きみを送るA
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#521 []
ちょっと…
いくらべっぴんでも
幸子を困らせるのはいただけん。

「俺の女困らせんといて」

俺はアコさんに向かい
冷たく言い放った。

「ごめ〜ん!冗談だから!怒んないでよっ。幸子ちゃんもごめんね?」

⏰:07/06/02 02:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#522 []
幸子は悲しそうな表情をしていたが、
アコさんに向かい笑顔を見せて

「志乃は誰にも渡しません。あたしの彼氏やから」

と言った。

アコさんはその言葉を聞きほんの一瞬、
幸子を物凄い目付きで睨んだ。

それはほんの一瞬すぎて
俺はその表情が見間違いだと思ってしまった。

⏰:07/06/02 02:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#523 []
「ありがとう。またきてね!」

レジが終わり、アコさんは笑顔で俺達に向かい言った。が、俺は何も答えなかった。

幸子を悲しい表情にさせた、俺はアコさんが許せなかった。

もう二度とスーパー枝豆には行かない、と俺は思った

⏰:07/06/02 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#524 []
食材を袋につめ、
俺達は家へ向かい歩いた。

「…さっきの店員さん…知り合い?」

幸子が遠慮がちな表情で俺に問いかけた。

「少し話すくらいやで」

「………………」

「ほんまやで」

⏰:07/06/02 02:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#525 []
「でも…あの人志乃のこと名前で呼んでた」

「まぁ…さっき名前聞かれたからな〜…」

「……やだ……」

「え?」

立ち止まり俺の服の裾を掴む幸子の目には
うっすらと涙がたまっていた

「えっ…どしたん?」

⏰:07/06/02 02:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#526 []
「やだよ……」

「幸子?何泣いてん?」

焦る俺。

「あの人…志乃の事…奪うとか言ってた…」

幸子の大きな目からは
涙がぽたぽたと落ちた。

「俺にはお前がおるやん」

「…でもぉ……」

泣き続ける幸子。

⏰:07/06/02 02:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#527 []
不謹慎か?

俺はやきもちで泣いている幸子を見て、
おもしろくなってきた。

「…ぷっ」

思わず吹き出してしまった俺を、幸子は怪訝な表情で見上げた。

やべーやべー。

「何…笑ってるん……」

⏰:07/06/02 02:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#528 []
「笑ってへん」

「笑ってるやん!!」

「笑ってないって」

幸子は俺の胸板をぽかぽかと叩く。

かわいすぎる…。
なんでこんなかわいい生き物が生まれんねやろ。

「ごめんって。早く家行くで。幸子の料理食いたい」

⏰:07/06/02 02:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#529 []
俺の言葉に幸子はハッとして歩きだした。

「今日はスタミナ丼を作りま〜す!いっそげ〜!」

「…スタミナ丼…か」

俺はフッと笑みが漏れ、
幸子のあとをついて歩いた

これから
あんな出来事が起きるとも知らずに…。

⏰:07/06/02 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#530 []
家につき、幸子はさっそく台所にたった。

「出来たら呼ぶから志乃はテレビでも見ててな!」

「手伝うわ」

「だめ!志乃が手伝ったらマズなるやんっ」

「…ふざけろ」

「はいはい!あっち行ってて〜!」

幸子に背中を押され、俺は台所から追い出された。

⏰:07/06/03 03:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#531 []
「おもろいテレビなんてしてねーっての…」

……って、テレビ見てる場合か!
今日こそは脱童貞や!

俺は振り返り台所に立つ幸子を見つめた。

フンフンと鼻歌を歌いながら食材を切っている幸子に俺は欲情してきた。

⏰:07/06/03 03:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#532 []
「なぁ……」

俺は幸子の背後に立ち、腰に手を回す。

「志〜乃〜!今料理中やから邪魔しやんといて!」

幸子は俺からスルリと抜け、俺に背を向けた。

幸子の耳が赤い。

再度俺は幸子を抱きしめる

⏰:07/06/03 03:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#533 []
「…照れてんの?」

幸子の耳元で囁くように俺は言う。

「も〜!何言って…」

振り返り俺を見る幸子の表情が一瞬固まった。

「お前が欲しい」

「……志…乃……?」

⏰:07/06/03 03:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#534 []
幸子は俺の顔を見ながら
どんどん後退りする。

「幸子…」

「…や……だ……来ないで……」

幸子?

