【Devils×Night】
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#149 [オッズ]
「うん……。えっと、私の家族……お父さん、お母さん優太はどうなるの?」
キジの手がピタリととまった。
蜂蜜色の瞳に不審の色が広がった。
「どうなるもこうなるも死んでいるだろう?」
眉間にしわがよっている。
「そうだけど……」
私の頬に涙が伝った。
キジならなんとかしてくれるんじゃないかって……。
お父さんたちを殺したのは人形だし、人間じゃないんだし……。
だから―――…。
:07/05/26 18:31
:N700i
:☆☆☆
#150 [オッズ]
でも、そんなはずないんだよね。
いくらキジだって、人間を生き返らせることなんてできるはずないし。
そもそも私はキジのことを何も知らないんだ。
偉そうにしてるけど、本当は大したことはできないガキかもしれない。
それに相手が誰であろうと家族が殺されたのは明らかなんだ。
なのに期待しちゃうなんてバカだよね……。
キジはそっと椅子から立ち上がると、次の瞬間には私の横に立っていた。
困ったように私を見つめている。
「わ、私だって……い、生き……返らせるられるって、本気で思ってた……わけじゃない!……けど」
私はわんわんと泣き声をあげた。
:07/05/26 19:39
:N700i
:☆☆☆
#151 [オッズ]
お父さんたちを誰も助けられないんだ。
私は完全に独りぼっちになっちゃったんだ。
独りぼっちになってまで、わざわざ助けてもらって生きている意味ある?
「私……帰る!
た、助けなんて……いらないから……」
私は涙と鼻水だらだらの顔で、キジを思いっきり睨み付けた。
キジはせめるような視線を返し、私の涙をケーキでべとべとになった手で拭き取った。
「……できる」
「え……?」
:07/05/26 19:55
:N700i
:☆☆☆
#152 [オッズ]
キジは私から顔をそらして、トラの方を見つめた。
トラの表情は厳しかった。
「僕なら千鶴の家族を蘇らせられる。
千鶴、確か君は家族の一部を保存していたね?」
家族の一部……?
って耳たぶとか指とか?
「そうそれだ」
キジは、すかさずそう言った。
「え?!」
私、まだ何も言ってないよ?
てゆーか、なんで私がお父さんたちの一部を取っておいてるの知ってるわけ?
話してなかったよね……?
:07/05/26 20:01
:N700i
:☆☆☆
#153 [オッズ]
「それがあれば生き返らせる。
僕ならできる」
キジの声は堂々としていたが、瞳は不安げだった。
キジが不安げにしてるなんて……。
今日初めて会ったばかりだけど、自信満々でこそキジって感じがする。
「……何か問題があるの?」
私は疑るように聞いた。
気付いたらオッズが私の隣に居て、布巾で私のケーキと涙と鼻水だらけの顔を拭きだした。
ここの屋敷の住人は、人に気付かれずに移動するのが好きみたいね。
:07/05/26 20:09
:N700i
:☆☆☆
#154 [オッズ]
オッズの拭き方は血が出るんじゃないかっていうくらい乱暴で痛かった。
「ちょっとオッズ!
痛いよ!拭いてくれなくて大丈夫だから」
「すいませんねぇ……」
私の耳元でそう囁いた。
不気味で抑揚のない声。
思わず鳥肌がたつ。
オッズは背が高すぎるから、私の顔に顔を近付けるには、かがみこまないといけない。
体を曲げたり伸ばしたりすると、ボキボキと骨が折れているんじゃないかっていう音がしている。
近くで見るオッズってほんとに気持ち悪い。
「フフフ……」
キジが可愛らしい笑顔を見せた。
:07/05/26 20:19
:N700i
:☆☆☆
#155 [オッズ]
「オッズ……おまえは本当に気持ち悪いねぇ」
キジは気持ち悪いというのが、最高の誉め言葉であるかのように言った。
オッズは、黒いぽっかりとした穴だけの耳に、指を突っ込み、意味不明なことを呟くと、血相を変えて部屋から出ていった。
「何あれ……」
キジは楽しそうにキャッキャッと笑いだした。
「照れてるんだ。オッズは愉快なやつだ」
トラがため息をついた。
:07/05/26 20:25
:N700i
:☆☆☆
#156 [オッズ]
あれって照れてるの?
「それより千鶴。
問題は……無いというわけではない」
可愛らしい笑顔は消え、キジは真面目な顔になった。
「たとえばどんな問題があるの?」
私は心配になった。
キジはできるって言ってるけど、死んだ人を生き返らせるなんてたやすいはずがない。
キジにだって人を生き返らせるなんてできないと思ってたくらいだし。
「大した問題じゃないさ。
ただ、完全じゃない……それだけ」
「完全じゃないって……」
「黙って。
とにかく、僕は君の家族を蘇らせられるんだ。
このことは後で考えればいい」
:07/05/26 21:07
:N700i
:☆☆☆
#157 [オッズ]
後でなんて……。
家族より大事なことなんて他にないのに!
