……茹でて下さいよ」

コウが枝豆を睨みつけて言った。

「お前が茹でろ!居候のくせに!!」

⏰:07/05/28 01:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#416 []
「志乃くんが茹でて下さい。僕は志乃くんの茹でた枝豆が食べたいです」

「お前が茹でろや!!ただで居座ってんなや!しばくぞ!!」

……あれ?
俺なんでこんなキレてんねやろ……。

「……すみません…」

コウは驚いた表情で
俺の手からキングオブ枝豆を取って部屋を出て行った

⏰:07/05/28 01:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#417 []
う〜ん……

コウが部屋を去り、一人になった俺はソファーに腰かけた。

「……………」

なんであんなキレ気味に言うてしまったんやろ…

ただで居候とか…
俺からコウを呼んだわけやし、そんなん思ってへんのに………

⏰:07/05/28 01:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#418 []
「う〜ん………」

俺がうなだれていると
コウが枝豆を茹でて戻ってきた。

「どうぞ」

コウは大人しげに俺に枝豆を差し出した。

「…サンキュー」

「……………」

コウは何も答えずに床にしゃがみ込んだ。

⏰:07/05/28 01:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#419 []
普段のコウなら

《僕が茹でた枝豆ですから普通の枝豆よりも格別においしいですよ》

などとニヤリとした表情で言いそうなものなのだが。

俺がキレたからか?

「コウ……」

「なんですか。枝豆食べないんですか」

⏰:07/05/28 01:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#420 []
茹でた枝豆をじろっと見ながらコウは冷たく言い放った。

「…食うけど……」

「どうぞ」

コウは俯いたままビールの缶の飲み口を指でなぞっている。

「コウは食わんのか」

「いいから、どうぞ」

⏰:07/05/28 01:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#421 []
「…いただきます」

俺はキングオブ枝豆を口に運んだ。

枝豆が口に付いた瞬間チラリとコウを見る。

お…俺を見ている。

コウは睨んでいるような
哀れんでいるような
なんとも微妙な顔つきで俺を見ていた。

⏰:07/05/28 01:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#422 []
「…なんやねん」

「いえ、別に」

俺と目が合うと
コウはフイッと視線を逸らした。

へんなやつ。

俺は枝豆を口に入れた。

「…ん!!」

「どうしました」

コウは目をまんまるにして俺を覗き込んだ。

⏰:07/05/28 01:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#423 []
まさにこれは

「キングオブ枝豆!!」

「…なんですかそれは」

「枝豆の中のキングや!」

「……………」

「味の宝石箱や〜」

「……そうですか」

「なんやねんその薄い反応は!!」

⏰:07/05/28 01:57 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#424 []
「反応の仕方に困ります。それに薄いのはあなたの頭です」

ええい!!

「やかましい。好きで禿げたわけちゃうわ」

「そうですか?」

そーですよ

「好きで禿げたのかと思いました」

お前禿げた理由知ってるやんけ!!

⏰:07/05/28 02:00 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#425 []
「…もうええわい」

もくもくと枝豆を食べる俺を見て、コウはニッコリ微笑んだ。

「よかったです。先程の志乃くんが別人のようだったので僕少し困りました」

「へ?」

「僕に枝豆を茹でろと言った時の志乃くん…まるで別人の目でした」

⏰:07/05/28 02:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#426 []
「…そうか……?」

確かに
さっきの俺、自分じゃないみたいやった…
なんつーか…口が勝手に動いたというか…

「いえ、僕の気のせいだと思います…」

コウはちらっと俺を見て
わずかに微笑んだ。

「ビール取ってくるわ」

⏰:07/05/28 02:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#427 []
「お願いします」

俺は勢いよく立ち上がった

「?志乃くん何か落ちましたよ」

「え?なに………あ!!」

「……………」

コウは無言で俺のポケットから落ちた例のブツを持ち上げた。

⏰:07/05/28 02:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#428 []
「いや…あの……コウ……それは……え〜と…」

「…なんですかこれは」

コウはまじまじと例の名刺を見ている。

み…眉間にしわが!!

「…いや…なんつ〜か…」

「志乃くん僕の天使と連絡とってるんですか」

⏰:07/05/28 02:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#429 []
「いや…」

「ではこれはなんですか」

コウは俺の目の前に
名刺をずいッと差し出した

「…帰り際に渡された」

「………………」

コウは長い沈黙のあと
それはそれは長い、重いため息をついた。

⏰:07/05/28 02:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#430 []
「彼女は僕の天使ではなく志乃くんの天使だったというんですか…」

はい!?

「いやいやいやいやちょっと待ちたまえコウくん」

「……なんですか」

「まず第一に、姫菜は天使ちゃうから」

「…天使以外の何と」

人間以外の何者でもないんですけど。

⏰:07/05/28 02:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#431 []
「…いいですよ…姫菜さんは志乃くんに譲ります」

はいぃ!?

「別にいらんねやけど」

「いらない、とは失礼ですね。彼女は物ではありませんよ」

お前から譲るやらゆーたやん!

「俺には幸子おるから」

「そういえばいましたね」

おい!!

⏰:07/05/28 04:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#432 []
「幸子さんは元気なんですか」

「まぁな」

「会わないんですか」

「……………」

「ああ、僕がいるから会えないんでしたね。すみません。志乃くんは幸子さんよりもこの僕を選んだんでしたね」

コウは今まで見たことがないくらいの笑顔で言った。

⏰:07/05/28 04:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#433 []
「そんなにうれしいか」

「はい?」

「いや…めっちゃ嬉しそうやから」

「はい。僕は今まで友達と呼べる方がいませんでしたから」

コウは俺を見てニコッと笑った。

「いいものですね、友達って」

⏰:07/05/28 04:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#434 []
「……………」

「志乃くん?」

「もー寝るわ!」

俺はベッドに潜り込んだ

「照れてるんですか」

「やかましい!!」

アルコールのせいもあるが俺は顔から火がでるくらい真っ赤になった。

⏰:07/05/28 04:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#435 []
コウはクスクスと笑いながらソファーに横になった。

「志乃くん…」

「…………なに」

「志乃くんは僕の親友です。だから何があっても僕はあなたを裏切りません。困った時は助けます」

コウに目を向けると
コウは天井を見ながら目を細めていた。

「そりゃ…どうも」

⏰:07/05/28 04:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#436 []
コウは天井を見たまま
フッと笑い

「お礼はいいです」

と言った。

俺は何だか
あったかい気持ちになった

ああ…俺も今まで
こんな風に言ってくれる友達っておらんかったな…

「…サンキューな……」

⏰:07/05/28 04:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#437 []
ボソッと呟いた俺の言葉はコウには届かなかったのか、コウは目をまるくして

「何か言いましたか?」

と言った。

「別に〜!おやすみ!」

「おやすみなさい」

俺達は眠りについた。
まさか俺が
コウを裏切る日がくるなんて、この時の俺は想像もしていなかった。

⏰:07/05/28 04:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#438 [すず]
おはようお久しぶり最近は全然来られなくてゴメンネ
今一気に更新分見たよぉ志乃くんのこれからが気になる〜コウを裏切るって一体何があの姫とどおにかなっちゃうの〜
とか、気になることは山ほどだけど、私は気長に待ってるからゆっくり更新してね

⏰:07/05/28 07:44 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#439 []
俺はその夜
夢を見た。

――――――………

《……のくん……》

《……志乃くん…》

コウ……?

