きみを送るA
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#401 []
俺は名刺をポケットに入れ、コウと並んで帰路についた。

「はあ…」

コウが悩ましげにため息をつく。

旬の事で…
こいつもまいってるんかな

「やはり姫菜さんは天使のような方でした」

その事かい!!

⏰:07/05/27 03:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#402 []
「どこが天使かわからん」

「どこが、ではなく彼女は全てが天使なんです」

ニコニコしながらコウが言った。

天使とは真逆なんですけど

「天使とは真逆なんですけど」

「…悪魔とでも言うんですか」

いやいや

「そこまではゆってない」

⏰:07/05/27 03:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#403 []
「小悪魔、ですかね」

小悪魔…?

「誰が」

「彼女が」

「彼女とは」

「姫菜さんが」

ないないないない

「ありえへん」

「でしょう?ならばやはり天使です」

あーりーえーねー!!

⏰:07/05/27 03:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#404 []
【第21章 悪魔記念日】

「志乃くん今日は飲みましょう」

家につくなり、コウが冷蔵庫からビールを取り出し言った。

おいおい
俺んちですよね

「今日はやけ酒です」

さいでっか〜。

「今日くらいいっか」

俺達は部屋に入りビールを開けた。

⏰:07/05/27 03:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#405 []
「かんぱ〜い」

缶ビールの鈍い音で乾杯し、俺達はグイッとビールを飲んだ。

「っく〜っ!!夏はビールうまいな〜」

「あなたは親父ですか」

「枝豆食いたない?」

「いいですね、持ってきて下さい」

「え?家にないで」

「………………」

⏰:07/05/27 03:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#406 []
「………………」

「ではなぜ言ったんです」

「食いたいと思ったから」

「でもないんでしょう」

「…ないけど……」

「………………」

「………………」

⏰:07/05/27 03:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#407 []
沈黙のあと、コウはビールを見つめた。

「志乃くん、夏のビールには何でしょう」

「は」

「夏のビールには」

「……………」

「枝豆ですよね」

多分

「そーやと思う」

「では買ってきて下さい」

⏰:07/05/27 03:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#408 []
「俺が!?」

「当たり前です。先に言ったのは志乃くんです」

「…そーやけど……」

「でも、はいりません。買ってきて下さい」

「……………」

「志乃くん僕は…えだま…め……が………」

またこのパターンかい!

コウは腹を押さえ倒れた。

⏰:07/05/27 03:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#409 []
ええい!!

「わかりました!!買ってきたらえーんやろ!!」

「ありがとうございます」

コウは起き上がり飄々としながらビールを飲んだ。

「何見てるんですか早く買ってきなさい」

命令すんな!!

「…いってきます」

「早くして下さいね」

⏰:07/05/27 03:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#410 []
俺は枝豆を買いにスーパーへ向かった。

「枝豆〜枝豆〜……あ、すんません。枝豆ってどこにありますか」

「枝豆ですか?」

うわっお〜!!
声をかけた店員は驚くほどべっぴんさんだ。

「え…枝豆っす!!」

⏰:07/05/28 01:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#411 []
「こちらですよ」

ニッコリとべっぴんの姉ちゃんが俺を案内してくれた

目的地…枝豆のもとへ。

「こちらにありますよ」

「ありがとうございます」

俺はあまりのきれいさに
目がハートになった。

⏰:07/05/28 01:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#412 []
「あの…?なにか…?」

はっ!!

「すんません!!何もないっす」

思わず見とれてしまった

姉ちゃんはクスクスと笑い俺に枝豆を渡してきた。

「あたしのオススメはこの枝豆なんですよ」

⏰:07/05/28 01:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#413 []
姉ちゃんが渡してきたのは数ある枝豆の中でも
最も高い枝豆。
まさにキングオブ枝豆。

「……高い…っすね」

「そうですか?でも枝豆の中でもこれが一番なんですよ。あたしこの枝豆大好きなんです」

そんなかわいらしい笑顔で言われたら…

⏰:07/05/28 01:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#414 []
「じゃ〜これもろとくわ」

「ありがとうございます」

買うしかないではないか!