キジは艶やかな黒髪をかきあげた。
「今考えるべきことは……君をリリーから助けだすことだ」
「でも!」
私は食い下がった。
なんとしてでも早く家族を生き返らせて欲しい。
「言うことを聞け。
僕は千鶴が助かったのを確認しないかぎり、君の家族は助けない」
キジは悩ましげに微笑んだ。
……可愛すぎる。
「わかった」
:07/05/26 21:12
:N700i
:☆☆☆
#158 [オッズ]
「それでいい。
では……なぜ君でなくて、先に弟が殺されたかわかるかい?」
え……?
どういう意味?
やっぱり先に殺されるはずだったのは私だった?
私は首を振った。
キジは不敵な笑みを浮かべた。
「千鶴には微量ながら魔力が宿っている」
「はぁ?!魔力?」
ちょっと待ってよ!
私に魔力?
ありえないって。
キジに魔力があるとしたら頷ける。
たぶんあると思うし。
でも……私に?!
:07/05/26 21:18
:N700i
:☆☆☆
#159 [オッズ]
「リリーは魔力に弱いんだ。だから、君に魔力が宿っていると知って、標的を弟に変えたのだ」
私に魔力……。
私に魔力なんかがあったから先に優太がやられた。
「ねぇ、私に魔力があるなら、優太たちを生き返らせることができる?」
キジは首を横に振った。
「魔力が弱すぎる。
しかし、僅かな魔力しかなくてもリリーには効果てきめんだ。
リリーは君に触れることはできない」
それってマジ?!
じゃあ、私は殺されないじゃん。
:07/05/26 21:23
:N700i
:☆☆☆
#160 [オッズ]
「殺されないわけではない。
生きているまま君を食べることはできないが、例えば包丁で君を刺し殺した後なら、君を食べることはできる」
キジは私の心の中を読み取ったらしく、そう答えた。
「つまり……、刃物とかそういうものを使えば、リリーも私を殺すことができて、私は死んじゃったら食べられちゃう?」
「そういうことだ」
げげ……。
刃物使えば殺されちゃうんだ。
「だけど、キジなら簡単にリリーをやつけられるでしょ?
私が弱くても問題ないよね?」
:07/05/26 21:28
:N700i
:☆☆☆
#161 [オッズ]
キジは私の質問には答えずにそっぽをむいた。
「残念ですが……キジ様はこの屋敷から出られないのです」
トラが申し訳なさそうに口を挟んだ。
うそ……。
うそでしょ?!
私一人でリリーと戦わなきゃいけないの?
無理……!絶対無理!
リリーの前に立ったら、身動きできなくなりそう。
「心配するな」
キジがぶっきら棒に言った。
「リリーはどんどん進化していっているが、まだ道具をうまく使うことはできないだろう。
殺される心配はない」
:07/05/26 21:33
:N700i
:☆☆☆
#162 [オッズ]
そんなの憶測でしょう?!
一人なんてやだよぉ!
私はトラを見たが、素早く目をそらされてしまった。
キジは私の心の声が聞こえているはずなのに、平然と無視している。
「それから、秘密道具をやろう」
キジはにんまりとして、私に向かって何かを投げた。
私は必死でそれをキャッチした。
「秘密道具って……」
キャッチしたものを見ると、それはすごく綺麗なネックレスだった。
:07/05/26 21:39
:N700i
:☆☆☆
#163 [オッズ]
古そうなものだけど、ネックレスに付いている宝石の輝きは素晴らしい。
「これ……?」
「それは僕が、人間だった頃のリリーに送ったものだ」
キジは愛しそうに私が手にしているネックレスを見つめた。
キジが……リリーに?
「ネックレスには膨大な魔力を入れておいた。
それをリリーの首にかければ、魂も人形もぼろぼろに崩れるはずだ」
ネックレスをリリーの首に……。
私にそんなことができるのかな?
:07/05/26 21:45
:N700i
:☆☆☆
#164 [オッズ]
でもやるしかない。
お父さん、お母さん、それに優太のためにも。
「わたかった。やる」
私は堂々とそう言った。
キジは静かにうなずく。
「……ねぇ、キジ?」
キジは金色に輝く美しい瞳で私を見つめた。
「あんたって何者っ?」
私はそう言ってにっこり笑った。
キジもにんまりと笑う。
「……魔法使いさ」
:07/05/26 21:50
:N700i
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