「…志乃…じゃない…」

幸子?

「やめ…て……」

幸子の表情は
今まで見たことがないくらい脅えていた。

⏰:07/06/03 04:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#535 []
「やめて…志乃……怖い……やだ……」

……怖い?

俺が怖い?

「ふざけんな!!!」


「きゃあ!!!」

幸子の悲鳴と共に
ガツッと鈍い音がした。

俺の右手には違和感。

…………え……?

⏰:07/06/03 04:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#536 []
ハッとした時には

遅かった。

「さち…こ……?」

俺の目には
頬を押さえながら俯き震える幸子が映った。

う…そだろ……?

俺が……

「志乃…なんで……?」

俺が幸子を殴った……

⏰:07/06/03 04:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#537 []
身体中から血の気が引くのがわかった。

俺はガクッとひざをつく。

俺は……

最愛の女を

この手で殴ってしまった。

「……幸子……」

幸子の頬に手を伸ばすと
幸子はビクッと震え、俺から離れた。

「…ごめん…幸子ごめん」

⏰:07/06/03 04:11 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#538 []
幸子は何も答えなかった。

ただただ俯いて泣きながら震えている。

どのくらい時間が立ったのだろう。

ふと、玄関が開く音がした

「ただいま戻りました」

コウの声が玄関から聞こえてきた。

⏰:07/06/03 04:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#539 []
「志乃くん?戻りましたよ。志乃くーん」

だんだんとコウの声が近付いてくる。

ガチャッとリビングのドアが開くと同時に
驚いた表情のコウが叫んだ

「どうしたんですか!?」

⏰:07/06/03 04:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#540 []
コウは俺達の元にかけより幸子と俺を交互に見た。

「何があったんです!?幸子さん大丈夫ですか!?」

コウは幸子の顔を心配そうに覗き込んだ。

「志乃くん…」

幸子の肩を優しく掴みながらコウは俺を見上げる。

「…志乃くん……何があったんですか……」

⏰:07/06/03 04:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#541 []
俺は何も答えられなかった

俺が幸子を殴ったなんて

何かの間違いや…。

でも確かに俺の右手には

人を殴ったとき特有の痺れがある。

……どうして俺が…

「話はあとから聞きます。僕は幸子さんを送りますので」

⏰:07/06/03 04:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#542 []
コウはヨロッと立ち上がる幸子の肩を抱き、リビングのドアを開けた。

俺は呆然とその場にひざをついたままだ。

リビングから出る幸子が
ゆっくりと俺に振り返った

「…あたし大丈夫やから…気にしやんでな……?」

無理矢理笑ってみせる幸子の頬は痛々しい程赤くて
俺は涙が流れた。

「…ご…めん………」

⏰:07/06/03 04:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#543 []
【第24章 侵蝕】

コウと幸子が家を出たあとも俺は動けなかった。

幸子が切った食材だけが虚しく台所に散らばっている

「やっほーー!!」

シンと静まっていたリビングに明るい声が響いた。

「志乃〜!久しぶり!さきが戻ってきましたぁ!」

⏰:07/06/03 04:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#544 []
「…さ……き……?」

そういえばいたね、そんな人(霊)も。

「どうしたの〜?暗いなぁ〜。ねっ、コウは!?」

さきは嬉しそうに俺の周りをピョンピョンと飛び回った。

……やめろ。

頭がズキズキする。

⏰:07/06/03 04:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#545 []
「志乃くーん?マジで元気ないね〜!どしたの?」

うるさい…

頼む。黙ってくれ…

「さきの元気わけてあげるよ〜!!」

頼むから出てってくれ…

「は〜い!志乃に元気を…きゃああ!!!」

⏰:07/06/03 04:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#546 []
リビングには
甲高いさきの悲鳴。

そして俺の手は

「…志……乃……」

さきの心臓へ食い込んでいた。

ニヤリと口角があがるのがわかる。

「霊なら痛みも感じないだろ?」

俺の声ではない低い声で
俺は冷たく言い放った。

⏰:07/06/03 04:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#547 []
「志乃…なん…で…?」