『コウ!!お前…』

《志乃くん……》

コウが
血まみれになって
俺を呼んでいる。

⏰:07/05/29 04:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#440 []
『コウ!!』

俺はコウに駆け寄ろうと立ち上がった。

《だめです…あなたは…》

コウは唇を噛み締め
苦痛に歪んだ表情をした。

『何言って…コウ!!』

俺はコウの元へ走ろうとした…が

……足が……。

⏰:07/05/29 04:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#441 []
足が動かない。

『コウ……っ…』

俺はコウに向かって手を伸ばす。

『コウ…!!』

届かない。それどころか
コウはどんどん離れていく

《僕は…あなたを……》

⏰:07/05/29 04:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#442 []
苦痛に耐える表情をしながら
コウは俺に向かい微笑んだ

《…僕は………》

え?なに?

《志乃くん…僕は……》

何て言ってるんや…?

《僕は…あなたを…守れま………し…た……》

⏰:07/05/29 04:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#443 []
―――………

「コウ!!!!」

俺はガバッと跳び起きた。
体中が汗でべとべとしている。

「…な…んや…夢…か」

変な夢を見たせいか
俺は呼吸が荒くなっていた

「…おはようございます」

⏰:07/05/29 04:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#444 []
「あ…おはよ…」

ムクリとだるそうにコウが起き上がり、時計を片手にとった。

「…まだ5時ですが…何の用ですか」

「は?」

コウはあきらかに不機嫌な表情で俺をじろっと見た。

⏰:07/05/29 04:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#445 []
「僕の名前を呼んだでしょう?……まさか…」

コウの目がギロリと光った

「寝言で僕の名前を呼んだんですか」

「…う………」

「…図星ですか」

「……まぁ…」

コウは朝っぱらから深いため息をついた。

「まさか僕の夢を見たなんて気持ち悪い事言いませんよね」

⏰:07/05/29 04:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#446 []
「……………」

ん?
俺なんの夢見てたっけ。

コウの名前を叫んだ事は覚えてる。だが
夢の内容は……

「出演料いただきます」

「…いくらよ」

「そうですね、僕最近バイクの免許がほしいです」

払えるかい!!

⏰:07/05/29 04:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#447 []
「ケタがちゃうやろ」

「…ではマンションを」

「ケタがちゃうわ!ケタが!!」

「わかりました。野菜生活でいいですよ」

あら、味覚戻ったん?

「それで、どのような夢を?」

⏰:07/05/29 04:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#448 []
「…忘れた」

「と、言いますと?」

「覚えてへん」

「こんなに朝早くに僕を起こすような夢を見たくせに覚えてない、ですか」

「……おー」

ほんまに何の夢やっけ…

「…志乃くんは記憶力がないんですね…髪がないから頭の中身も抜けていくんでしょうか」

⏰:07/05/29 04:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#449 []
「頭は関係ないやろ」

「関係あります」

コウは布団に潜り込んだ

「もう少し寝ます。おやすみなさい」

「…おやすみ」

俺は額から流れる汗をぬぐい、再び眠りについた。

⏰:07/05/29 05:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#450 []
【第22章 幕開け】

《時間です》

《起きて下さい》

《時間です》

「…う〜……ん」

《起きて下さい》

「……うるせ〜…」

って………

「なんや!?」

⏰:07/05/30 03:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#451 []
「ああ、おはようございます志乃くん」

「…今のって…」

何?

「目覚ましです」

なんか…コウの声に聞こえたんやけど……

「僕の着ボイスです」

えーーー!!?何それ!

⏰:07/05/30 03:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#452 []
「おまっ……えっ?…なに…着……?」

「志乃くん何を伝えたいんですか。しっかり話して下さい」

自分の着ボイスを目覚まし音にするとは…
いやいや
それ以前に自分の着ボイスを保存するやつなんか初めてみたぞ。

⏰:07/05/30 03:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#453 []
「自分の声で目が覚めるとは、なんだか不思議な感じですね」

ほなやめろ。

「今日はとても目覚めがいいです」

コウはニコニコしながら
大きく伸びをした。

こいつ
自分大好き人間か!?

⏰:07/05/30 03:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#454 []
「お腹すきましたね。朝ごはんいただけますか」

「…ちょっと待って」

「プレイバック」

!!?

「……プレイバック…」

「いいですね、待ちましょう」

ノッてもーた…。
俺はため息をつきながらリビングへ向かった

⏰:07/05/30 03:36 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#455 []
「かーちゃん飯は…」

リビングはシーンとしていた。テーブルの上には紙切れと二千円が置かれている

《朝飯なし。朝マックでも買うて食べなさい》

朝マック…ねぇ…。
俺はいいけど
コウが何て言うか……

⏰:07/05/30 03:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#456 []
「いいですね行きましょうか」

部屋に戻りコウに伝えると意外にもコウはニッコリとして立ち上がった。

「お前マクド食った事あるんか?」

「いいえ」

やっぱり…

「未知の食べ物ですのでぜひ食してみたいです」

⏰:07/05/30 03:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#457 []
未知て…
マクドが未知て…
あの有名なファーストフードマクドナルドが未知!?

「なぜ関西ではマクドと言うのに朝マックだけは朝マックなんですかね?朝マクドでいいじゃないですか」

そんなん俺に言われても!

⏰:07/05/30 16:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#458 []
「まぁいいでしょう。急がないと朝マックを食べる予定が普通のマクドを食べる事になりますよ」

普通のマクドて?
朝マックは普通ちゃうんか?てかややこしい言い方すんな!!

「別にどっちゃでもええやんけ」

「だめです」

⏰:07/05/30 16:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#459 []
「なんで!!」

「志乃くんのお母様の命令でしょう?朝マック食べなさいと」

「……そーですね」

「そうですよ」

行きましょう、とコウは部屋をでていった。

この日
これから起きるマクド店内での出来事が
俺を狂わせる事になる…。

⏰:07/05/30 16:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#460 []
「いらっしゃいませ〜」

マクドへつき
店員がスマイルぜろ円をくれた。

「俺は…何にしよかな」

「僕は志乃くんと同じものにします」

うーん…

「じゃあ〇〇セットふたつ」

「ありがとうございます少々お待ち下さい」

⏰:07/05/30 17:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#461 []
俺達は空いている席に腰かけた。

「学生がたくさんいますね。たまり場でしょうか」

「マクドでオールとかよくやるわな〜」

俺は頬杖をついて
店内をぐるっと見渡した。

「…あれ?」

⏰:07/05/30 17:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#462 []
一人の女性が
小説を片手にコーヒーを飲んでいる。

あの美しい…
あの美しいオーラは!!

「スーパーの店員や!」

俺は目を輝かせた。

コウは俺の目線を追い、美女店員にたどり着いた。

「知り合いですか?」

⏰:07/05/30 17:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#463 []
「いや…昨日枝豆買いに行ったスーパーの…」

「スーパー枝豆の店員ですか」

スーパー枝豆!?