「また来て下さいね」

「は〜い!」

俺はニヤニヤしながら
キングオブ枝豆を片手に帰路についた。

「おかえりなさい」

⏰:07/05/28 01:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#415 []
部屋に入るなり
コウは二本目のビールを片手にくつろいでいるところだった。

「枝豆」

俺はコウにキングオブ枝豆を差し出した。

「……茹でて下さいよ」

コウが枝豆を睨みつけて言った。

「お前が茹でろ!居候のくせに!!」

⏰:07/05/28 01:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#416 []
「志乃くんが茹でて下さい。僕は志乃くんの茹でた枝豆が食べたいです」

「お前が茹でろや!!ただで居座ってんなや!しばくぞ!!」

……あれ?
俺なんでこんなキレてんねやろ……。

「……すみません…」

コウは驚いた表情で
俺の手からキングオブ枝豆を取って部屋を出て行った

⏰:07/05/28 01:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#417 []
う〜ん……

コウが部屋を去り、一人になった俺はソファーに腰かけた。

「……………」

なんであんなキレ気味に言うてしまったんやろ…

ただで居候とか…
俺からコウを呼んだわけやし、そんなん思ってへんのに………

⏰:07/05/28 01:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#418 []
「う〜ん………」

俺がうなだれていると
コウが枝豆を茹でて戻ってきた。

「どうぞ」

コウは大人しげに俺に枝豆を差し出した。

「…サンキュー」

「……………」

コウは何も答えずに床にしゃがみ込んだ。

⏰:07/05/28 01:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#419 []
普段のコウなら

《僕が茹でた枝豆ですから普通の枝豆よりも格別においしいですよ》

などとニヤリとした表情で言いそうなものなのだが。

俺がキレたからか?

「コウ……」

「なんですか。枝豆食べないんですか」

⏰:07/05/28 01:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#420 []
茹でた枝豆をじろっと見ながらコウは冷たく言い放った。

「…食うけど……」

「どうぞ」

コウは俯いたままビールの缶の飲み口を指でなぞっている。

「コウは食わんのか」

「いいから、どうぞ」

⏰:07/05/28 01:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#421 []
「…いただきます」

俺はキングオブ枝豆を口に運んだ。

枝豆が口に付いた瞬間チラリとコウを見る。

お…俺を見ている。

コウは睨んでいるような
哀れんでいるような
なんとも微妙な顔つきで俺を見ていた。

⏰:07/05/28 01:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#422 []
「…なんやねん」

「いえ、別に」

俺と目が合うと
コウはフイッと視線を逸らした。

へんなやつ。

俺は枝豆を口に入れた。

「…ん!!」

「どうしました」

コウは目をまんまるにして俺を覗き込んだ。

⏰:07/05/28 01:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#423 []
まさにこれは

「キングオブ枝豆!!」

「…なんですかそれは」

「枝豆の中のキングや!」

「……………」

「味の宝石箱や〜」

「……そうですか」

「なんやねんその薄い反応は!!」

⏰:07/05/28 01:57 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#424 []
「反応の仕方に困ります。それに薄いのはあなたの頭です」

ええい!!

「やかましい。好きで禿げたわけちゃうわ」

「そうですか?」

そーですよ

「好きで禿げたのかと思いました」

お前禿げた理由知ってるやんけ!!

⏰:07/05/28 02:00 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#425 []
「…もうええわい」

もくもくと枝豆を食べる俺を見て、コウはニッコリ微笑んだ。

「よかったです。先程の志乃くんが別人のようだったので僕少し困りました」

「へ?」

「僕に枝豆を茹でろと言った時の志乃くん…まるで別人の目でした」

⏰:07/05/28 02:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#426 []
「…そうか……?」

確かに
さっきの俺、自分じゃないみたいやった…
なんつーか…口が勝手に動いたというか…

「いえ、僕の気のせいだと思います…」

コウはちらっと俺を見て
わずかに微笑んだ。

「ビール取ってくるわ」

⏰:07/05/28 02:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#427 []
「お願いします」

俺は勢いよく立ち上がった

「?志乃くん何か落ちましたよ」

「え?なに………あ!!」

「……………」

コウは無言で俺のポケットから落ちた例のブツを持ち上げた。

⏰:07/05/28 02:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#428 []
「いや…あの……コウ……それは……え〜と…」

「…なんですかこれは」

コウはまじまじと例の名刺を見ている。

み…眉間にしわが!!

「…いや…なんつ〜か…」

「志乃くん僕の天使と連絡とってるんですか」

⏰:07/05/28 02:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#429 []
「いや…」

「ではこれはなんですか」

コウは俺の目の前に
名刺をずいッと差し出した

「…帰り際に渡された」

「………………」

コウは長い沈黙のあと
それはそれは長い、重いため息をついた。

⏰:07/05/28 02:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#430 []
「彼女は僕の天使ではなく志乃くんの天使だったというんですか…」

はい!?

