darkness;FROM OZ
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#101 [OZ]
僕は直感でそう思った。

この写真のおじいさんは、長谷川さんの夫ではない。

理由だってある。

写真のおじいさんはどこかの町を歩いているところだった。

目線は道の先の方を向いている。

写真を撮られていることに全く気付いていない様子だ。

普通、こんな風に自分の夫を撮らないだろう。

しかも写真はこれ一枚しかないという。

⏰:07/09/09 20:08 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#102 [OZ]
それに不可解な写真は他にもあった。

娘と息子だと長谷川さんは言ったが、おじいさんと同じくカメラを意識しておらず、一枚ずつしかない。

ところが、ある女の人の写真だけは、他の夫や子供達の写真とは違った。

ちゃんとカメラというものを意識して映っている。
それに、何枚も彼女の写真はあった。

棚の上に並べられた写真はほとんどが彼女だった。

「この女の人は誰ですか?」

⏰:07/09/09 23:05 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#103 [OZ]
この時の長谷川さんは、今まで見たこともないような幸せそうな顔をしていた。

夫達について話す長谷川さんにはどこか違和感があった。

何とも形容しがたいのだが、夫を一人の人間として扱っていないというか、まるでお伽話の登場人物について話しているかのように感じるのだ。

あのおじいさんが、僕が考えた通り赤の他人であるなら仕方のないことなのかもしれないが。

長谷川さんは穏やかな調子で言った。

「可夜(カヤ)っていうのよ。
私の孫なの」

⏰:07/09/10 21:55 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#104 [OZ]
「可夜……」

僕は何故か『可夜』という言葉に強く惹かれた。

「そういえば、みのる君は可夜ちゃんに少し似ているかもねぇ」

写真に映る可夜は、二十歳前後だろうか?
漆黒の艶やかな長い髪が印象的で、なかなか整った顔立ちの女性だった。
肌は透き通るような白さで、唇の赤を際立てている。

日本人形みたいだ……。


「……似てないですよ」

僕はしばらくしてそう答えた。

⏰:07/09/10 22:06 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#105 [OZ]
僕はこのあと可夜についていくつか質問し、彼女は大学生で、数年前に長谷川さんの家の近くで一人暮らしを始めたということを知った。

最近は学校やバイトが忙しく、あまり尋ねてくることはないそうだ。

可夜については驚くほど現実味があった。

しかし、それ以外の人物達があまりにも非現実的な雰囲気を漂わせており、そのため可夜という女性すら不気味な存在にさせてしまっている。

僕は聞きたいことは十分に聞いたから、部屋に戻って考えを整理させようと思った。

⏰:07/09/10 22:55 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#106 [OZ]
ところが僕は余計なことを口走ってしまったのだ。
どうしてこのタイミングで、あんなことを言ってしまったのかは自分でもわからない。

居間から出ようとして僕は立ち止まり、長谷川さんの方に向き直った。


「朝、時々奇妙な歌声が聞こえるんですよね。
何なんでしょうか?」




長谷川さんの顔から笑みが消えた。

⏰:07/09/10 23:00 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#107 [OZ]
―――――――――…


僕はぼんやりと自室の窓から庭を眺めていた。

長谷川さんの家にはそれなりの広さの庭があるのだが、とくに庭いじりをしている様子はない。

しかし、雑草はあまり生えてるわけではなく、茶色い地面がところどころ見えている。

日当たりが悪いわけではないのに、どこかじっとりとしていた。

⏰:07/09/11 07:16 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#108 [OZ]
その庭に長谷川さんは現れた。

そして、大きなスコップを使い、穴を掘り出したのだ。

僕は呆然とその様子を眺めていた。

腰の曲がった老人が掘っているとは思えないスピードで、穴は大きくなっていった。

長谷川さんは僕が見ていることに気付いたらしく、チラチラとこちらの様子を伺ってくる。

まったく、あのばあさんは何を考えているんだ?

⏰:07/09/14 20:18 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#109 [OZ]
長谷川さんは横二メートル、縦一メートルほどの穴を見事に掘り上げた。

掘り終わった後、長谷川さんは家の中に姿を消し、暫く見ていたが、穴のもとには戻ってこなかった。

夕食の時、何故穴を掘っていたのか聞いてみたが、適当にはぐらかされただけであった。


しかし、僕は案外早く、穴の使われ方を知ることになる。

あれは確か深夜2時頃ではなかっただろうか?

⏰:07/09/14 22:50 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


#110 [OZ]
女の人の悲鳴を聞いて目を覚ました。

小さな声ではあったが、僕は深い眠りに就けずにいたので聞き取ることが出来た。

一瞬躊躇ったが、意を決して起き上がると、音を立てないようにして階段を下りていった。

階段を下りていったところでまた悲鳴が聞こえた。

てっきり悲鳴は家の外からしているものかと思っていたが、どうやら家の中から聞こえているようだ。

……長谷川さんの声?

⏰:07/09/16 17:41 📱:SH703i 🆔:☆☆☆


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