darkness;FROM OZ
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#108 [OZ]
その庭に長谷川さんは現れた。
そして、大きなスコップを使い、穴を掘り出したのだ。
僕は呆然とその様子を眺めていた。
腰の曲がった老人が掘っているとは思えないスピードで、穴は大きくなっていった。
長谷川さんは僕が見ていることに気付いたらしく、チラチラとこちらの様子を伺ってくる。
まったく、あのばあさんは何を考えているんだ?
:07/09/14 20:18
:SH703i
:☆☆☆
#109 [OZ]
長谷川さんは横二メートル、縦一メートルほどの穴を見事に掘り上げた。
掘り終わった後、長谷川さんは家の中に姿を消し、暫く見ていたが、穴のもとには戻ってこなかった。
夕食の時、何故穴を掘っていたのか聞いてみたが、適当にはぐらかされただけであった。
しかし、僕は案外早く、穴の使われ方を知ることになる。
あれは確か深夜2時頃ではなかっただろうか?
:07/09/14 22:50
:SH703i
:☆☆☆
#110 [OZ]
女の人の悲鳴を聞いて目を覚ました。
小さな声ではあったが、僕は深い眠りに就けずにいたので聞き取ることが出来た。
一瞬躊躇ったが、意を決して起き上がると、音を立てないようにして階段を下りていった。
階段を下りていったところでまた悲鳴が聞こえた。
てっきり悲鳴は家の外からしているものかと思っていたが、どうやら家の中から聞こえているようだ。
……長谷川さんの声?
:07/09/16 17:41
:SH703i
:☆☆☆
#111 [OZ]
僕は血の気がひいていくのを感じた。
なおも悲鳴や話し声がとぎれとぎれに聞こえてくるが、内容はまったくわからない。
よろよろと、声が聞こえてくるほうに向かって歩き出す。
なんだか夢を見ているような気分だった。
どうして自分がこんなに怯えているのかわからない。
自分はこんなにも臆病だったのだろうか。
:07/09/16 22:28
:SH703i
:☆☆☆
#112 [OZ]
僕の足は長谷川さんの寝室の前で止まった。
ふすまが閉まっているため、中の様子は全く見ることが出来ない。
悲鳴はやんでいたが、誰かが喋っているのが微かに聞こえる。
ここに来て、ようやくまともに思考する力が戻って来た。
もしかしたらふすまの先には長谷川さんの他に誰かいるのではないだろうか?
長谷川が一人で喋ったり悲鳴をあげたりするのは考えにくい。
:07/09/16 22:37
:SH703i
:☆☆☆
#113 [OZ]
だったら何か武器になるようなものを持ってくるべきだった。
けれどもう遅い。
僕にはそんなことをしている余裕はなかった。
手がするするとふすまに伸びていく。
気付いたときには、ふすまを開け放っていた。
一瞬、時間が止まったように思う。
ふすまの奥には長谷川さんと女の子がいた―…。
:07/09/16 22:42
:SH703i
:☆☆☆
#114 [OZ]
いや、女の子ではなく女の人だった。
僕は立ち尽くし、今にも倒れそうになっていた。
目の前の状況を理解することが出来ない。
長谷川さんも唖然とした表情である。
女の人は涙でぐちゃぐちゃになった顔で、僕を見つめている。
「長谷川さん……」
僕はやっとの思いで、そうつぶやいた。
女の子はそれを引き金に叫び出した。
:07/09/16 22:49
:SH703i
:☆☆☆
#115 [OZ]
助けて、と言っているのがかろうじて聞こえる。
耳をつんざくようなひどい叫び声だったが、僕の耳は耳栓をしたかのようで、叫び声はほとんど聞こえなかった。
女の人は可夜であった。
しかし、飾られていた写真の彼女とは、すっかり変わってしまっていた。
僕が彼女を女の子と見間違えたのも仕方なかったと思う。
:07/09/16 23:01
:SH703i
:☆☆☆
#116 [OZ]
彼女には手足がなかったのだ。
足は膝から下がなく、腕はすっかりない状態だった。
もちろん写真に映っていた可夜には、ほっそりとした手足があった。
切断面には乾燥した赤黒い血がびっちりとこびりついている。
そんな彼女を、長谷川さんは抱き抱えるようにして座っていた。
:07/09/17 18:49
:SH703i
:☆☆☆
#117 [OZ]
これをシルエットだけを見たとしたならば、子供を抱いている老人に見えたはずだ。
僕の心臓は早鐘のように脈打ち、頭は混乱を極めた。
それでも僕の目は可夜にくぎづけとなり、そらすことができない。
可夜は服を着ておらず、胴体の辺りに布を巻いているだけであった。
げっそりと痩せ細り、これ以上人間が痩せることは不可能に思える。
:07/09/17 18:57
:SH703i
:☆☆☆
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