「いやいやいやいやちょっと待ちたまえコウくん」

「……なんですか」

「まず第一に、姫菜は天使ちゃうから」

「…天使以外の何と」

人間以外の何者でもないんですけど。

⏰:07/05/28 02:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#431 []
「…いいですよ…姫菜さんは志乃くんに譲ります」

はいぃ!?

「別にいらんねやけど」

「いらない、とは失礼ですね。彼女は物ではありませんよ」

お前から譲るやらゆーたやん!

「俺には幸子おるから」

「そういえばいましたね」

おい!!

⏰:07/05/28 04:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#432 []
「幸子さんは元気なんですか」

「まぁな」

「会わないんですか」

「……………」

「ああ、僕がいるから会えないんでしたね。すみません。志乃くんは幸子さんよりもこの僕を選んだんでしたね」

コウは今まで見たことがないくらいの笑顔で言った。

⏰:07/05/28 04:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#433 []
「そんなにうれしいか」

「はい?」

「いや…めっちゃ嬉しそうやから」

「はい。僕は今まで友達と呼べる方がいませんでしたから」

コウは俺を見てニコッと笑った。

「いいものですね、友達って」

⏰:07/05/28 04:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#434 []
「……………」

「志乃くん?」

「もー寝るわ!」

俺はベッドに潜り込んだ

「照れてるんですか」

「やかましい!!」

アルコールのせいもあるが俺は顔から火がでるくらい真っ赤になった。

⏰:07/05/28 04:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#435 []
コウはクスクスと笑いながらソファーに横になった。

「志乃くん…」

「…………なに」

「志乃くんは僕の親友です。だから何があっても僕はあなたを裏切りません。困った時は助けます」

コウに目を向けると
コウは天井を見ながら目を細めていた。

「そりゃ…どうも」

⏰:07/05/28 04:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#436 []
コウは天井を見たまま
フッと笑い

「お礼はいいです」

と言った。

俺は何だか
あったかい気持ちになった

ああ…俺も今まで
こんな風に言ってくれる友達っておらんかったな…

「…サンキューな……」

⏰:07/05/28 04:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#437 []
ボソッと呟いた俺の言葉はコウには届かなかったのか、コウは目をまるくして

「何か言いましたか?」

と言った。

「別に〜!おやすみ!」

「おやすみなさい」

俺達は眠りについた。
まさか俺が
コウを裏切る日がくるなんて、この時の俺は想像もしていなかった。

⏰:07/05/28 04:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#438 [すず]
おはようお久しぶり最近は全然来られなくてゴメンネ
今一気に更新分見たよぉ志乃くんのこれからが気になる〜コウを裏切るって一体何があの姫とどおにかなっちゃうの〜
とか、気になることは山ほどだけど、私は気長に待ってるからゆっくり更新してね

⏰:07/05/28 07:44 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#439 []
俺はその夜
夢を見た。

――――――………

《……のくん……》

《……志乃くん…》

コウ……?

『コウ!!お前…』

《志乃くん……》

コウが
血まみれになって
俺を呼んでいる。

⏰:07/05/29 04:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#440 []
『コウ!!』

俺はコウに駆け寄ろうと立ち上がった。

《だめです…あなたは…》

コウは唇を噛み締め
苦痛に歪んだ表情をした。

『何言って…コウ!!』

俺はコウの元へ走ろうとした…が

……足が……。

⏰:07/05/29 04:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#441 []
足が動かない。

『コウ……っ…』

俺はコウに向かって手を伸ばす。

『コウ…!!』

届かない。それどころか
コウはどんどん離れていく

《僕は…あなたを……》

⏰:07/05/29 04:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#442 []
苦痛に耐える表情をしながら
コウは俺に向かい微笑んだ

《…僕は………》

え?なに?

《志乃くん…僕は……》

何て言ってるんや…?