「そんな店名やったんか」

そりゃ枝豆豊富やわな

「いえ、言ってみただけですが」

勝手に名付けるな!!

⏰:07/05/30 17:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#464 []
「ほう……」

コウは美女店員を上から下まで舐めるように見た。

「美しい方ですね」

「めっちゃ美女やわ〜」

「そうですね」

コウは対して興味なさそうに美女から視線を逸らした

こいつもしや
女の趣味悪いんか?

⏰:07/05/30 17:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#465 []
「志乃くん目がハートになってますよ」

「えっ…あ〜ははは」

「何笑ってるんですか。あなたまさかあの方に…」

「ちゃうちゃう!!俺には幸子がおるんやから!」

「……それならいいですけどね…」

そうですとも。
俺には愛しい幸子がおるんやから。

⏰:07/05/30 17:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#466 []
「お待たせしました」

俺達の席に
〇〇セットが届いた。

「いっただきま〜す」

俺はハンバーガーに食らいついた。

「……食わんのか?」

コウは黙ったまま
トレイを擬視している。

「……志乃くん…」

⏰:07/05/31 02:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#467 []
まさか食えないとか言うんちゃうやろな〜…

「…なに」

「少ないです」

「は?」

「たったこれだけではお腹が膨れません」

えー!?
こいつどんだけ食う気やねん

「僕もう1セット買ってきます」

⏰:07/05/31 02:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#468 []
「食うてからにしろ」

「いやです」

「食うてからにしなさい」

「……………」

「黙って早く食べなさい。わかったか?」

俺はコウの親か!!

「……わかりません」

わかってくれ息子よ。

⏰:07/05/31 02:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#469 []
「買ってきます!」

コウは千円札を握りしめ
席をたった。

あいつはガキか…。

俺は黙々とハンバーガーを食った。

「あれー!?」

⏰:07/05/31 02:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#470 []
「昨日の…」

俺は顔をあげた。

「あっ…」

べっぴん店員さんが俺を見て微笑んでいる。

「おはようございます。昨日はどーもありがとう」

「覚えてたん!?」

「きみ、カッコイイから」

えー!!照れますやん!

⏰:07/05/31 02:21 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#471 []
「一人?」

「あ〜今連れときてる」

「そうなんだ〜」

「一人なんスか?」

「うん、これから仕事」

「頑張ってくださ…」

え…!?何この熱い視線

べっぴん店員は
俺をじいーっと見つめている。

⏰:07/05/31 02:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#472 []
「あ…の……」

「なぁに?」

う…やばい…。
何これ……なんか…
この人の目に
吸い込まれそうな…。

「志乃くん?」

コウが戻って俺の名を呼んだ。
俺はハッとした。

「どうしたんですか?」

⏰:07/05/31 02:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#473 []
「いや…別に」

「あ、じゃーあたし仕事だから。また来て下さいね」

べっぴん店員は
俺とコウに軽くお辞儀をし店を後にした。

「何話されてたんですか」

「…別に……」

そうですか、とコウは言いハンバーガーをガブッと食べた。

⏰:07/05/31 02:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#474 []
「…なるほど。案外おいしいですね」

コウは一個めのハンバーガーをたった三口でたいらげた。

「おい」

「はい?」

「もっと噛みなさい」

「いやです」

「噛め」

「いやです」

「噛めや!!」

⏰:07/05/31 02:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#475 []
「何怒ってるんですか」

コウは二個目のハンバーガーを開きながら
鼻でフッと笑った。

「もっと噛めや!!俺の言う事が聞けへんのか!」

「………………」

俺の怒鳴り声で店内の客が俺に注目した。

「志乃くんどうしたんですか?」

⏰:07/05/31 02:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#476 []
コウが心配したような
困ったような表情で俺を見た。

「…あ……わりぃ…」

またや……
また口が勝手に…。

「昨日と同じです」

「え?」

コウがジュースを一口飲んで言った。

「今怒鳴った時の目、昨日の志乃くんと同じでした」

⏰:07/05/31 02:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#477 []
「……………」

「何かあったんですか?」

心配そうな顔で
コウは俺の顔を覗き込んできた。

「…なんもない」

「……そうですか…」

コウは俯いて
今度は一口一口ハンバーガーを噛みしめた。

俺…なんか変や…。

⏰:07/05/31 02:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#478 []
その後俺は食欲がなくなり残ったハンバーガーをコウにあげた。

「志乃くんは本当に少食ですね」

「…やかましい」

なんやろ……。
頭がズキズキする…
頭の中が……。

⏰:07/05/31 02:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#479 []
「志乃くん顔色悪いですよ?大丈夫ですか?」

顔色…?
ただの風邪か?

「大丈夫だいじょ…」

俺は自分の顔に手を当て、ゾッとした。

冷たい…
ただの冷たさじゃない。
まるで氷を触ってるみたいや。

「志乃くん?」

⏰:07/05/31 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#480 []
「…いや…なんもない」

「本当ですか?真っ青ですが…」

「大丈夫やから…」

俺はコウから目線を逸らし窓を眺めた。

「…っ……!?」

なんだこれは………

窓にうっすらと映る俺は
俺じゃなかった。

まるで悪魔のような
真っ青な顔をし、ニヤリと笑っている俺が映っていた

⏰:07/05/31 03:03 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#481 []
俺…
俺は……
今俺はこんな顔をしているのか……?

俺は自分の顔を手で覆った

「志乃くん?本当にどうしたんですか?」

「……るな……」

「はい?」

「見るな!!!」

「志乃くん?」

「俺を見るな!!!」

⏰:07/05/31 03:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#482 []
「志乃くん落ち着いて下さい、どうしたんです?」

コウは俺をなだめながら
俺の手を握った。

「見るな!!」

「志乃くん落ち着きなさい」

コウが俺の顔を
いや、手の上から
俺をひっぱたき、俺は冷静になった。

「どうしたんですか」

⏰:07/05/31 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#483 []
恐る恐る顔から手を退け
再度窓ガラスに目をむける

…いつもの俺や…。

そこに映る俺は
先程とは違った情けない表情をした
まぎれもなく俺だった。

「家に戻りましょう。帰りますよ」

コウは俺の腕を掴み、
足早に店内を後にした。

⏰:07/05/31 03:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#484 []
店の外に出た瞬間、
コウは俺の手を握りながらじっと俺の目を見た。

「ああ…良かったです…いつもの志乃くんの目です」

「……………」

「帰りましょうね」

コウはそれ以上何も言わずにスタスタと歩いた。

俺も俯いたまま
コウの後ろを歩いた。

⏰:07/05/31 03:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#485 []
さっきの俺…
一体なんやったんや?

俺が
俺じゃなかった。

さっきの表情は…

コウは
あの悪魔のような俺を見たのか…?

あんな表情を…
もし見られていたら……


《コロセ》

「え!?」

⏰:07/05/31 03:57 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#486 []
「どうしました?」

俺の声にコウは足を止め
振り返った。

「いや…何も」

「…………」

コウは怪訝な顔つきで俺をじろっと見、親指の爪をガリッと噛み再び歩き出した

今の声…何や?
コロセ……って?

