きみを送るA
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#401 []
俺は名刺をポケットに入れ、コウと並んで帰路についた。

「はあ…」

コウが悩ましげにため息をつく。

旬の事で…
こいつもまいってるんかな

「やはり姫菜さんは天使のような方でした」

その事かい!!

⏰:07/05/27 03:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#402 []
「どこが天使かわからん」

「どこが、ではなく彼女は全てが天使なんです」

ニコニコしながらコウが言った。

天使とは真逆なんですけど

「天使とは真逆なんですけど」

「…悪魔とでも言うんですか」

いやいや

「そこまではゆってない」

⏰:07/05/27 03:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#403 []
「小悪魔、ですかね」

小悪魔…?

「誰が」

「彼女が」

「彼女とは」

「姫菜さんが」

ないないないない

「ありえへん」

「でしょう?ならばやはり天使です」

あーりーえーねー!!

⏰:07/05/27 03:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#404 []
【第21章 悪魔記念日】

「志乃くん今日は飲みましょう」

家につくなり、コウが冷蔵庫からビールを取り出し言った。

おいおい
俺んちですよね

「今日はやけ酒です」

さいでっか〜。

「今日くらいいっか」

俺達は部屋に入りビールを開けた。

⏰:07/05/27 03:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#405 []
「かんぱ〜い」

缶ビールの鈍い音で乾杯し、俺達はグイッとビールを飲んだ。

「っく〜っ!!夏はビールうまいな〜」

「あなたは親父ですか」

「枝豆食いたない?」

「いいですね、持ってきて下さい」

「え?家にないで」

「………………」

⏰:07/05/27 03:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#406 []
「………………」

「ではなぜ言ったんです」

「食いたいと思ったから」

「でもないんでしょう」

「…ないけど……」

「………………」

「………………」

⏰:07/05/27 03:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#407 []
沈黙のあと、コウはビールを見つめた。

「志乃くん、夏のビールには何でしょう」

「は」

「夏のビールには」

「……………」

「枝豆ですよね」

多分

「そーやと思う」

「では買ってきて下さい」

⏰:07/05/27 03:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#408 []
「俺が!?」

「当たり前です。先に言ったのは志乃くんです」

「…そーやけど……」

「でも、はいりません。買ってきて下さい」

「……………」

「志乃くん僕は…えだま…め……が………」

またこのパターンかい!

コウは腹を押さえ倒れた。

⏰:07/05/27 03:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#409 []
ええい!!

「わかりました!!買ってきたらえーんやろ!!」

「ありがとうございます」

コウは起き上がり飄々としながらビールを飲んだ。

「何見てるんですか早く買ってきなさい」

命令すんな!!

「…いってきます」

「早くして下さいね」

⏰:07/05/27 03:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#410 []
俺は枝豆を買いにスーパーへ向かった。

「枝豆〜枝豆〜……あ、すんません。枝豆ってどこにありますか」

「枝豆ですか?」

うわっお〜!!
声をかけた店員は驚くほどべっぴんさんだ。

「え…枝豆っす!!」

⏰:07/05/28 01:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#411 []
「こちらですよ」

ニッコリとべっぴんの姉ちゃんが俺を案内してくれた

目的地…枝豆のもとへ。

「こちらにありますよ」

「ありがとうございます」

俺はあまりのきれいさに
目がハートになった。

⏰:07/05/28 01:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#412 []
「あの…?なにか…?」

はっ!!

「すんません!!何もないっす」

思わず見とれてしまった

姉ちゃんはクスクスと笑い俺に枝豆を渡してきた。

「あたしのオススメはこの枝豆なんですよ」

⏰:07/05/28 01:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#413 []
姉ちゃんが渡してきたのは数ある枝豆の中でも
最も高い枝豆。
まさにキングオブ枝豆。

「……高い…っすね」

「そうですか?でも枝豆の中でもこれが一番なんですよ。あたしこの枝豆大好きなんです」

そんなかわいらしい笑顔で言われたら…

⏰:07/05/28 01:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#414 []
「じゃ〜これもろとくわ」

「ありがとうございます」

買うしかないではないか!

