「好き」と言いたい。
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#370 [あんみつ]
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グラウンドに、私と、自転車を押す洋平君の影が伸びる。

みんなまだそれぞれの教室で騒いでいるのか、外にいる生徒は少なく、静かだった。

「あーなんか疲れたな」

そう言うと、洋平君は首を回した。
 

⏰:07/10/19 22:13 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#371 [あんみつ]
 
「洋平君、100mすごかったしねー!!」

私の言葉に、洋平君は照れ臭そうに「まーな」と言った。

校門を出ると、洋平君はさり気なく車道側に行く。

いつも通りの優しさが、今の私の心にひしひしと伝わってくる。
 

⏰:07/10/19 22:16 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#372 [あんみつ]
 
(・・・言わなきゃ)

「・・・洋」

チリンチリーン

後ろで自転車のベルが鳴った。

洋平君が私の前に来て、1列になる。

2人乗りをした他校の学生が、私たちの横を通り抜けた。
 

⏰:07/10/19 22:17 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#373 [あんみつ]
 
後ろに乗った小柄な女の子が、前の男子の大きな背中にしがみついている。

自転車が通り過ぎて、洋平君は再び私の横に並んだ。

タイミングを逃した私は、口をつぐむ。

「・・・俺が」

洋平君が口を開いた。
 

⏰:07/10/19 22:18 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#374 [あんみつ]
 
私は、洋平君の方を見た。

「・・・俺が、後ろにねこちゃんを乗せないのは・・・歩いて帰って、少しでも長く、ねこちゃんと話していたいから」

洋平君は前を見据えている。

夕日に照らされて、その横顔はオレンジ色だった。
 

⏰:07/10/19 22:20 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#375 [あんみつ]
 
「・・・健二よりも長く、ねこちゃんと一緒にいたいって思うから」

(・・・あ)

「・・・洋平君、健二は」

「分かってる」

洋平君は、私の言葉をさえぎった。

「・・・分かってるよ。ねこちゃんにとっても、健二にとっても・・・お互いが大事なのは」

洋平君は、片手で軽く頭を押さえた。
 

⏰:07/10/19 22:23 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#376 [あんみつ]
 
「けど・・・ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??」

歩くスピードを落とすことなく、洋平君は続ける。

「・・・そんな」

口の中が乾く。

(そんなこと・・・)

言葉がでない。
 

⏰:07/10/19 22:25 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#377 [あんみつ]
 
「・・・ごめん、意地悪言った」

洋平君が、やっと私の方を向いた。

「ごめんな。・・・ただ、健二に嫉妬してるだけだから」

立ち止まって、私の頭を撫でる。

「あとちょっとだけど・・・後ろ乗る??」

そう言って、洋平君は自転車の後ろを手で叩いた。
 

⏰:07/10/19 22:29 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#378 [あんみつ]
 
「・・・うん」

私は頷いた。

洋平君の後ろに乗って、両手で座っている荷台を掴む。

私が乗ったのを確認して、洋平君は自転車を漕ぎ始めた。

ゆっくりと進む。

お互い何も言わない。

 

⏰:07/10/19 22:31 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#379 [あんみつ]
 

あまり、顔を見られたくなかった。

多分、今私は、泣きそうな顔してる。

何も言えなかった。

きっと、また傷つけた。

『ごめん』って。

言うのは私の方だよ。


洋平君の広い背中を見ると、胸が締め付けられる思いがした。

 

⏰:07/10/19 22:32 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


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