百花×繚乱
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#150 [朔]
「卑怯だよね…あたし。」
マスターの着信が残る携帯を見つめたまま呟く。
どのみち本当の事を話せば嫌われる。
「マス…太郎ちゃん…ごめんね。」
あたしはマスターの電話番号とメルアドを拒否した。
きっとマスターは不審に思うだろう…心配もすると思う。
ハルトがあたしに嘘をついた事を悲観しても
あたしはマスターに同じ傷を与えようとしている。
「…だってしょうがないじゃない!!!もう嫌われたり嘘つかれたりするのは嫌なのよ…」
ベッドの上の手作りのクッションに顔をうっぷして
抱えたクッションの中で泣いた。
:07/06/20 10:29
:PC
:ksVpZcgk
#151 [朔]
チチチ…と鳥がさえずって
自動車の音や学生の声で目が覚めていた。
あたしはあれからまた眠ってしまっていた…。
目の辺りは乾いた涙でパリパリになっていた…。
「お肌荒れちゃう…」
目に入ったコンパクトな鏡を見て
泣きはらしてマスカラが取れて真っ黒になった目と
ちょっと腫れぼったくなった目を見てちゃんとメイク
落とせば良かったと後悔していた。
:07/06/20 10:33
:PC
:ksVpZcgk
#152 [朔]
顔を洗ってマネージャーからの電話を
すっきりしない気分で待つ…。
「もうちょっとさぼれば良かったかなぁ…?」
テレビから流れる暗いニュースばかりをちくりと痛む胸で
聞き流すように見ていた。
視界の内に入っていた携帯の液晶が光った。
「…。マスターだ…。」
手に持った途端、もう一度、光る。
また…。
「どうしたらいいの…どう…」
と戸惑っていたら
マスターからの電話をさえぎるように
プルルルルとマネージャーから電話が鳴った。
:07/06/20 10:39
:PC
:ksVpZcgk
#153 [朔]
「…はい。」
すかさず電話に出る。
「沙羅ちゃん、今日よろしくね。」
そう用件だけ伝えるとマネージャーは電話を切った。
すると、すぐにマスターからの電話…。
それでもあたしは出ようとはしなかった。
売春婦の沙羅を復活させた今…余計に会いたくはなかった。
:07/06/20 11:16
:PC
:ksVpZcgk
#154 [朔]
約束の時間が近づいてくる。
あたしはさぼっていた分を取り戻すように
念入りに化粧をしていつもより派手な服を着て
家のドアを開けた…。
ガチャ、ドアを開けた途端、驚いた…。
マスターが立っていた。
「ど…」
動揺を隠せなかった。
いつものニコニコ顔じゃなくて疲れきった頬…。
それでも無理して笑いかけるマスターに少し不気味さを感じた。
「サラちゃん…心配したよ…良かったぁー。」
頭を抱えてしゃがみこむ。
:07/06/20 11:22
:PC
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#155 [朔]
「ごめ…んなさい…。」
小さな声で謝るあたしを抱きしめた。
「ううん…いいんだ…何にもなかったならいいんだ。」
うんうんとあたしはマスターの腕の中でうなずくしか
出来なかった。
「お店は?」
と腕の中から聞いた。
マスターは「もう行くよ。サラちゃんは用事でもあるの?」と
聞き返された。
:07/06/20 11:24
:PC
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#156 [朔]
「今から男に抱かれに行くの…」
なんて言えるはずもなく…。
「うん、友達とちょっとね。」
「そっか…気をつけてね。また連絡するよ。」
ポンポンとあたしの肩を叩いてマスターは店に戻った。
変に思われたかな…いつもはしないような化粧をして…。
気付いてないならいいんだけど…。
あたしはささやかな願いを胸に待機してくれている
タクシーへ急いで乗り込んだ。
:07/06/20 13:03
:PC
:ksVpZcgk
#157 [朔]
久しぶりのタクシーで久しぶりのホテルへ着いた。
いつも通り軽く深呼吸。
久しぶりで何となく手に汗をかいた。
「行くわよ…沙羅…。」
自分に言い聞かせてホテルへと足を進めた。
:07/06/20 15:37
:PC
:ksVpZcgk
#158 [朔]
部屋番号を確認して部屋の前でもう一度
深呼吸する。
久しぶりの感覚。
インターホンを押した。
:07/06/20 15:40
:PC
:ksVpZcgk
#159 [朔]
「はいはいはい…」
忙しない声と共にドアの鍵が開いた。
あたしは今日、あたしを抱くはずの男を見て
顔が青ざめた。
「あれ…あんた…太郎さんの??」
「…ち、違います…。」
「えー??悪いけど俺は女の顔とか覚えるの得意よ?」
どうあがいても男の記憶はごまかせない…。
俯いて黙ったあたしを見て男は
「まあいいや。入ってよ。」
と顎で部屋を示した。
:07/06/20 15:57
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