【Devils×Night】
最新 最初 🆕
#95 [オッズ]
ガチャ―――


私はやってきた相手が人形だと思い込んでいたため、ひどく驚いた。

尋ねてきたのは人形ではなかった。

「……」

私は無言のまま、訪問者を凝視する。

失望で機能してなかった私の脳みそが徐々に復活していくのを感じた。

「千鶴……様でいらっしゃいますね?」

⏰:07/05/09 21:25 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#96 [オッズ]
低く抑揚のない声。

生気を吸い取られてしまいそう。

ここで私の脳みそはようやく完全に復活し、恐怖というものを思い出した。

「キ……、キャーーー!!!」

私はありったけの大声で叫んだ。

頭の中を優太や両親の顔が横切っていく。

訪問者に対する恐怖と、孤独への恐怖が入り交じっていた。

すでに死にたいなんて思えなくなっていた。

⏰:07/05/09 21:29 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#97 [オッズ]
訪問者は私をギロリと睨み付けた。
心外だ、とでも言いたげ。

「千鶴様ですね?」

再び同じ質問を言う。
さっきより乱暴な口調になっていた。

訪問者は顔が真っ白だった。
顔だけでなく、タキシードから出ている手も真っ白。
たぶん全身真っ白なんだろう。
しかし、目だけは真っ赤で、今まであった誰よりも小さな目だった。

まるでウサギ。
顔つきもウサギのようだったが、耳は長くない。
長くないというよりは、無いに近いかもしれない。
目の横辺りに、ぽっかりと黒い穴が開いているだけ。

⏰:07/05/09 21:35 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#98 [オッズ]
それに身長がかなり高い。
三メートルはあるんじゃないかと思う。

痩せているから、マッチ棒のように見える。

「……はい」

私は小さな声で返事をした。

こいつなんなの?
人形の仲間?

「優太様は?」

訪問者は首を傾げた。

なんでもない動作もひどく不気味に見えてしまう。

⏰:07/05/09 21:39 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#99 [オッズ]
私は首を振った。

声を出したら泣く。
絶対泣く。

訪問者はため息をついた。

「やはり間に合いませんでしたね……」

今度は私が訪問者を睨んだ。

「どういう意味?
っていうかあんた誰よ?
私と優太のことなんで知ってんの?」

訪問者はクックと笑った。

歯がむき出しになっているし、引きつったような笑顔が気持ち悪い。

⏰:07/05/09 21:43 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#100 [オッズ]
訪問者は頭にちょこんと乗っていたシルクハットを取ると、頭を下げた。

「ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。
不躾な私めにどうかお許しを」

あきらかにからかっているような言い方だ。

シルクハットの下からあらわれた、真っ白で、毛の生えていない頭を私は見つめていた。

「私の名前はオッズと申します。
後のご質問には後程お答えいたします」

訪問者……いや、オッズはそう言って、また醜い笑顔を作った。

⏰:07/05/09 21:50 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#101 [オッズ]
「オッズ……」

私はつぶやいた。

「はい、私の名はオッズ。
オッズ以外の何者でもありません」

オッズは歌うように答える。
いくら歌声を出しても、オッズの声は陰欝で、かび臭いような気がした。

「それって……あんたがなんなのか教えてくれないってこと?」

「お教えしたはずですが?
私はオッズ。
それ以上でも以下でもございません」

「……そう」

⏰:07/05/09 21:55 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#102 [オッズ]
人間なのかなんなのか。

人形を見た後だったから、オッズが人間じゃなくても納得できる。

私は質問を変えた。

「後程っていつ?」

オッズは私に向かって、長い腕を突き出した。

すごく大きな手。

私は身をひいた。

「ご一緒ください」

私が答えるまもなく、オッズは私の手を握り、歩きだしていた。

⏰:07/05/09 21:59 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#103 [オッズ]
―――――――――…


先程は、オッズは歩きだしたと言ったが、実際のところはわからない。

オッズに触れられた途端、せっかく復活した脳みそがとろけたようになったしまったからだ。

ボーッとしていたら、あっというまに目的地に着いちゃった。

だけど時間が裁ったようには感じなかった。


私の目の前には、不思議な形をしたお屋敷が広がっている。

こんな屋敷、見たことがない。

⏰:07/05/09 22:03 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#104 [オッズ]
「ねぇ……」

話し掛けてみる。

「何でしょう?」

オッズはそう言いながら、屋敷の入り口に向かっていく。

「ここ何?
お家の形、変じゃない?」

答えない。

オッズは私を無視して歩き続けている。

身長三メートルはあるウサギ男と、身長150あるかないかの私の歩調が合うはずがない。

着いていくのに必死で、私も黙った。

⏰:07/05/09 22:08 📱:N700i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194