《僕は…あなたを…守れま………し…た……》

⏰:07/05/29 04:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#443 []
―――………

「コウ!!!!」

俺はガバッと跳び起きた。
体中が汗でべとべとしている。

「…な…んや…夢…か」

変な夢を見たせいか
俺は呼吸が荒くなっていた

「…おはようございます」

⏰:07/05/29 04:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#444 []
「あ…おはよ…」

ムクリとだるそうにコウが起き上がり、時計を片手にとった。

「…まだ5時ですが…何の用ですか」

「は?」

コウはあきらかに不機嫌な表情で俺をじろっと見た。

⏰:07/05/29 04:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#445 []
「僕の名前を呼んだでしょう?……まさか…」

コウの目がギロリと光った

「寝言で僕の名前を呼んだんですか」

「…う………」

「…図星ですか」

「……まぁ…」

コウは朝っぱらから深いため息をついた。

「まさか僕の夢を見たなんて気持ち悪い事言いませんよね」

⏰:07/05/29 04:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#446 []
「……………」

ん?
俺なんの夢見てたっけ。

コウの名前を叫んだ事は覚えてる。だが
夢の内容は……

「出演料いただきます」

「…いくらよ」

「そうですね、僕最近バイクの免許がほしいです」

払えるかい!!

⏰:07/05/29 04:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#447 []
「ケタがちゃうやろ」

「…ではマンションを」

「ケタがちゃうわ!ケタが!!」

「わかりました。野菜生活でいいですよ」

あら、味覚戻ったん?

「それで、どのような夢を?」

⏰:07/05/29 04:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#448 []
「…忘れた」

「と、言いますと?」

「覚えてへん」

「こんなに朝早くに僕を起こすような夢を見たくせに覚えてない、ですか」

「……おー」

ほんまに何の夢やっけ…

「…志乃くんは記憶力がないんですね…髪がないから頭の中身も抜けていくんでしょうか」

⏰:07/05/29 04:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#449 []
「頭は関係ないやろ」

「関係あります」

コウは布団に潜り込んだ

「もう少し寝ます。おやすみなさい」

「…おやすみ」

俺は額から流れる汗をぬぐい、再び眠りについた。

⏰:07/05/29 05:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#450 []
【第22章 幕開け】

《時間です》

《起きて下さい》

《時間です》

「…う〜……ん」

《起きて下さい》

「……うるせ〜…」

って………

「なんや!?」

⏰:07/05/30 03:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#451 []
「ああ、おはようございます志乃くん」

「…今のって…」

何?

「目覚ましです」

なんか…コウの声に聞こえたんやけど……

「僕の着ボイスです」

えーーー!!?何それ!

⏰:07/05/30 03:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#452 []
「おまっ……えっ?…なに…着……?」

「志乃くん何を伝えたいんですか。しっかり話して下さい」

自分の着ボイスを目覚まし音にするとは…
いやいや
それ以前に自分の着ボイスを保存するやつなんか初めてみたぞ。

⏰:07/05/30 03:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#453 []
「自分の声で目が覚めるとは、なんだか不思議な感じですね」

ほなやめろ。

「今日はとても目覚めがいいです」

コウはニコニコしながら
大きく伸びをした。

こいつ
自分大好き人間か!?

⏰:07/05/30 03:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#454 []
「お腹すきましたね。朝ごはんいただけますか」

「…ちょっと待って」

「プレイバック」

!!?

「……プレイバック…」

「いいですね、待ちましょう」

ノッてもーた…。
俺はため息をつきながらリビングへ向かった

⏰:07/05/30 03:36 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#455 []
「かーちゃん飯は…」

リビングはシーンとしていた。テーブルの上には紙切れと二千円が置かれている

《朝飯なし。朝マックでも買うて食べなさい》

朝マック…ねぇ…。
俺はいいけど
コウが何て言うか……

⏰:07/05/30 03:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#456 []
「いいですね行きましょうか」

部屋に戻りコウに伝えると意外にもコウはニッコリとして立ち上がった。

「お前マクド食った事あるんか?」

「いいえ」

やっぱり…

「未知の食べ物ですのでぜひ食してみたいです」

⏰:07/05/30 03:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#457 []
未知て…
マクドが未知て…
あの有名なファーストフードマクドナルドが未知!?

「なぜ関西ではマクドと言うのに朝マックだけは朝マックなんですかね?朝マクドでいいじゃないですか」

そんなん俺に言われても!

⏰:07/05/30 16:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#458 []
「まぁいいでしょう。急がないと朝マックを食べる予定が普通のマクドを食べる事になりますよ」

普通のマクドて?
朝マックは普通ちゃうんか?てかややこしい言い方すんな!!