⏰:07/05/31 03:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#487 []
「ただいま帰りました」

家のドアを開け、
コウが玄関に上がった。

お前んちか!!

「…ただいま」

「部屋に行きましょう」

コウは元気のない俺をチラッと見て階段をのぼった。

⏰:07/06/01 00:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#488 []
部屋に入るなり
コウはたばこをとりだし火をつけた。

「大丈夫ですか」

煙を吐きながら
コウは俺を見る。

「……ん、大丈夫…」

「だめですね、どうしたんですか昨日から」

「………別に」

⏰:07/06/01 00:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#489 []
部屋にいても
俺は自分の顔が気になった

鏡…鏡……

俺は机にある小さな鏡を手にとった。

「髪形を気にしてるんですか?大丈夫ですよ髪形は。髪がないんですから」

やかましい。

俺は自分の顔を映し、ホッとした。

いつもの俺や…。

⏰:07/06/01 00:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#490 []
「目を気にしてるんですか」

「え?」

コウは右手にもった煙草からでてくる煙を眺めながら優しい口調で言った。

「なぜ鏡を見てるんです?目を気にしているんでしょう?」

「……………」

⏰:07/06/01 02:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#491 []
そういえば
コウは俺の目が違ったと言ってたな…

その時の俺は…

さっきのような表情をしていたのか?

「大丈夫ですよ。今はいつもの志乃くんと同じです」

「………っき…は?」

「?すみません聞こえませんでした」

⏰:07/06/01 02:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#492 []
「さっきの俺は!?」

「…………」

「どんな表情してたんや!!答えろ!!」

「…そんな必死になって…どうしたんですか」

「………………」

「とりあえず落ち着いて下さい。表情は…わかりませんが目だけが違っていました」

⏰:07/06/01 02:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#493 []
「…どんな風に…」

コウは力なく問い掛ける俺に一瞬目を向け、
フイッとそっぽを向いた

「…僕を憎むような…いえ、全てを憎むような…そんな目をしていました」

全てを…憎むような…

「…そ……っか……」

⏰:07/06/01 02:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#494 []
俺はガクッと肩を落とした

頭が重い…。


コウは俺の隣に座り、
俺の肩を抱き寄せた。

「志乃くんすみません。不安にさせましたか?」

「……………」

「大丈夫ですよ。きっと僕の見間違いです」

⏰:07/06/01 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#495 []
頭が重い…

頭が……。

俺は頭を抱え込んだ。

コウは俺をなだめるように肩をポンポンと叩いた。

「大丈夫ですよ」

優しい口調で俺をあやすコウに
俺は涙が出そうになった

一体俺は

どうしたんや…?

⏰:07/06/01 02:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#496 []
【第23章 異変】

その日以来
俺は特に何も変わらず
相変わらずの日々を過ごしていた。

「志乃くん今日はやけに嬉しそうですね」

俺の身体に異変があった日から一週間がたった。

「今日は幸子が家にくるねん!コウ邪魔せんといてな〜?」

俺はすっかり忘れてしまっていた。
俺の身体に異変が起きていた事なんて

⏰:07/06/01 02:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#497 []
「邪魔しないでと言われても…僕は一緒に住んでいるんですから…」

「頼む!ほんの2時間…いや、1時間でえーから散歩でもしてきてくれへん?」

「長い散歩ですね」

「頼む!!!」

「………わかりました。では2時間、外してあげますよ」

⏰:07/06/01 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#498 []
「サンキュー!!」

俺はコウに抱き着いた。

「やめて下さい…気持ち悪いです…」

「お前にチューしたい気分やわ!」

「…したら殴ります」

「冗談やんっ!!」

俺達はふざけあいながら
幸子を迎えに駅まで歩いた

⏰:07/06/01 02:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#499 []
「偶然だね!」

駅までもうすぐのところで俺達の背後から声が聞こえた。

振り返ると

「あれ?スーパーの…」

スーパー枝豆(仮名)のべっぴんな店員がいた。

「覚えててくれたの?」

店員さんはニコニコしながら俺達に駆け寄った。

⏰:07/06/01 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#500 []
「そりゃ〜べっぴんは忘れへんわ〜」

俺は少し照れながら頭をかいた。

「本当〜?嬉しいな〜」

「マジっス!!」

照れる俺の隣で
コウは涼しい顔をして空を見上げている。

「きれいですね」

⏰:07/06/01 03:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#501 []
「え…あたしが?あなた達友達〜?」

店員さんはコウをニコニコした表情で見ている。

「いえ、空がきれいだと言いました」

おい!!!!

固まる俺と店員さんをよそに
コウは目を細めながら空を見上げている。

⏰:07/06/01 03:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#502 []
「あ〜ハハハ…こいつ連れやけど、変なやつでさ〜」

苦笑いする俺。

「そっ…か〜あはは」

苦笑いする店員さん。

「……………」

清々しい表情で空を見上げ無言のコウ。

こいつはしゃあしゃあと……
フォローしなあかんの俺なんですけど!!

⏰:07/06/01 03:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#503 []
「ねぇ、名前教えてもらってもいいかな?」

「俺っスか!?」

「うん。だめ?あたしはアコっていうの」

アコ!!
かわいい名前〜。

「俺は志乃。こっちはコウやで〜!」

「志乃くんとコウくんね、わかった〜!!」

⏰:07/06/01 03:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#504 []
「志乃くん早く行きましょうよ。幸子さんが待ってますよ」

「あーっ!ほんまや!アコさんまたね!!」

「あっ…志乃くん…」

歩きだそうとした俺を
アコさんが呼び止めた。

「何スか?」

「顔に何かついてるよ」

⏰:07/06/01 03:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#505 []
アコさんはそう言うと
俺の顔にすっと手を伸ばしてきた。

ぎゃーー!!!
やばい!ハズイ!!

俺は固まってアコさんのされるがままになっていた。

「ほら、ここに…」

アコさんは
俺の目をじっと見つめた。

⏰:07/06/01 03:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#506 []
「………………」

またや……

また……

頭がぼーっとしてくる…

頭が重い……。

なんやこれは……

「とれたよっ」

アコさんの言葉で
俺はハッとした。

「あ、ありがと!ほな、またね〜!!」

「また店に来てね」

⏰:07/06/01 03:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#507 []
「おう!また枝豆買いに行くわ〜!」

俺はアコさんに手を振り、駅に向かって歩いた。

コウも振り返りアコさんに軽く会釈をして歩き出した

スタスタと足早に歩くコウの背中越しに、
《ガリッ》と爪を噛む音が聞こえたような気がした。

⏰:07/06/01 03:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#508 []
「志〜乃〜!!」

駅につくと
ちょうど幸子が改札を通るところだった。

「さっちこ〜!!」

俺は改札口に駆け寄った。

「ふふ。久しぶり」

かわいい笑顔で俺の手を握る幸子。

俺は幸せ者や〜。

⏰:07/06/02 01:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#509 []
「幸子さんこんにちは」