「また来て下さいね」

「は〜い!」

俺はニヤニヤしながら
キングオブ枝豆を片手に帰路についた。

「おかえりなさい」

⏰:07/05/28 01:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#415 []
部屋に入るなり
コウは二本目のビールを片手にくつろいでいるところだった。

「枝豆」

俺はコウにキングオブ枝豆を差し出した。

「……茹でて下さいよ」

コウが枝豆を睨みつけて言った。

「お前が茹でろ!居候のくせに!!」

⏰:07/05/28 01:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#416 []
「志乃くんが茹でて下さい。僕は志乃くんの茹でた枝豆が食べたいです」

「お前が茹でろや!!ただで居座ってんなや!しばくぞ!!」

……あれ?
俺なんでこんなキレてんねやろ……。

「……すみません…」

コウは驚いた表情で
俺の手からキングオブ枝豆を取って部屋を出て行った

⏰:07/05/28 01:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#417 []
う〜ん……

コウが部屋を去り、一人になった俺はソファーに腰かけた。

「……………」

なんであんなキレ気味に言うてしまったんやろ…

ただで居候とか…
俺からコウを呼んだわけやし、そんなん思ってへんのに………

⏰:07/05/28 01:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#418 []
「う〜ん………」

俺がうなだれていると
コウが枝豆を茹でて戻ってきた。

「どうぞ」

コウは大人しげに俺に枝豆を差し出した。

「…サンキュー」

「……………」

コウは何も答えずに床にしゃがみ込んだ。

⏰:07/05/28 01:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#419 []
普段のコウなら

《僕が茹でた枝豆ですから普通の枝豆よりも格別においしいですよ》

などとニヤリとした表情で言いそうなものなのだが。

俺がキレたからか?

「コウ……」

「なんですか。枝豆食べないんですか」

⏰:07/05/28 01:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#420 []
茹でた枝豆をじろっと見ながらコウは冷たく言い放った。

「…食うけど……」

「どうぞ」

コウは俯いたままビールの缶の飲み口を指でなぞっている。

「コウは食わんのか」

「いいから、どうぞ」

⏰:07/05/28 01:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#421 []
「…いただきます」

俺はキングオブ枝豆を口に運んだ。

枝豆が口に付いた瞬間チラリとコウを見る。

お…俺を見ている。

コウは睨んでいるような
哀れんでいるような
なんとも微妙な顔つきで俺を見ていた。

⏰:07/05/28 01:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#422 []
「…なんやねん」

「いえ、別に」

俺と目が合うと
コウはフイッと視線を逸らした。

へんなやつ。

俺は枝豆を口に入れた。

「…ん!!」

「どうしました」

コウは目をまんまるにして俺を覗き込んだ。

⏰:07/05/28 01:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#423 []
まさにこれは

「キングオブ枝豆!!」

「…なんですかそれは」

「枝豆の中のキングや!」

「……………」

「味の宝石箱や〜」

「……そうですか」

「なんやねんその薄い反応は!!」

⏰:07/05/28 01:57 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#424 []
「反応の仕方に困ります。それに薄いのはあなたの頭です」

ええい!!

「やかましい。好きで禿げたわけちゃうわ」

「そうですか?」

そーですよ

「好きで禿げたのかと思いました」

お前禿げた理由知ってるやんけ!!

⏰:07/05/28 02:00 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#425 []
「…もうええわい」

もくもくと枝豆を食べる俺を見て、コウはニッコリ微笑んだ。

「よかったです。先程の志乃くんが別人のようだったので僕少し困りました」

「へ?」

「僕に枝豆を茹でろと言った時の志乃くん…まるで別人の目でした」

⏰:07/05/28 02:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#426 []
「…そうか……?」

確かに
さっきの俺、自分じゃないみたいやった…
なんつーか…口が勝手に動いたというか…

「いえ、僕の気のせいだと思います…」

コウはちらっと俺を見て
わずかに微笑んだ。

「ビール取ってくるわ」

⏰:07/05/28 02:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#427 []
「お願いします」

俺は勢いよく立ち上がった

「?志乃くん何か落ちましたよ」

「え?なに………あ!!」

「……………」

コウは無言で俺のポケットから落ちた例のブツを持ち上げた。

⏰:07/05/28 02:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#428 []
「いや…あの……コウ……それは……え〜と…」

「…なんですかこれは」

コウはまじまじと例の名刺を見ている。

み…眉間にしわが!!