「別にどっちゃでもええやんけ」

「だめです」

⏰:07/05/30 16:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#459 []
「なんで!!」

「志乃くんのお母様の命令でしょう?朝マック食べなさいと」

「……そーですね」

「そうですよ」

行きましょう、とコウは部屋をでていった。

この日
これから起きるマクド店内での出来事が
俺を狂わせる事になる…。

⏰:07/05/30 16:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#460 []
「いらっしゃいませ〜」

マクドへつき
店員がスマイルぜろ円をくれた。

「俺は…何にしよかな」

「僕は志乃くんと同じものにします」

うーん…

「じゃあ〇〇セットふたつ」

「ありがとうございます少々お待ち下さい」

⏰:07/05/30 17:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#461 []
俺達は空いている席に腰かけた。

「学生がたくさんいますね。たまり場でしょうか」

「マクドでオールとかよくやるわな〜」

俺は頬杖をついて
店内をぐるっと見渡した。

「…あれ?」

⏰:07/05/30 17:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#462 []
一人の女性が
小説を片手にコーヒーを飲んでいる。

あの美しい…
あの美しいオーラは!!

「スーパーの店員や!」

俺は目を輝かせた。

コウは俺の目線を追い、美女店員にたどり着いた。

「知り合いですか?」

⏰:07/05/30 17:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#463 []
「いや…昨日枝豆買いに行ったスーパーの…」

「スーパー枝豆の店員ですか」

スーパー枝豆!?

「そんな店名やったんか」

そりゃ枝豆豊富やわな

「いえ、言ってみただけですが」

勝手に名付けるな!!

⏰:07/05/30 17:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#464 []
「ほう……」

コウは美女店員を上から下まで舐めるように見た。

「美しい方ですね」

「めっちゃ美女やわ〜」

「そうですね」

コウは対して興味なさそうに美女から視線を逸らした

こいつもしや
女の趣味悪いんか?

⏰:07/05/30 17:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#465 []
「志乃くん目がハートになってますよ」

「えっ…あ〜ははは」

「何笑ってるんですか。あなたまさかあの方に…」

「ちゃうちゃう!!俺には幸子がおるんやから!」

「……それならいいですけどね…」

そうですとも。
俺には愛しい幸子がおるんやから。

⏰:07/05/30 17:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#466 []
「お待たせしました」

俺達の席に
〇〇セットが届いた。

「いっただきま〜す」

俺はハンバーガーに食らいついた。

「……食わんのか?」

コウは黙ったまま
トレイを擬視している。

「……志乃くん…」

⏰:07/05/31 02:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#467 []
まさか食えないとか言うんちゃうやろな〜…

「…なに」

「少ないです」

「は?」

「たったこれだけではお腹が膨れません」

えー!?
こいつどんだけ食う気やねん

「僕もう1セット買ってきます」

⏰:07/05/31 02:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#468 []
「食うてからにしろ」

「いやです」

「食うてからにしなさい」

「……………」

「黙って早く食べなさい。わかったか?」

俺はコウの親か!!

「……わかりません」

わかってくれ息子よ。

⏰:07/05/31 02:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#469 []
「買ってきます!」

コウは千円札を握りしめ
席をたった。

あいつはガキか…。

俺は黙々とハンバーガーを食った。

「あれー!?」

⏰:07/05/31 02:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#470 []
「昨日の…」

俺は顔をあげた。

「あっ…」

べっぴん店員さんが俺を見て微笑んでいる。

「おはようございます。昨日はどーもありがとう」

「覚えてたん!?」

「きみ、カッコイイから」

えー!!照れますやん!

⏰:07/05/31 02:21 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#471 []
「一人?」

「あ〜今連れときてる」

「そうなんだ〜」

「一人なんスか?」

「うん、これから仕事」

「頑張ってくださ…」

え…!?何この熱い視線

べっぴん店員は
俺をじいーっと見つめている。

⏰:07/05/31 02:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#472 []
「あ…の……」

「なぁに?」

う…やばい…。
何これ……なんか…
この人の目に
吸い込まれそうな…。

「志乃くん?」

コウが戻って俺の名を呼んだ。
俺はハッとした。

「どうしたんですか?」

⏰:07/05/31 02:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#473 []
「いや…別に」

「あ、じゃーあたし仕事だから。また来て下さいね」

べっぴん店員は
俺とコウに軽くお辞儀をし店を後にした。

「何話されてたんですか」

「…別に……」

そうですか、とコウは言いハンバーガーをガブッと食べた。

⏰:07/05/31 02:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#474 []
「…なるほど。案外おいしいですね」