「あれ〜神谷くん。どうしたん?」

「ああ、実はですね…」

「今コウと住んでんねん」

「えっ…?そうなん?」

幸子は驚いたように
目を見開いた。

「うん、でも今日は…」

⏰:07/06/02 01:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#510 []
「今日は?」

なんつーか…その……

「今日僕は少し予定があるので」

コウは幸子を見て微笑んだ

「そーなんや。じゃあ志乃と二人なん?」

「お…おう!二人きりやで!!」

⏰:07/06/02 01:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#511 []
今日こそは脱童貞!!と意気込む俺と
それを感じとり顔を赤らめる幸子を
コウはニコニコしながら見ていた。

「では僕はこれで」

「神谷くんまたねっ」

「はい。志乃くん…」

コウは俺の耳元で

「2時間したら戻りますからそれまでに」

と言った。

⏰:07/06/02 01:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#512 []
「サンキューな」

俺はコウに感謝し、
幸子と二人で家に向かった

「見ない間に少しやせたんちゃう?」

幸子が俺をまじまじと見ながら言った。

「そーか?わからへん」

「絶対やせたよ。ちゃんと食べてる?」

「食べてるで」

⏰:07/06/02 01:36 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#513 []
「ほんまかな〜?」

「ほんまやって」

幸子はうーんと唸り、
閃いたような表情をした。

「あたし料理作るよ!あのスーパー寄っていい?」

幸子が指さしたのは
スーパー枝豆だった。

⏰:07/06/02 01:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#514 []
「料理とかえ〜って…」

それよりお前と甘い時間を過ごしたいんやけど

「お願い。志乃に元気になってほしいねん」

幸子は困った表情で俺にお願いをする。

かわいすぎる!!
幸子お前を俺のハート泥棒として逮捕する。

「わかった。ほな作って」

⏰:07/06/02 02:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#515 []
幸子はニッコリと笑い、
スーパーに入っていった。

「何食べたい〜?」

「幸子の得意なやつ」

「え〜何にしよっかな」

ニコニコしながら食材を見る幸子をみて、俺は自然に笑みがこぼれた。

「ねーねー」

ふいに幸子が俺を呼ぶ。

⏰:07/06/02 02:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#516 []
「どした?」

「ふふふ」

俺の問いに幸子は俯きながら笑い出し、答えない。

「なんやねんな?」

「なーんかさ〜こうして二人で買い物とか…夫婦みたいやね!」

言ったあと幸子は顔を真っ赤にして足早にカートを押し、俺から離れた。

⏰:07/06/02 02:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#517 []
「ふ……ばーか」

「何か言った〜!?」

「いや、別に」

あ〜なんちゅーかわいいやつやねん幸子って。

俺は照れる幸子をからかうように幸子にくっついて歩いた。

レジに向かうと、そこにはアコさんがいた

⏰:07/06/02 02:13 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#518 []
「志乃くん!さっそくきてくれたんだねっ」

「どーも〜」

俺はアコさんに軽く会釈した。

「隣の子は彼女かな?」

「そうです〜」

俺は照れながらもアコさんに幸子を紹介した。

「志乃くん彼女いたんだね〜」

⏰:07/06/02 02:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#519 []
「そりゃ、まぁ…」

「カッコイイもんね!あたしも志乃くんタイプだし」

おいおい。
何を言い出すんやこの人。しかもマイハニー幸子の前で。

「またまた〜冗談やめてくださいよ〜」

「冗談じゃないよ」

⏰:07/06/02 02:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#520 []
からかうようにしていたアコさんの顔から
一瞬笑顔が消えた。

「幸子ちゃん、油断してたら奪っちゃうからね」

冗談とも本気ともわからない口ぶりで
アコさんが幸子に言った。

幸子は困ったような表情をしている。

⏰:07/06/02 02:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#521 []
ちょっと…
いくらべっぴんでも
幸子を困らせるのはいただけん。

「俺の女困らせんといて」

俺はアコさんに向かい
冷たく言い放った。

「ごめ〜ん!冗談だから!怒んないでよっ。幸子ちゃんもごめんね?」

⏰:07/06/02 02:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#522 []
幸子は悲しそうな表情をしていたが、
アコさんに向かい笑顔を見せて

「志乃は誰にも渡しません。あたしの彼氏やから」

と言った。

アコさんはその言葉を聞きほんの一瞬、
幸子を物凄い目付きで睨んだ。

それはほんの一瞬すぎて
俺はその表情が見間違いだと思ってしまった。

⏰:07/06/02 02:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#523 []
「ありがとう。またきてね!」

レジが終わり、アコさんは笑顔で俺達に向かい言った。が、俺は何も答えなかった。

幸子を悲しい表情にさせた、俺はアコさんが許せなかった。

もう二度とスーパー枝豆には行かない、と俺は思った

⏰:07/06/02 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#524 []
食材を袋につめ、
俺達は家へ向かい歩いた。

「…さっきの店員さん…知り合い?」

幸子が遠慮がちな表情で俺に問いかけた。

「少し話すくらいやで」

「………………」

「ほんまやで」

⏰:07/06/02 02:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#525 []
「でも…あの人志乃のこと名前で呼んでた」

「まぁ…さっき名前聞かれたからな〜…」

「……やだ……」

「え?」

立ち止まり俺の服の裾を掴む幸子の目には
うっすらと涙がたまっていた

「えっ…どしたん?」

⏰:07/06/02 02:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#526 []
「やだよ……」

「幸子?何泣いてん?」

焦る俺。

「あの人…志乃の事…奪うとか言ってた…」

幸子の大きな目からは
涙がぽたぽたと落ちた。

「俺にはお前がおるやん」

「…でもぉ……」

泣き続ける幸子。

⏰:07/06/02 02:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#527 []
不謹慎か?

俺はやきもちで泣いている幸子を見て、
おもしろくなってきた。

「…ぷっ」

思わず吹き出してしまった俺を、幸子は怪訝な表情で見上げた。

やべーやべー。

「何…笑ってるん……」

⏰:07/06/02 02:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#528 []
「笑ってへん」

「笑ってるやん!!」

「笑ってないって」

幸子は俺の胸板をぽかぽかと叩く。

かわいすぎる…。
なんでこんなかわいい生き物が生まれんねやろ。

「ごめんって。早く家行くで。幸子の料理食いたい」

⏰:07/06/02 02:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#529 []
俺の言葉に幸子はハッとして歩きだした。

「今日はスタミナ丼を作りま〜す!いっそげ〜!」

「…スタミナ丼…か」

俺はフッと笑みが漏れ、
幸子のあとをついて歩いた

これから
あんな出来事が起きるとも知らずに…。

⏰:07/06/02 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#530 []
家につき、幸子はさっそく台所にたった。

「出来たら呼ぶから志乃はテレビでも見ててな!」

「手伝うわ」

「だめ!志乃が手伝ったらマズなるやんっ」

「…ふざけろ」

「はいはい!あっち行ってて〜!」

幸子に背中を押され、俺は台所から追い出された。

⏰:07/06/03 03:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#531 []
「おもろいテレビなんてしてねーっての…」

……って、テレビ見てる場合か!
今日こそは脱童貞や!