「…いや…なんつ〜か…」

「志乃くん僕の天使と連絡とってるんですか」

⏰:07/05/28 02:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#429 []
「いや…」

「ではこれはなんですか」

コウは俺の目の前に
名刺をずいッと差し出した

「…帰り際に渡された」

「………………」

コウは長い沈黙のあと
それはそれは長い、重いため息をついた。

⏰:07/05/28 02:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#430 []
「彼女は僕の天使ではなく志乃くんの天使だったというんですか…」

はい!?

「いやいやいやいやちょっと待ちたまえコウくん」

「……なんですか」

「まず第一に、姫菜は天使ちゃうから」

「…天使以外の何と」

人間以外の何者でもないんですけど。

⏰:07/05/28 02:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#431 []
「…いいですよ…姫菜さんは志乃くんに譲ります」

はいぃ!?

「別にいらんねやけど」

「いらない、とは失礼ですね。彼女は物ではありませんよ」

お前から譲るやらゆーたやん!

「俺には幸子おるから」

「そういえばいましたね」

おい!!

⏰:07/05/28 04:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#432 []
「幸子さんは元気なんですか」

「まぁな」

「会わないんですか」

「……………」

「ああ、僕がいるから会えないんでしたね。すみません。志乃くんは幸子さんよりもこの僕を選んだんでしたね」

コウは今まで見たことがないくらいの笑顔で言った。

⏰:07/05/28 04:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#433 []
「そんなにうれしいか」

「はい?」

「いや…めっちゃ嬉しそうやから」

「はい。僕は今まで友達と呼べる方がいませんでしたから」

コウは俺を見てニコッと笑った。

「いいものですね、友達って」

⏰:07/05/28 04:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#434 []
「……………」

「志乃くん?」

「もー寝るわ!」

俺はベッドに潜り込んだ

「照れてるんですか」

「やかましい!!」

アルコールのせいもあるが俺は顔から火がでるくらい真っ赤になった。

⏰:07/05/28 04:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#435 []
コウはクスクスと笑いながらソファーに横になった。

「志乃くん…」

「…………なに」

「志乃くんは僕の親友です。だから何があっても僕はあなたを裏切りません。困った時は助けます」

コウに目を向けると
コウは天井を見ながら目を細めていた。

「そりゃ…どうも」

⏰:07/05/28 04:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#436 []
コウは天井を見たまま
フッと笑い

「お礼はいいです」

と言った。

俺は何だか
あったかい気持ちになった

ああ…俺も今まで
こんな風に言ってくれる友達っておらんかったな…

「…サンキューな……」

⏰:07/05/28 04:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#437 []
ボソッと呟いた俺の言葉はコウには届かなかったのか、コウは目をまるくして

「何か言いましたか?」

と言った。

「別に〜!おやすみ!」

「おやすみなさい」

俺達は眠りについた。
まさか俺が
コウを裏切る日がくるなんて、この時の俺は想像もしていなかった。

⏰:07/05/28 04:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#438 [すず]
おはようお久しぶり最近は全然来られなくてゴメンネ
今一気に更新分見たよぉ志乃くんのこれからが気になる〜コウを裏切るって一体何があの姫とどおにかなっちゃうの〜
とか、気になることは山ほどだけど、私は気長に待ってるからゆっくり更新してね

⏰:07/05/28 07:44 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#439 []
俺はその夜
夢を見た。

――――――………

《……のくん……》

《……志乃くん…》

コウ……?

『コウ!!お前…』

《志乃くん……》

コウが
血まみれになって
俺を呼んでいる。

⏰:07/05/29 04:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#440 []
『コウ!!』

俺はコウに駆け寄ろうと立ち上がった。

《だめです…あなたは…》

コウは唇を噛み締め
苦痛に歪んだ表情をした。

『何言って…コウ!!』

俺はコウの元へ走ろうとした…が

……足が……。

⏰:07/05/29 04:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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