コウは一個めのハンバーガーをたった三口でたいらげた。

「おい」

「はい?」

「もっと噛みなさい」

「いやです」

「噛め」

「いやです」

「噛めや!!」

⏰:07/05/31 02:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#475 []
「何怒ってるんですか」

コウは二個目のハンバーガーを開きながら
鼻でフッと笑った。

「もっと噛めや!!俺の言う事が聞けへんのか!」

「………………」

俺の怒鳴り声で店内の客が俺に注目した。

「志乃くんどうしたんですか?」

⏰:07/05/31 02:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#476 []
コウが心配したような
困ったような表情で俺を見た。

「…あ……わりぃ…」

またや……
また口が勝手に…。

「昨日と同じです」

「え?」

コウがジュースを一口飲んで言った。

「今怒鳴った時の目、昨日の志乃くんと同じでした」

⏰:07/05/31 02:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#477 []
「……………」

「何かあったんですか?」

心配そうな顔で
コウは俺の顔を覗き込んできた。

「…なんもない」

「……そうですか…」

コウは俯いて
今度は一口一口ハンバーガーを噛みしめた。

俺…なんか変や…。

⏰:07/05/31 02:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#478 []
その後俺は食欲がなくなり残ったハンバーガーをコウにあげた。

「志乃くんは本当に少食ですね」

「…やかましい」

なんやろ……。
頭がズキズキする…
頭の中が……。

⏰:07/05/31 02:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#479 []
「志乃くん顔色悪いですよ?大丈夫ですか?」

顔色…?
ただの風邪か?

「大丈夫だいじょ…」

俺は自分の顔に手を当て、ゾッとした。

冷たい…
ただの冷たさじゃない。
まるで氷を触ってるみたいや。

「志乃くん?」

⏰:07/05/31 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#480 []
「…いや…なんもない」

「本当ですか?真っ青ですが…」

「大丈夫やから…」

俺はコウから目線を逸らし窓を眺めた。

「…っ……!?」

なんだこれは………

窓にうっすらと映る俺は
俺じゃなかった。

まるで悪魔のような
真っ青な顔をし、ニヤリと笑っている俺が映っていた

⏰:07/05/31 03:03 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#481 []
俺…
俺は……
今俺はこんな顔をしているのか……?

俺は自分の顔を手で覆った

「志乃くん?本当にどうしたんですか?」

「……るな……」

「はい?」

「見るな!!!」

「志乃くん?」

「俺を見るな!!!」

⏰:07/05/31 03:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#482 []
「志乃くん落ち着いて下さい、どうしたんです?」

コウは俺をなだめながら
俺の手を握った。

「見るな!!」

「志乃くん落ち着きなさい」

コウが俺の顔を
いや、手の上から
俺をひっぱたき、俺は冷静になった。

「どうしたんですか」

⏰:07/05/31 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#483 []
恐る恐る顔から手を退け
再度窓ガラスに目をむける

…いつもの俺や…。

そこに映る俺は
先程とは違った情けない表情をした
まぎれもなく俺だった。

「家に戻りましょう。帰りますよ」

コウは俺の腕を掴み、
足早に店内を後にした。

⏰:07/05/31 03:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#484 []
店の外に出た瞬間、
コウは俺の手を握りながらじっと俺の目を見た。

「ああ…良かったです…いつもの志乃くんの目です」

「……………」

「帰りましょうね」

コウはそれ以上何も言わずにスタスタと歩いた。

俺も俯いたまま
コウの後ろを歩いた。

⏰:07/05/31 03:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#485 []
さっきの俺…
一体なんやったんや?

俺が
俺じゃなかった。

さっきの表情は…

コウは
あの悪魔のような俺を見たのか…?

あんな表情を…
もし見られていたら……


《コロセ》

「え!?」

⏰:07/05/31 03:57 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#486 []
「どうしました?」

俺の声にコウは足を止め
振り返った。

「いや…何も」

「…………」

コウは怪訝な顔つきで俺をじろっと見、親指の爪をガリッと噛み再び歩き出した

今の声…何や?
コロセ……って?

⏰:07/05/31 03:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#487 []
「ただいま帰りました」

家のドアを開け、
コウが玄関に上がった。

お前んちか!!