俺は振り返り台所に立つ幸子を見つめた。

フンフンと鼻歌を歌いながら食材を切っている幸子に俺は欲情してきた。

⏰:07/06/03 03:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#532 []
「なぁ……」

俺は幸子の背後に立ち、腰に手を回す。

「志〜乃〜!今料理中やから邪魔しやんといて!」

幸子は俺からスルリと抜け、俺に背を向けた。

幸子の耳が赤い。

再度俺は幸子を抱きしめる

⏰:07/06/03 03:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#533 []
「…照れてんの?」

幸子の耳元で囁くように俺は言う。

「も〜!何言って…」

振り返り俺を見る幸子の表情が一瞬固まった。

「お前が欲しい」

「……志…乃……?」

⏰:07/06/03 03:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#534 []
幸子は俺の顔を見ながら
どんどん後退りする。

「幸子…」

「…や……だ……来ないで……」

幸子?

「…志乃…じゃない…」

幸子?

「やめ…て……」

幸子の表情は
今まで見たことがないくらい脅えていた。

⏰:07/06/03 04:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#535 []
「やめて…志乃……怖い……やだ……」

……怖い?

俺が怖い?

「ふざけんな!!!」


「きゃあ!!!」

幸子の悲鳴と共に
ガツッと鈍い音がした。

俺の右手には違和感。

…………え……?

⏰:07/06/03 04:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#536 []
ハッとした時には

遅かった。

「さち…こ……?」

俺の目には
頬を押さえながら俯き震える幸子が映った。

う…そだろ……?

俺が……

「志乃…なんで……?」

俺が幸子を殴った……

⏰:07/06/03 04:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#537 []
身体中から血の気が引くのがわかった。

俺はガクッとひざをつく。

俺は……

最愛の女を

この手で殴ってしまった。

「……幸子……」

幸子の頬に手を伸ばすと
幸子はビクッと震え、俺から離れた。

「…ごめん…幸子ごめん」

⏰:07/06/03 04:11 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#538 []
幸子は何も答えなかった。

ただただ俯いて泣きながら震えている。

どのくらい時間が立ったのだろう。

ふと、玄関が開く音がした

「ただいま戻りました」

コウの声が玄関から聞こえてきた。

⏰:07/06/03 04:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#539 []
「志乃くん?戻りましたよ。志乃くーん」

だんだんとコウの声が近付いてくる。

ガチャッとリビングのドアが開くと同時に
驚いた表情のコウが叫んだ

「どうしたんですか!?」

⏰:07/06/03 04:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#540 []
コウは俺達の元にかけより幸子と俺を交互に見た。

「何があったんです!?幸子さん大丈夫ですか!?」

コウは幸子の顔を心配そうに覗き込んだ。

「志乃くん…」

幸子の肩を優しく掴みながらコウは俺を見上げる。

「…志乃くん……何があったんですか……」

⏰:07/06/03 04:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#541 []
俺は何も答えられなかった

俺が幸子を殴ったなんて

何かの間違いや…。

でも確かに俺の右手には

人を殴ったとき特有の痺れがある。

……どうして俺が…

「話はあとから聞きます。僕は幸子さんを送りますので」

⏰:07/06/03 04:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#542 []
コウはヨロッと立ち上がる幸子の肩を抱き、リビングのドアを開けた。

俺は呆然とその場にひざをついたままだ。

リビングから出る幸子が
ゆっくりと俺に振り返った

「…あたし大丈夫やから…気にしやんでな……?」

無理矢理笑ってみせる幸子の頬は痛々しい程赤くて
俺は涙が流れた。

「…ご…めん………」

⏰:07/06/03 04:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#543 []
【第24章 侵蝕】

コウと幸子が家を出たあとも俺は動けなかった。

幸子が切った食材だけが虚しく台所に散らばっている

「やっほーー!!」

シンと静まっていたリビングに明るい声が響いた。

「志乃〜!久しぶり!さきが戻ってきましたぁ!」

⏰:07/06/03 04:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#544 []
「…さ……き……?」

そういえばいたね、そんな人(霊)も。

「どうしたの〜?暗いなぁ〜。ねっ、コウは!?」

さきは嬉しそうに俺の周りをピョンピョンと飛び回った。

……やめろ。

頭がズキズキする。

⏰:07/06/03 04:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#545 []
「志乃くーん?マジで元気ないね〜!どしたの?」

うるさい…

頼む。黙ってくれ…

「さきの元気わけてあげるよ〜!!」

頼むから出てってくれ…

「は〜い!志乃に元気を…きゃああ!!!」

⏰:07/06/03 04:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#546 []
リビングには
甲高いさきの悲鳴。

そして俺の手は

「…志……乃……」

さきの心臓へ食い込んでいた。

ニヤリと口角があがるのがわかる。

「霊なら痛みも感じないだろ?」

俺の声ではない低い声で
俺は冷たく言い放った。

⏰:07/06/03 04:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#547 []
「志乃…なん…で…?」

さきが俺の腕を掴みながら苦しそうな表情をする。

「へぇ?苦しいのか?お前ら霊は痛みも何も感じないんだろ?」

ニヤニヤと笑う俺の腕は
さきの心臓に食い込んだままだ。

何だこれは…
俺の腕には冷たいけどぬるっとした感触。

⏰:07/06/03 17:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#548 []
「志乃…やめて…」

やめたい

やめたいけど

俺の身体が勝手に…

「お前はなぜ下界にいるんだ?」

冷静な口調で俺は問う。

「なぜさ迷っている?」

不敵な笑みを

浮かべたままで

⏰:07/06/03 17:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#549 []
「あ…志乃……やめ…」

さきのか細い声は
ある人物により掻き消された。

「志乃くん!!何やってるんですか!!」

コウは俺の元へ駆け寄る。

「チッ…邪魔が入った」

俺はそれだけ呟くと
目の前が真っ暗になった

⏰:07/06/03 18:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#550 []
「志乃くん!!」

頭の奥から
コウが俺を呼ぶ声が聞こえてくる。

「志乃くんしっかり!!」

わりぃ…

身体が動かない…

「志乃くん!!」

俺は深い眠りについた。

⏰:07/06/03 18:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#551 []
 
―――――……‥‥

《誰……?》

《誰なの……?》

俺は夢を見ていた。

《やめて………》

脅える声の主は……?

《お願い…やめ…て…》

……このは?

⏰:07/06/03 18:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#552 []
このはが

脅えた表情でしゃがみ込んでいる。

〈このは!!〉

俺はこのはの名前を叫ぶが

声がでない。

《お願い…やめ……きゃぁああああ!!》

甲高い悲鳴と共に

このはの身体から
大量の血が噴き出した。

⏰:07/06/03 18:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#553 []
《今回はこのくらいにしてやるよ》

俺の背後から
低い声が聞こえる。

誰だ……?

俺は振り返ろうとする

が……

―――――…‥‥

「志乃くん!!」

コウの叫ぶ声で
俺は夢から覚めた。

⏰:07/06/03 18:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#554 []
「…………俺……」

頭がボーッとする。

「大丈夫ですか?」

心配そうにコウが俺の顔を覗き込み、ホッとした表情をした。

「さきさん、今は大丈夫ですよ」

コウはドアの外に呼び掛けるように言った。

⏰:07/06/04 07:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#555 []
さきがドアから遠慮がちに部屋に入ってくる。

「…さき…俺……」

そこで口が止まった。

何を言い訳するつもりや?

