【Devils×Night】
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#181 [オッズ]
―――――――――…

気が付くと、私はトラを抱き締め、殺風景な部屋に座り込んでいた。

ここはキジの屋敷……。

私の頭は混乱していた。
どうしてまたここにいるのかもわからない。

「千鶴……よくやった」

いつのまにか、私の目の前にキジがいた。

切なそうな笑みを浮かべ、私の手からトラを受け取ると抱き上げる。

「まったく。君もむちゃなことをやるねぇ、ハインリッヒ?」

⏰:07/05/27 15:22 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#182 [オッズ]
キジの声音はとても優しく、心地よかった。


―――思い出した。

ネックレスをかけられたリリーは、崩れた。

皮膚が爛れ、乾燥しポロポロと床に零れる。

この世のものとは思えない悲鳴をあげていた。

それに、キジの名前を呼び続けてたんだ。

とても恐ろしい光景。

それから私は、怪我をしたトラを抱いて彷徨った。

私、帰ってこれたんだ……。

⏰:07/05/27 15:28 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#183 [オッズ]
安心感と疲労感が一気に込み上げてきて、
私は気を失ってしまった。

―――――――――…

次の日、私は清々しい朝を迎えた。

ガラスが刺さった足の裏が痛かったが、それが逆に誇らしく感じた。

「ねぇ、キジ!」

私は上機嫌でキジに話し掛けた。

「なあに?」

キジは欠伸をして、なかなか真面目に話を聞こうとしない。

⏰:07/05/27 15:34 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#184 [オッズ]
「もう!
約束はどうしたの?」

「約束ぅ?」

キジはけだるげに私を見つめた。

まさか本当に忘れてないわよね?

「キジ様、千鶴様のご家族を生き返らせてあげられるのでは?」

トラがゆったりとした足取りで部屋に入ってきた。

猫の姿ではなく人間の姿で。

「トラ!昨日はありがとう!怪我は?大丈夫?」

トラは微笑んだ。

「当然のことです。
怪我はご心配なく」

⏰:07/05/27 15:43 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#185 [オッズ]
爽やかなトラの笑顔に、私は思わず見とれてしまう。

「痛っ!」

キジが私の肩を思いっきりつかんだ。

「思い出した。
望みどおり、お前の家族を蘇らせてやる」

「本当に?」

キジが不満げな様子なので、私はめちゃくちゃ不安になってきた。

「あぁ、もちろん。
千鶴、ポケットの中を見てみろ」

ポケット?

私はごそごそとスカートのポケットの中を探った。

⏰:07/05/27 15:47 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#186 [オッズ]
「あ……」

ポケットの中から、お父さんの耳たぶとお母さんの薬指が出てきた。

「それから、これは君の弟だ」

キジは優太の小さな両手を持っている。

「なんであんたが持ってるの?!」

てゆーか、なんで私も耳たぶと指を持ってるの?

ポケットに入れた覚えはないのに……。

「細かいことは気にするな。さぁ、それを床に置くんだ」

⏰:07/05/27 15:53 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#187 [オッズ]
私は反論したい気持ちを押さえ、キジに従った。

キジも弟の両手を床に置く。

「トラ」

キジがトラを呼ぶと、トラは可愛らしいダックスフントを抱えてあらわれた。

「犬……?」

なんで犬なんて連れてくるの?

何に使うの?

「千鶴、黙っていろ」

キジが厳しい口調で言った。
一心に床を見つめ、集中しきっている。

⏰:07/05/27 16:02 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#188 [オッズ]
キジが静かに呪文のようなものを唱えだした。

今まで聞いたことないような言葉……。

しばらく唱え続けると、耳たぶたちに変化が訪れた。

だらしなく床に置かれていた耳たぶは、元気よく飛び跳ねだす。

指も起き上がり、くるくると回転しだした。

そして弟の両手は……なんと、ダックスフントの前脚があった場所にいた。

⏰:07/05/27 16:08 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#189 [オッズ]
つまり、ダックスフントの前足は、優太の両手になってしまったのだ。

顔も体も後ろ足も列記としたダックスフントなのに、前足だけは人間の子供の手。

なんとも不気味だ。

「ちょ……何?コレ」

「何って、お前の家族だろう?」

キジは悪戯な笑顔で、不気味な犬たちを眺めた。

マジ……?

その時、優太の前足を持った犬が吠えた。

⏰:07/05/27 16:16 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#190 [オッズ]
『ワン』と吠えたのではない。

いや、性格に言えば吠えたのではなく、喋ったのだ。

「お姉ちゃん!」

犬は私のまわりを走りながら、『お姉ちゃん』と言い続ける。

すごく走りずらそうだ。

犬に続いて、指と耳たぶも『千鶴』と言いだした。

キジが鼻で笑った。

「ほら、千鶴の望みどおり蘇らせてやったぞ。
外見は少しばかり変わったが、中身は以前と同じだ。
ちゃんと話もできる」

⏰:07/05/27 16:21 📱:N700i 🆔:☆☆☆


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