「…ただいま」

「部屋に行きましょう」

コウは元気のない俺をチラッと見て階段をのぼった。

⏰:07/06/01 00:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#488 []
部屋に入るなり
コウはたばこをとりだし火をつけた。

「大丈夫ですか」

煙を吐きながら
コウは俺を見る。

「……ん、大丈夫…」

「だめですね、どうしたんですか昨日から」

「………別に」

⏰:07/06/01 00:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#489 []
部屋にいても
俺は自分の顔が気になった

鏡…鏡……

俺は机にある小さな鏡を手にとった。

「髪形を気にしてるんですか?大丈夫ですよ髪形は。髪がないんですから」

やかましい。

俺は自分の顔を映し、ホッとした。

いつもの俺や…。

⏰:07/06/01 00:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#490 []
「目を気にしてるんですか」

「え?」

コウは右手にもった煙草からでてくる煙を眺めながら優しい口調で言った。

「なぜ鏡を見てるんです?目を気にしているんでしょう?」

「……………」

⏰:07/06/01 02:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#491 []
そういえば
コウは俺の目が違ったと言ってたな…

その時の俺は…

さっきのような表情をしていたのか?

「大丈夫ですよ。今はいつもの志乃くんと同じです」

「………っき…は?」

「?すみません聞こえませんでした」

⏰:07/06/01 02:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#492 []
「さっきの俺は!?」

「…………」

「どんな表情してたんや!!答えろ!!」

「…そんな必死になって…どうしたんですか」

「………………」

「とりあえず落ち着いて下さい。表情は…わかりませんが目だけが違っていました」

⏰:07/06/01 02:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#493 []
「…どんな風に…」

コウは力なく問い掛ける俺に一瞬目を向け、
フイッとそっぽを向いた

「…僕を憎むような…いえ、全てを憎むような…そんな目をしていました」

全てを…憎むような…

「…そ……っか……」

⏰:07/06/01 02:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#494 []
俺はガクッと肩を落とした

頭が重い…。


コウは俺の隣に座り、
俺の肩を抱き寄せた。

「志乃くんすみません。不安にさせましたか?」

「……………」

「大丈夫ですよ。きっと僕の見間違いです」

⏰:07/06/01 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#495 []
頭が重い…

頭が……。

俺は頭を抱え込んだ。

コウは俺をなだめるように肩をポンポンと叩いた。

「大丈夫ですよ」

優しい口調で俺をあやすコウに
俺は涙が出そうになった

一体俺は

どうしたんや…?

⏰:07/06/01 02:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#496 []
【第23章 異変】

その日以来
俺は特に何も変わらず
相変わらずの日々を過ごしていた。

「志乃くん今日はやけに嬉しそうですね」

俺の身体に異変があった日から一週間がたった。

「今日は幸子が家にくるねん!コウ邪魔せんといてな〜?」

俺はすっかり忘れてしまっていた。
俺の身体に異変が起きていた事なんて

⏰:07/06/01 02:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#497 []
「邪魔しないでと言われても…僕は一緒に住んでいるんですから…」

「頼む!ほんの2時間…いや、1時間でえーから散歩でもしてきてくれへん?」

「長い散歩ですね」

「頼む!!!」

「………わかりました。では2時間、外してあげますよ」

⏰:07/06/01 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#498 []
「サンキュー!!」

俺はコウに抱き着いた。

「やめて下さい…気持ち悪いです…」

「お前にチューしたい気分やわ!」

「…したら殴ります」

「冗談やんっ!!」

俺達はふざけあいながら
幸子を迎えに駅まで歩いた

⏰:07/06/01 02:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#499 []
「偶然だね!」

駅までもうすぐのところで俺達の背後から声が聞こえた。

振り返ると

「あれ?スーパーの…」

スーパー枝豆(仮名)のべっぴんな店員がいた。

「覚えててくれたの?」

店員さんはニコニコしながら俺達に駆け寄った。

⏰:07/06/01 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#500 []
「そりゃ〜べっぴんは忘れへんわ〜」

俺は少し照れながら頭をかいた。

「本当〜?嬉しいな〜」

「マジっス!!」

照れる俺の隣で
コウは涼しい顔をして空を見上げている。

「きれいですね」

⏰:07/06/01 03:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#501 []
「え…あたしが?あなた達友達〜?」

店員さんはコウをニコニコした表情で見ている。

「いえ、空がきれいだと言いました」

おい!!!!

固まる俺と店員さんをよそに
コウは目を細めながら空を見上げている。

⏰:07/06/01 03:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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