俺はさきにした事を
鮮明に覚えている。

「………ごめんな…」

⏰:07/06/04 07:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#556 []
「…何かに……取り憑かれたの……?」

「………え?」

なんで?

「志乃の顔…なんか違う人みたくなってた」

「……………」

取り憑かれた……?

俺が?いつ?

なぜ……?

⏰:07/06/04 07:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#557 []
「…わからへん」

「……ねぇ…嫌な予感がするの……」

さきが困った表情で
俺の顔からコウの顔へと目を向ける。

俺もコウに目を向けた。

「………………」

コウは何も答えずに
一点を見つめながら眉間にしわを寄せ
ガリガリと親指の爪を噛んだ。

⏰:07/06/04 07:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#558 []
「…幸子さんが…」

しばらくしてから
コウが変わらず一点を見つめながら口を開いた。

「幸子がどうした…?」

幸子、という名前を聞き
俺はまた幸子にした俺の行動を思い出す。

「いえ…幸子さんもやはりさきさんと同じ事を言っていました」

⏰:07/06/04 13:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#559 []
コウは俺に目を向けた。

「志乃くんが何かに憑かれているのでは、と」

何かに憑かれている…

……何に?

「僕もそう思います」

「一体…何……に…?」

コウはたばこを一本取出し天井を見上げながら
指先でくるくると回し始めた。

⏰:07/06/04 13:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#560 []
「以前、聞いた事があります。人間は誰でもどこかに悪の部分を持っている。そこに入り込み、悪を引き出す力を持つ者がいる」

「……何それ…」

「姿形は人間ですが…彼女は悪魔だと…聞いた話ではその者に憑かれるとまるで人格が変わり、やがて根っからの悪魔に変わり果てると言います」

⏰:07/06/04 13:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#561 []
「そしてその者に憑かれた方の周囲では…いくつかの悲惨な出来事が起きています。その者の仕業だと…」

「ちょっ…そいつって…」

俺は混乱していた。
が、コウの言葉を
聞き逃さなかった。
コウは確かに言った。

《彼女》だと

「ええ、アコさんです」

⏰:07/06/04 13:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#562 []
「アコ…さんが……?」

「彼女の名前はアコと呼びます。おそらく漢字は…」

コウは紙とペンを持ち、すらすらと文字を書いた。

【亜心】

「つなげると悪です」

「でも…それって何か無理矢理的な…」

「そういうものです」

⏰:07/06/04 13:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#563 []
「でも………」

「でも、だって、だけど…は、いりません。僕はアコさんだと確信しています」

「………………」

「実際アコさんに出会ってから志乃くんは変わりましたよね」

確かにそーかもしれない
スーパー枝豆に行ったあの日から、俺は変わった。

⏰:07/06/05 00:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#564 []
「じゃーアコさんに会…」

「会ってはいけません」

コウは俺をギロリと睨んだ

「志乃くんはこれから誰にも会ってはいけません」

「なんで!?」

「危険です。先程言いましたよね?以前聞いた話を…。危険なんです周りの方も、それに…」

⏰:07/06/05 00:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#565 []
コウはたばこに火をつけ
煙を吐いた。

「あなたも」

「…俺……も…?」

「ええ、聞いた話によると取り憑かれた人間は最終的に……」

コウは目線を床に落とした

「魂を持っていかれます」

⏰:07/06/05 00:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#566 []
 
魂を…持って……

「大丈夫です。今から言う事を落ち着いて聞いて下さい」

コウは俺の肩を掴み

正面から俺を見据えた。

「今のあなたは…他人と接する事により悪の心が芽生え初めている。いいですか?僕は今日から自分の家に戻ります。ですから」

⏰:07/06/05 01:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#567 []
コウは横目でさきを見た

「ああ…、念のためさきさんも僕の自宅に連れて行きます」

その言葉でさきはパッと笑顔になった。

「いいですか?必ず誰とも会っては行けません。ご家族との交流も控えて下さい」

⏰:07/06/05 01:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#568 []
家族とも……
でも…それって…

「いつまで……?」

「大丈夫です。僕個人でなんとか解決法を考えます。僕にはとめちゃんもついているので」

「…とめちゃ…ん…?」

あの役立たずの占い師か!?

俺は頭がズキンとした。

「志乃くんダメです落ち着いて下さい」

⏰:07/06/05 01:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#569 []
コウは俺の目元に手をかざした。

「落ち着いて深呼吸して下さい。目が変わり始めています」

またか…?

また俺はあの悪魔の表情を……?

俺は深く深呼吸をした。

「大丈夫ですか?」

⏰:07/06/05 01:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#570 []
俺がコクリと頷くと
コウはゆっくりと手を離した。

「まだ症状は軽いですね、いいでしょう。志乃くん必ず僕の言い付けを守ること。約束できますか?」

「……わかった」

この時
コウも俺も想像していなかった。
この判断が間違いだった事を。そして
想像よりはるかに
アコさんの力が強かった事を。

⏰:07/06/05 02:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#571 []
その日
コウは荷物を持って自宅へ帰っていった。

部屋には俺一人。

「……………はぁ…」

小さくため息をつき
俺はベッドへ倒れ込む。

まさか自分が取り憑かれるなんてな……

⏰:07/06/06 04:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#572 []
ベッドで横になると
だんだん眠気が襲ってきた

「志乃〜!!ご飯やで!」

母ちゃんの声がリビングから響いてくる。

「いらんわ〜!!」

俺が叫ぶとリビングから小さく文句を言う母ちゃんの声が聞こえてきた。

俺は静かに瞼を閉じた。

⏰:07/06/06 06:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#573 []
 
――――……‥‥

《や…めて……》



《誰…で…すか…?》

ゆうみちゃん?

《お願…きゃあああ!!》

まただ。
泣き叫ぶゆうみちゃんの身体からは
このはの時と同じ
大量の血が噴き出した。

⏰:07/06/06 07:00 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#574 []
 
《くっくっくっ…》

冷酷な笑い声―‥

誰だ?

《恐怖に脅えている表情…ん〜たまらないね》

楽しそうに
声の主は言った。

誰……だ…?