さきが俺の腕を掴みながら苦しそうな表情をする。

「へぇ?苦しいのか?お前ら霊は痛みも何も感じないんだろ?」

ニヤニヤと笑う俺の腕は
さきの心臓に食い込んだままだ。

何だこれは…
俺の腕には冷たいけどぬるっとした感触。

⏰:07/06/03 17:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#548 []
「志乃…やめて…」

やめたい

やめたいけど

俺の身体が勝手に…

「お前はなぜ下界にいるんだ?」

冷静な口調で俺は問う。

「なぜさ迷っている?」

不敵な笑みを

浮かべたままで

⏰:07/06/03 17:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#549 []
「あ…志乃……やめ…」

さきのか細い声は
ある人物により掻き消された。

「志乃くん!!何やってるんですか!!」

コウは俺の元へ駆け寄る。

「チッ…邪魔が入った」

俺はそれだけ呟くと
目の前が真っ暗になった

⏰:07/06/03 18:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#550 []
「志乃くん!!」

頭の奥から
コウが俺を呼ぶ声が聞こえてくる。

「志乃くんしっかり!!」

わりぃ…

身体が動かない…

「志乃くん!!」

俺は深い眠りについた。

⏰:07/06/03 18:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#551 []
 
―――――……‥‥

《誰……?》

《誰なの……?》

俺は夢を見ていた。

《やめて………》

脅える声の主は……?

《お願い…やめ…て…》

……このは?

⏰:07/06/03 18:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#552 []
このはが

脅えた表情でしゃがみ込んでいる。

〈このは!!〉

俺はこのはの名前を叫ぶが

声がでない。

《お願い…やめ……きゃぁああああ!!》

甲高い悲鳴と共に

このはの身体から
大量の血が噴き出した。

⏰:07/06/03 18:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#553 []
《今回はこのくらいにしてやるよ》

俺の背後から
低い声が聞こえる。

誰だ……?

俺は振り返ろうとする

が……

―――――…‥‥

「志乃くん!!」

コウの叫ぶ声で
俺は夢から覚めた。

⏰:07/06/03 18:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#554 []
「…………俺……」

頭がボーッとする。

「大丈夫ですか?」

心配そうにコウが俺の顔を覗き込み、ホッとした表情をした。

「さきさん、今は大丈夫ですよ」

コウはドアの外に呼び掛けるように言った。

⏰:07/06/04 07:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#555 []
さきがドアから遠慮がちに部屋に入ってくる。

「…さき…俺……」

そこで口が止まった。

何を言い訳するつもりや?

俺はさきにした事を
鮮明に覚えている。

「………ごめんな…」

⏰:07/06/04 07:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#556 []
「…何かに……取り憑かれたの……?」

「………え?」

なんで?

「志乃の顔…なんか違う人みたくなってた」

「……………」

取り憑かれた……?

俺が?いつ?

なぜ……?

⏰:07/06/04 07:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#557 []
「…わからへん」

「……ねぇ…嫌な予感がするの……」

さきが困った表情で
俺の顔からコウの顔へと目を向ける。

俺もコウに目を向けた。

「………………」

コウは何も答えずに
一点を見つめながら眉間にしわを寄せ
ガリガリと親指の爪を噛んだ。

⏰:07/06/04 07:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#558 []
「…幸子さんが…」

しばらくしてから
コウが変わらず一点を見つめながら口を開いた。

「幸子がどうした…?」

幸子、という名前を聞き
俺はまた幸子にした俺の行動を思い出す。

「いえ…幸子さんもやはりさきさんと同じ事を言っていました」

⏰:07/06/04 13:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#559 []
コウは俺に目を向けた。

「志乃くんが何かに憑かれているのでは、と」

何かに憑かれている…

……何に?

「僕もそう思います」

「一体…何……に…?」

コウはたばこを一本取出し天井を見上げながら
指先でくるくると回し始めた。

⏰:07/06/04 13:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#560 []
「以前、聞いた事があります。人間は誰でもどこかに悪の部分を持っている。そこに入り込み、悪を引き出す力を持つ者がいる」

「……何それ…」

「姿形は人間ですが…彼女は悪魔だと…聞いた話ではその者に憑かれるとまるで人格が変わり、やがて根っからの悪魔に変わり果てると言います」

⏰:07/06/04 13:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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