俺は後ろを振り返る

―――――…‥

《プルルルルッ》

⏰:07/06/06 07:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#575 []
大きな機械音で
目が覚めた。

「…ヤな夢……」

俺は額から滴る汗を拭い
携帯を開いた。

【着信 コウ

「…はい」

「…寝てました?」

多分寝起きだろう
コウがかすれた声で言った

⏰:07/06/06 07:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#576 []
「…ん…今何時?」

「6時です」

6時…ああ…
あのまま朝まで寝てもーたんか。

「朝っぱらからどないしてん?」

「このはさんが…」

コウの声が僅かに小さくなった

「このはさんが怪我を…」

⏰:07/06/06 07:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#577 []
「えっ………」

俺はこのはから
大量の血が噴き出した夢を思い出した。

「怪我って…どんな…」

「大丈夫です。出血はありましたが、命に別状はありません」

「良かった…」

「ええ、しかし…」

コウは低い声で言った。

「このはさんは何者かに腕を切り付けられました。犯人はわかっていません」

⏰:07/06/06 07:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#578 []
「……まさか……」

「はい。僕も同じ考えです。犯人はおそらく彼女でしょう」

彼女…アコさん…

「僕は後ほどスーパー枝豆へ行ってアコさんに会ってきます」

「え…危険ちゃうか?」

俺の問いに
コウはフッと笑った

「僕を誰だと?」

⏰:07/06/06 07:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#579 []
僕を誰だと…って…

「…神谷さん」

「……………」

「神谷コウくん」

「…そうですが…」

コウはハーッとため息をついた。

「普通の返ししないで下さい。返答に困ります」

⏰:07/06/07 02:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#580 []
「すまんすまん、てかお前このはに会ったん?」

「いえ。先程電話がかかったので…僕は今から病院に行こうと…その後スーパーへ向かいます」

俺も…

と言おうとしたが
コウが先に言い放った。

「志乃くんは家に。また後ほど連絡しますので」

プツッと電話は切れてしまった。

⏰:07/06/07 02:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#581 []
俺は携帯を片手に呆然としていた。

寝起きってのもある。

だけど…

「このはが怪我…」

あの夢を見た次の日だ。

俺の夢は

予知夢なのか…?

それとも……

⏰:07/06/07 02:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#582 []
【第25章 悪夢】

俺はコウに夢の話をしようかとコウの携帯番号を画面に出した。

いや…でも…

単なる夢やし…

コウならきっと

《ただの夢ですよ。気にしないほうが》

とか言いそうやな。

やめとこう。

⏰:07/06/07 02:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#583 []
携帯をベッドにコロンと投げ、俺はリビングへ向かった。

昨日から何も食ってない俺の腹はペコペコだった。

「母ちゃん飯〜」

「適当に食べやー母ちゃん仕事行くで、出掛けるなら戸締まりちゃんとしーや」

「…今日は家おるわ」

⏰:07/06/07 02:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#584 []
俺の言葉に母ちゃんは目を丸くした。が、その後まるで汚いものを見る目付きで俺を見た。

「引きこもり?嫌やわ〜息子が根暗とか…」

やかましい。
俺だって出掛けたいけど
コウに止められてんの。

「まぁ、出掛けるなら戸締まりだけはしときや」

⏰:07/06/07 02:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#585 []
「はいはい」

母ちゃんに適当に返事をし俺は冷蔵庫に向かった。

「…ろくなもんないな」

仕方なく朝っぱらから
カップラーメンをすすることにした。

「それにしてもひまや…」

⏰:07/06/07 02:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#586 []
ラーメンを食った後、
俺はやる事がなく
意味もなく携帯をいじっていた。

電話帳を順に見ていく。

ある名前のところで
俺は手を止めた。

幸子

…幸子……
あれから連絡してへんし
幸子からも連絡はない。

⏰:07/06/07 02:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#587 []
連絡…してみっか。

俺は幸子にメールを送った

【昨日はごめん】

それしか書けなかった。

例え取り憑かれていたとしても
俺が手を上げた事にかわりはない。
幸子にしてみたら
俺が怖くてたまらないはずだ。

⏰:07/06/07 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#588 []
《プルルルッ》

メールを送って一分もたたないうちに
幸子から返事が返ってきた

【平気やで志乃の方こそ大丈夫?】

「…幸子……」

こんな俺を
お前は嫌うどころか
心配してくれるのか?

俺はギュッと胸がしめつけられた。

⏰:07/06/07 02:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#589 []
【俺は大丈夫。ほんまにごめんな】

【大丈夫やってでもおわびに今度何か買うてな

【わかった

【約束やで指輪希望安物でいーから

「指輪…か…」

俺は幸子の優しさに笑みがこぼれた。

⏰:07/06/07 02:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#590 []
幸子とメールを続け、
穏やかな時間は過ぎていき
俺は自分が取り憑かれていることを忘れかけていた。

《プルルルッ》

昼も過ぎ、夕方にさしかかったころ、携帯が鳴った。

《着信 コウ

⏰:07/06/07 02:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#591 []
「おう」

「神谷です」

知ってます

「…このはは?」

「ああ、元気でしたよ。怪我も軽いので明日には退院です」

「…良かった…」

「…志乃くん今日は変わりありましたか?」

⏰:07/06/07 02:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#592 []
コウが心配そうに聞いてきた。

「いや、特にない」

「そうですか、それは良かったです。実は先程僕スーパーへ行ったのですが…」

「…アコさんは…?」

「…………いませんでした。というよりも…」

コウは低い声で言った

「元々あのスーパーにアコという方はいないそうです」

⏰:07/06/07 02:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#593 []
え……?

じゃあ……

「俺が見たのは…?」

「……………」

幽霊……なのか?
いや、違う。
だって幸子にも会ったはずやから。

「…わけわからん…」

「記憶を消したんです」

「え?」

「スーパーの方達の記憶を消したんですよ」

⏰:07/06/07 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#594 []
記憶を…?

「…まぁ、運がよければアコさんはもうこの地にいません。志乃くんも今日は変わりないと言っていましたし、あまり心配する必要はなさそうですね」

「…そうか…?でもこのはの怪我は……」

「偶然です。僕達はアコさんの仕業と決めつけていましたが単に偶然だっただけかもしれません」

⏰:07/06/07 03:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#595 []
なんだか腑に落ちないが

コウは多分俺を混乱させるまいと気を遣って言ってくれているんだろう。

俺は何も言わなかった。

「二、三日はまだ様子を見ましょう。その間、変わりなければ志乃くんは大丈夫でしょう」

⏰:07/06/07 03:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#596 []
「ほんまか!?」

「ええ…でも油断はしないで下さいね」

「わかった!」

コウが大丈夫、と言うと
なんだか大丈夫な気がしてきた。おかしなもんや。

俺は気にしないようにした。あの不吉な夢を。

だが、そんな俺を
彼女は嘲笑っていたなんて

⏰:07/06/07 03:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#597 []
 
――――……‥‥

あれ?ここは…

ああ、また俺は夢を?

いつの間にか寝てしまっていたのか。


遠くに人影が見える。

俺はその人影に駆け寄る

あれは……

コウ―…?

⏰:07/06/07 03:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#598 []
 
《コウッ…》

俺の呼び掛けは
コウには聞こえないみたいだ。

《コウ…》

俺がコウの肩を掴もうとしたとき

コウの身体から
血が噴き出した。

《…あな…た…が…》

苦しそうな表情でコウが呟く。

⏰:07/06/07 03:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#599 []
ふらりとその場に倒れるコウ。

《おい!コウ!!コウ!》

俺はコウに駆け寄った。

《クックックッ…》

まただ―‥

またあの笑い声が…

⏰:07/06/07 03:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#600 []
 
これは
やっぱりただの夢じゃない

このはに怪我を負わせたのは
この声の主…

誰だ…?
この声
聞き覚えがある

俺は後ろを振り返った。

《…お前…は……》

⏰:07/06/07 03:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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